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4K空撮ドローン「DJI Phantom 3」国内発売は5月中旬。事故の賠償補償制度も

 DJIは、4K動画撮影に対応したドローン/クアッドコプターの「Phantom 3 Professional」と、フルHDモデル「Phantom 3 Advanced」の日本における展開を発表した。量販店などのdji製品取扱店で5月中旬より販売し、価格はProfessionalが175,000円、Advancedが139,800円。日本のみの対応として、1年間の賠償責任補償制度もセットになっており、詳細は後述する。

Phantom 3 Professional

4K対応でモーターやバッテリも強化。DJI専用の補償制度は最大1億円

本体にゴールドのラインが入ったモデルがProfessional、シルバーのラインはAdvanced

 現行モデル「Phantom2 Vision+」などのドローンと同様に、本体下部に専用カメラを装備。ProfessionalとAdvancedとの最大の違いはビデオ記録モードで、Professionalでは[UHD]モードで4,096×2,160ドット 24/25pや、3,840×2,160ドット 24/25/30pに対応。Professional/Advancedともに、[FHD]が最高1,920×1,080/60p、[HD]が最高1,280×720/60pの撮影に対応し、24p/30pなども選択できる。画角は約94度。

 3軸補正のジンバルにより、飛行中でも安定した撮影を実現。撮像素子はソニー製の1/2.3型Exmor CMOSで、有効画素数は1,240万画素。感度を向上し、Phantom2よりも画質を向上した。レンズ設計を見直し、広角の歪みを低減している。映像形式は、MPEG-4 AVC/H.264(MOV/MP4)で、最高ビットレートは60Mbps。JPEG/DNG写真も撮影可能。記録メディアはmicroSDカード。

 モーターやバッテリの性能も従来比で25%向上させたという。GPS/GLONASSなどを搭載。最大飛行時間は約23分。プロペラを含む対角サイズは590mm、重量は1,280g。

Phantom 3 Professional本体
Phantom 3 Professional本体とプロポ
Phantom 3 Advanced本体とプロポ
2km離れても映像を送信可能
現行機の「Phantom2 Vision+」との比較。水平線が丸く歪んでいるのが、Phantom 3では真っ直ぐになっている
カメラ部の仕様

 室内などGPSが受信できない場所でも安定したホバリングを可能にするための超音波センサーと、専用カメラも装備。カメラで地面の映像を撮影してそれが動かないようにするほか、超音波センサーで高さを高精度にとらえ、飛行を調整することで同じ場所に留まることが可能。この機能を「VISION POSITIONING」と呼んでいる。

底面に、超音波センサーと、位置補正用のセンサーを装備
モーターやバッテリも強化

 専用コントローラでの操作のほか、タブレットやスマートフォンのDJI Pilot Appでの操作にも対応。アプリの対応OSはiOS 8以降と、Android 4.1.2以降。タブレットなどを用いた、720/30fpsでのライブビューにも対応し、2km離れた場所でも映像を確認可能。遅延は220ms(モバイルデバイスに依存)。飛行中にPhantom 3から送られたHD映像の表示や、マップ上での位置確認などが可能。

 DJI Pilot Appのユニークな機能として、「FLIGHT SIMULATOR」モードを用意。実際にPhantom 3を飛ばす前に、操作のシミュレーションが行なえるというもの。初心者でもフライト前に確認でき、操作ミスなどによる破損のリスクを大幅に減らせるという。

アプリのDJI Pilot App画面。左下がマップ
フライトの履歴
「FLIGHT SIMULATOR」モード

 また、撮影した動画から好きなシーンを選ぶと、自動でショートムービーを作成する機能も搭載。選んだテンプレートに合わせて簡単に編集して、YouTubeなどにアップロード可能。「アップロード/シェアするまで約5分で行なえる」としている。その他にも、飛行のログをとって、撮影場所や時間、高度などのデータを後から確認することも可能。

ショートムービー作成機能の画面
YouTubeなどにアップロード可能

 日本独自の取り組みとして、購入から1年間のうちは、ユーザーが起こした事故の賠償責任を補償するDJI専用の制度を用意。ミスで人にケガを負わせたり、駐車している車などを傷つけた場合などに適用できるもので、三井住友海上との協力により実現。対人の場合は最大1億円、対物は5,000万円までを補償。なお、この制度は購入した本人のみ適用されるもので、譲渡や貸し出しなどをした場合は対象外となる。1年より後の補償については、両社で検討中としている。

DJI専用の賠償責任補償制度

 ドローン以外にも、一眼レフカメラなどを装着する3軸の手持ちジンバル「DJI RONIN-M」や、ソニーのミラーレス一眼・α7/7S/7Rを装着して同社の大型ドローンに装着可能な「ZENMUSE Z15-A7」も販売予定としている。

DJI RONIN-Mの利用例
ZENMUSE Z15-A7の利用例

ドローン出荷は100万台突破。農業などへの活用も

DJIの丸川英也氏

 DJIのドローンは累計出荷が100万台を突破。同社の丸川英也氏は「地球上で最も活躍している空撮ドローン」と紹介した。

 また、開発者などに向けてSDK(Software Development Kit)を公開しており、カメラのジンバルやGPSなどの情報を取得して様々なカスタマイズが可能な点を紹介。国内でも、既に農業や測量、インフラなどの分野で活用され始めているという。また、空撮の普及に向けて、Phantom 3のマニュアル本や、フライト講習会などの取り組みも進めているという。

 21日に行なわれた製品発表会には、DJIのドローンで撮影するプロも来場。モータースポーツのラリー動画を配信する「RallyStream」の染谷弘和氏と、100カ国以上で大自然や世界遺産などを撮影しているカメラマンの矢口信男氏が来場。それぞれの活用方法などについて説明した。

RallyStreamの染谷弘和氏
カメラマンの矢口信男氏
ヘリでは撮れない低い場所なども、ドローンでは撮影できる点などを紹介した

(中林暁)