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IMAGICA、輝度1万nitsカバーの4K/HDRディスプレイ開発用評価画像「LUCORE」

 IMAGICAは、4K(UHD)/HDR(ハイダイナミックレンジ)対応のテレビ/ディスプレイ開発などでの活用を想定した評価用の標準画像「LUCORE」(ルコア)を、10月1日より販売開始する。基本パッケージ(DPX/TIFF連番ファイル)の価格は55万円で、他のフォーマットへの変換などは別途オプションで対応する。

LUCOREの映像

 6分の実写動画(モデルと窓の外の映像が2分、ロケが4分)と、CG動画チャートによる評価画像のセット。SMPTE ST.2084で定義されている1万nitsまでの輝度をカバーし、様々な輝度設定における表示装置の見え方を客観評価可能としている。シーン参照/指定MAX輝度最大化/SDR(スタンダードダイナミックレンジ)の3パターンを収録。花火など明暗差が大きく動きのある映像を使うことで、ディスプレイのローカルディミング(LED部分制御)性能のチェックもできるという。

 主に業務用ディスプレイやテレビの開発、放送局の画像検証などへの活用を目的として制作されたもので、映像制作現場での利用も想定。次世代Blu-rayの「UHD Blu-ray」のHDR仕様でもST.2084が採用されており、HDR映像制作の過程で参照するといった利用も見込んでいる。開発したディスプレイを用いて、展示会などの場でLUCOREを上映することも可能だが、店頭展示などの販売促進利用には別途料金が必要となる。

室内の人物と窓の外、花火など、輝度差の大きな映像も収録

 解像度は3,840×2,160ドット/59.94p。カラースペースはBT.2020。基本パッケージのフォーマットはDPX/TIFF連番ファイルで、WAV形式の5.1ch/5ch音源付き。別料金のオプションとして、HEVC、XAVC、PRORESへ変換した形でも納品可能。

 被写体特徴点の分光輝度測定データやフレーム内の平均/最大輝度のデータを参考値として用意しており、EOTF、トーンマッピング、GAMUTマッピングの評価などに利用できる。撮影時の露光環境データや解析データを解説したブックレットも付属する。

CGチャートも収録。ビット深度や彩度再現、応答性などをチェックできる
主な仕様

1万nitsのHDRディスプレイも試作

 IMAGICAは'14年夏ごろからHDR画像評価の研究を進めていた。同社リソースマネジメントセンター IT&システム室 室長の石井亜土氏は「輝度のレンジだけではなく、色圧縮なども考えなければならないのが課題になりそうだった。モニター側で階調/輝度の領域で適応処理をしないと、スタティック(静的)な処理では対応できないと考えた。その後SMPTE ST.2084が規格化され、マッピング技術も求められている」として、BT.2020色域とST.2084階調に対応した評価動画の制作が決まったという。

IMAGICAの石井氏
ST.2084の輝度レンジなど
階調のマッピング

 ソニーの4K有機マスターモニター「BVM-X300」(ファームウェアアップデートでST.2084に対応済み)を使用して、HDR(1,000nits)とSDR(100nits)のデモ映像を見比べると、ピーク部の鮮明さや階調表現などに違いが出ているのが分かった。IMAGICAは、それをさらに上回る1万nitsの高輝度映像を表示できるディスプレイも試作。これはリアプロジェクションディスプレイをベースに作ったもので、高輝度化するため画面サイズを小さくし、4KではなくHD解像度となっている。LUCOREには、トーンマッピングの参考とするために高輝度の映像も収録されているため、1万nitsをカバーするディスプレイも試作したという。

ソニーの4K有機マスターモニターの「ELBVM-X300」を使用したHDR(1,000nits/左)とSDR(100nits/右)の比較デモ
左がIMAGICAが試作した1万nitsのHDRディスプレイの映像。右が1,000nits
1万nitsのHDRディスプレイ
より大画面のHDRプロジェクタも

(中林暁)