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“壁掛けCDプレーヤー”のkm5、創立5周年。壁掛けスピーカーも開発中
2025年10月27日 08:00
壁掛けできるCDプレーヤー「Instant Disk Audio Cp1」や、軽量かつシンプルなデザインのワイヤレスオンイヤーヘッドフォン「Hp1」を展開するkm5は、創立5周年イベントを24日に開催。その中で、代表取締役 兼 デザイナーの船山達史氏が、今後の新製品として、壁掛けもできるスピーカーや、Hp1を気軽に充電できるスタンドなどを予定している事を明らかにした。
船山氏は、1999年3月に東京造形大学を卒業。同年4月にパイオニアに入社、2015年にはオンキヨー、2019年には日本電気(NEC)へ移った。これらの会社で、主にプロダクトデザインを担当してきた。
だが、これらの日本企業では徐々にハードのデザインをする機会が少なくなっていく。「自分の中で、もう一度プロダクト、それもハードのデザインをやりたいという思いが強くなった。また、音楽が好きで、オーディオの畑に携わって来たので、もう一度オーディオを、日本から新しく発信できたら」(船山氏)と考え、2021年9月にkm5を立ち上げた。
船山氏によれば、オンキヨー在籍時、家庭におけるCDの再生環境が減っている事から、タワーレコードと話をして、「より簡単にCDが楽しめるプレーヤーを開発する」という企画があり、開発のGOサインも出ていたが、実現には至らなかったという。
しかし、船山氏の中で「もう一度あの企画をやりたい」という想いが残っており、km5を設立し、最初にタワーレコードに話をして「メディアとしては昔からあるCDを、新たに見せられるような提案」として「Cp1」(18,700円)を企画。クラウドファンディングで多くの支援を獲得し、製品化を実現した。
その後、「スピーカーを搭載したモデルが欲しい」という市場からの声を受け、スピーカーを搭載し、持ち運びできるCDプレーヤー「Cp2」(24,200円)を2023年12月に発売。
さらに2024年には、「こうしたCDプレーヤーの雰囲気にマッチするヘッドフォン、イヤフォンが欲しい」(船山氏)という事から、オンイヤーヘッドフォン「Hp1」(22,000円)を開発。約1年おきに新製品を展開し、5周年を迎えた。
現在では、シンプルなデザインや、使い勝手などが評価され、日本だけでなく、ニューヨークのMoMAデザインストアで販売されているほか、パリのSAINT LAURENTの店舗でも取り扱われるなど、世界的な人気を集めている。
さらに、Cp1は、初音ミクや西寺郷太、アジアン・カンフー・ジェネレーション、二子玉川 蔦屋家電、タワーレコードなど、様々なアーティスト、ショップ、レーベルなどとのコラボモデルを展開している。
船山氏は、「(Cp1は)シンプルで、色がないような商品ですが、お声がけいただき、こうしたコラボレーションにより、とても魅力的な、色をまとったような商品が出来上がりました。自分にとっても刺激になりますし、非常に楽しい仕事だなと感じています。今後もこうしたコラボは、機会があればやっていきたいです」とコメント。
さらに今後の展望として、「日本のオーディオメーカーもそうでしたが、スペックを重視したり、便利な機能がどんどん入ってきて、現在ではストリーミングが主流になりました。その中で今、(スペックや利便性だけではない)CDプレーヤーが見直されています。アナログレコードやCD、カセットといった、いろいろな音楽の聴き方は、まだまだ広がっていくと思います。皆が同じ方向に行く中で、km5はこれからも、多様な音楽の聴き方を、こういう楽しみ方もあるよねと提案していくブランドにしていきたいです」と語った。
さらに、それを体現するブランドメッセージ「MUSIC IN EVERY WAY. 音楽を、あらゆる形で。」を紹介した。
壁掛けできるスピーカーも登場予定
船山氏はさらに、今後予定している新製品の情報も予告。
2026年3月に、ヘッドフォン「Hp1」のカラーバリエーションとして、ハウジングが透明な「Hp1 Clear」を準備中。さらに、Hp1を設置して手軽に充電できるクレードルスタンド「Hp1 Stand」も発売を予定している。
さらに、発売時期は未定だが、Cp1にネオンイエローのカラーバリエーションを追加するという。
スピーカー内蔵CDプレーヤーの「Cp2」は、書籍のようなサイズ感だが、それを活かし、持ち運ぶ時に本体をガードできる「Cp2 Book Case」も予定している。
試作機も無い段階だが、「Cp1とマッチするBluetoothスピーカーが欲しい」との声を受けて、壁掛けも可能な薄型Bluetoothスピーカー「Sp1」を検討しているとのこと。このSp1は、1台でも使用できるが、2台使ってステレオ再生することも可能。
船山氏は、「単体でも手軽に音楽が流れるといいなと考えています。Bluetoothスピーカーではありますが、FMラジオも搭載したいと思い開発を進めています」という。
また「まだアイデア段階」とした上で、「Cp1を2台使って、簡単なDJプレイができるような製品もできないかと、検討しています」とのこと。なお、イベント会場ではCp1を2台使ったDJセットも用意され、TOMMY(BOY)によるDJプレイも行なわれた。
トークショーに豪華ゲストも
イベント内のトークショーには、km5のブランドイメージモデルを担当したアーティスト、る鹿氏や、Cp1でコラボモデルを手掛けた西寺郷太氏も登壇。
る鹿氏は、km5のサイトなどでも使われているHp1を装着した写真撮影を振り返り、ヘッドフォンのケーブルが、美しくなびいて見える写真にするため、「スタッフの皆と一緒に、衣装やケーブルに風を当てたり、揺らしたり、いろいろな工夫をして、良い一枚が撮影できました」と笑顔を見せる。
また、プライベートでもkm5のCDプレーヤーを使い、1980年代など、「自分よりも少し前の世代の曲を楽しんでいます」とのこと。
Cp1でコラボモデルを手掛けた西寺氏は、km5の製品のデザインがシンプルである事を評価。コラボモデルだけでなく、自身の個展で、使わなくなったCp1の試作機を譲ってもらい、そこに色を塗って、音を出す作品を作った事なども振り返り「km5の製品は、聴くだけでなく、色を塗ったりして遊ぶこともできるので、いろいろなアーティストが楽しめるのではないか」と提案。
また、「30年目が来るので、NONA REEVESでもコラボモデルをやりたいと思っています。そういう事を、いろんな人がトライして欲しい。我々ミュージシャンは、もう20年くらい“CDが売れない”と言い続けているんだけど(笑)、“CDプレーヤーが欲しい”という人もあまりいないので、アーティストやファッションに詳しい子が、(km5の製品を)提案したら、これ良いなと思ってくれる人がさらに増えるかもしれない」と、km5製品の魅力を語った。
さらに西寺氏は、「若い人達が、CDプレーヤーで音楽を聴いたり、Hp1のような懐かしいデザインのヘッドフォン使っているのを見ると、自分がどういう立場なのかわからないんですが(笑)“ありがとう”と隠れて握手をしたくなる。僕はミュージシャンですけど、“音楽を好きになってもらう業”だと思っているので」と語り、配信が世の中のメインになっても、多様な音楽の聴き方を提案するkm5へのシンパシーを示した。





















