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“有機EL推し”ビエラが「ミニLEDで黒の限界へ」。国内テレビ開発体制は「従来のまま」

パナソニックの新しいミニLED液晶テレビ「W95C」

パナソニックは9日、6月下旬より発売開始するビエラ新製品の体験会をメディア向けに開催した。

“最高画質”は有機ELテレビであるとのビエラの基本姿勢は堅持しつつも、2026年の商品展開については「液晶テレビ市場で人気を集めるミニLED商品のラインアップ拡充」と「(ミニLED商品においても)パナソニックらしい絵作り・商品作りで“本気”の取り組みを示す」との方針を明らかにした。

また、日本地域向けのテレビの開発体制については、「パナソニック主導で開発を継続する」「基本的なオペレーションについては大きな変化はない」と語った。

以下、体験会の模様を一部抜粋して紹介する。

“有機EL推し”のビエラ「ミニLEDで黒の限界に挑む」

体験会では冒頭、パナソニック テレビ事業部 マーケティング部 部長の金澤貞善氏が「パナソニックが目指すテレビ」と題し、テレビを取り巻く市場環境や2026年モデルの狙い、概要を語った。

はじめに国内におけるテレビの市場環境について、50型以上・60型以上の販売比率が年々増える“テレビの大画面化”と、テレビ出荷比率の88%を占める“4K液晶テレビの拡大”が顕著だと説明。さらにテレビのネット接続率は73.8%にも達し、動画配信の市場規模は10年でおよそ10倍以上に拡大。「いまやテレビは放送だけでなく、動画や音楽を楽しむハブになりつつある」と分析した。

テレビを使う世帯の、住環境の変化も指摘。近年はマンション居住者が増え続けており、それとともにテレビを含む家電の耐震・安全性への関心が増加。「テレビは映像体験に加え、日本の住環境に適した安心安全も求められる」とした。

こうした背景を踏まえ、今回のビエラにおいては「コア技術を活かした画質・音質の追求」、そして「変化するくらしへの対応」という2つの強化の方向性を設定し、商品を開発したという。

「コア技術を活かした画質・音質の追求」で最もこだわったのが、“黒の表現”。

パナソニックでは長年、プラズマや有機ELデバイスをテレビの主軸に据えながら「自発光が作り出す“黒”」、そして「映像制作者の描く理想の色を忠実に再現する」ことを目指してきた。

金澤氏は「ビエラの歴史は“黒の再現性”の歴史でもある。『真の美しさは、黒の中に宿る』という考え方のもと、黒の表現にこだわり続け、豊かな階調表現や自然な色の表現を追求してきた」と話す。

そして26年モデルでは、この思想を“ミニLED”へも展開。

ビエラ全体のマーケティングネームを「黒のビエラ」とし、「黒の表現を追い求め、有機ELを探求しつくしたパナソニックは、明るさの表現を得意とするミニLEDで黒の限界に挑む。プラズマ・有機ELで培ってきた独自の発行制御技術、独自に開発したLED発行制御技術、そして映像制作のプロとコラボレーションしてきた歴史・ノウハウを組み合わせ、26年はミニLEDテレビのラインアップを3シリーズに拡大し、より多くのお客様に高画質なミニLEDラインアップをお届けする」という。

ふたつめの強化軸「変化するくらしへの対応」では、震度7相当レベルまで耐えられる独自の“転倒防止スタンド”やリファービッシュ品の販売、最大5年までの延長保証をアピール。

「パナソニックは日本で開発をして、日本の暮らしに向き合いながら、エンターテイメントの力でお客様にお役立ちしたいと考えている。高画質・高音質だけではなく、安心・安全、そして長く快適に使える品質まで含め、これからもパナソニッククオリティを追求していく」と語った。

パナソニック株式会社 テレビ事業部 マーケティング部 部長の金澤貞善氏

26年液晶ビエラの進化ポイント

前述したとおり、26年ビエラは、バックライトに微細なLEDを搭載した“ミニLED液晶テレビ”を拡充。25年は1シリーズ3機種だったが、今年は3シリーズ10機種を揃える。

シリーズのサイズ展開と市場想定価格、主な機能の違いは以下の通り。

W97CW95CW93C
サイズ/価格75型/44万円
65型/36万円
55型/29万円
75型/36万円
65型/30万円
55型/23万円
50型/22.5万円
43型/22万円
65型/24万円
55型/20万円
バックライト高輝度ミニLEDミニLEDミニLED
量子ドット
高輝度・広視野角シート
パネル制御Wエリア制御UltraWエリア制御Wエリア制御
バックライト制御バックライト
エリア制御PRO

ミニマムルミ
ナンスコントロール
バックライト
エリア制御

ミニマムルミ
ナンスコントロール
バックライト
エリア制御

ミニマムルミ
ナンスコントロール
信号処理エリアコントラ
スト制御PRO
エリアコントラ
スト制御PRO
エリアコントラ
スト制御PRO
上向きスピーカー
音声出力70W50W(75/65/55型)
30W(50/43型)
30W
転倒防止
量子ドット×ミニLED搭載液晶テレビ「W97C」

今期は“黒の表現”を前面に訴求していることもあり、各モデルには、パネル制御・バックライト制御・信号処理を組み合わせた“ブラックパネル”が採用された。

最上位「W97C」は、分割数を2倍(W95B比)に高めた緻密なエリア制御と信号処理によるコントラスト制御で、明暗のダイナミックレンジを拡張した「Wエリア制御 Ultra」を搭載。ミニLEDも高輝度タイプを搭載することで、ピーク輝度も2倍(同)に強化された。

25年は採用しなかった量子ドットシートがW97Cで復活し、色域が大幅アップ。さらに、パネルの色温度が変化しないようLEDを監視&補正するリアルタイム色チューニングシステムも採り入れ、正確な色再現も維持している。

「W97C」(写真中央)では、Wエリア制御 Ultraを搭載。25年のミニLED「W95B」(写真左)と比較して、2倍の分割数・2倍のピーク輝度を実現した

3シリーズ共通で新搭載されたのが「ミニマムルミナンスコントロール」。

これは、ミニLED制御をより多くのステップでコントロールすることで、黒潰れをすることなく、豊かな暗部階調と高いコントラストを実現する技術。「超低輝度まで緻密にコントロールし、深みのある“黒の美しさ”を表現できる」という。

ミニLED搭載液晶テレビ「W95C」
ミニLED搭載液晶テレビ「W93C」

会場では、他社の売れ筋モデルとW97Cを設置し、映画『メッセージ』の一部シーンを暗室環境でシュートアウトしていたが、W97Cはディテールが潰れることなく、滑らかな暗部の階調と質感を描写しながら、ピークの突き上げも両立できていることが確認できた。

25年のミニLED「W95B」(写真左)と、26年のミニLED「W97C」(右)の比較。W95Bに比べ、新モデルは白いドレスの反射の様子が、より眩しく再現されている。また背景にある白いキャンバス4枚が潰れることなく描写できている

最上位有機EL「Z95C」の進化ポイント

フラッグシップ有機ELの最新モデル「Z95C」は、65型と55型の2サイズ展開となる。価格はオープン。市場想定価格は65型が60万円前後、55型が45万円前後。

有機ELテレビ「Z95C」

Z95Cでは、第2世代の「プライマリーRGBタンデム」を搭載。4層スタックの発光構造はそのままに、発光効率と開口構造を改良。25年に比べ、更なる高輝度と色輝度向上を果たしている。

「低反射ブラックフィルターPRO」の搭載も進化したポイント。高コントラストなグレア処理を維持しながら、映り込みを低減。リビングなどの明るい部屋でも、照明や家具の映り込みが減り、より映像に没入できるようになっている。

25年モデル「Z95B」(写真右)と、新しい「Z95C」の比較。新モデルでは、ピーク・色輝度が強化された
こちらは映り込みの比較。写真左が25年モデル、右が26年モデル。かなり明るい環境で撮影しても、26年モデルは白いテーブルや人物の映り込みがよく抑えられているのが分かる

音質面では、マルチチャンネル音源を内蔵スピーカーで再生させるアルゴリズムを変更。これまでセリフ成分が画面の下から聞こえがちだったが、HRTF(頭部伝達関数)を活用することでセリフの定位をリフトアップ。画面の中央から聞こえるようにした。

また、Dolby Atmos音声と音場モード「シアター」をセレクトした場合でも、低音の残響が減衰することなく、豊かな低音の響きをリアルタイムに生成する新しいフィードバック処理を咥えているという。

このほか、液晶・有機ELビエラ共通の進化点として「Fire TVホーム画面のアップデート」、音を鳴らしてリモコンの場所を報せる「見つかるリモコン」、複数のイヤフォンでテレビ音声を聴くことができる「Auracast対応」、ゲームサウンドモード「Race」の追加などがある。

7月以降、Fire TVのホーム画面が新しいUIに切り替わる
リモコン
リモコンの底部を映したもの。上が25年、下が26年のリモコン。見つかるリモコン機能を動作させると、底部に設けられた3つの穴から音が鳴る仕組みだ

日本地域向けのテレビは「パナソニック主導で開発を継続する」

体験会での質疑応答は以下の通り。

――テレビ事業における海外の開発体制と国内の開発体制がどうなっているのか、改めて教えて欲しい。

金澤氏(以下敬称略):先般海外でアナウンスさせて頂いたとおり、欧州などの海外地域に関しては、スカイワースと包括的な業務提携を行なうことになった。有機ELテレビなどはパナソニックのDNAを反映させて共同開発するほか、販売からマーケティング、物流などはスカイワースが主導するなど、効果的なパートナーシップを推進しながら事業を進めていく。

国内に関しては現状、オペレーションを含めて変化はないと断言したい。日本地域に関しては、今まで通り、しっかりとパナソニックが主導し、開発を含めて事業を継続していく。

――今回のプレゼンを拝見すると、従来の有機ELテレビ推しから、ミニLED液晶テレビ推しに変わってしまったような印象も受ける。開発の方向性に変更があったのか?

金澤:我々が考える最高画質、いまお客様に提案できる最高画質は有機ELテレビであるという考えに変化はない。私自身も今テレビを買おうと思ったとき、有機ELテレビを買おうと思っている。

正直ベースで言うと、我々はミニLEDの最後発メーカーというイメージがあったと思うし、昨年までもラインアップが不足していたと考えている。ただ市場を見ると、ミニLED技術の登場以降、液晶テレビそのものがほぼミニLEDになってきている。我々もそれに合わせて対応し、ラインアップを拡充した次第だ。

ただ、ミニLEDを拡充するといっても、そこにある技術を持ってきて発売することはパナソニックとしてしたくはなかった。ミニLEDという商品を、パナソニックらしい画作り、商品作りで提供することが重要であり、今回“黒のビエラ”として3シリーズを発表した。今日のプレゼンは、有機ELと合わせて、かなり本気で我々がミニLEDを取り組んでいるという姿勢をアピールしたい狙いもあった。

“最高画質”は有機ELテレビであるとの基本姿勢は堅持しながら、お客様がお求めになるレンジ、価格構成を含めて、いま市場で広がっているミニLED商品もしっかりラインアップさせてもらった。

――Fire TVの新しいUIは、2026年発売の新しいビエラだけなのか?

金澤:2026年発売のビエラに関しては、7月以降、順次新しいUIに切り替わる。Fire TVを搭載した過去のビエラについても、時期は未定だが、順次新しいUIを展開する予定だ。

体験会では、Prime Original「沈黙の艦隊」シリーズの監督を務める吉野耕平氏のトークセッションも開催された
吉野監督は事前に新製品のフラッグシップ機(W97C)で自身の作品『沈黙の艦隊 北極海大戦』を視聴。「劇場での印象と変わらない再現に驚いた」「潜水艦内の暗部階調や陰影、北極シーンでのオーロラや粉雪のニュアンスが潰れずに丁寧に出ている」と高評価。また音響についても「音楽・効果音・セリフのそれぞれが潰れることなく、ストレスなく届く」と評価。まさに「『黒のビエラ』の宣言通り、暗闇を重視する本作にぴったり」と語った