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26年の「RGBタンデム」はさらに高輝度&低反射に。隠し玉の“低価格OLED”は今年後半登場?
2026年6月15日 08:00
独自のパネル空冷技術を搭載したビエラ「Z95C」、AIキャラクターと会話が楽しめるアクオス「S9A」、そして従来比3.9倍もの輝度性能とデュアルAIエンジンを備えたLG「G6」など、LGディスプレイが供給する最新有機ELパネルを使った“2026年モデル”が発表された。
毎年進化を続けているLGディスプレイのパネルだが、今年のトピックは、「タンデムRGB有機EL」の高輝度&低反射化とサイズラインアップの拡充、そして今年後半の本格投入が見込まれている隠し玉「SEパネル」の登場だろう。
各社新商品の発売を前に、LGディスプレイで新パネルを見てきた。
※数字は市場予想価格、単位は万円前後
| 型名 | パネル | 97型 | 83型 | 77型 | 65型 | 55型 | 48型 | 42型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シャープ S9A 発売中 | RGB 4層 | ー | ー | 93.5 | 66 | 49.5 | 33 | ー |
| シャープ S7A 発売中 | BY 3層 | ー | ー | ー | 47.3 | 36.3 | 29.7 | 28.6 |
| レグザ X770S 6月26日発売 | BY 3層 | ー | ー | ー | 49.5 | 38.5 | 33 | ー |
| パナソニック Z95C 6月下旬発売 | RGB 4層 | ー | ー | ー | 60 | 45 | ー | ー |
| LG W6 8月中旬発売 | RGB 4層 | ー | 137 | ー | ー | ー | ー | ー |
| LG G6 6月25日発売 | RGB 4層 97型は3層 | 450 | 120 | 88 | 62 | 45 | ー | ー |
| LG C6 6月25日発売 | BY 3層 48型は4層 | ー | ー | ー | 45 | 34 | 30 | 29 |
LGディスプレイの有機ELパネルラインアップ
LGディスプレイは現在、テレビ・モニター向けの有機ELパネルを“Tandem WOLED”とブランディングし、搭載する技術や仕様の異なるパネルを複数展開している。
それらの中で最も上位にあるのが、俗に「META」と呼ばれる同社のフラッグシップラインだ。
フラッグシップの名の通り、1画素につき数千個もの微細なレンズを成型することで、パネル内部の光を効率的に取り出し、輝度を高める「MLA(マイクロレンズアレイ)」や、原色(赤・緑・青)からなる4つの発光層で輝度と色域の大幅な向上を実現する「プライマリーRGBタンデム」、そしてパネル表面の映り込みを抑えて視聴時の没入感を高める「ウルトラAR(アンチリフレクション)」など、開発されたばかりの最新技術は、まずMETAに先行導入される。
MLA技術は現在大型テレビでは“休眠中”だが(ゲーミングモニターの一部機種に採用されている)、各社のフラッグシップモデルには、プライマリーRGBタンデムやウルトラAR技術を搭載したMETAパネルが使われている。
METAの次に位置付けられているのが、「EX」と呼ばれるライン。
METAほどの最新技術“全部盛り”ではないものの、3スタック構造の発光層(ブルー×2とイエローの3層)、重水素化合物による長寿命&高輝度性能という基本スペックをカバーしたメインストリームであり、各社のミドル~エントリー機に採用されている。
METAの華やかな最新技術に注目が集まりがちだが、メインのEXも毎年細かな性能改良が行なわれており、現在のEXパネルは、4~5年前に発売された最上位有機ELテレビの輝度をも軽く凌駕する性能を持つまでになっている。
Tandem WOLEDの基本特性
搭載する技術が異なる分、METAとEXとでは輝度性能等に違いはあるものの、「調光」や「黒の描写」、「色表現」、そして「コンテンツ再現性」という、Tandem WOLEDデバイスが持つ基本特性は共通している。
同社では、これらの特性を4つのパーフェクト――「Perfect Dimming」、「Perfect Black」、「Perfect Color」、「Perfect Contents Coverage」と呼び、他方式との違いをアピールしている。
まずPerfect Dimmingは、ピクセル単位で明暗表現できることを指す。特にひとつの画面の中に明暗差の激しい素材が混在するようなショット……例えば、暗くなった夜空を描きながら、そこに浮かぶ月のディテールや星々の煌めきを明瞭に描写できるのは、ピクセル制御が行なえる自発光デバイスの強み。
限られた個数のLEDバックライトを、ブロック単位で調光せざるを得ない液晶方式においては、特定のピクセルだけを光らせる制御は業務用マスターモニターのような大掛かりな仕組みを入れない限り、現状は不可能に近い。ハロー(光漏れ)を抑制するにも、ハード・ソフトの面で対策が必要だし、光源がミニやマイクロに微細化したとしても、それらの分割数はピクセル制御の数には及ばない。
Perfect Black/Color/Contents Coverageも、Tandem WOLEDの特徴だ。部屋の環境に関わらず、安定した黒の描写と色の表現、そしてコンテンツ本来の画を正確に再現できると謳う。実際、世界的な評価機関「UL」の試験において、500ルクスというかなり明るい環境下でも変わらない黒、鮮明な色、コンテンツ表示の忠実性が確認されている。
実はこの“明るい環境下”という条件、以前の有機ELが弱い部分ではあった。
進化の著しい高輝度なLEDをバックライトに組み込むことができる液晶に比べ、明るい部屋では有機ELはパワー負けしていた感が否めず“リビングで楽しむなら液晶、暗室で映画を見るなら有機EL”といった選び方が広まってしまった。
しかし近年の有機ELは、どのモデルも十分なほどの輝度を備えているし(ミドル機でもピーク輝度は1,000nitsある)、輝度という基礎体力の向上と合わせ、色の表現能力も高まっている。明るい量販店のテレビコーナーで「明るさと色を見て、液晶か有機ELかすべて言い当てよ」というお題をもし出されたら、お恥ずかしい話、筆者でも全問正解できる自信はないくらいだ。
明るい環境下での視聴体験が向上したのは輝度だけでなく、表面に施された低反射シートの進化も大きい。部屋の照明光がパネルに入り込むことで、本来の黒が再現されずに浮いて見えたり、パネルが変色して赤みがかったりすることもなく、Tandem WOLEDは映り込みを抑えつつ、正確な黒が再現できるようになっている。
2026年METAパネルは最大4,500nitsに。驚きの低反射加工も
では、26年パネルはどこが変わったのか? LGディスプレイのモデルルームで、テレビメーカー各社に納品されている“26年版METAパネル”をみることができた。
26年METAパネルにおいても、4つの発光層で白色光を作り出す「プライマリーRGBタンデム」技術が使われていることには変わりがない。ただ、制御アルゴリズムの最適化や発光素子の改良で発光の効率が上がったことに加え、サブピクセルの開口構造も改善するなどして、明るさと色の鮮やかさを強化した「プライマリーRGBタンデム 2.0」に進化しているのだという。
聞けば、26年METAパネルのピーク輝度は4,500nitsとなり、昨年からさらに500nits高い数値が出せるようになったとのこと。23年の最上位パネルがピーク輝度2,100nitsだったことを考えると、わずか3年で倍以上の明るさが出るまでになったのは驚くべきことだ。
オフィスのLED照明を点けた状態で新パネルをチェックしたが、深い黒とダイヤモンドのような強い耀きを一つの画面で描写するコントラスト性能はさすがの一言。建物の陰影や水面の反射光、人物の瞳、砂の一粒一粒まで、物体のディテールを生々しく映し出す。LED照明下でもピークの突き上げが鋭く、設定で明るさを下げたくなるほどのパワーだ。
色域はDCI P3カバー率で99.5%、BT.2020カバー率で83%と、25年パネル同等。デモコンテンツを見ても、色味や彩度に違和感はない。カラーパレットの豊富さも大切だが、個人的にはその広い色域をどれだけ上手くコントロールできるか? の方が重要だと思っているので、METAパネルのナチュラルな色描写は大歓迎だ。
輝度以外の進化点が“表面の反射”だ。
METAパネルに関しては、昨年のAV Watchアワードで「視聴した液晶・有機ELテレビの中で、最も映り込みが少ない」と印象を持ったのだが、26年パネルはさらに映り込みを減らしてきた。
上の写真で伝わるだろうか? 左が26年METAパネルで、右が25年METAパネル。右はうっすらと、筆者がカメラを構えた腕や後ろの壁の白いボードが映り込んでいるが、左の新型は腕の映り込みや後ろの白いボードがほとんど見えなくなっている。
スペック値としては、25年パネルは反射率0.6%で、26年パネルは反射率0.3%ということらしいが、体感的には数値以上の差に見える。
しかも、低反射といってもサラサラしたマットタイプではなく、ツヤ感を残したグレアタイプなので、シャープな画質が維持されている。これなら明るい環境でシネスコの映画を表示しても、黒帯部分の映り込みを気にすることなく、高コントラストな世界に没入できるだろう。
なお、26年のMETAパネルは上は83型から、下は48型まで、サイズラインアップが拡張された。ただ、48型に関しては、前述した低反射コートとは異なる表面処理が行なわれているようだ。
ついに“低価格OLED”誕生!? 国内発売は2026年秋以降か
モデルルームでは、METAパネルとは別に、もう一種類のパネルをみることができた。META、EXの下に今年新たに用意される新ライン、「SE(Special Edition)」パネルだ。
SEパネルは、ピクセル単位で明暗表現できる高コントラスト性能、広い視野角、早い応答性など有機ELデバイスの画質優位性を担保しながら、高額な素材を変更し、コストパフォーマンスを追求して開発されたものだ。
長らく有機ELテレビは「液晶テレビに比べて高い」と言われ続けてきたが、この“低価格OLEDパネル”の投入で、液晶テレビとの価格差解消が期待されている。
ピーク輝度は1,000nits。最上位のMETAパネルに比べればピークは控えめではあるが、ミドル・エントリークラスの液晶テレビに対する対抗馬なのだから必要十分。価格を抑えながら、液晶では表現できない圧倒的なコントラストや応答性を提供することにSEパネルの価値があるのだ。
さらにSEパネルは、省エネ性能も高い。55型サイズのEXパネルと比べ、SEパネルの場合は最大でも100W台と消費電力が半分近くまで抑えられている。
一般的に“省エネ”のイメージは液晶テレビが優れているように思われがちだが、大型でミニLEDバックライトシステムが使われているようなモデルは消費電力が300~400Wを超える機種も少なくない。電気代を気にする方にとっても、SEパネル搭載機は選択肢に入ってくると思う。
では実際、いつ頃にSEパネル搭載機がやって来るのだろうか?
LGディスプレイによれば、「すでに海外ではいくつかのブランドがSEパネル搭載機を発表&発売しているが、国内は秋以降ではないか?」と分析。気になる値段については、「海外では、55型で10万円台前半の値付けを行なっているブランドも出てきている」との回答だった。
もちろん、最終的な価格はテレビメーカーの裁量に委ねられるのだが、是非国内でも手の届きやすい価格でSEパネル搭載モデルが展開されることを期待したい。
各社最新モデルは、6月下旬から販売が本格化
シャープ・アクオス「S9A/A7A」やパナソニック・ビエラ「Z95C」、レグザ「X770S」、LG「OLED W6/G6/C6」など、LGディスプレイの2026年パネルを搭載した各社の新モデルは、今月下旬から販売が本格化する。
テレビの購入・買い替えを検討している方は、是非店頭に足を運んで実機を視聴されることをオススメする。一部の大型店舗では、各社のRGBタンデム搭載モデルを4面陳列したコーナーもあり、流れているデモ映像を観るだけでも各社の画作りの違いを体験できるはずだ。
ちなみに。今期、有機ELのフラッグシップ機を投入しなかったレグザ。
一部ユーザーの間では「このままRGB LEDに専念してしまうのでは?」との噂も流れたが、関係者に尋ねたところ「今回の発表はあくまで“春夏”新製品。“秋冬”を期待して欲しい」との返答があり、どうやら上位の有機ELテレビも用意されている模様。レグザの有機ELラバーは、もう少し待つのがよさそうだ。






















