シャープ、LEDと新パネル“UV2A”採用の「AQUOS LX1」
-環境性能と画質の「LED AQUOS」。40型で実売25万円
シャープ株式会社は、白色LEDバックライトを採用した液晶テレビ「AQUOS LX1」シリーズを11月10日より順次発売する。16日に技術発表され、大阪堺の新工場で10月から製造される新液晶パネル「UV2A」を採用し、 60/52/46/40型の4モデルを用意する。価格はいずれもオープンプライス。
型番 | サイズ | パネル解像度 | 仕様 | 発売日 | 店頭予想価格 |
LC-60LX1 | 60型 | 1,920×1,080ドット | UV2Aパネル 高画質マスターエンジン ホワイトLED | 11月25日 | 55万円前後 |
LC-52LX1 | 52型 | 11月10日 | 45万円前後 | ||
LC-46LX1 | 46型 | 35万円前後 | |||
LC-40LX1 | 40型 | 25万円前後 |
LEDを全面にアピールする「AQUOS LX1」シリーズ | 4サイズをラインナップ |
LC-60LX1 | LC-46LX1と専用スタンド | LC-40LX1 |
いずれも、新しい「UV2A」技術を使った1,920×1,080ドットのフルHD液晶パネルを採用。グレア(光沢)パネルではないが、従来製品より光沢感の高いものを採用しており、「AQUOSの商品戦略の中では、低反射で、映り込みが少ないという点が、高画質の要素と考えている」という。
UV2Aは、紫外線によって反応する特殊な材料を配向膜に採用し、照射方向によって液晶分子の並びを高精度に制御する技術。この実用化に成功したことで、同社のASV液晶を含む従来品に比べ、リブ/スリットを大幅に削減。開口率を20%向上させたため、液晶テレビで最も電力を使うバックライトの消費電力を抑えられる。2008年6月発売のAQUOS GX5シリーズとのLX1シリーズの比較では、46型で年間消費電力を約35.6%、52型では34.1%の削減が行なわれている。
UV2Aでは、リブやスリットに起因する光漏れを抑えたことでコントラストの向上も図られている。
開口率向上で省エネ化 | UV2Aの採用で高コントラスト化 | 従来パネル(左)とUV2A(右)の比較。黒の沈みの向上のほか開口率アップによる消費電力低減、ピーク輝度向上などが図られた |
LEDバックライトを採用。バックライトの数は非公開 |
加えて、白色のLEDバックライトを採用。同社では、RGBのLEDバックライトを採用した「AQUOS XS1シリーズ」を2008年に発売しているが、白色LEDの採用により、LED採用製品ながら低価格化を実現。また、UV2Aの採用と合わせて、高コントラスト化を実現し、テレビコントラストは200万:1。
LEDのバックライトスキャンを用いた「Wスキャン倍速」も搭載し、残像低減を図っている。なお、LEDのエリア駆動(ローカルディミング)技術はLX1シリーズには搭載していない。同社では「XS1には搭載しているように、エリア駆動についても開発は進めている。不自然な違和感が起きないように研究しているが、今回はU2VAパネルによりコントラストを高められたことや、価格競争力のある製品にしたいということもあり搭載を見送っている」としている。
同社が長年にわたって蓄積してきたLEDの30年の技術を生かし、照明などでの展開に加えて、液晶テレビにおいてもLEDを全面に出し、水銀レスの環境性能やコントラスト性能などの画質をアピール。「LED AQUOS」をキーワードに、今冬AQUOS LX1シリーズを積極的に製品展開。「今後LED AQUOSをグローバル展開し、全ての液晶テレビのバックライトをLEDに切り替えていく」(松本雅史 代表取締役 兼 副社長執行役員 商品事業担当)という。
好画質センサーを新搭載 |
映像エンジンは、AQUOS DS6やDX2で搭載した「高画質マスターエンジン」を採用。Wクリア倍速や、コントラストや色を改善する「アクティブコンディショナー」や自然なくっきり感を高める「アンベールコントロール」なども備えている。
また、視聴する場所や番組に応じて、自動的に画質と音質を調整する「ぴったりセレクト」機能も新搭載。テレビの内蔵センサーで、明るさと照明の色味を検出、さらに視聴している番組の種類や時間、映像シーンをリアルタイムで分析し、最適な画質/音質に調整する。さらに初期設定時に設置場所の電球の種類や好みなどを入力して、自動画質調整を行なう「好画質センサー」も新たに搭載した。
センサーは前面に装備 | センサーで照明色を自動検出 | 「お好み画質設定」で照明や画質モードにあわせて、好みの画作りを楽しめる |
新型のリモコンを採用する |
チューナは、地上/BS/110度CSダブルチューナと地上アナログチューナを搭載。HDMI入力端子も装備し、HDMIリンク機能も最新の「AQUOSファミリンクII」を採用。新たに画面を縮小表示し、右わきに操作パネルを表示できるようになったため、テレビのリモコンから、表示を見ながらAQUOSブルーレイやオーディオ機器などの操作が可能となった。
7.5W×2ch+15Wのフルデジタル1ビットアンプを搭載。ツィータをテレビの左右、フルレンジを画面下部左右に、ウーファを画面下部に搭載した3ウェイ6スピーカーのオーディオシステム「ARSS」を採用している(40型は3ウェイ5スピーカー)。
映像を取り囲むようにスピーカー配置したARSSにより、映像と音の一体感を向上。特に指向性の強いツィータを画面左右に配置したことで、画面中央付近から音が出てくるような感覚を得られるようになったという。また、60/52/46型では新開発の低振動ウーファ「Duo Bass」を搭載。2基のウーファユニットを向かい合わせて配置することで、本体の余分な振動を低減し、音への悪影響を防いでいる。
スピーカーシステムはARSSを採用 | 新開発の低振動ウーファ「Duo Bass」 |
ネットコンテンツ対応も強化 |
「アクトビラビデオ フル」などのネットワーク機能も装備。「ひかりTV」にも対応しており、別途対応チューナを用意することなく、契約するだけで利用できる。また、AQUOS独自のインターネットサービス用プラットフォーム「Exシステム」により、「AQUOS.jp」や「Yahoo! JAPAN for AQUOS」、「DoTV デジ×マガ」、「Yahoo! JAPAN for AQUOS動画チャンネル」などのサービスに対応。新たに毎日新聞の主要紙面をテレビ上で閲覧できる「毎日新聞×DoTV」にも対応した。
また、壁寄せスタンドとして52/46/40型に対応する「AN-WS50」も11月10日に発売する。
モデル名 | LC-60LX1 | LC-52LX1 | LC-46LX1 | LC-40LX1 |
サイズ | 60型 | 52型 | 46型 | 40型 |
パネル解像度 | 1.920×1,080ドット | |||
テレビコントラスト | 200万:1 | |||
視野角 | 上下左右176度 | |||
バックライト | 白色LED | |||
チューナ | 地上/BS/110度CS×2 地上アナログ×1 | |||
スピーカー | 2cm径×2 5.5cm径×2 6.5cm径×2 | 2cm径×2 6.5cm径×3 | ||
音声最大出力 | 30W(7.5W+7.5W+15W) | |||
消費電力 | 275W | 192W | 172W | 145W |
待機時消費電力 | 0.1W | 0.1W | 0.1W | 0.1W |
年間消費電力量 | 211kWh/年 | 168kWh/年 | 143kWh/年 | 118kWh/年 |
入力端子 | HDMI×3 D5×2 S映像×1 コンポジット×3 アナログRGB(D-Sub 15ピン) 音声入力 | |||
出力端子 | モニター出力×1 (S映像付・ビデオ入力/録画出力兼用) 光デジタル音声×1 ヘッドフォン | |||
その他の端子 | モジュラー Ethernet コントロール端子(RS 232C) | |||
ディスプレイ部の 外形寸法 | 1,500×143 (最薄70)×893mm | 1,299×140 (最薄67)×774mm | 1,162×140 (最薄67)×696mm | 1,021×131 (最薄96)×621mm |
スタンド装着時の 外形寸法 | 1,500×361×948mm | 1,299×287×827mm | 1,162×287×748mm | 1,021×247×673mm |
■ 全ての液晶テレビをLEDに
シャープ 副社長執行役員の松本雅史氏 |
シャープ 代表取締役 副社長執行役員 商品事業担当の松本雅史氏は、「液晶テレビAQUOSは2001年1月に“21世紀に持っていくテレビ”としてデビューして、来年で10年になる。この10年コンテンツなどテレビを取り巻く環境は変化を続けてきたが、AQUOSは常に時代に先駆けて需要を創造してきた。“環境性能”や“大画面化”、“業界初の地上デジタル対応”、“世界初のフルスペックハイビジョン”、“世界初のBlu-ray内蔵”などだ。10年目を迎えるにあたり、AQUOSは大きく変わる。次世代のLED搭載AQUOSになります」と述べ、新AQUOS LX1シリーズを紹介した。
松本副社長は、コントラストの向上や省エネ性能の向上などのAQUOS LX1の特徴を紹介。「長年に渡り蓄積してきたLED、液晶、テレビ技術を高度にすり合わせて初めて誕生したもの」と訴えた。
LEDについては、「1970年からLEDの量産を開始。先般照明市場に参入し、産業用家庭用などで展開している。省エネで赤外線、紫外線も出さず、水銀も出さないといった環境性能も有している。このLEDをテレビの映像表示に採用し、高速な制御による高画質と省エネを両立できる」と解説。液晶技術についても、新しいUV2Aによる画質向上と省エネ性能を訴え、「次世代LEDと液晶、そして亀山で培った匠のテレビづくりを組み合わせて初めてこの製品ができた。AQUOSはより高画質で環境性能の高いテレビとして生まれ変わる」と言及し、「今後LED AQUOSをグローバル展開し、全ての液晶テレビのバックライトをLEDに替えていく」とLEDを全面展開する方針を明らかにした。
AQUOS誕生10周年でLED化を推進 | コントラスト向上と省エネ化の推移 | 液晶、LED、テレビの技術蓄積から製品化を実現 |
AVシステム事業本部長の中村氏 |
執行役員AVシステム事業本部長の中村恒夫氏は、「AQUOS LX1の4つの革新」として、新液晶とLEDによる「画質」、「省エネ」、「音質」、「使い勝手」の4要素で解説。200万:1というテレビコントラストや、高画質マスターエンジンによる、LED「スキャン倍速」、「アンベールコントロール」などの特徴に加え、好画質センサーによる画質調整機能を紹介した。
今後のLED搭載製品の展開について松本副社長は、DisplaySearchの調査を例に引き、「2012年には薄型テレビ市場は2億台ぐらいになる。そのうち10年に10%、11年で22%、12年で32%がLEDになると予想されているが、シャープはそれを2倍、3倍のスピードで上回っていきたい。2012年には大半をLEDにしたい」と語った。
また、昨今の円高の影響については、「為替予約しているので、当面は問題ないが、続けば影響は出てくるだろう。将来的には“地産地消”を進めることで為替変動の影響を抑える」とした。
(2009年 9月 29日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]