スカパー!、3D番組の企画を番組制作社などから募集

-3D放送局「スカチャン3D169」で12月~3月放送予定


説明会場は応募を検討する番組制作者らで満員となり、3D番組企画に関する感心の高さを伺わせた

 スカパーJSATは6日、放送局やテレビ番組制作社、広告代理店などを対象にした、3D番組企画の募集に関する説明会を開催した。

 スカパー! では6月19日に、スカパー! HD、およびスカパー! 光HDにおいて、3D専門チャンネル「スカチャン3D169」を開局。これまで、FIFAワールドカップ南アフリカ大会様や、倖田來未のライヴの3D中継など、様々な3D放送を実施している。

 今回の募集は、この3D放送の認知度や魅力をさらに向上させるため、「2Dでは味わえない、3Dならではの『リアル感』、『臨場感』、『一体感』を伝えられる番組」の企画案を募るというもの。対象は放送局、制作会社、広告代理店などの、番組制作のノウハウを持つ企業で、締め切りは9月21日(必着)。11月中旬に採用作品が発表され、放送は12月~2011年3月が予定されている。

スカチャン3D169の概要これまでの放送実績

 編成部の宮木宣嗣氏は、スカパー! として求めている3D番組企画の要素として「まず、話題性があり、視聴者の3Dへの感心を高める事に寄与するもの」と説明。もう1つの要素として「3D放送の新たな可能性を広げること」とした。

 制作費用は原則としてスカパー! が負担するが、制作社側も費用を負担することで番組の規模をさらに大型化したり、共同制作とすることで、放送だけでなく、例えばパッケージソフト化や映画館での上映など、コンテンツとして様々な展開ができるようにする事も考慮。「あくまで企画内容を重視する」(宮木氏)とし、具体的な制作に関しては企画社と話し合いを行ない、柔軟に対応していく姿勢を示した。

 なお、制作費としては5,000万円程度が想定されていおり、番組の形態としては、「大型の企画(番組)だけでなく、4話完結や、1クールの連続番組など、尺の制限も無いので、様々な形に対応できる」(宮木氏)という。番組ジャンルも問わないが、唯一の条件としてR指定の番組はNGとされている。

 3D番組制作に関しての注意事項は、放送技術部の早尻隆文氏が説明。スカパー! では、視聴者に不快感を与えないように、独自の3D番組制作のガイドラインを導入しているという。早尻氏はその一例として、“飛び出しや奥行きの変化を生む視差量のコントロールを、画面幅に対してスクリーン前後共に2%(フルHDの場合は38ドット)を極力超えないようにする”、“左右のレンズのフォーカスがズレたり、高さや水平が一致しないような映像は避ける”、“飛び出した映像にグラフィックのスーパーインポーズがめり込むと不快に感じるので配慮する”などの具体例を紹介。

 一方で、「(これらの具体的な要項については)話し合いで擦り合わせも行ないたい。ガイドラインを話す事で“3D番組制作はハードルが高い”と思わないでいただきたい」と語った。なお、完成原版を受け入れる際には、視差やアライメントの確認をスカパー! 側で行なうという。

左右のカメラで撮影する3D映像の場合、左右カメラの交点がスクリーン面に位置。交点よりも手前の物体が飛び出して見え、奥にある物体が奥に表示される目幅(カメラ間の距離)を離すと立体感は強調され、縮めると立体感は薄れる。交点から遠く離れた被写体(例えばサッカーの3D中継でスローインを行なう選手がアップに場合の、遠くに見えるスタンドの観客など)は、視差量が2%以内の“安全範囲”に収まっていないと、像が破綻し、不快な映像になるという。その場合は目幅を縮めて影響を和らげることが必要

 スカパー! では、3D撮影用の機材も用意。米3ALITYのビームスプリッター方式のリグ「TS2」を3式、米ELEMENT TECHNICAのサイドバイサイドリグ×1式、業務用カメラのソニー「HDC-1500R」×6式などを用意しており、自主コンテンツ制作対応の状況により使用できるという(要相談)。

 スカパーJSATの高田真治代表取締役執行役員副社長は、テレビの進歩と技術的な進歩が不可分である事を語った後、今後も3D放送に積極的に取り組んでいく姿勢を説明、「皆さんと一緒に頑張っていきたい」と企画への参加を呼びかけた。

スカパーJSATの高田真治代表取締役執行役員副社長発表会では3D撮影用の機材も参考展示された。写真は米3ALITYのビームスプリッター方式のリグ「TS2」



(2010年 9月 6日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]