地アナ終了まで約3週間。「山手線地デジトレイン」が運行

-草なぎさんら最終盤の呼び掛け。未対応の8割は関東


草なぎ剛さん、Dpa、地デジ推進大使らが集結した

 地上デジタル放送への完全移行に向けて大詰めを迎えた7月1日、デジタル放送推進協会(Dpa)とNHK、在京キー局各社はJR東日本と協力したキャンペーン「山手線デジタル放送トレイン」を開始。デジタル放送未対応世帯が最も多い首都圏に重点を置いた周知活動を行なう。

 この活動は、JR山手線主要駅周辺で声かけ運動や、山手線3編成の全車両を使って7月24日のデジタル放送移行(被災の東北3県を除く)を促すもの。デジタル化未対応者への声かけだけでなく、その周辺の人たちにも協力を呼びかける。放送各局は「さあ! テレビ新時代。」のキーワードでアピールする。


各局アナウンサーの地デジ推進大使

 同日の午前4時29分には、JR大崎駅において「山手線デジタル放送トレイン」の出発式を挙行。地デジ芸人のテツandトモ、“地デジで元気!娘”の村井まりさんが参加し、運行開始を華々しく飾った。

 「山手線デジタル放送トレイン」は17日まで運行。山手線を走る3編成(3本)の車両を使い、車内外の掲示で呼びかける。1編成11両に111枚、3編成で計333枚のポスターを使用。また、1号車はNHK総合、4号車は日本テレビというように、チャンネル番号と号者番号を合わせて、各局が地デジ化の告知と番組紹介などを行なう。9~11号車は、BS各社の掲示となっており、秋からの新BSチャンネルも参加。期間内は、1時間あたり3本(時間はJRの編成により異なる)の割合でこの電車が見られるという。


1日より運行を開始した「山手線デジタル放送トレイン」
早朝4時29分の出発式の様子

 同日14時からは、山手線デジタル放送トレインの開始を宣言する記者発表会を開催。地デジ推進メインキャラクターの草なぎ剛さん、各局アナウンサーからなる地デジ推進大使の6人、地デジカが登場し、完全地デジ化への対応を呼びかけた。


車内のポスターなどで地デジ化をアピールキオスク店員の帽子も地デジ化をアピール
チャンネル番号に合わせて、各号車を装飾。1、2号車はNHK仕様4号車は日本テレビ5号車はテレビ朝日
6号車はTBS7号車はテレビ東京8号車はフジテレビ


■ 未対応は33.5万世帯。7月1日の問い合わせ件数は、通常の3倍に

Dpaの石田昭彦氏

 7月24日まであと3週間となり、現在の地デジ普及状況についてDpaの普及事業部門 部門長の石田昭彦氏が説明。総務省の地デジコールセンター(デジサポ)への問い合わせは、4月6.9万件、5月15.8万件に対し、6月は過去最高の22万件と大幅に増加。

 デジサポの担当者によれば、受信方法など準備に向けた相談が増加したとのことだが、7月1日からは、NHKと民放各社でアナログ放送で画面左下に停波告知のカウントダウンスーパー表示が開始したことから、「見にくい」、「消す方法はあるのか? 」といった意見も寄せられたという。7月1日の問い合わせ電話の数は、朝9時~11時の時点で、通常の金曜日の3倍となる約6,000件だった。


デジサポへの問い合わせの件数

 受信インフラの整備(推計)は、受信障害対策共聴施設が対応済み800万世帯(99.7%)で7月24日までに残り2万世帯(0.3%)も対応予定。集合住宅共聴施設は、対応済みが2,097万世帯(99.5%)で、「計画あり・周知済み」が8万世帯(0.4%)、未対応が1万世帯(0.1%)。戸建住宅は対応済みが2,290万世帯、未対応が21万世帯。辺地共聴施設などを含め、33万5,000世帯が未対応と見られる。

 最終盤に向けた課題としては、特に高齢者世帯など「何をどうしたら良いかわからない」、「終了時期を間違って覚えている」、「何もしなくても、自動で切り替わると思っている」、「停波後、初めて気が付く」といったケースを想定。これまでも、相談コーナーや宣伝車「デジサポカー」での活動、電器店の協力などにより周知を行ない、7月5日からはコンビニエンスストアのローソンでもデジサポの電話番号などの案内を開始する。


対応、未対応世帯の内訳最終盤に向けた活動デジサポカー


JR東日本の清野智社長

 「山手線デジタル放送トレイン」は、“最終盤に行なう、最大規模の声掛け”として展開するもの。3本で1日にのべ36時間走行することから、試算では約33万人の目に触れるものと想定。17日間で612時間、561万人となる。さらに、乗った人以外にも声掛けが広まると見ている。前述した地デジ未対応の33.5万世帯のうち、関東地域が占めるのは約8割ということから、山手線エリアでの周知活動の効果に、大きな期待を寄せている。

 東日本旅客鉄道(JR東日本)の清野智社長も登壇。「地デジがスタートしたとき、日本全体で果たしてできるのか? と思っていたが、ここまで来たことに個人的にすごいことだと思っている。いよいよ“最終コーナー”というときに、我々の車両をつかっていただき、ありがたく思うとともに、責任を感じている。24日、スムーズに地デジ化できることを祈念している」と述べた。


総務大臣政務官の森田高氏「高齢者などのサイレント層が残されないように万全を期したい。残された期間、ラストスパートをかけるので、最後のご協力をお願いしたい」NHKの小野直路副会長「24日は、ゴールではなくスタート。デジタル放送という優れたインフラの上で、どのような放送をしていくか、放送事業者に問われている。民放各社と一緒に、この課題に挑戦する」民放連の広瀬道貞会長「デジタル放送の受信環境が良い山手線沿線で、なぜか一番、未対応が多い。『夏休みの宿題を、いつでもできると思っているうちに、できなくなってしまった』という状況に似ている。そういった層に我々の声を届け、支援の手を差し伸べたい」


■ 草なぎさん「手をつないで、地デジ、頑張りましょう」

テツandトモの2人と、村井まりさんも駆けつけた

 「『笑っていいとも!』から直で駆け付けた」という、地デジ推進メインキャラクターの草なぎ剛さんも登場。今回の「山手線デジタル放送トレイン」の企画を聞いて、「どうやったら乗れるんですか? 」、「特別なチケットは必要ですか? 」と質問。「僕ものりたい! 」と興味を持った様子だった。

 「昔は、西日暮里乗り換えでよく山手線を使っていたが、最近は電車に乗っていない」という草なぎさんを交えて、会場では地デジ芸人テツandトモの2人と、地デジで元気娘の村井まりさんが出題する「山手線クイズ」を実施。「山手線の1周の長さ」(34.5km)や、「山手線が通過する区の数」(12区/駅があるのは9区)といった問題が出され、草なぎさんや地デジ推進大使らが苦戦するなか、総務省の森田政務官が見事に正答するという場面もあった。


Dpaの間部耕苹会長

 草なぎさんは、地デジ推進メインキャラクターとしてのこれまでを振り返り、「僕自身もこの5年間というのは、いろいろあった。全国のみなさんに地デジを呼びかけて、役目を務められたらうれしい。7月24日になっても、新しいスタートだと思う。東北の3県も先延ばしになっているので、これからが勝負。こうやってテレビに出させてもらう身なので、デジタル放送に変わって、よりリアルに、人と人のつながりや、希望、勇気、元気を今まで以上に伝えていけるよう、頑張っていきます。今後も全国のみなさん、手をつないで、地デジ、頑張っていきましょう」と呼びかけた。

 Dpaの間部耕苹会長は「大多数の皆様がデジタル化に対応し、大変感謝している。しかし、『100里の道を行くには、99里をもって道半ばとせよ』という言葉もある。様々な事情でデジタル化を果たせていない世帯も多い。最後まで気を緩めないで、全力でサポートする」と挨拶。合わせて、草なぎさんやテツandトモなど、関係者のこれまでの活動を労った。


地デジ推進大使が、これまでの活動を振り返りつつ、最終盤に向けた呼びかけを行なった。NHKの鈴木奈穂子アナウンサー日本テレビの馬場典子アナウンサーテレビ朝日の上宮菜々子アナウンサー
TBSの竹内香苗アナウンサーテレビ東京の森本智子アナウンサーフジテレビの中村仁美アナウンサー


(2011年 7月 1日)

[AV Watch編集部 中林暁]