ソニー、実売33万円の超解像3Dプロジェクタ「HW50ES」

-2D/3D画質を改善し、高輝度と色再現を両立


VPL-HW50ES(ブラック)

 ソニーは、2D/3D画質を大幅に向上したミドルクラスのホームシアタープロジェクタ「VPL-HW50ES」を10月25日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33万円前後。カラーはブラックとホワイトの2色。

 2011年発売のVPL-HW30ESの後継機で、3D/2D画質の向上や使い勝手の改善を図った。パネルは0.61型/1,920×1,080ドットSXRDパネルで、基本的にはHW30ESと共通だが、一部改善を図っているとのこと。240Hzの高フレームレート駆動に対応し、クロストークを抑えた3D映像を実現できる。


VPL-HW50ES(ホワイト)前面
VPL-HW50ES側面。HDMIは2系統背面

 最大の特徴は「超解像リアリティクリエーション」を搭載したこと。同社の4KハイエンドSXRDプロジェクタ「VPL-VW1000ES」で採用した「データベース型超解像LSI(リアリティクリエーション)」をHW50ESに最適化して搭載。入力された映像ソースを縦、横、斜め方向にフレームごとに動き解析して、データベースと照合。データベース上の最適な画像と照合し、オリジナル映像の質感、ディテール感や映像データの圧縮/転送で失われた情報を復元。映像特有の様々なノイズを大幅に低減するという。また、超解像により、波形の鈍りの補正やSN比の改善などが図れるとする。

リアリティクリエーションを搭載データベース型超解像LSIの概要

 リアリティクリエーションの効果は、シネマなどの画質モードとは別で管理され、リモコンの「REALITY CREATION」ボタンからワンボタンでON/OFF可能となる。精細度など効果の強弱も調整できる。1秒ごとにON/OFFを切り替えて、リアリティクリエーションの効果や調整結果を確認できるテストモードも備えている。

 実際にリアリティクリエーションの効果を見てみたが、明らかに精細感が向上。BDビデオ「ツーリスト」のパーティーシーンにおいては、ディテールの向上により、会場の一人一人がより立体的に感じられた。


リアリティクリエーション精細度やテストモードON/OFFなど設定効果を設定
リアリティクリエーションOFFリアリティクリエーションON
ブライトシネマ/TVモードを搭載。明るい場所でも自然な色再現が可能に

 レンズは1.6倍の手動ズーム。投写サイズは40~300型に対応。レンズシフト範囲は垂直71%、水平25%まで拡大された(HW30ESは65%、25%)。レンズのズーム倍率はHW30ESから変更はないが、光学パーツを新規設計し、光学経路での光損失を抑え、光利用効率を改善。光学ユニット内のフィルタの見直しも図るなどで、輝度やコントラストを向上した。輝度は1,700ルーメン(HW30ESは1,300ルーメン)、コントラストは10万:1(同7万:1)まで改善し、「シネマ」モード時では従来比で約50%の明るさ向上を図った。動的に絞りを調整する「アドバンストアイリス3」のアルゴリズムも最適化している。

 高輝度化にあわせて、明るい環境下でも自然な色再現が行なえるように、映像モードにも配慮。リビング設置時に画質を維持しながら明るさを高める「ブライトシネマ」、「ブライトTV」モードを搭載した。高輝度化したプロジェクタの「緑が強くなる」という傾向を抑え、自然な色再現を目指したという。

 新たに、シーンに応じて最適なコントラストが得られるよう、明部/暗部のレベルを自動補正する「コントラストエンハンサー」も搭載。


コントラストエンハンサーを新搭載画質モードカラースペースはBT.709が標準
3Dトランスミッタを内蔵

 3D方式はフレームシーケンシャルで、3Dメガネ「TDG-PJ1」は別売。新たに本体に3Dシンクロトランスミッタを内蔵。HW30ESで必要だったトランスミッタとプロジェクタ本体のLANケーブル接続を不要としたほか、3Dシンクロ信号出力を向上。投写距離最大5mまで3Dを楽しめる。

 2D/3Dともに、シネマフィルム1、シネマフィルム2、リファレンス、TV、GAME、Photo、ブライトシネマ、ブライトTV、ユーザーの9モードが選択できる。


VPL-HW50ES側面上面

【HW50ESとHW30ES(2011年モデル)の比較】

型番VPL-HW50ESVPL-HW30ES
超解像-
コントラスト10万:17万:1
明るさ1,700ルーメン1,300ルーメン
レンズシフトV:71%
H:25%
V:65%
H:25%
動作音21dB22dB
3Dトランスミッタ内蔵別売
Image Director 3-
重量9.6kg10kg

 冷却エアフローシステムを最適化したことで、ファインの低回転化も実現。ファンノイズも約21dBに低減した(同22dB)。ランプは出力200Wの高圧水銀。交換用ランプは「LMP-H202」(31,500円)。

 入力端子はHDMI 2系統、コンポーネント 1系統、アナログRGB/コンポーネント対応のD-sub 15ピンを1系統。PC用アプリ「Image Director 3」によるガンマ設定も可能となっている。消費電力は最大300W、待機時0.5W。外形寸法は407.4×463.9×179.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約9.6kg。リモコンは新デザインのRM-PJ23で、新たに「REALITY CREATION」ボタンを装備する。

リモコン「RM-PJ23」。REALITY CREATIONボタンを装備自発光式のボタンを装備パネルアラインメントにゾーン機能を追加

(2012年 8月 31日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]