キヤノン、4Kシネマカメラ「EOS C500」を10月発売

-実売230万円。新EFシネマレンズも


EOS C500。開発中の単焦点レンズ装着時

 キヤノンは、4K映像撮影が可能なデジタルシネマカメラ「EOS C500」と「EOS C500 PL」、フルHD/AVCHDの「EOS C100」など「CINEMA EOS SYSTEM」カメラ3製品を10月下旬より順次発売する。価格はオープンプライス。

 EOS C500/C500PLは10月下旬に発売し、実売価格は230万円前後。EOS C100は、11月上旬に発売し、実売価格は55万円前後。


■ EOS C500/C500PL

 C500はEFマウントのレンズを、C500 PLはPLマウントのレンズを装着できるレンズ交換式のデジタルシネマカメラ。スーパー35mm相当(26.2×13.8mm)の855万画素CMOSを搭載し、4K(4,096×2,160ドット)の映像を撮影して画質を劣化させることなく、RAWデータで出力できる。

EOS C500背面

 DCI規格に準拠した4K/4,096×2,160ドットのほか、テレビとの親和性の高いアスペクト比16:9のQFHD/3,840×2,160ドットにも対応。垂直解像度が4Kの半分となるHRAW(4,096×1,080ドット)およびYCC4:2:2信号の2K(2,048×1,080ドット)の出力において、最大120pを実現し、スローモーション映像制作などに活用できる。

 最高ISO20000の高感度に対応。Canon Logガンマを採用することで、高精細かつ広ダイナミックレンジの4K撮影が可能。キヤノン独自のCinema RAW(60p、10bit)での出力のほか、2KやフルHDの出力時には、RGB 4:4:4信号(10/12bit)を採用することで豊かな色再現性を実現。ポストプロダクションにおける効率的な編集に対応するという。

 ボディは幅や奥行きを抑えた縦型のモバイルコアデザインを採用。フルHDのCINEMA EOS SYSTEM「EOS C300/C300PL」とほぼ同サイズの外形寸法はC500が160×171×179mm(幅×奥行き×高さ)、C500PLが160×177×179mm(同)とした。重量は1,820g(C500)/1,930g(C500PL)。

 防塵/防滴機構を採用。モニターは上下左右方向にそれぞれ270度回転する4.0型/123万画素ワイドタイプ。約155.5万画素のビューファインダーも装備する。出力端子は4K映像をRAW出力できる3G-SDIを2系統と、外部モニター用のMON.端子を2系統装備。AJA Video Systemsやアストロデザインなどが外部レコーダを発売予定としている。本体には動画記録用のCF Type 1スロット×2と、静止画/カスタムピクチャーデータ用のSD/SDHCメモリーカードスロットを備えている。

 またEOS C500は、マウント周りにロック機構を備えた「EFマウント(シネマロックタイプ)」を採用。シネマカメラをリグに装着した状態で、重いレンズ着脱をPLマウント同様に行なえるとしている。

■ EOS C100

EOS C100 EF24-70mm F2.8L II USM装着時

 EOS CINEMA SYSTEMのエントリー機となり、専門学校における映画製作の実践や放送局の報道などの用途を想定。マウントはEFで、EFレンズとEFシネマレンズを装着可能。スーパー35mm相当のCMOSセンサー(有効画素829万画素)を搭載し、ボケ味を活かした表現が可能となっている。

 記録解像度は最高1,920×1,080ドットでフォーマットはAVCHD。信号読み出しを高速化することでCMOS特有のローリングシャッター歪みを軽減している。新たにCanon Logガンマより800%広いダイナミックレンジを実現する「ワイドDRガンマ」を採用し、なめらかな階調表現が可能という。

 外形寸法は135×129×170mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,020gで、C300/C300PLより容積比で15%、質量で29%削減。撮影状況に合わせてハンドルやグリップ、サムレストなどをユニット追加できる。ハンドルユニットに内蔵ステレオマイクと、XLRオーディオ入力を2系統装備する。

 PUSH AUTO IRISボタンとONE SHOT AFボタンを搭載し、ワンタッチで自動的にアイリスとピント合わせの調整が可能。6月発売の「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」装着時に、画面中央の被写体にピントやアイリスを自動的に合わせ続けられる機能を搭載予定で、対応ファームウェア提供は2013年上期を予定している。ビューファインダーと上方へ100度回転する3.5型/92.2万画素のバリアングル液晶モニターも搭載する。記録メディアはSDカード×2。

■ EFシネマレンズ

 EFシネマレンズは4機種を発売。いずれも4Kカメラに対応し、幅広い焦点域をカバーし、EFマウント用とPLマウント用を用意する。

 「CN-E15.5-47mm T2.8 L S」(EFマウント)と「CN-E15.5-47mm T2.8 L SP」(PLマウント)は12月下旬に発売予定。「CN-E30-105mm T2.8 L S」(EFマウント)と「CN-E30-105mm T2.8 L SP(PLマウント)」は10月下旬発売予定。価格はいずれも205万8,000円。

CN-E15.5-47mm T2.8 L S(EFマウント)CN-E30-105mm T2.8 L S(EFマウント)

■ 単焦点レンズも開発中

 また、単焦点のEFシネマレンズも2モデルも開発中。スペックの詳細は明らかにしていないが、いずれも4Kに対応し、スーパー35mm相当のほか、35mmフルサイズ、APS-H、APS-Cのセンサーサイズに対応。仕様や価格は未定だが、2013年上期の商品化を目指すとしている。

開発中の単焦点EFマウントレンズ

(2012年 8月 30日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]