【Inter BEE】カメラ/ディスプレイの4K対応が一気に加速

ソニーCineAlta。アストロは9.6型、キヤノンは30型モニタ


ソニーは開幕に合わせてプレスカンファレンスを開催し、4K対応の加速をアピールした

 映像と音響、通信に関する国内最大の放送機器展「Inter BEE 2012」が14日、幕張メッセで開幕した。放送業界向けの展示会となっており、最新ビデオカメラやモニタ、映像配信システム、音響機器などが出展されている。会期は11月16日まで。

 展示ブースの中から、4K対応のカメラやレコーダ、ディスプレイなどの製品を中心にレポートする。



■ ソニー

PMW-F55

 今回に合わせて発表されたCineAltaシリーズの4K スーパー35mmカメラや、業務用4K液晶モニタなどを展示。 カメラの「PMW-F55」は、スーパー35mm、総画素1,160万画素のイメージセンサーを搭載し、4K/4,096×2,160ドットの撮影に対応。'13年2月の発売で、ボディ単体の価格は288万7,500円。なお、2Kまでの対応で、オプション追加により4K RAW撮影ができる「PMW-F5」(2月発売/173万2,500円)も展示している。

 コーデックは新しいXAVCに加え、MPEG-4 SStP、MPEG HD422、RAWに対応。レンズはPLマウント。ハンドルやモニタ、ビューファインダなどが本体から分離できるモジュラータイプの製品になっている。

 そのほか、NXCAMの「NEX-FS700J」で4K記録するためのインターフェイスユニット「HXR-IFR5」、RAWレコーダ「AXS-R5」なども展示している。3D HD-SDI端子を備え、4K RAWデータの入力が可能。'13年度第1四半期の製品化を予定しており、20万円前後を見込む。

 「PVM-X300」は、30型、解像度4,096×2,160ドットの液晶マスターモニタ。3G/HD-SDI ×4、HDMI×4、DisplayPort×2の入力を備え、1本のHDMIケーブルで、4,096×2,160/24pや、3,840×2,160ドット、24/25/30pの伝送が可能。4Kカメラ「PMW-F55」と接続する時は、HDMIケーブル1本で4,096×2,160/60pを伝送できる。フルHD映像を1画面に4つ表示する事も可能。発売は'13年2月で、価格は252万円。

PMW-F5F5/F55向けのレンズNXCAM用の4K対応インターフェイスユニット「HXR-IFR5」、RAWレコーダ「AXS-R5」
30型/4Kの液晶モニタ「PVM-X300」84型4Kテレビの「KD-84X9000」発売中の上位モデルF65も展示


■ パナソニック

AG-AF105A

 AVCCAMシリーズの新製品で、マイクロフォーサーズのレンズマウントを採用した業務用AVCHDビデオカメラ「AG-AF105A」を展示。デジタル一眼カメラ用レンズが使えるほか、変換アダプタを介してプライムレンズなどのシネマ用レンズを使う事も可能。XLRの音声入力も備えている。11月15日発売で、価格は40万円前後。

 1080/60p、1080/50pでの記録再生に対応。従来モデルAF105からの強化点として、撮影モードにプロ用のPHモード(平均21Mbps/最大24Mbps)のほか、AVCHD Progressive準拠のPSモード(平均25Mbps/最大28Mbps)を追加している。



■ アストロデザイン

8K/4K製品を多く展示しているアストロデザインブース

 積極的に4K対応製品を販売しているアストロデザインは、新製品としてマイクロフォーサーズマウントの4Kカメラシステムを12月に発売。カメラヘッド「AH-4413」とカメラプロセッサ「AP-4414」、マスターコントローラ「AH-4412」のセットで価格は約500万円。

 カメラヘッドには1.25型/890万画素CMOSを搭載し、3,840×2,160ドット/60pの映像を、3G-SDI×4またはHD-SDI×8でリアルタイム現像出力可能。レンズはマウントアダプタによりPL/Fマウントにも対応可能。外形寸法は65×255×110mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.8kg。マスターコントローラは放送カメラと同様のUIや機能を備え、直感的に操作できるという。

 4K非圧縮のSSDレコーダ「HR-7510」は、キヤノンの4K対応カメラ「EOS C500」に対応したレコーダ。C500の4K RAW、2K RGB 4:4:4 12bit、2K 4:2:2 120p、4KハーフRAW 120pの各フォーマットで記録可能。リアルタイムRAW現像機能も備え、PCへ転送せずに映像をその場で確認することもできる。12月発売で、価格は約160万円。

 「DM-3409」は、9.6型で3,840×2,160ドットの小型液晶モニタ。重量は3kgに満たない程度で、収録現場での4K映像確認ができる。最大輝度は400cd/m2。3G-SDI×4入力/60Hzに対応する。'13年1月発売で、価格は250~300万円の見込み。

4Kカメラヘッド「AH-4413」4K SSDレコーダ「HR-7510」9.6型の「DM-3409」
キヤノンブースからライブで映像伝送。4K対応のテロップシステムも紹介しているNHKとの協力で8Kスーパーハイビジョンシアターも用意。アストロデザイン製のレコーダやカラーグレーディング装置を利用し、シャープ65型/8Kモニタで映像を表示している


■ キヤノンの30型ディスプレイなど4K製品が他にも続々

参考展示の30型4Kディスプレイ

 キヤノンは、「4K Display」というコーナーを用意し、30型で4K対応のディスプレイを展示。NABやIBCでも展示されていたが、国内での一般展示は初だという。発売時期は未定で、パネルの種類など詳細を一切明かしていないが、「独自開発」としている。映像の特徴として「忠実な色再現」、「高解像度」、「高コントラスト」の3点を挙げている。今回の展示を通して、価格などを検討していくという。

 同社はスーパー35mmセンサー搭載の4K対応カメラ「EOS C500」などの撮影コーナーも用意しているほか、来場者に向けた「4Kワークフロー相談コーナー」も設けており、4Kに対する積極的な姿勢がうかがえる。


側面から見たところ特徴EOS C500



RoviのMainConcept紹介コーナー

 Roviのブースでは、同社が持つMainConceptの製品を紹介。'13年1月に正式に規定される予定の高圧縮次世代フォーマットHEVCへの対応も進めており、既にベータ版のエンコーダを公開。同5月頃にデコーダ/エンコーダの正式版の提供を見込む。

 従来のMPEG-4 AVC/H.264の約半分のサイズまで圧縮できるというHEVCフォーマットを使うことで、今後は8Kなどの高解像度にも対応可能だが、その一方でモバイル向けの配信などへの採用も見込んでおり、iOS/Android向けのソフトウェアデコーダも順次開発していくとのこと。


JVCケンウッドは、4Kカメラの「GY-HMQ10」を展示同社ブースには、4K映像の非圧縮IP伝送デモに関するコーナーも用意。10GbpsでHD~4K非圧縮映像の伝送が行なえることなどを紹介している。ディスプレイには東芝REGZAの「55X3」を使用していた
ブラックマジックデザインのブースでは、「Davinci」コントロールサーフェスを使ったカラーグレーディングのデモを行なっており、ここにも「55XS5」が使用されていた同ブースには、4K対応キャプチャの「DeckLink 4K Extreme」(10万5,000円)も展示されている。デュアルリンク3G-SDI、HDMI、コンポーネントなどに対応。アップ/ダウンコンバートも可能AJA(アスク)のブースでは、レコーダなどの「Ki Pro」製品のコーナーで、東芝の4K REGZA「55XS5」を使ってデモしていた


(2012年 11月 14日)

[AV Watch編集部 中林暁]