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パイオニア、AR機能搭載/音質も強化した「サイバーナビ」

カロッツェリア χの技術を投入。スマホ連携モードも

AVIC-VH0009HUD

 パイオニアは8日、カロッツェリアのHDDカーナビ「サイバーナビ」の2013年夏モデルを発表した。1DIN + 1DINメインユニットタイプを3機種、2DINメインユニットタイプを4機種用意し、6月上旬より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15万円~34万円前後。

 最上位のAVIC-VH0009HUD(1DIN + 1DIN)と、AVIC-ZH0009HUD(2DIN)は、車のフロントガラス前方に映像を映し出せる「AR HUDユニット」と、実写映像にナビ映像を重ねるための「クルーズスカウターユニット」も同梱。AVIC-VH0009CSとAVIC-ZH0009CSにはクルーズスカウターユニットを同梱する。これらのユニットは単体でも販売され、AR HUDユニット「ND-HUD2」の価格は105,000円、クルーズスカウターユニット「ND-CS3」は52,500円。

 いずれの機種も、AV機能として地デジチューナやDVD/CDなどを搭載。別売ケーブルを介してスマートフォンやiPodなどを接続して動画/音楽などを再生することも可能。ディスプレイは7型/800×480ドット液晶を備える。

AVIC-VH0009CS
AVIC-ZH0009CS
ラインナップ一覧。左が'12年モデル、右が'13年モデル
仕様 型番AR HUD
ユニット
クルーズスカウター
ユニット
発売時期店頭予想価格
1DIN + 1DIN7型液晶
(インダッシュ)
地デジ
DVD/CD/USB/SD/5.1ch対応/DSP
AVIC-VH0009HUD6月34万円前後
AVIC-VH0009CS-6月上旬26万円前後
AVIC-VH0009--21万円前後
2DIN7型液晶
地デジ
DVD/CD/USB/SD/5.1ch対応/DSP
AVIC-ZH0009HUD6月32万円前後
AVIC-ZH0009CS-6月上旬24万円前後
AVIC-ZH0009--19万円前後
7型液晶
地デジ
DVD/CD/USB/SD/DSP
AVIC-ZH0007--15万円前後

走行前に、混雑状況などを画像で確認

AVIC-VH0009HUDの装着例

 AVIC-VH0009HUDとAVIC-VH0009CS、AVIC-ZH0009HUD、AVIC-ZH0009CSは、付属のフロントカメラや通信モジュールなどを活用した新機能「スマートループ アイ」を搭載。これは、交差点や駐車場入り口といった特定の地点で静止画を撮影し、ユーザー間で共有することで走行車線の混雑状況などが事前に把握できるもの。撮影/画像共有する地点は、パイオニアがあらかじめ設定したものに加え、交通規制情報(VICS)を受信した地点も自動で対象となるため、交通環境の変化へリニアに対応できるとしている。

 撮影された画像は専用のサーバーで画像処理され、配信用のデータとして蓄積。同じ場所を通るユーザーや、その地点の状況を確認したいユーザーはナビに画像を表示できる。なお、プライバシー対策として、画像処理時にナンバープレートや歩行者の顔などは判別できないように加工されるという。また、同じ地点で複数回撮影された場合は、最新の情報が表示される。画像を撮影してから共有されるまでの時間は、5分程度を目指すという。スマートループ アイ機能には高画質な静止画撮影が必要なため、フロントカメラも100万画素に高画質化した。なお、'12年モデル以前のサイバーナビ/クルーズスカウターユニットはスマートループ アイに対応しない。

 そのほか、フリーワードの音声検索にも対応。施設名称などの単語だけでなく、「品川の水族館」や「世田谷のラーメン」のように、話し言葉から対象の語を抽出して候補を表示でき、目的地に設定できる。

スマートループ アイの概要
撮影された画像を加工し、サーバーに蓄積
共有された画像の表示例。撮影された時間なども分かる
AVIC-ZH0007とスマートフォンの接続例

 そのほか、同社の「アプリユニット」で採用されているスマートフォン連携機能「Linkwithモード」を、サイバーナビにも新たに投入。スマートフォンアプリのYouTubeやひかりTVなどを、ナビの画面で表示/操作できるほか、スマートフォン内の音楽ファイルや静止画をリスト表示して再生することも可能。現在、対応アプリはiPhone/Androidそれぞれ約20種類用意する。対応するスマートフォンは、NTTドコモのMHL対応Android端末と、iPhone 4/4S/5。au/ソフトバンクのAndroid端末の場合、MHL対応機種であれば映像出力とアプリの利用は可能だが、操作はナビ側ではなくスマートフォンで行なう。

Linkwithモードの概要
ナビにスマホの画面を表示。ナビ側で操作できる
地図とYouTubeを同時表示することも可能

 前述の上位4機種に付属するクルーズスカウターユニットを利用することで、ナビ情報を実写映像に重ねて表示可能。適正な車間距離の確認や、速度標識の通知、信号機のない横断歩道の予告検知などを画面上で行なう。

 さらに、AVIC-VH0009HUDとAVIC-ZH0009HUDに付属するヘッドアップディスプレイのAR HUDユニットを利用したナビ機能「HUDドライバーモード」では、ルート案内やマップ、オービス、ETCレーンなどをドライバーのフロントガラス前方に見える形で表示可能。前方を見ながら情報を確認できる。映像表示にはRGBレーザーを使用。

ARスカウターモードも搭載
横断歩道の予告検知も可能
ARスカウターモードの表示例
AR HUDビューに対応
AR HUDユニット(左)とフロントカメラ(右)の装着例
AR HUDユニットへの表示例。フロントガラス前方の風景と重ねて見ることができる(写真はディスプレイに表示したイメージ映像)

カロッツェリア χの高音質技術を投入。HDMI入力も

 AV機能の特徴は、「カロッツェリア χ」の開発者によるチューニングを施し、高音質化を追求している点。デジタル処理部には、カロッツェリア χにも採用されているサウンドマスタークロック回路を搭載。ジッターを抑え、微細な信号も正確に再生可能としている。さらに、オーディオ用の高音質オペアンプやフルカスタム大容量音響用電源コンデンサ、AKMの24bitアドバンスド・マルチビット方式DAコンバータ、24bit浮動小数点DSPなどを投入している。

音質へのこだわり
カロッツェリア χの高音質パーツなどをサイバーナビに投入した

 そのほかのAV機能は'12年モデルを踏襲。地デジは4アンテナ/4チューナ方式で受信性能を高めている。フルセグ/ワンセグの自動切り替えや、オート放送局サーチ機能なども利用可能。DVDビデオやVRモードで記録したDVD-R/RW、音楽CD、CD-R/RWなども再生できる。MP3/WMA/AAC/WAVのファイル再生も行なえる。iPhone/iPod接続には別売ケーブルを利用。Bluetoothも搭載する。アンプ出力は50W×4ch。HDMI入力も備え、ビデオカメラなどを接続可能。

 CD楽曲をHDDに保存して、様々な方法で再生できる「ミュージックサーバー」も引き続き搭載。リッピング時の音質は高音質(ATRAC Advanced Lossless)、または標準(ATRAC3)から選べて、ロスレスでは4倍速/最大約2,500曲分、標準では18倍速/約12,500曲分を保存できる。圧縮音源で失われた高域部分を補完する「アドバンスド・サウンドレトリバー」も搭載。

AV機能のメニュー
音楽再生画面
AVIC-VH0009HUDのDVDドライブ/SDスロット部。ミニB-CASカードスロットも備える

AR + スマートループでドライブに新しい価値

パイオニアの黒崎正謙氏

 パイオニアの上席常務執行役員 カーエレクトロニクス事業統括部長の黒崎正謙氏は、国内カーナビ市場について、全体では微減の傾向ながら、高付加価値のAVN(AV一体型)は、PND(ポータブルナビ)に比べ堅調に推移するとの見方を示し、「市場環境は大きく変化している。これにいち早く対応するため、ハードから“ハード+ソフト”へ転換し、新しい価値を提案する」とし、新機種の「スマートループ アイ」機能について「AR(拡張現実)とスマートループが融合し、ドライブに新しい価値を提供する」とした。

 一方、若年層をにらんだ新規市場に対しては、スマホ連携の「Linkwithモード」をサイバーナビにも投入したことなどで様々なニーズに応じていく意向を示し、「先進性を追求し、新しい価値を提供することで新市場創造し、国内カーナビ市場を活性化していく」と述べた。

国内カーナビ市場の出荷実績と予測
パイオニアの商品展開
同社の事業別売上構成比

(中林暁)