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HDMIケーブルで初のTHX認証。Kordzが“抜けにくい”4K対応モデルを解説

 エミライは、世界初というTHX認証取得のKordz製4K対応HDMIケーブル2モデルを15日に発売。このHDMIケーブルに関する技術について、業界関係者向けの説明会を開催した。登壇したKordz セールスディレクターのJames Chen氏は、この2モデルに抜け落ちを防ぐコネクタなどを採用し、HDMIケーブルの品質や信頼性を高めていることなどをアピールした。価格は11,900円(0.6m)から。詳細は既報の通り。

Kordz セールスディレクターのJames Chen氏
Kordzについて説明するChen氏

 Kordzは'03年にオーストラリアで設立したHDMI専業メーカーで、AV機器のインストール作業において特にトラブルの発生しやすいHDMIケーブル関連の問題を軸に、HDMIシステム全体を考え、インストーラーの課題を払拭するために立ち上げたという。CEDIA(Custom Electronic Design & Installation Association)のULTRA HD(UHD)ワーキンググループの規格策定にも参加。また、HDMIのシステムにまつわる課題を解決するため、Kordzではすべての製品をインストーラーの視点で作ることを重視。パーツの設計から線材の選定まで関わることで高品質を実現する。オーストラリアでは既に40%のシェアを獲得しているという。

コンシューマ向けの「EVS-HD0120R」(1.2m/14,200円)

 同社のセールスディレクターであるChen氏は、オーストラリアのAV製品に関するセールスに長く関わり、現在はCEDIAでアジア・太平洋地域における講師や認定に携わるスタッフとして活動しているという。

コンシューマ向けと業務用の2モデルを用意

 15日に発売されたTHX認定取得のHDMIケーブルは、4K伝送をサポートするHigh Speed with Ethernet仕様で、コンシューマ向け「EVS-R」シリーズと業務用AV機器(ラック設置用)向けの「R.3」シリーズの2モデルを用意。コネクタは24K金メッキの亜鉛ダイキャスト合金を使用し、どちらもケーブルの抜け落ちを防ぐシュアフィットコネクタ(SureFit Connector)を採用することで20N(約2kg)の引き抜き強度を持たせた。このためロック機構は不要で、1,000回以上の引き抜き試験もクリアした。

「EVS-HD0120R」のパッケージ
業務用「R.3-HD0150」(1.5m/7,500円)のパッケージ
抜け落ちを防ぐシュアフィットコネクタを採用
誘導ハンダ処理のB.O.S.S. Technologyを紹介

 コネクタの端子内は、各ピンの特性を均質にした誘導ハンダ処理「Bitrate Optimised Soldering System(B.O.S.S.) Technology」ではんだ量や結合の信頼性を高めることで、低ジッター性を追求している。このB.O.S.S. Technologyには、超音波溶接や酸化防止のはんだメッキ、精度の高い工作機械による自動化が含まれ、アナログケーブルとは異なる発想で製造しているという。

どちらも単線OFC導体(Solid Core OFC)を採用

 導体はどちらも撚り線ではなく、単線OFC導体を使用。「EVS-R」シリーズは28AWG、「R.3」シリーズは32AWGとなっており、コンシューマ向けの「EVS-R」シリーズでは導体に銀メッキ処理も施している。これにより電気信号が抵抗の低い銀メッキ層を通過し、高速・広帯域伝送を実現する。

 さらに出荷前には3種類の全数テストが最低2回行なわれ、業務用「R.3」シリーズではビットエラーレートのテストにおいて、工場ライン上での不良率を0.05%まで低減。パッシブタイプケーブルはすべてライフタイム保証が設けられている。

出荷前には3種類の全数テストが行なわれる
信頼性や性能を高めるKordzのソリューション
エミライのKordz製品取扱の狙い

 Chen氏は両シリーズともTHX認定を取得していることについても触れ、THXの歴史を紹介。1983年に映画監督のジョージ・ルーカスによって設立された企業で、自身が手がけた「スター・ウォーズ」を映画館で鑑賞した際、映像と音声が意図したものと異なっていたことに衝撃を受けたことが立ち上げのきっかけとなったエピソードが知られている。

 HDMIにおけるTHX認証は、「HDMIコンプライアンステスト仕様」に定義されたもののほかに、総データレート18Gbpsまでの広帯域領域での安定性、相互接続性に関する信頼性、コネクターのフィッティング性、製造クオリティの高さなどを含んでいる。「THX認証は家庭での再生環境における最良の体験を提供することが目的だ」とChen氏は述べた。

 また、HDMIの役割がオーディオ・ビジュアル体験にとって重要であることを踏まえ、2011年にKordzとTHXが提携を開始し、2014年には公式な業務提携を結んだことを紹介。4K接続THX認証プログラムは、HDMI 2.0で規定される帯域をサポート可能なHDMIケーブルのベンチマークのために開発されており、Kordzは新しい4K認証プログラムに関わる世界唯一のパイロットブランドであることを説明した。

 こうしたTHX認定を受けたEVS-RシリーズとR.3シリーズは、12bit 4:2:2、16bit 4:2:0、8bit RGBまでの4K/60p映像の伝送に対応する高速伝送特性を持ち、HDMIイーサネットチャンネルやARCに対応。EVS-Rシリーズはさらに、最大2chで192kHz/24bitのPCMやDSDに対応する。また、「R.3」シリーズは世界で初めて米EilexのDarbee認証も取得している。

HDMIにおけるTHX認証の解説
Kordz製品が受けている認証が並んだ
斜めの軸線がKordz製品を示し、上がテレビやレコーダなどの対応すべき機器、下がフルHD、4K、8Kなど映像の解像度を指す

 このほか、Kordzの製品開発の取り組みについても説明。電機製品業界の動きと対応が必要な解像度を把握し、市場にどのような製品があるかを意識しながら製品を投入していくという。

(庄司亮一)