ミニレビュー

PS4でもアニメに浸れる! “放送プラスVOD”がイイ「ANIMAX on PlayStation」

 PlayStation 4(PS4)で視聴できる、インターネット配信のアニメ専門チャンネル「ANIMAX on PlayStation」が12月1日にスタートした。テレビ放送のような「リアルタイム視聴」と、好きな時間に観られる「オンデマンド視聴」の両方に対応するのを特徴としているが、一体どんなサービスで、他のアニメ配信とどう違うのか、実際に視聴してみた。

PS4で視聴できるアニメチャンネル「ANIMAX on PlayStation」

 ANIMAXといえば、衛星放送やCATVなどのアニメ専門チャンネルとして知られるが、PlayStation向けには、作品を選んで視聴するVODの「アニマックスPLUS」が'15年からPS3/4とPS Vita向けに提供されていた。これが12月からリニューアルされ、「ANIMAX on PlayStation」となり、PS4専用サービスとしてスタートした形だ。

 月額500円で「MEMBER'S」番組を含む全てが視聴可能。無料で観られる「FREE」番組も用意されている。なお、14日間はMEMBER'S番組も無料で体験可能。

PS4向けの、1クール編成で一気に観られる

 PS4の 「テレビ&ビデオ」メニューに追加された、「ANIMAX on PlayStation」アプリを追加することで視聴が可能。なお、インストールするにはPS4のシステムソフトウェアをVer.5.01以上にアップデートする必要がある。

PS4の「テレビ&ビデオ」カテゴリに、ANIMAX on PlayStationが追加された
ANIMAX on PlayStationアプリをインストール

 アプリをインストールしてラインナップを見ると、テレビシリーズのアニメ作品や、OVA、劇場版アニメ、それに独自企画のアニソンライブなどが配信されている。

 基本となる「放送中」の作品だけでなく、既に放送された作品を、メニューからオンデマンドで視聴することもできる。

 なお、有料サービスを契約する前に、無料作品を視聴できるので、試してみることをお勧めする。VOD映像配信の無料コンテンツといえば、1話など最初の部分だけという場合も多いが、このサービスでは視聴前にCMは入るものの、無料作品であれば最終話まで観られるようだ。少し前にテレビ放送された作品などが配信されている。

途中から見ても、面白そうな作品は最初から楽しめる

 2017年12月の番組ラインナップを見ると、執筆時点で既に放送された作品には「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ(前・後編)」、「ガールズ&パンツァー」のテレビ版と、OVAの「アンツィオ戦」、「ご注文はうさぎですか?」、「ひだまりスケッチ」、「きんいろモザイク」、「フレームアームズガール」などがある。

 現在テレビ放送中、または放送直後という番組は無さそうだが、10年ほど前から、2017年制作の番組まで幅広い。いわゆる「アニメオタクの基礎教養」的な番組もきっちり押さえているのがうれしい。なお、作品ラインナップ詳細は「ANIMAX on PlayStation」のサイト内で掲載されている

 24時間いつでもアニメ番組を放送しているのは衛星放送やCATVのANIMAXと同様だが、ANIMAX on PlayStationのリアルタイム番組は、これらとは全く異なるオリジナルの番組編成になっている。

 例えば、衛星放送などのANIMAXでは、1話放送した後に2話目は翌日、あるいは次週放送ということが多い。一方のPS4では1クール分一気に6時間ほどかけて放送するパターンが基本のようだ。これは、後述するオンデマンド視聴などを考慮したものだろう。

 また、放送などとの大きな違いは、番組が流れているだけでなく、興味のある作品があれば、そのエピソードを最初から再生したり、第1話から視聴できること。

 放送が始まった番組は、「すべての作品」にリストアップ。例えば執筆時点では「ローゼンメイデン」の第4話「翠星石」が放送されていたが、「すべての作品」を見ると、既に一話の「薔薇乙女」から12話の「真紅」までリストアップされていて、どの話のどこからでも見られるようになっている。

番組の放送が始まってからは、どの話数からでも視聴できる

 ただし、作品によっては違う場合もあり、たとえば「Re:ゼロから始める異世界生活」のように、週1話の編成だと、1話分しかオンデマンドでも視聴できないようになっている。

 放送中の番組とは違い、オンデマンド視聴している場合は頭出し、早送りボタンも表示され、PS4のコントローラ(DUALSHOCK 4)から操作できる。「○」ボタンで、コントロールバーが表示され、頭出しや早送りが可能。

PS4コントローラの○ボタンで、コントロールバーが表示

 アニマックスによれば、4月を目標にアプリをバージョンアップ予定とのこと。これにより、放送中の番組もワンタッチで頭出しできるようにするという。

 画質については、古めの作品に関しては低画質なのは仕方ないところだが、地デジ化以降あたりの新しい作品は、おおむね放送のクオリティと変わらないレベルだと感じる。

PS4内のEPG対応など機能強化に期待

 他のアニメが見られるサービスが様々なデバイス向けに存在するが、それらに比べると全体に視聴可能な番組自体少ないように思う。現在オンデマンドで視聴できる番組がいつまで視聴できるのかわからない。その情報がANIMAX on Play Stationが公開されていないのだ。

 ただ、PlayStationは基本的にはゲーム機。アニメ配信に関しては、「この作品が見たいから配信を見る」というよりは、ゲームの合間など空いた時間になんとなく見るという用途も多そうだ。そう考えると、弱点というより、想定ユーザーの違いといえるかもしれない。

 もうひとつ気になった点は、番組表がPS上では表示できないことだ。PCやスマートフォンでなら見られる番組表サイトが、PS4のアプリ上では表示できない。

 これに関しても、ANIMAXでは4月中のバージョンアップでEPG(電子番組表)をPS4から表示・操作可能にするという。EPGから選んで最初から視聴したり、オンデマンドで過去に放送された番組を視聴できるようになるという。

Webで公開されている週間番組表。これがPS4でも表示できるようにしてほしい

 原稿を執筆した12月7日現在では、PCのサイトなどで「配信」とされている番組でもまだ見られない物が多かった。例えば「中2病でも恋したい!」「マルドゥック・スクランブル」、「たまこまーけっと」などが未公開になっていた。

 ゲームの合間に1、2番組見てほしいというサービス側の意図もわかるが、筆者のように「宣伝を見たのをきっかけに、作品に興味を持った」というユーザーもいるだろう。

 できれば、いつからいつまで観られるのか、PS4などの画面上ではっきりわかるようにしてほしい。例えば気になる作品をお気に入りに登録できて、「もうすぐ配信終了」の時に通知してくれたら、気になっていた作品を見逃してしまうことも少なくなるだろう。

 配信作品のラインナップは、地上波などで放送された最新作の“見逃し視聴”をしたい人には少し物足りないと思うが、作品のセレクト自体は、アニメ好きの筆者にとっても、これから期待がもてるし、月額500円でちょっと空いた時間にアニメが見られるというスタイル自体はいいものだ。

 既存の「好きな作品をどうぞ」と自由に選ばせるVODサービスは、作品数も多く、観たい番組が決まっている場合には便利。その一方で、テレビ放送のようにとりあえず番組を流しておけるANIMAX on PlayStationなら、いつか観ようと思っていたが未視聴だった作品や、自分では気づいていなかったけれど実は好みに合う作品があった場合も、観ようと思えるきっかけになるだろう。4月提供開始のバージョンアップによる、さらなる機能充実にも期待したい。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net(イラスト : 高橋哲史)