ミニレビュー
5年ぶりのレコーダ新調で使い勝手はどう変わる? DMR-UBZ2030を家に置いてみた
2017年12月26日 08:00
自宅で使っているBDレコーダをそろそろ買い換えようと考えた。番組を録って観て、残したいものはBlu-rayに移す、と普通に使うぶんには今でも問題ない。しかし5年近く毎日動かしているので、以前に比べて動作が重くなってきた。最近はUltra HD Blu-ray(以下UHD BD)で観たいコンテンツも増えてきているので、これを機にレコーダを新調したい。
各社のUHD BDレコーダを見ていたところ、パナソニックDIGAの新モデル「DMR-UBZ1030/2030」が目に留まった。UHD BD再生に対応していることに加え、「おうちクラウド」と銘打ったネットワーク機能も充実。音楽CDをFLAC形式でリッピングできる機能も備えるなど、気になるポイントが沢山ある。
5年前のレコーダを最新レコーダに置き換えると今の生活がどれくらい便利になるのか? DMR-UBZ2030(以下、UBZ2030)を自宅に設置して、その使い勝手を試した。
きちんと動いている時に買い換えたい
筆者の自宅では、レコーダはソニーのダブルチューナ/500GBモデル「BDZ-EW500('12年発売。以下、EW500)をメイン、nasneをサブと位置づけていて、5年ほど変わらず使っている。EW500ではアニメ・映画・ドラマなど、見た後もBlu-rayに書き出して残したい番組を中心に録画。nasneはニュースやドキュメンタリーなど、リアルタイムでは見られなかったけれど見たら消す番組を録る、といった形で使い分けている。
nasneは宅内LANに繋がったスマホやタブレット、Fire TVから地上波番組を見るライブチューナとして使うのが便利で、出勤前や帰宅時のニュースチェックによく使っている。EW500も同様の使い方はできるが、帰宅後深夜まで二番組同時録画していることが多いので翌朝まで触らないことがほとんど。今のところ致命的な問題は起きていないが、HDD残量がほとんど無くなり、動作もだいぶ重い。正常稼働しているうちに、次の候補を選ぼうと考えた。
EW500はエントリー機なので、HDD容量は500GBと今ではかなり心許ないが、USB HDDを後から追加しての容量拡張には対応している。しかし足りなくなるたびにHDDを買って増やした結果、AVラック内のスペースは取るし、トータルでは上位のレコーダを買うのとさして変わらない出費になってしまった。だから次は最初から容量の大きなレコーダにしておきたい。録りたい番組が時々重なって諦めたこともあったので、チューナ数も今より多い方が良い。さらに今後4Kテレビを買うことを見越してUHD BDも見られるモデルを……と考えると、次期レコーダの選択肢は自然と絞り込まれる。
そんなわけで、今回はパナソニックからトリプルチューナ/2TB HDD搭載の最新DIGA「DMR-UBZ2030」を借りて試用することにした。実売価格は95,000円前後だが、ネット通販などでは既に7万円台で販売しているところもあるようだ。
パナソニックのレコーダを使うのはこれが初めてだが、開封してフロントパネルのデザインを一目見て思わず「カッコいい」と呟いてしまった。表面に角度の違う複数の切子面を入れたようなデザインで高級感がある。「ULTRA HD」のロゴもついていて、UHD BD再生に対応していることがすぐに分かる。
外形寸法は435×199×54mm(幅×奥行き×高さ)。ぱっと見では奥行きが短いな、と感じたが、実際EW500の奥行きが239mmなので、4cm近く短い。このためAVラックに入れたままでも、各種ケーブルの接続時に手やコネクタが奥の壁にあまりぶつからず、作業が楽に行なえた。
背面には地上波及びBS/CSのRF入力と、増設用HDDのためのUSB端子、光デジタル音声出力、LAN端子を装備。HDMI出力は映像/音声用と音声用の2系統を備えており、上位機らしいこだわりを感じる。
なお、UBZ2030は4K/60p出力に対応しているが、筆者宅には4Kテレビや4Kディスプレイが無い。そのため今回はUHD BDなどの4K画質での視聴はできなかったが、いずれテレビ・レコーダ共に4Kの視聴環境を揃えるつもりでいる。
リモコンはEW500で使っているものよりもやや縦に長く、各ボタンの文字表記が大きく見やすい印象。放送波ボタンと並んでNetflix専用ボタンもついていて、5年という年月で起きた映像視聴スタイルの変化を感じた。
UBZ2030の録画機能を試した
これまで使ってきたEW500の操作UIは、かつてソニーのレコーダやゲーム機ではおなじみだった「クロスメディアバー」で、左右に機能項目、上下にコンテンツなどが並ぶ。慣れれば画面をちゃんと見ていなくても、リモコンの十字キーを何回押せばどの機能にたどり着くかがすぐに分かるが、使い始めはアイコンの意味と機能の関係を理解するのに多少手間取った記憶がある。
UBZ2030はそれと比べて、直感的で分かりやすいUIを備えている。スタート画面の「録る」、「見る」、「残す」というアイコン+文字表示が親切で、マニュアルを見なくてもすぐに使い始められるのはありがたい。
番組表も、番組名は太めのフォント、内容説明は小さめの標準フォントで表示され、見やすいと感じた。下部には、新番組や特番のお知らせがバナーのような形で表示される。番組改編シーズンとは関係なく始まる番組や、金曜ロードショーのように毎週放送している番組などもリマインド的に表示される。
ここでリモコンの「新番組」ボタンを押せば、全チャンネルの新番組・特番情報がリストアップされる。普段は録画していない番組も、「今週の金ローはスター・ウォーズなのか。じゃあ録画予約を入れておこう」といった感じで予約を入れるときに便利だった。
ちなみに、私がBDレコーダで録画する番組はアニメ・映画の割合が高く、特にアニメは1クールのほぼ全作品を網羅するようにしている(もちろん全部は見られず、未視聴のまま消すことも少なくない)。DR以外の録画モードはほぼ使わず、例えば放送中の冬アニメ「宝石の国」は地上波とBS11でやっているので、画質の良さを重視してBSの方を録る、といった具合でHDDの容量の減り方が早いのが辛いところだ。近頃はどうせ配信でもやるのだから、と思わなくもないが、放送版との違いを後から見返したいというマニアックな楽しみのためにも、やはり録画は欠かせない。
レコーダの録画予約や録画番組の状態は、スマホの場合はアプリ「どこでもディーガ」、パソコンはWebサービス「DiMORA」から確認できる。録画時の番組タイトルを手打ちで変更できたり、録画開始/終了のタイミングを1分刻みでずらせたりと、ソニーのレコーダ用アプリ「Video & TV SideView」やWebサービス「CHAN-TORU」よりも細かく設定でき、かゆいところに手が届く設計だと感じた。
UBZ2030の地デジチューナの画質は、ザワザワしたノイズがあまり目立たず、思っていた以上にクリアで気持ちが良い。アニメ番組を見ても、キャラクターの輪郭線がスッキリとした印象を受けた。しばらく使っていてEW500に戻るとノイズの多さや微妙な画のネムさが気になり、やはり最新機種は違う、とその実力の高さを感じた。
番組視聴時に、地味なポイントだが気に入ったのは、HDDに録画した番組とBlu-rayに書き出した番組のリストを、1つの画面の中で切り替えてチェックできること。EW500では、HDDとBDの番組一覧画面をクロスメディアバーで開き直さないといけないので、どの番組を書き出したか忘れた時など、結構不便だった。
もうひとつ、録画番組のタイトルをパソコンで前述のDiMORAから書き換えられるのも、細かいけれど嬉しいポイント。録画しているアニメ番組のうちいくつかは、番組表のデータの関係でアルファベットや数字が全角表記になってしまう。半角よりも文字サイズが横に幅をとるので、ただでさえ狭い録画リストの中で情報量が減って一覧性が落ちるのが気に入らなかったのだ。毎度キーボードを打つ手間はかかるけれど、今までのようにコピペで編集できないよりははるかに良い。
アプリ「どこでもディーガ」は、ソニーのアプリと操作UIは違うが、レコーダとの連携機能においてできることはそれほど変わらない。出先からレコーダの録画番組をストリーミング視聴したり、番組持ち出しもできる。ただ、Android版アプリを使っていて気づいたのは、再生履歴のページがあることで、途中までアプリで見ていた番組の続きを見たい時に、メニューの階層をたどったり番組名を検索したりしなくて良い。
Blu-rayの書き出し機能では、ダビングしようとしている各番組がディスクの空き容量に占める割合をパーセント表示してくれる。作業時にあとどれくらい番組をBlu-rayに移せるか、おおよその見当が付けやすい。ただ、EW500は50GBのBD-REにDRモードの録画番組を容量いっぱいにダビングした場合、書き込みはいつも1時間ちょっとで終わるが、UBZ2030で同じようにダビングしたところ、画面上にダビング終了までの残り時間が1時間48分と表示され、体感でもいつもより長くかかると感じた。
4Kテレビは持っていないが、せっかくなので前もって購入してあった「オデッセイ」UHD BD版も見てみた。フルHDの液晶ディスプレイに繋いでの視聴だったが、瞬かない星が無数に浮かぶ宇宙空間や、火星の荒涼とした大地の陰影感など、冒頭から通常のBlu-ray版とUHD BD版で画の違いがはっきりと分かり、特にカメラが横にパンしていくところや、迫り来る砂嵐のモワモワした動きは、フルHD画面でも自然な滑らかさを感じた。早く4Kテレビを買ってUHD BD版ならではの高画質を体感したいものだ。
CDリッピングが便利
今回、UBZ2030で試したかった機能の一つが、CDのリッピング機能。これまでCDリッピングはパソコンのiTunesに頼ってきたが、WAVやAIFFだけでなくFLAC対応になることをひそかに待ち望んでいた。だがそうなる気配が一向に感じられず、手軽にCDをFLAC化できる方法を探していた。DIGAはその意味でうってつけだったというわけだ。
CDリッピング自体はUBZ2030の新機能というわけではないが、レコーダに音楽CDを入れてボタンを数回押すだけで、44.1kHz/16bitのFLACファイルとして保存できるのは楽で良い。Gracenoteから取得したアーティスト名やジャケット画像などのデータも自動で埋め込まれる。iTunesの時と比べて取り込みに時間がかかって待たされる、という感じはしなかった。
FLACと同時にスマホアプリ用のAACファイルも作成できる。取り込んだ音楽は、スマホの「どこでもディーガ」アプリに移して聴けるだけでなく、出先からUBZ2030にリモート接続して、音楽配信サービスのようにストリーミング配信で聴くことも可能だ(AAC)。
取り込みが終わってから、パソコンで宅内LANに繋がっているUBZ2030にアクセスすると、NASと同じようにフォルダ構造が表示され、取り込んだFLAC/AACファイルをドラッグ&ドロップするだけで簡単に移せた。
これまではパソコンでリッピングしながら同時に別の作業も行なうと動作が重くなって不便だったが、DIGAに任せればパソコンには余計な負荷をかけずに済む。作業もリッピングも捗り、個人的にはとても便利な機能だった。
ただ細かい不満点はいくつかあり、取り込み時に生成されるジャケット画像がスマホから見ても分かるくらい画質が低く見えるのが気になった。また、CDの取り込み中にアプリからUBZ2030の録画番組を視聴しようとしても「優先動作実行中で再生できない」という表示が出てリモート再生できない。さらに、音楽CDを続けて取り込みたい時、CDを入れ替えるたびに取り込み画面が解除されてテレビ画面に戻るので手間がかかる。これらは今後改善してほしい。
取り込んだ音楽をAndroid版「どこでもディーガ」で再生していて気になった点もあった。それはスマホをスリープしたりバックグラウンド再生している際に、画面上で再生操作ができるウィジェットのようなコントロール画面が出ないこと。「HF Player」などの音楽再生アプリは通知バーに再生/停止や曲送り/曲戻しができる小さなコントロール画面を用意してくれるが、「どこでもディーガ」にも同じような仕組みが欲しいと思った。
いろいろ便利に使えたUBZ2030に換えたくなった
今回は5年ぶりにレコーダを買い換えるため、UBZ2030の気になる機能を色々と試したが、やはり基本の録画機能が、今使っているレコーダよりもあらゆる点で使い勝手が良いと分かったのが一番の収穫だった。UHD BD再生機能やCDリッピングのように魅力的な機能が備わっていて、チューナの画質やデザインも上位機ならではの良さがあり、購入意欲が俄然高まっている。
映像配信サービスでアニメや映画をいつでもどこでもたっぷり見られるようになっても、やはり「番組を手元に残せる安心感」はレコーダにしかない魅力だと思う。個人的には、テレビをつける時間は昔と比べれば確かに減ったが、その分見ていないところでしっかり番組を録っておいてくれるレコーダは必要なのだ。
以前は「そんなに番組を沢山録画することもないだろうし、ネットワーク機能がついていて一番安いモデルでいいや」と考えてあっさり決めたような気がするが、気がつけば録りためたHDDやBD-REがAVラックの周りに山積みだ。「時間ができたら整理を」と思いつつ、なかなか手を付けられずにいたが、レコーダ買い換えを機にそれらも順次進めていきたい。