ミニレビュー

Amazon Prime Videoチャンネルに「dアニメストア」。アニメ好きは使うべき?

 Amazon.co.jpが、プライム会員向け新サービス「Amazon Prime Videoチャンネル」を開始した。既存のPrime Videoサービス内に、有料映像チャンネルを追加できるもので、「J SPORTS」や「BBCワールドニュース」など様々なチャンネルが対象。詳しい説明はこれまでの記事で紹介されているが、アニメファンにとって興味深いのは、7月2日より「dアニメストア」チャンネルが追加されたことだ。

Amazon Prime Videoチャンネル

 Amazonプライムは月額税込400円、あるいは年間税込3,900円を支払うことで、Amazonで対象商品を通販で購入するとお急ぎ便、もしくはお届け日時指定便が無料になる会員制度。特典として映画やTV番組などが見放題になるPrime Videoや音楽配信のPrime Music、写真管理のPrime Photosなども利用できる。年間にして50万円程度Amazonで買い物をしている筆者も、当然ながら加入している。

 そのプライム会員向けに、6月14日からスタートした「Amazon Prime Videoチャンネル」において、追加の支払いにより利用できるチャンネルとして、音楽の「MTV MIX」やスポーツの「Gaora Bros.」などとともに、「dアニメストア」が7月2日より加わった。名称は「dアニメストア for Prime Video」。利用料は月額432円(税込)。

筆者が追加したdアニメストア。コンテンツ充実ぶりはなかなかのもの

 「dアニメストア」をご存知の方も多いと思うが、NTTドコモが行なっているアニメ配信サービスで、ドコモユーザー以外でも利用でき、新作アニメから旧作まで、さらにアニソン、アニメを主題とした舞台、ファンフェスなども含め2,500本以上の作品数を視聴できる。正にアニメファンにとっては夢のようなサービスだ。もちろん筆者は既に契約している。利用料は月額432円(税込)で、新たに始まったPrime Videoチャンネル版と同じだ。

既存のdアニメストア

 注意したいのは、同じ月額432円というサービスだが、dアニメストアの全ての番組がPrime Videoチャンネル版にも配信されるわけではないこと。筆者はサービス開始後すぐにdアニメストア for Prime Videoを契約し、どんなユーザーがどちらを使うと有利か、調べてみた。なお、以降は表記について既存のdアニメストアは「dアニメ」、新サービスのdアニメストア for Prime Videoは「Amazon dアニメ」とする。

 なお、合わせてスタートした「スカパー! アニメセットfor Prime Video」(月額756円/税込)も加入してみたが、AT-Xが無いなど、筆者としてはまだお金を払って利用するには物足りないと思ったので、現時点でのレビューは割愛する。

新作・話題性重視なら従来の「dアニメストア」

 Amazon dアニメの視聴は、PCの場合はWebブラウザでAmazonの画面から「dアニメストア for Prime Video」へアクセスする。スマホの場合は、Webブラウザのほか、Prime Videoアプリからも利用可能。そのほか、AmazonのFire TV/Fire TV Stickを使えばテレビ画面でも観られる。

「dアニメストア for Prime Video」のスマホ画面(iPhone X)。左がWebブラウザ、右がPrime Videoアプリ使用時

 従来のdアニメとの違いについて、最初に分かったのは、Amazon dアニメは、新作がすぐには配信されないらしいということ。少なくとも執筆の7月8日時点で、2018年夏アニメでAmazon dアニメで配信されている作品はなかった。

 ただ、いくつかの番組は、dアニメではなく従来からあるプライム会員向け映像配信の「Prime Video」においてアニメ番組が配信されている。例えば日本テレビ系で放映されている「中間管理録 トネガワ」は7月4日にプライム会員向けに、「レンタルエピソード」制で視聴が可能になっていて、一話が48時間以内で視聴可能になっている。Prime Videoでは新作アニメもいくつか配信されているので、このサービスもうまく併用すれば、目的のアニメを見つけやすいだろう。

Amazon dアニメ版「トネガワ」
dアニメの「トネガワ」

 既存のdアニメの特徴としては、公開される新作アニメが、毎期、非常に分かりやすく表示されることが挙げられる。毎期新作アニメが表の形で掲載されており、何本配信されているかも数えられる。

dアニメ 新作一覧

 それに比べるとAmazon dアニメ版は、良く言えばザッピング向き、悪く言えばゴチャゴチャしていると感じる。「恋愛/ラブコメ」や「アクション/バトル」といったジャンル分けはされているが、タイトルか登場人物の名前の一部でも憶えていないと目的の番組が探しにくい。「新着」などのコーナーがあると分かりやすいのではと思う。

Amazon dアニメのトップページ。確かに「よりもい」も「Re:ゼロ」も「ダンまち」も名作だが、最新作ではない

 dアニメで配信されている新アニメ33本から、ざっと差分を取ってみた限り、以下の番組がdアニメにあって、Amazon dアニメのラインナップには表示されていないことが確認できた(7月8日時点)。

・はたらく細胞
・夢王国と眠れる100人の王子様
・兄に付ける薬はない! 2
・ゆらぎ荘の幽奈さん
・あそびあそばせ
・深夜! 天才バカボン
・進撃の巨人 Season 3
・百錬の覇王と聖約の戦乙女
・オーバーロードIII
・焼肉店センゴク
・陰陽師・平安物語
・少女☆歌劇 レヴュースタァライト
・プラネット・ウィズ
・異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
・ちおちゃんの通学路
・はるかなレシーブ
・ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王
・Free!-Dive to the Future-
・音楽少女
・スペースバグ
・アニメ「ISLAND」

 もちろん、これら全てが今後も出ないとは考えにくいので、いずれ追加でラインナップされるのではないかと思う。特に「オーバーロードII」などは(dアニメではない)Prime Videoで配信されているので、IIIも今後配信されることだろう。

 新作アニメを中心にチェックする人で、特にアニメサイトなどをこまめにチェックしてタイトルから毎回配信を確認しない人はAmazon dアニメよりdアニメ本体を使った方がいいかもしれない。

 それから、dアニメでは配信されている、アニメのオープニング映像やステージビデオなどもAmazon dアニメには入っていない。個人的にはライブステージなども好きなので、今後Amazon dアニメでも配信されることに期待したい。

 なお、前述した通り、テレビでAmazon dアニメを観たい場合は、AmazonのFire TV/Fire TV Stickを利用する。既存のdアニメも、Fire TV/Fire TV Stick向けにアプリが提供されているが、Amazon dアニメもテレビで楽しめるのが確認できた。

Fire TV Stickを使ってテレビ画面で視聴。スマホアプリをリモコンとして使うと、キーボードでのタイトル検索や音声検索でもAmazon dアニメ配信作品がヒットした

メジャー作品でなくても、ちょい懐アニメを観たい人はプライム推奨

 比較的新しい作品では、どのあたりがAmazon dアニメで配信されているかというと、執筆時点で確認した限り、2018年冬アニメの「宇宙よりも遠い場所」あたりからが境目になっていたようだ。略して「よりもい」などと呼ばれる作品だが、これより過去の作品で、Prime Videoで配信されていないものが、Amazon dビデオに入っているようだ。

・キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series
・少女終末旅行
・このはな綺譚
・NEW GAME!!
・ガヴリールドロップアウト

 確認した限り、上記あたりがAmazon dビデオに入っていた。既存のPrime Videoは「えっ、これが入っていないの? 」というアニメが切り捨てられていると感じることもあるが、ちょっとでも懐かしいアニメを観たいと思ったらAmazon dアニメを利用した方が良さそうだ。

 ちなみに、個人的に懐かしいと思ったところでは、今までAmazonに入っていなかったと思われる「ヨスガノソラ」と「School Days」がAmazon dアニメに入っていて、今回も特に表現などに変更なども入っていなかったのが良かった点であった。ナイスボート。

 もう一つ良かったのは、従来のdアニメでは画面右下にドコモのウォーターマークが入っているのが気になっていたが、Amazon dアニメには入っていなかったことだ。

 そのほか、既存のdアニメと共通している非常に良い機能もある。そのひとつが検索性の良さだ。

 dアニメはタイトルの略や主要キャラ、声優でもヒットする強力な検索が魅力だが、この検索機能はAmazon版でも採用されているようだ。

 前述した「よりもい」と入れると、Amazon dアニメでも「宇宙よりも遠い場所」がヒット。登場人物の名前での検索も可能で、たとえば、「ヘスティア」で検索すると主要登場人物の一人がその名前である「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」が候補としてヒットした。

 今回チェックした結論としては、新作の多くをすぐに観たい場合は、既存のdアニメが良さそうだ。一方の新しいAmazon dアニメは、これまでのPrime Videoサービスと同じアプリ内で使えるのが利点。執筆時点ではdアニメで配信されていなかった「ガールズ&パンツァー」(2012年の第1期)がPrime Videoだと配信されているというケースもある。既にプライム会員であれば、Prime Videoで新作などをチェックしつつ、Amazon dアニメで、少し前の作品もたっぷり楽しむという使い方が良いだろう。

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大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net(イラスト : 高橋哲史)