ミニレビュー

PICO 4でワールドカップ決勝を見よ! “スタジアムの貴賓席”で見る感動

PICO 4

VRデバイスの「PICO 4」で、「FIFAワールドカップカタール2022」(以下W杯)の準決勝・決勝が見られる。ABEMAとPICOが協力し、VRでの配信を行なっているからだ。

12月14日早朝に行なわれたアルゼンチン対クロアチア戦を視聴したので、そのショートレポートをお届けする。見逃し配信もあるし、19日の決勝にも間に合うので、デバイスをお持ちの方、もしくはそうでない方も、チェックしてみてほしい。

スタジアムの貴賓席からW杯を見る感動

PICO 4はByteDance傘下のPICOが販売するVRデバイス。発売直後にレビューも掲載している。なお、レビュー時には日本のAmazon Prime Videoが視聴できないという問題があったが、その後のアップデートで解消している。

Metaより安くて高性能、「PICO 4」の価値をチェックする

PICOは自社でも映像配信プラットフォームを持っているが、そこから連携する形で、ABEMAと連携しての「W杯配信」アプリが提供されている。このアプリから、準決勝と決勝の試合が視聴できるのだ。

「PICO VIDEO」の中からABEMAのW杯配信アプリをダウンロードできる
(C)AbemaTV, Inc.

なお、アプリ上では著作権保護が施されており、画像や動画キャプチャの機能は使えない。ここでは報道目的として、スマートフォンのカメラを使って本体のレンズを接写したものを参考に掲載する。その点ご容赦いただきたい。(編集部注:試合の映像部分にはボカシをいれています)

アプリを起動すると、まずはシアターが現れる。これはPICO VIDEOの通常の画面に近い。そこから試合の再生を始めると、風景が一変する。

足元をよく見ると、クッションのあるシアターであるのがわかる
(C)AbemaTV, Inc.

視界にはいきなり「スタジアムの貴賓席」が現れる。ピッチ全体が見渡せる場所にソファがあり、そこに座って試合を観戦している感じだ。これは面白い。

視聴中の風景。スタジアムとピッチ全体を、グレードの高い席から見下ろすような視点だ
(C)AbemaTV, Inc.

中央に表示されているのは、視界180度を再現した映像。3Dではないし、解像度もそれなりだがちゃんと選手の様子はわかる。

なにより、スタジアムで見ている雰囲気が非常にいい。観客が盛り上がる様が体感できて一体感がある。

左右には中継画面があり、中継が常に映っている。そして、なにか大きな変化があると、ゴールサイドに視点が移動して表示されたり、中央にその映像が流れるようにもなっている。ゴールサイドに視点が移った時には、自分の見ている方向に合わせて視界も変わる。

まさに、一般的な配信での中継の良さと、スタジアム体験の良さを組み合わせたような形だ。

(C)AbemaTV, Inc.
左右には中継画面が
(C)AbemaTV, Inc.
ゴール前での攻防になると、ゴールネット横からの中継に。もちろん自分が向いている方向が見える
(C)AbemaTV, Inc.
中央に中継画面が大写しになることも
(C)AbemaTV, Inc.

相当に手のかかった仕組みだが、それだけの価値はある。告白すれば、筆者は途中まで普通の配信を見ていて途中で「あ、PICOでやってるのか!」と気づき、切り替えた。掲載している写真は、試合終了後に改めて作ったものである。

試合全体を見るとすると、最大の敵はバッテリーだ。USB-Cのケーブルで電源にPICO 4をつなぎっぱなしで観戦するのをお勧めする。

ちなみに、後ろを向くとこんな感じ。ちゃんと部屋全体が作り込まれている
(C)AbemaTV, Inc.

4年前の「VRサッカー視聴」と比較

実は4年前の2018年、筆者はOculus Questで同じくサッカーの「インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)」を視聴している。詳しくは以下をお読みいただきたい。

VRでサッカー」を堪能する

その時は「NextVR」というプラットフォームを使っていたのだが、今回のような「スタジアム俯瞰型」ではなく、「ピッチサイドかぶりつき」のような感じだった。解像感や体験の変化から、進化が強く感じられる。

Oculus Questで「インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)」を視聴したところ

2018年に視聴したNextVRでの試合中継。ゴール脇やピッチサイドから試合を見る感じ。解像度などが今とはかなり違う

なお余談ながら、前出の「NextVR」は、2020年5月、アップルに買収されている。さて、彼らは今、なにをやっているのだろう……?

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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