ミニレビュー

インナーイヤーで平面駆動「結」聴いてみた。2月11日中野で試聴会

平面駆動型ドライバーを搭載したインナーイヤー型イヤフォン「結(ゆい/IA-PL1-YUI)」

キャンプファイヤーで先行予約販売を実施している、平面駆動型ドライバーを搭載したインナーイヤー型イヤフォン「結(ゆい/IA-PL1-YUI)」。その試聴会が、2月11日中野サンプラザで開催する「ノムケンLab! #オトモノイヤホン試聴会」で開催される事になった。なお、別イベントとなるが、同日同じビル内で「冬のヘッドフォン祭mini2023」も開催される。

結は、オーディオ評論家の野村ケンジ氏と、ユーザーと一緒に音にこだわったものづくりに挑戦していくコミュニティ「#オトモノ」を運営するベタベタが手掛けたイヤフォン。

カナル型のイヤフォンが苦手な人のために、インナーイヤー型で、平面駆動型のドライバーを搭載しているのが特徴。繊細な描写が可能だが、作るのが難しく高価なドライバーでもあるが、平面駆動型ドライバーを生産している中国工場の協力により、「インナーイヤー型というニッチな形状のイヤホンでも100個から生産が可能になった」という。

こちらはプロトタイプ結
平面駆動型のドライバーが見えている

一般販売予定価格は21,780円で、クラファン特別価格が20,900円。クラウドファンディングでは、ケーブルが2種類(シルバー/ブラック)から選べる。また、聴き比べケーブル2本入りセットなども用意する。

なお、目標としていた100個の販売は既に達成しているため、イベントは試聴だけでなく、「新たな目標(ストレッチゴール)や新規プロジェクトを発表できる機会」にもなる予定だという。開発中のイヤフォンを試聴しての意見も募集する。イベントは当日13時頃からの予定。

会場では開発中の「Initial A 月 -moon-」というイヤフォンも披露。平面駆動ドライバーとBAを搭載したハイブリッド型で、チタンのハウジングと月のような丸い筐体を採用している。

他にも、ゲーミングイヤフォンや開発中のプロトタイプ、NY発のオーディオブランドADV.の予定販売価格20万円のイヤフォン「Turbo」など新商品も試聴機として用意する。

結(ゆい/IA-PL1-YUI)を聴いてみた

短時間ではあるが、結を聴いてみた。

今では懐かしい感じのするインナーイヤー型だが、ひょっとするとカナル型以外のイヤフォンを使ったことが無いという世代の人もいるかもしれない。カナル型と比べると密閉度では劣るが、逆に閉塞感が少なく、開放的な気分で音楽が楽しめるのが特徴だ。

その開放的な環境で、平面駆動型ドライバーの高精細なサウンドがダイレクトに耳に届く。女性ボーカルの口の開閉や、ギターの弦の細かな動きなど、微細な信号が、目が覚めるほどシャープに切り込んでくる。平面駆動型らしい、ゾクゾクするほどの解像感がたっぷり楽しめるイヤフォンだ。

音の響きや余韻が頭の中に収まらず、外の空間へと抜けていく感覚であるため、まるで開放型のヘッドフォンを聴いているような感覚だ。

平面駆動型ドライバーだけでは、低域が不足するのではと思われるかもしれないが、口径も大きいため、イヤフォンをしっかり装着すれば、必要十分な中低域も楽しめる。もちろんカナル型と比べると、ズシンと沈んだり、圧倒されるようなパワフルな低域は出ない。ただ、全体として高域だけのスカスカした音ではなく、“やや高域重視の高解像度サウンド”と呼べるバランスは実現している。

なお、ケーブルはシルバー(銅線にシルバーコーティング)と、ブラック(銅線)の2種類がある。ブラックの方が、全体的に音がまろやかになり、聴きやすいサウンドになる。対してシルバーケーブルは平面駆動型のカリカリシャープな描写を、最大限に引き出すようなサウンドになる。このあたりは好みの問題だが、平面駆動型の魅力をとことん味わう結のようなイヤフォンであれば、その特徴を存分に出せるシルバーの方が魅力的に感じた。

山崎健太郎