ミニレビュー
「タッチでジョグダイヤル」が快適!iPad版 Final Cut Proを体験
2023年5月24日 02:00
アップルは5月24日から、動画編集アプリ「Final Cut Pro for iPad」と音楽制作アプリ「Logic Pro for iPad」を配信する。月額700円もしくは年額7,000円。
ビデオ編集や音楽制作というと、PC/Macでやるのが通常。そこでiPadを使う理由はなんなのか、気になる人もいそうだ。
ひと足さきに試させていただいたが、ことFinal Cut Proについて言えば「タッチでの編集作業」自体の面白さ・楽しさがポイントだと感じた。
どんなところが面白いのか、少しお伝えしてみたい。
ジョグダイヤルで快適編集
iPadの特徴はやはり「タッチ」だ。
ただ、タッチで操作することは常に快適、という話ではない。多くのクリエイター向けツールがPCで使われているのは、「キーボードショートカット」という快適な機能が存在するからだ。
じゃあ、iPad版のFinal Cut Proはどう快適で楽しいツールになっているのか?
いろんな見方はあると思うが、筆者が「いいなあ」と思ったのが「ジョグダイヤル」だ。
iPad版ではタッチパネル上にUIが表示され、再生コントロール用のコントローラーとして使える。タッチしてクルクルすれば、動画をフレーム単位で編集できる。
使った経験がある人はお分かりだと思うが、ジョグダイヤルでの編集はとても楽しい。
ちょっと指先で弾くだけで早送り・早戻しがビュンビュン行なえるし、一方でゆっくり動かすと、1フレーム単位で見比べて編集点を探せる。どんな「ビュンビュン感」なのかは動画でみていただければと思う。
以下の動画は、ジョグダイヤルの操作を撮影したものだ。マルチカム撮影の編集も、タッチ+ジョグで簡単に行なえる。もちろんこの動画の編集もFinal Cut Pro for iPadで行なったもの。撮影中のマルチカム編集に数分、この動画自体の編集にも10分ほどしかかかっていない。
効率の良さも重要だが「使って楽しい」も重要
特に快適なのが、Magic Keyboardとセットで使った時だ。画面がいい感じに傾けられて、必要であればキーボード・ショートカットを併用して効率的に編集できる。右手でショートカットを使い、左手ではタッチ+ジョグダイヤル……という感じで編集できる。
もちろん、iPad版のFinal Cut Proはかなり高度な編集アプリだ。タッチでのシンプルな操作だけがウリではない。
しかし、ツールは機能だけで生まれるわけではない。やはり「使っているのが楽しい」ツールであることが望ましい。iPad版の動画編集ツールは、PC向けのものをタッチしたレプリカであることが多いのだが、Final Cut ProのiPad版は、Mac版のレプリカでありつつ、ジョグダイヤルやApple Pencil対応などの付加価値をつけて「楽しい・面白い」ツールになっている。
タブレットが広がるには、やっぱりクリエイティブなツールが必要だ。では、良いタブレット用のツールとはなにか? それは、効率の良さはもちろんだが、「タッチで使うことが楽しい」という部分も必要なのではないか。
アップルがiPad版で工夫したのは、そういうところなのだろうと思うのだ。