レビュー
「Google Pixel 6a」上位機と同じ文字起こしと動画手ブレ補正がすごい
2022年7月27日 08:30
Googleのスマートフォン「Google Pixel 6a」の予約受付が開始した。Pixelのナンバリングにaが付くシリーズといえば、価格を抑えながらも上位機種さながらの機能を備えたコスパの良いシリーズだ。Pixel 6aの価格はGoogleストアで53,900円となっている。実機に触れたのでファーストインプレッションをお届けする。
筆者は長らくiPhoneを使用していて、サブ端末にAndroidが欲しくなってきたところで、Pixel 6シリーズで搭載された「文字起こし」を行なうアプリを見て「Pixel 6いいな、でもサブ機にするには高いな……」と購入をためらっていた。そんな中、5月にPixel 6aが発表され、「文字起こし機能付きレコーダーが使えて安いなら買いじゃん!」とまさに理想の端末が現われた。
そんなわけで、実際に手にした感覚や、オーディオ面の使い勝手、気になるレコーダー機能と動画性能、新機能のカモフラージュモードをメインにチェックしてみた。
その前にまず特徴を整理しよう。上位モデルにあたる「Pixel 6/6 Pro」は、独自プロセッサー「Google Tensor」を活かした機能……撮影後の写真から対象物を消せる「消しゴムマジック」やリアルタイム翻訳機能、より精度の上がった書き起こし機能付きレコーダーなどが目玉だった。
今回Googleは、前機種Pixel 5aまでの”安いモデルでも上位機種と同等のカメラ性能を持たせる”というコンセプトを変更。新モデルのPixel 6aでは、上位機種と同じ「Google Tensor」を搭載することで、”上位機種と同じ機能を同じ使用感で使え、同等のセキュリティも備える”仕様へとシフトさせた。
では、どのような部分で低価格化を実現したかというと、メインの広角カメラのセンサーを小型化(画素数:12.2メガピクセル)、前面背面カバーガラスの素材の変更、スムーズディスプレイ非搭載(最大60Hz)、ワイヤレス充電の非対応など、いくつかの性能・機能を抑制。メモリ容量もPixel 6よりも少ない6GBとし、ストレージ容量も128GBのみとした。
とはいえ、超広角カメラはPixel 6/6 Proと同じ12メガピクセルであることや、超広角と広角で撮影したときの差が感じにくくするなどの工夫も施されており、SNSに投稿する分にはとくに問題なく綺麗に撮れる。動画は最大4K/60fpsで撮影できるし、動画用の手ブレ補正も標準、固定、アクション、シネマティック撮影が使える。
しかも、この手ブレ補正も強力だ。とくにアクションが使いやすく、フルHD撮影に固定されて少し画角も狭くなってしまうが、手持ちで歩きながら撮影しているとは思えないくらいブレずに撮れる。某ライブの撮影可能なシーンでも撮影に使ってみたところ、飛び跳ねながら撮影していたため、撮れたものを期待せずに確認したのだが、若干乱れるシーンはあるものの、ほとんどブレずに被写体を捉え続けていたのは本当に驚いた。
いつでもポンと置いておけば勝手に充電されているワイヤレス充電器が使えないのは、若干不便だなとは思うが、Google Tensorの独自機能がこの価格帯でも使えるという利点を考えると仕方ないところなのだろう。
さて気になる大きさなのだが、実際に実機に触れてまず思ったことが「デカい」。というのも、筆者のメインスマホはiPhone 12 mini。iPhoneの巨大化に悩まされた後の救世主“mini”が発表されたときに「性能なんか知らん、コンパクトこそ正義」と飛びついたタイプの人間なので、そういう思考であることだけ念頭に置いていただければと思う。
Pixel 6よりも縦5.6mm、横3mm小さい152.2×71.8mm(縦×横)で、シリーズ内では一番小さいサイズではあるのだが、現行のiPhone 13/13 Proが146.7×71.5mm(同)と筆者が「使うにはちょっと大きいんだよな」と感じているサイズよりもさらに少し大きい。ちなみに筆者の使っているiPhone 12 miniは現行の13 miniと同サイズで131.5×64.2mm(同)だ。
手に取るとギリギリ片手には収まるものの、片手で操作を完結させるのは難しいサイズ感。試しに「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」をダウンロードして慣れている楽曲を遊んでみたところ、筆者は端末を持って親指2本を使う“親指打ち”なのだが、3曲目辺りで親指の付け根をつって限界を感じた。だが、端末を置いて人差し指2本を使う方法で試してみたところ、あまり得意ではない方法なのだが、画面が大きいと思いのほかプレイしやすいという気づきを得られた。
専用カバーも用意されている。Googleストアでの価格は3,630円。材質はリサイクル ポリカーボネート、熱可塑性エラストマーとなっており、触り心地はサラサラとしているが、程よい硬さで握った時のグリップ感も良く、本体が大きい際に心配な、スマホが手から滑り落ちることはある程度防げそうだ。ボディだけの状態では出っ張っていて少し不安なカメラバー部もしっかり保護される。ケース自体は硬めな印象だが、ボタンは押しやすくなっている。
オーディオ面では、まずPixel 6/6 Pro同様に3.5mmジャックは非搭載で、有線イヤフォンを使うにはUSB-Cの変換ケーブルや小型DACが必要だ。Bluetoothはバージョン5.2で、SBC、AAC、aptXに加えて、aptX HDとLDACにも対応するので、ワイヤレスでハイレゾ相当の音質で楽しめる。
Android機がサブで欲しいと思っていた理由はここにもある。筆者はiPhone 12 miniとソニー WF-1000XM4の組み合わせで使っているのだが、いくら最近の完全ワイヤレスイヤフォンがAAC接続で高音質化していても、やはりLDAC接続と比較すると大きく違う。
例えば、WF-1000XM4のノイズキャンセルを効かせた状態で電車に乗っていると、AAC接続ではトンネルを通った時や隣に電車が通った時などに聞える微かな低音が、ハスキーボイスな推しの歌声と被って聴こえにくくなることが多いのだ。一方でLDAC接続だとそもそも曲全体の分離感がマシマシで歌声がしっかり聴こえるようになっており、同環境でもしっかり聴き取れる。「電車に乗ること」自体がストレスフルな筆者にとって、この違いは精神衛生の観点で非常に大きい。
LDACの接続性もBluetooth 4.xの頃はスマホなどのデバイス側を胸ポケットに入れておかないと、人が多い場所では途切れることが多かったが、Pixel 6aとWF-1000XM4はともにBluetooth 5.2であることもあって、Pixel 6aをズボンのポケットに入れた状態で東京駅や新宿駅歩いても途切れることなく快適に聴けた。
便利な「文字起こし機能付きレコーダー」もそのまま使える
さて、気になっていた「文字起こし機能付きレコーダー」に触れていこう。こちらはプリインストールされている「レコーダー」アプリに備わっている。録音ボタンを押すと、「文字起こし」のメニューが表示されるので、タップすればリアルタイムで文字起こしをしている様子が見られる。録音中に文字起こしのメニューに触れなくても、書き起こしは行なわれているので、後から確認できる。
試しに先ほどのプロセカのくだりの1段落を読み上げて書き起こしてみたものがこちら。
手に取るとギリギリ。片手には収まるものの片手で操作を完結させるのは難しい。サイズ感。試しにプロジェクト。世界カラフルステージ、フューチャリング初音ミクをダウンロードして慣れている楽曲を遊んでみたところ、筆者は端末を持って親指2本を使う。
親指ちなのだが、3曲目あたりで親指の付け根を吊って限界を感じ。ただが、端末を置いて忙しい指2本を使う方法で試してみたところ、あまり得意ではない方法なのだが、画面 が大きいと思いの他やりやすいという気づきを得られた
精度については、以前見せてもらったことがあるPixel 6 Proでの文字起こしと同程度のように思える。取材先の発表会などでスピーカーを通した声の場合はもう少し精度が下がってしまうので、完全に頼り切るわけにはいかないが、普段通り自分でメモを取っていれば照らし合わせて確認しやすくなる。
Pixel 6 Proの文字起こし機能の能力についてはこちらの記事でも紹介しているが、こちらは句読点を詰めて読みやすくしているそうだ。
Google Pixel 6 Proの文字起こし機能だけで記事を書いてみた
日本語の文字起こしに対応しているだけでも、記者という仕事柄嬉しいところなのだが、録音した音声も同時に確認できたり、書き起こされた文章をタップするとそこから音声を再生できたりと、録音の確認という面でもかなり使いやすい。
レコーダーアプリの設定から「バックアップと同期」をオンにしておけば、Pixel 6aでの録音と書き起こされた文章をクラウド経由でPCに表示できるところも便利だ。Pixelと同じアカウントでChromeにログインして「recorder.google.com」を見ると確認できる。ここからそのままコピペできるのも助かる。
アプリの共有ボタンからテキストファイル変換して誰かに送ったり、別のアカウントのドライブに保存したりもできる。この機能が5万円代のスマホで、しかも継続的に月額などでサービス料を払い続けたりしなくても使えるというのは驚きだ。
新機能「カモフラージュモード」
写真の撮影後に不要な映り込みを消す「消しゴムマジック」に、消すのではなく、対象物の色を変えて背景に馴染ませる「カモフラージュモード」という新機能が登場した。写真を撮影した後にGoogleフォトから使える。
実機とともに送られてきたカメレオンの模型とキットを使って試してみる。緑色なのが元の写真なのだが、カモフラージュモードを起動して指で囲むと、模型全体が検出されて赤くなった。背景の赤い部分の影響だろうが、背景よりも若干黄色/オレンジ寄りの赤になっているほか、模型の質感もそのままになっているのが凄いところだ。
同じ位置から超広角側のレンズ撮った写真も使ってみた。すると、次は模型全体が黄色に変化。写真全体を認識して色を設定しているようだ。先ほどの写真よりも、黄色の範囲が増えたほか、緑の要素の影響もありそう。
カメレオンの模型よりも複雑な色をした模型も用意して色を変えてみたが、1枚目が元の写真で、2枚目がカモフラージュモード適用後だ。まるでメタリック調のカラバリのようになった。ちなみにこれは1個ずつ囲んで変換をかけている。
次にレビューキットの砂漠の背景でも試してみると、カメレオンの全身は茶色系に変化して馴染んでいる。なお、この砂漠の凹凸のような模様がある場合、従来の消しゴムマジックを使うとその1箇所だけ違う模様になってしまい、違和感が出てきてしまう。カモフラージュモードは、こういった消しゴムマジックでは捌ききれないシーンも補った使い方ができそうだ。
手元にある敷物でも試してみた。カメレオンの模型は上手く同系色に溶け込んでいて面白い。若干後ろ足に緑色の部分が残っていたり、カメレオンの影になる部分も一緒にカメレオンの色と同じになっていたりなどするが、引きでみるとほとんど気にならない。
一番くじでランダムの中、奇跡的に3個中3個揃って出たノエル団長のちょこのっこフィギュアを並べて両側にカモフラージュモードを適用させてみた。すると、影の割合などの関係か、左右で若干違う色に。左側が若干赤っぽく、周囲の糸もまとめて同じ色になってしまっているので、引きでも若干気になるが、こういったちょっと意地悪な構図にしない限りはその性能を発揮してくれそうだ。