レビュー

プラズマ買って14年後、4K有機ELテレビに買い替えたら浦島太郎になった

ソニーのブラビア48型「XRJ-48A90K」を購入した

さかのぼること2009年。当時の液晶テレビの画質に納得できなかった私は、パナソニックのプラズマテレビ「TH-P42G1」を購入。それから現在に至るまで、まさか14年にも渡ってこのフルHDプラズマテレビを使い続けるとは夢にも思っていなかったが、そんな我が家にもついに4Kテレビがやってきた。選んだのは液晶ではなく、有機EL。ソニーのブラビア48型「XRJ-48A90K」だ。

2009年に買ったパナソニックのプラズマテレビ「TH-P42G1」。ベゼルの太さに時代を感じる

XRJ-48A90Kは、2022年発売の4K有機ELテレビで「A9S」の後継モデルに当たる。42インチと48インチの2ラインナップで、A90Kは主にパーソナルユースを想定したシリーズだ。昔の感覚だと、42インチや48インチで個人視聴向けとは恐れ入る……というのも、4Kテレビは解像度がフルHDの4倍あるため、視聴者が画面に近付いても画素の粗さが気になりにくく、目の前が画面いっぱいになっても違和感が少ない。大きいテレビを買わせるためのセールストークのように思えるかもしれない。でも、案外、その通りだったりするから4Kは侮れない。

2022年発売のブラビア有機ELには、他にもA95KとA80Kのシリーズがある。A95Kは量子ドット有機EL(QD-OLED)を搭載した色が鮮やかなフラッグシップモデル。A80Kは、A90Kと機能面は似ているが、画面を振動させて音を出す「Acoustic Surface Audio+」が2.1ch構成から3.1ch構成へ強化されている。

A90Kも含めた全てのモデルに、自慢の認知特性プロセッサー「XR」を搭載。同じXRでも常に進化を遂げているらしく、2022年モデルは奥行き表現などが向上しているらしい。なお、A80Kは、先月から今月に掛けて、A80Lにモデルチェンジした。

A90Kシリーズは、今年の2月1日に原材料費、製造/物流コストなどの高騰に伴って値上げされ、平均で14%ほどの価格アップとなった。実際の店頭売価はもっと上がったような気もする。

プラズマテレビを買った理由

そもそもの話、価格が手頃な液晶テレビではなく、どうして有機ELテレビを選んだのか。ここは、少し時代を遡って語りたいエピソードがある。筆者は、元々薄型テレビを導入するのが遅かったタイプの人間だ。“薄型テレビ”というのも、もはや死語かもしれない。平面ブラウン管が一般的だった時代から、液晶やプラズマテレビに移り変わる時期、それらは薄型テレビと呼ばれPRされていたのだ。

筆者は、2009年まで21型の平面ブラウン管「WEGA」を意地になって使い続けるくらい、液晶テレビの画質について懐疑的だった。どのくらい意地を張っていたかというと、地上デジタル放送が始まってDVDレコーダーに録画し始めても、D1端子(480i)からテレビに接続して見ていたくらいだ。

D1映像について詳しく説明はしないが、映像を高画質にアナログ伝送する規格のひとつだった。PS3がHDMI対応になっても、D1映像出力対応のAVマルチケーブルを使ってテレビに接続していた。しかも、21型のWEGAにD1ポートは1個しかないので、いちいちテレビの裏に手を伸ばして差し替えた。

我ながら意固地だったと思うが、そんな筆者もPS3の「戦場のヴァルキュリア」(2008年発売)で白旗を揚げた。メニュー画面の文字が小さすぎて読めないのだ。嘘みたいなホントの話である。

当時、薄型テレビが家庭に広く普及し始め、ハーフHD(720p)やフルHD(1080p)のテレビがひしめき合っていた時代。筆者はやむなく薄型テレビを購入することにした。ブラウン管信者だった自分にとって、当時の液晶はとても納得出来るレベルの画質ではなく、コントラストに優れるプラズマテレビが唯一の選択肢だった。そして、前述の通り2009年の9月にパナソニックのTH-P42G1を購入したのだ。

購入したばかりのパナソニックのプラズマ「TH-P42G1」。D1対応のAV機器がそろい踏み
(C) 東京マグニチュード8.0製作委員会

その後、2013年にプラズマテレビが販売終了、買い換えの見通しが立たず、途方に暮れた。その後、大型の有機ELテレビが登場し、その黒表現の素晴らしさに憧れながら「いつかは我が家にも」と思い続けてきた。出始めの当初は、たいへん高価で、だいたい40~50万円台だったと記憶している。まさに高嶺の花だった。

なぜ有機ELにしたのか

昔話はこのくらいにして、どうしてXRJ-48A90Kにしたのかを深掘りしていきたい。

ソニーのブラビア48型「XRJ-48A90K」

設置する場所は、いつも食事をするリビングだ。キッチンが併設されている15畳弱の空間。プラズマテレビを買ったときは、6畳間に42インチを設置しており、サイズは十分過ぎるほどだったが、今となっては小さくて物足りない。

かといって、両脇にスピーカーを置く場所を確保したいこともあって、最大でも55インチが限度と考えていた。48インチは、わずか幅4センチの拡大だけで、42インチからグレードアップできるのも魅力だった。今のテレビのベゼルの狭さには驚くばかりで、前面はほぼ全て画面だ。14年間、テレビを買い換えなかった筆者は、まるで浦島太郎である。

ベゼルの狭さに驚く

サイズを抑えたのは価格以外にも理由がある。筆者はあまり自宅でテレビを見ない。オンエアのつけっぱなしは一切しないし、1日の視聴時間が1時間程度の日も珍しくない。レコーダーに録画した深夜アニメやドキュメンタリーを、iPhoneに転送して移動中に見るのがメインである。

さらに言えば、防音スタジオにソニーのレーザー4Kプロジェクター「VPL-XW5000」が設置してあるので、映画やゲームはそちらで見るようにしているからだ。なお、Blu-rayプレーヤーは、ソニーの「UBP-X800M2」を設置している。

最後までソニーのXRJ-48A90Kと他社の有機ELテレビで迷った。価格がグッと安くなる同じ48インチの有機EL(国内ブランド)と比較して、XRJ-48A90Kにそれだけの投資価値があるかを検討した。

比較の仕方はこうだ。家電量販店で比較対象のテレビに同じ映像が映されているとしよう。店頭で表示している画質モードはインパクト重視の「ダイナミック」などが選ばれていることが多い。これだと正確な映像とは離れてしまうので、手っ取り早く「シネマ」モードで比較するのが分かりやすい。明るさが落ちついて、色味の表現も刺激が抑えられる。動きをスムーズにする機能も無効にすれば、よりクリエイターの意図に近い画質になる。

何度も見比べて、映像がより自然で違和感の少ない機種を選んだ結果、ソニーになった。人間の肌の質感や、衣類のテクスチャー表現がとても自然で繊細だったのが印象的だった。この自然な映像のためなら、購入価格の32万円も惜しくないと今でも思っている。

ついに自宅に4K有機ELテレビが

自宅に届いたXRJ-48A90K

自宅に届いたXRJ-48A90Kは、その薄くてスマートなルックスがとてもカッコいい。何よりベゼルが狭いので、テレビを置いていると言うより、画面を置いている感覚だ。LANケーブルとHDMIケーブル、アンテナ線を接続したら、電源コードをコンセントに繋いで準備完了。

プラズマと比べるとメチャクチャ薄い
裏側はケーブルを隠すパネル付でスマートに

筆者は、AVアンプのヤマハ「RX-V6A」をリビングで使用している。リアルタイムにテレビを視聴するときでも、基本的にテレビのチューナーは使わず、ソニーのBDレコーダー「BDZ-FBW2000」経由で視聴しているので、ARCやeARCは活用していない。

ただ、せっかくの新しいテレビなので、テレビ内蔵チューナーでも地上デジタル放送を視聴してみた。音もAVアンプは使わず、テレビ内蔵スピーカーを聴いてみる。テレビ側で音声出力を変更すると、AVアンプが自動でミュートになって、テレビの画面から音が聞こえるようになった。

背面に設置されたサブウーファーも相まって、薄型テレビとは思えないワイドな周波数レンジと、クリアな音声にノーストレスで番組を堪能できるではないか。アクチュエーターが画面を振動させて音を出すという、ソニー独自の音響技術によって、“薄型テレビの音は聞きにくい”という、古い概念を一瞬で取っ払ってくれた。

全体の音の大きさを変えず、人の声をよりクリアにし、音量を変えるというボイスズーム機能も使ってみた。これがなかなか秀逸で、「音声帯域をブーストして中域全体がファットになる」というありがちな効果ではなく、きちんとダイアログのみにフォーカスが当たり、ニュースの音声などが聞きやすくなった。効果は0を基準として、+にも-にも設定出来るので、人の声がうるさすぎる番組では逆に下げることも可能だ。

自動音場補正はとても手軽。AVアンプと違い、マイクを何カ所もずらして測定する必要がなく、リモコン内蔵のマイクを使って1回測るだけだ。胸の前でテレビに向けてリモコンを持ち、数秒間テスト信号を収音する。効果としては、周波数バランスが補正されて、一般家屋で吸音されがちな中音域がしっかり聞こえるようになったり、ステレオイメージの不均衡が若干改善される印象だった。

付属のリモコン

有機ELの画質はどうか

細かく画質をチェックしていこう。画質設定は、筆者の好みに応じてカスタムした。基本は迷ったらシネマモードを選べばよいと思う。動きがスムーズになるモーションフロー、シネマドライブは好みに応じてON/OFFするとよい。

以下の視聴は、全て下記の設定で行なった。音はAVアンプの音を試聴している。

  • 省エネ設定は葉っぱ1つ(葉っぱ2つで最も省エネ効果が高まるが大幅に画面が暗くなる)・明るさセンサーはON、部屋のカーテンを閉めて照明は消灯。明るさは最大
  • トーンカーブ自動調整はON。黒伸張、自動コントラスト補正、ピーク輝度は、すべて弱
  • 色を鮮やかにするライブカラーは弱
  • ランダムノイズリダクション、デジタルノイズリダクション、スムースグラデーション、全て弱
  • 動きを滑らかにするモーションフロー、シネマドライブは切

といったように、設定項目は非常に多岐にわたり、しかも似たような設定が複数あって、ちょっと混乱した。色温度などさらに細かい設定を掘っていくこともできるので、画質に詳しい方にはたまらないだろう。

あまり詳しくないという場合は、シネマやスタンダード、ゲームなど、用途別にモードを選びつつ、オート画質モードもオンにしてテレビ任せにするのがいいと思う。省エネ設定は任意で変更すればいい。オリジナルに近い画調になるのはシネマだと感じた。家庭用テレビは、各社しのぎを削る主力製品だけあって、独自に設定しようとすると実に奥が深い。大衆家電にもかかわらず、こだわれる余白が設けられているのは、とても好感が持てた。

まず、テレビアニメで地上デジタルとBS4K放送を比較してみた。今期放送中の「女神のカフェテラス」。BS日テレ4Kの放送は、意外にも地上デジタルの4Kアップコンバートと同等の解像感だった。オープニングのスタッフクレジットのクッキリ感など、ほとんど判別が付かないほどまで拮抗している。

ソニーのBDレコーダーの2K→4K変換がハイクオリティであることの証だろう。地上デジタル放送は、解像度が1,440×1,080であり、テレビ側で左右を1,920に引き延ばして表示しているため、3,840×2,160のBS4Kとは情報量が異なる。ソースがテレビアニメということもあるだろうが、DVDの頃から定評があったソニーのアップコンバート技術の高さは4Kになっても健在といえる。

レコーダーのFBW2000側で、出力をBRAVIAモードに設定したことで、より最適化が図られていると推察できる。BS4K放送では、コントラストがおおむねHLGになっている。女神のカフェテラスもHLGで放送されていた。

元々がSDR制作と思われるので、HDR化(HLG化)によってやや白飛び気味に見えるのは残念だ。これはBDソフトをBDプレーヤーUBP-X800M2でHDR10に変換しても、同じようになるのでやむを得ないだろう。強制的にHDR化しても、元々がSDRだと不自然さは否めない。

音質面は、地上デジタルよりもBS 4Kの方が若干情報量は多い。ディテールが精密で、OPでは聞こえにくかったオケの打ち込みの音などが注意しなくても聞けた。

続いて、BS4Kのネイティブ4K放送をチェック。骨太の調査報道が評判の「報道1930」。HLGかつ、スタジオ映像や一部のロケ映像はネイティブ4K映像とあって、圧倒的な高精細映像に目を奪われる。HLGによるワイドダイナミックレンジは、画面に吸い込まれそうな臨場感だ。肉眼で見る明暗差に近いような自然な照明の明るさにテレビであることを忘れそうになる。

逆に海外から提供された映像などは、SDRや2K映像だったりするので、落差が激しくてちょっと面白かった。このクオリティの報道番組を無料で見られるなんて、今さらながら、なんて贅沢な時代なんだと感激してしまった。

同じくBS4Kで、世界中で猫を撮ったという「岩合光昭の世界ネコ歩き 4Kスペシャル 岡山」を視聴。HLGではなくSDR制作だが、瀬戸内海の夕暮れを写した4K映像は、ため息が出そうなほどに緻密で、岩肌や木々の細やかさは肉眼で見るような没入感だ。瀬戸内海の島々や橋が遠くの景色でも滲んでいない。空を飛ぶパラグライダーもクッキリと見える。ネコの体毛も一本一本が潰れずにディテール豊か。この映像が電波で飛んでくるなんて、正直、信じられない。これまでも4K放送は録画出来たが、2K変換で見ていたのでその魅力の半分も味わっていなかったと痛感した。

DVD Weiß kreuz「LAST LIVE 03 Tagesanbruch」

次に、映像ソフトをチェック。DVDからWeiß kreuz「LAST LIVE 03 Tagesanbruch」。高校生の頃からハマっていた声優ユニットで、2003年に無期限充電のためのラストライブが催された。会場は、東京国際フォーラムのホールA。まだワイド映像での収録が一般的ではなく、映像は4:3の画面比率だ。古い映像ソースはどうなるのか、気になって引っ張り出してみた。結果として、さすがにDVDは、解像感の粗さは否めない。特にステージ全体を映す引きの絵になったとき、ドットの粗さが目立つ。480iから4Kへのアップコンはどうしても無理矢理感が出てしまうようだ。

しかし、良くなった点もある。色味は、肉眼で見る発色に近いビビットさが加わった。黒の沈み込みも深い。元の情報が乏しいので、暗部の黒つぶれは仕方ないとしても、輝度ピークの向上も相まって、ライブ会場のリアリティは筆者がブラウン管で見ていた頃より若干ながら向上していたと思う。

BDやUHD BDも片っ端から再生した

続いて、BDソフトで懐かしい映像ソースを。「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」。クレしん30周年を記念して、これまでBlu-ray化されていなかったタイトルがここ数カ月連続でリリースされている。オトナ帝国も4月に発売されたばかり。監督は、「かがみの孤城」で昨今注目を集めている原恵一氏だ。

古いアニメ映画も、違和感なく4K化していて安心して見られる。Blu-rayになったことでDVDに比べて、フィルムのノイズ感も高精細になった。XRプロセッサーの効果なのか、各オブジェクトが整理されて、自然に目に入ってくるのは感心した。建物の奥行きや、道路の前後の奥行き、車と背景、背景と人、そういった脳で分解して認知していくオブジェクトや背景が、あらかじめ映像に反映されているのだ。

20世紀博の建物の中に再現された昭和40年代の町並み。人間の目線の高さで描かれた商店街は、絵のパース通りに奥行きが感じられる。商店街を走るセルで描かれた車は、独立したオブジェクトとしてスッと頭が認識出来る。あくまで“強調する”というより、人間の脳の働きを“補助する”という適度さは特筆したい。2001年のアニメ映画なのに、きちんと違和感なく情報を判別し、適切な処理を施せることは驚嘆に値する。

そもそも「絵」なのに、どうやって動いているセルと背景を判別しているのか、また背景に奥行きがあることをなぜ判別出来るのか、AIの進歩には驚くばかりだ。

最後に、BDとUHD BDも比較してみた。

「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」。正直、BDでもまったく悪くない。プロジェクターで見ていたより4K化の粗さは気にならない。むしろ、有機ELの方が画質はいいかもしれない。スクリーン80インチとテレビ48インチでは、4K化の自然さは与える印象も異なるのでフェアではないのは承知の上だ。UHD BDに変更して4K/HDRで見ると、まるで写真が動いているかのよう。髪の毛、草木、肌の質感まで近付いてマジマジと見たくなる。つぶれがない。滲みがない。

チェックしたのは、ブルーの親子が狐と兎を狩るシーンから、イナゴの大群がウエストテキサスの農場で飛び上がるシーンまで。雪原の輝度ピークの表現から、夜のたき火のコントラスト表現、イナゴの大群の密度感や緻密さを表現できるかが試される。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者。上からBD、UHD BD
TM & (C) 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc.

HDR10は、実に自然な明暗差を味わえた。雪景色は、白飛びとは無縁で、太陽光に照らされた白のピークも無理のない表現だ。夜間、たき火のシーンは、炎の揺らぎの照り返しが、とてもリアル。BD版では照明っぽいと言うか、作り物っぽかった。同じ画面の中に暗いところと、明るいところが同居して、それぞれが自然に共存している。肉眼では当たり前のことが、HDRでは再現できているのだと気付いてグッとくる。これは本来の画質、Dolby Visionでも見たくなった。

発売されたばかりの映画「ゆるキャン△」も観た。

UHD BDを視聴しても、BDに比べて劇的に高精細になることはないのだが、映画のタイトルやロゴなど、合成された文字情報や画像などは抜群にクッキリする。となると、アニメーションそのものは2K制作で、UHD版制作に合わせて4K化しているのかもしれない。

色味は豊かで、適度にビビットに変化している。特に背景美術の色味が正確に再現されているのは見物だ。BDだと大味な感じ。作り手の意図を本来の画質で見られるのは大きい。大画面のシアターでもぜひ見てみてほしい仕上がりだ。筆者もまだ防音シアターでXW5000を使って視聴出来ていない。早く観たくてうずうずする。

HDRはレコーダーのFBW2000が対応しないためDolby VisionではなくHDR10で見たが、これはすごい! OPアバンの夜キャンプのシーンで、最初の花火が上がる瞬間。夏祭りで誰もが感じる、「あ、花火だ!」って人間が感動するときの炸裂の瞬間。あのピーク輝度がそのまま画面に現れた感覚があった。刺激が強いので目が慣れるのか、それを見越した調整なのか分からないが、2回目以降はマイルドだったものの、この臨場感は一見の価値あり。

ランタンの明かりと、付近の車や岩場の暗さのコントラストもリアリティが高まって、映画の世界に没入させてくれる。撮影や効果で何かしらDolby Vision向けにエフェクトを足しているかもしれない。添付の資料によると、HDR仕様のカラーグレーディングを改めて実施したとのことだ。

映画「ゆるキャン△」。上からBD、UHD BD
(C)あfろ・芳文社/野外活動委員会

ということで、長らく元ブラウン管信者兼プラズマテレビ信奉者だった筆者も、やっと次を託せるテレビを見つけることが出来た。長年憧れた有機ELテレビは、液晶に比べればまだまだ割高なものの、現実的な価格のラインナップも増えてきている。当たり前のように放送されている4K/HLGの番組のありがたみを骨身に染みて実感し、UHD BDの素晴らしさも再確認できた。

PS5のVRR(可変リフレッシュレート)チェックや、UBP-X800M2を使ったDolby Visionチェックなど、まだまだワクワクする活用の幅もあって、しばらくはリビングのテレビに貼り付く日々が続きそうだ。

橋爪 徹

オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。Webラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。Beagle Kick公式サイト