西川善司の大画面☆マニア

254回

“1台3役”のマルチ画面が便利! 32:9の超ウルトラワイドな5K49型ディスプレイ

没入感を求め、ついにアスペクト32:9へ。画面はどこまで横長になるのか

横幅1.2m! LGの超ウルトラワイドディスプレイ「49WL95C」

地デジ放送が普及してから、我々の周りにある画面のほとんどは“アスペクト比16:9”となった。ただ、今でも劇場公開される映画はアスペクト比2.35:1のシネマスコープタイプが主流だ。

人の顔には2つの目が横方向に並んでいることもあり、横方向の視界が広い。そのため、映像も横に広い方が没入感が得やすいとされる。ちなみに、人間の両眼視野角は水平方向約200度、垂直方向約120度といわれており、これをうけて最近ブームのVRゴーグルやヘッドマウントディスプレイ(HMD)も両眼視野角は横方向に長く設計されている。

この「没入感を高めよう」とする動きはPCディスプレイ製品にも波及し、2012年頃から各社が“横長アスペクト”の製品を投入するようになった。

最初に出てきた製品のアスペクト比は21:9。これは丁度シネマスコープのアスペクト比(2.35:1)とほぼ同値。このためメーカーが「パーソナルに映画コンテンツを楽しむのにも適している」と訴求することもあった。

アスペクト比21:9のPCディスプレイは、一定の人気を得ながら現在まで様々な製品が投入されてきたが、昨年、突然変異的なモデルが市場に投入される。それが“アスペクト比32:9”のPCディスプレイだ。

アメリカをはじめとした海外ではサムスン「C49HG90」(解像度は3,840×1,080ドット)などが人気を博したことで、それなりにマニア層には認知が進んでいるのだが、日本はと言うと、まだまだこれからといった感じでアスペクト比32:9のPCディスプレイの存在を知らない人は多い。

そんなわけで、今回の大画面☆マニアでは、日本でも最近やっと各社から出揃った感のある、超々横長PCディスプレイを取り上げることとしたい。

機種は、横長PCディスプレイの仕掛け人、LG「49WL95C」(店頭予想価格は17.5万円前後)だ。

製品概要チェック~27型×2画面分の超横長モデル。マルチ画面機能が便利

今回の評価は筆者宅で行なったのだが、評価機が筆者宅に届いたときには驚いた。とにかく梱包箱が長いのだ。まるでゴルフクラブセットでも入っているのではないか、というほどに長く、宅配便のお兄さんは、梱包箱を立てて筆者に受け渡してきた。たしかに、コレを横に置いて使う機械だとは少し想像し難いかもしれない(笑)。

画面サイズは49型。ディスプレイ部分の寸法は1,215×114×366mm(幅×奥行き×高さ)で、ちょうどアスペクト比16:9の27型を横に2枚、額縁無しでつなげたイメージだ。重量は12.6kgと結構重いが、一人で運べないほどではない。

正面からみたところ。27型×2画面分が一台に集約したような製品だ
背面。左側(画面から見れば右側の裏)にあるのがメニュー操作用スティック。中央下部に接続端子等が列ぶ。ここはカバーが取り付けられる

スタンドは公称スペックが無く、筆者の実測値となるが寸法は720×307×390mm(幅×奥行き×高さ)で、昨今の55型クラスのテレビスタンドよりでかい。スタンド部の重量は約2.6kg。スタンド部が大きいのは、横に長いディスプレイ部を安定的に立たせるための配慮なのだろう。ちなみに筆者宅には、前述したサムスン「C49HG90」があるが、このスタンドも同程度の大きさだ。

スタンド部
スタンド部とディスプレイ部の接合はワンタッチで行なえる

スタンドは高さ調整にも対応。調整幅は約11cm。最も高い位置で固定すると上辺が約54cm、低い位置に固定すると上辺が約43cmあたりに来る。チルト調整は上下-5度から+15度、左右スイーベルは±15度と、設置・調整自由度はそれなりにある。この横幅なので、ピボット(回転)させての縦画面設置にはさすがに対応しない。

左右にスイーベルさせた様子
上方向にチルトさせた様子

このスタンドはディスプレイ部からの脱着が可能で、汎用の100×100mmのVESAマウントで設置することもできる。

パネルは湾曲しており、その曲率は「3800R(半径3.8mの円弧)」だとされている。サムスンのC49HG90と見比べてみると、確かに49WL95Cの方が平面度が高い印象を受ける。

画面の湾曲率は3800R(半径3.8mの円弧)

額縁は上左右側が約13mm、下側が約18mmとなっている。まずまずの狭額縁デザインといったところ。

ステレオスピーカーを備え、出力は10W+10W。音質はなかなか良好で、一般的なテレビ製品並みといった印象。YouTubeを流したり、ゲームをカジュアルにプレイする分には不満ないレベルだ。

電源はACアダプタ経由ではなく、三芯の電源ケーブルを直に本体に差し込むタイプ。定格の消費電力は80W。このサイズのPCディスプレイとしては標準的な値である。ちなみに、27型のPCディスプレイ2台よりは消費電力はだいぶ小さい。

接続端子はHDMI入力端子が2系統、DisplayPortが1系統で、いずれもFreeSync機能等には対応しない。

USB-C端子はDP ALT(DisplayPort Alternate)モードに対応。実質的にDisplayPortとして活用することができる。ただし、その利用にはDP ALTに対応したPC、あるいはGPUが必要になる。ちなみにGeForce RTXシリーズに搭載されているUSB-C端子は利用可能だ。

接続端子パネル部。左端のUSB-CはDP ALTモードに対応

このUSB-C端子は85Wの電源供給(USB Power Delivery)に対応するだけでなくUSBアップストリーム端子も兼用。側面と背面側に2個ずつ、合計で4つのUSB3.0端子をUSBハブ的に利用する事もできる。この他、側面側には3.5mmのステレオミニジャックを備える。

画面の右側の側面にはUSB3.0端子とヘッドフォン端子がある

幾つかの接続テストを行なってみたところ、HDMI接続では本機が表示できる最大解像度5,120×1,440ピクセルの60Hzモードを映し出すことが出来なかった。どうやら、この解像度モードはDisplayPort経由での接続が必須のようである。

ただ、NVIDIAコントロールパネルの「カスタム解像度の作成」を利用して実験してみたところ、5,120×1,440ピクセルの50HzモードまではHDMI経由で伝送することができた。HDMI接続で「どうしても本機の最大解像度で映したい」という方は試してみる価値はある。

NVIDIAコントロールパネルの「カスタム解像度の作成」を利用して5,120×1,440ピクセルの50Hzモードを作成してみた。これで、HDMI接続状態での5,120×1,440ピクセル表示が利用できる

本機にリモコンは付属せず、電源スイッチや入力切換、設定メニューの操作までを、本体正面向かって右側面にあるスティック状のコントローラで行うことになる。操作感は丁度携帯ゲーム機のコントローラっぽい風情がある。

電源オンからHDMI入力の映像が表示されるまでの所要時間は約5秒で、平均的な速度といったところ。HDMI入力1と2間の入力切換の所要時間は1秒から2秒だ。時間に幅があるのは切り換え先の解像度によって切り換え速度が異なっていたことによるもの。

画調モードは「ピクチャーモード」という設定項目名で提供されており、HDR映像入力時と非HDR(=SDR)映像入力時とで項目数が変わってくる。

SDR時は「ユーザー設定」「あざやか」「HDR効果」「ブルーライト低減モード」「シネマ」「色覚調整」というモードで、「ユーザー設定」の初期値は「シネマ」と同じ。一方のHDR時は「ユーザー設定」「あざやか」「標準」「シネマ」という項目で、「ユーザー設定」の初期値は「標準」と同じだった。

本機は、映像パネルのアスペクト比が32:9という特殊なこともあり、用意されているアスペクトモードも独特だ。

用意されているのは「全画面」「オリジナル」「ジャストスキャン」「シネマ1」「シネマ2」の5種類。「全画面」は入力された映像を強制的に映像パネルに全域に表示するモードだ。「オリジナル」は“オリジナル解像度で”の意味ではなく、オリジナルアスペクトで本機の映像パネルに最大表示を行なうモード。通常はこれを常用することになるだろう。一方「ジャストスキャン」が“オリジナル解像度で”の表示になる。なので入力映像が本機の映像パネルの5,120×1,440ドットの解像度に満たない場合は画面内に小さく表示されることになる。「シネマ1」「シネマ2」はアスペクト比32:9の映像を若干拡大して表示するモードで「シネマ1」と「シネマ2」では拡大率が微妙に異なっているようだ。あまり常用する必要性は感じない。

アスペクトモード一覧。

少し残念なのは、BD映画などのシネマスコープサイズ映像を、画面内の“21:9アスペクト領域”に最大表示させるモードがないことだ。試しに「シネマ1」「シネマ2」を使ってみたが、映像が横太りしてしまい常用は厳しい。

そのため、本機で正しいアスペクト比で映画を見ようとすると、本機で表示出来る16:9相当の1画面分、すなわち27型相当の画面サイズでしか見られないことになる。以前評価した同じLGの「8WK95C-W」は、21:9コンテンツ用の表示モードを持っていただけに、この仕様は残念である。

3入力の映像信号を1画面に表示できる“マルチ画面”機能が便利!

さて、49WL95Cを語る上で無視のできない目玉機能が「マルチ画面表示」だ。“2画面”ではなく“マルチ画面”。つまり4系統ある映像入力のうち任意の3入力まで、同時表示が行なえるのだ。

マルチ画面表示機能

3画面モード(ピクチャー・バイ・ピクチャー:PBP)では、中央に配置したメイン画面を最大2,560×1,440ピクセルのディスプレイとして使え、左右に配置したサブ画面は1,280×1,440ピクセルの若干縦長のディスプレイとして使うことができる。PCと接続した場合は、EDID等も「2,560×1,440ピクセル」「1,280×1,440ピクセル」に切り替わってPCにフィードバックされるようで、別のディスプレイとして認識される。つまり、圧縮表示ではなく、リアル解像度表示で「2,560×1,440ピクセル」のメイン画面と「1,280×1,440ピクセル」のサブ画面の表示が出来る。これは便利だ。

マルチ画面機能の設定メニュー

PC以外の、たとえばゲーム機やAV機器でこのマルチ画面機能を使ったらどうなるか。これもちゃんと配慮があり「アスペクト比を無視して全画面表示する」「アスペクト比を維持しての圧縮表示する」を選ぶことができる。至れりつくせりである。

この機能を使い、PC・ゲーム機・AV機器などを同時に接続して1画面で楽しむことが出来る。サウンドについては、どれか1系統入力のみが再生されるが、どの入力系統を選択して鳴らすかといった設定は随時変更できる。

もちろん2画面のPBPモードも対応しており、その場合は2機の2,560×1,440ピクセルのディスプレイとして認識させて使うことが可能。

この他、いわゆる「親子画面」(ピクチャー・イン・ピクチャー:PIP)機能もあり、「子画面の位置を四隅のどこに配置するか」「大中小3段階の子画面サイズ」が選択できる。

このマルチ画面機能の組み合わせに制限はなく、HDMI+HDMI、DisplayPort+DisplayPort(1つはUSB-Cだが)もOK。HDMI/DisplayPort/USB-C混在もOKという太っ腹振り。この機能だけでも欲しくなってしまうユーザーも多いのではないだろうか。

2画面表示モード。左がPC、右がブルーレイの映像
3画面表示モード。左がブルーレイ、中央がPC、右がPS4の画面
親画面示モード。メイン画面がPC、子画面(右下)がブルーレイ

遅延についてはいつものように公称遅延値約3ms、60Hz(60fps)時0.2フレーム遅延の東芝REGZA「26ZP2」との比較計測を行なった。計測は26ZP2側を最低遅延の「ゲームダイレクト」モードに設定。49WL95Cには「ゲームモード」的な映像モードはないので、デフォルト選択されている初期化直後の「ユーザー設定」を選択して計測した。

結果は、26ZP2と全く同一の結果となり、比較計測の範囲では26ZP2と同等程度の超低遅延性能が確認できた。49WL95Cにはスムーズな可変フレームレート表示を実現するFreeSync機能には対応していないが、ゲーミングディスプレイ的な活用はできそうだ。

念のため、マルチ画面機能使用時の遅延も計測してみたが、こちらは約33msの遅延を観測。マルチ画面機能は便利だが、この機能を活用してのリアルタイム性の高いゲームプレイは避けた方がよさそうだ。

シングル画面表示では遅延は計測されず
マルチ画面機能を活用すると60fps換算で約2フレーム遅延することが判明

画質チェック~HDR表示性能は良好

本機の液晶パネルは、49インチのIPS型で、解像度は5,120×1,440ドットだ。前述したようにアスペクト比16:9の27型/2,560×1,440ドットのディスプレイ2枚分を1つにまとめ上げた製品になる。表面はノングレア加工で、周囲の情景の映り込みは最低限だ。その代わり、外界の光を拡散しやすいので、黒の締まりはそこそこといった感じ。実際、ネイティブコントラストは1,000:1となっている。

RGBストライプ配列のサブピクセルはなかなかの開口率

リフレッシュレートは最大60Hzで、いわゆるゲーミングディスプレイのようなハイリフレッシュレートには対応していない。また、倍速駆動技術やフレーム補間機能もない。液晶の応答速度は5ms(Gray to Gray)と公称されている。

公称輝度は350nit。「標準値」と備考が並記されていることから、HDR映像表示時には部分的に、この輝度以上の明るさで発光するようだ。

HDR映像の画質チェックとして、4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)「マリアンヌ」と「ラ・ラ・ランド」を視聴した。「マリアンヌ」は社交場にブラッド・ピットが辿り着くシーン(チャプター2)を、「ラ・ラ・ランド」は夕闇のもとで主役二人が歌い踊るシーン(チャプター5)をチェックした。

UHD BD「マリアンヌ」

上で述べたように、シネマスコープの映像部分を全画面に表示することは叶わなかったため、実質27型相当の画面で視聴したことになる。

さて、「マリアンヌ」では街の広場の街灯、ネオンサイン、社交場のシャンデリアや各テーブルのランタンが、非常に鋭く輝きHDR感は良好だ。ただし、黒浮きは大きい。バックライトシステムの詳細は公開されていないが、32:9の表示領域のうち、「マリアンヌ」の映像が表示されている中央16:9の領域以外(漆黒領域の部分)で黒浮きが見受けられ、エッジ型バックライトと思われる。

「ラ・ラ・ランド」では暗がりで浮かび上がる街灯の輝き感は「マリアンヌ」と同様でうまく再現されている。エッジ型バックライトで、しかも黒浮きがあってもちゃんと輝いているHDRが再現されているのは立派だ。踊る2人の肌の色は、暗がりの中でも人肌の色味を維持できている。エマ・ストーンの黄色いドレス、赤いカバン、青エナメルのヒールなどの原色オブジェクトが暗がりの中でちゃんと色味を維持して描かれている。色域はsRGB色空間カバー率99%となっているが、UHD BDのBT.2020色空間へのマッピングは上手に作り込まれていると思う。

UHD BD「ラ・ラ・ランド」

沖縄県の慶良間諸島などを4K/HDR収録したUHD BD「GELATIN SEA」もいつも通りチェック。チャプター6の「Shadow」を視聴した。海辺に浮かぶクルーザーを写した映像だが、紺色に近い水深の深いところから水深の浅いシアン色までのグラデーションがきちんと再現されている。青は当然として、緑方向のパワーがないとこのあたりの表現は難しい。sRGB色空間カバー率99%の発色としてはうまく調整されていると思う。

UHD BD「GELATIN SEA」

下に49WL95Cの各画調モードでの表示を撮影したものと、カラースペクトラムを示す。

カラースペクラムは典型的な青色LED光源と黄色蛍光体を組み合わせたオーソドックスなタイプのようだ。光源となっている青色光は鋭く谷間も深いが、緑と赤はピークが鈍くしかも麓が重なっている。まあ、緑と赤のピーク間には小さいものの谷間ができているので混色時の雑味は幾分か低減されるとみられる。

鮮やか
標準
シネマ

本機の映像エンジンについても言及しておこう。

あくまでPCディスプレイであるため、アグレッシブな映像処理を行なう映像エンジンは搭載されていないが、超解像処理の「Super Resolution +」と、動的バックライトコントロールの「DFC」(Digital Fine Contrast)が搭載されている。

「Super Resolution +」と「DFC」は画像調整メニューから行なえる。

Super Resoultion +は、典型的な周辺の画素の輝度を調査して輝度変移を強調化するタイプのもので、理想的に働いた場合は陰影が強調されて解像感がアップするが、ノイジーな映像だとノイズまでが顕在化される。まぁ常用はしなくていいだろう。ちなみにHDR映像表示時にはオフ設定で固定される。

エッジ型バックライトのためなのか、DFCをオンにしても、その効果は観測できなかった。こちらもHDR映像表示時にはオフ設定で固定される。

この桜の木の映像の桜の花部分をクローズアップして超解像処理「Super Resolution +」を評価してみた
「Super Resolution +」をオフ
「Super Resolution +」をLow。若干、桜の花々の陰影が強調化されたような印象がある
「Super Resolution +」をMid。大分陰影が強調された
「Super Resolution +」をHigh。HighとMidの効果であまり大きな違いは感じられない

まとめ~マルチ画面機能はただただ便利! VRのような没入感でゲームも楽しめる

“超ウルトラワイド”ブーム(?)の初期モデルと言うことで、やや荒削りな部分はあるが、評価を終えて49WL95Cはとても魅力的な製品だと実感できた。

1台で額縁無しのマルチディスプレイ的な活用ができるのは,ただただ便利の一言に尽きる。とくに3画面機能、2画面機能は複数の映像機器を1台のディスプレイに入力して使っているユーザーにとってはまさに「こんなディスプレイを待っていた」と叫びたくなることだろう。

またゲームファンにとっても、本機は魅力的な製品だ。現在の3DグラフィックスベースのPCゲームは、高確率で任意の解像度設定ができるため、なんの難しい設定も無しにアスペクト比32:9でプレイすることができる。筆者も今回の評価で「FARCRY5」、「Shadow of the Tomb Radier」、「Forza Horizon4」、「DARIUS BURST CHRONICLE SAVIOURS」などをフル画面で快適にプレイできた。対応ゲームではグラフィックスの画角も広がり、広範囲の情景が画面に描かれるため、まるでVRのような没入感でゲームが楽しめる。

「Shadow of the Tomb Raider」では最初からアスペクト比の32:9の5,120×1,440ピクセル解像度が選択できた
アスペクト比32:9の5,120×1,440ピクセルでの表示。左側の逆光太陽が見えているため画面右にフレアが表示ている
アスペクト比16:9の2,560×1,440ピクセルでの表示。左側の逆光太陽が見えなくなっているため画面右のフレアは消えてしまう
(c)2019 Square Enix Limited。Eidos Interactive Corporation
「Forza Horizon4」でも5,120×1,440ピクセル解像度が選択できる
アスペクト比32:9の5,120×1,440ピクセルでの表示。運転席側のドアミラーと助手席側のダッシュボードが見えている
アスペクト比16:9の2,560×1,440ピクセルでの表示。助手席が消失。運転席側のドアミラーも半分程度しか映っていない
(c)Microsoft 2019

下にその時の様子を動画で示しておく。

「FORZA HORIZON4」を49WL95Cでプレイ
「DARIUS BURST CHRONICLE SAVIOURS」を49WL95Cでプレイ

次期モデルへの要望も挙げておこう。

マルチ画面機能はとても便利なのだが、そのために画面右裏のメニュー操作用スティックで入力・モードを切換えなければいけないのは面倒だ。15万円以上する製品なので、ここはリモコンを付けて欲しいところ。

表示面では、シネマスコープのアスペクトを維持しながら最大表示するモードの搭載を求めたい。要するに本機のアスペクト比32:9の画面に、左右に多少の黒帯を表示しつつも21:9画面を最大表示して欲しいと言うことだ。BDプレーヤーなどを接続して映画などを楽しむ際に、この機能がないのはなんとも寂しい。

画質面では、「もう少し広色域な色再現性能が欲しい」とか「黒浮きを直下型バックライトシステムでなんとか低減して欲しい」という要望はあるが、これは価格に響いてくるので「そういう上位機もあればいいな」という程度の要望に留めておく。現状でも、sRGB色空間カバー率99%の中で黒い色から明るい色までカラーボリュームの作り込みは頑張っていると思うし、黒浮きはあるが、階調に破綻はなく、輝度の伸び方向でHDR感をうまく表現出来ていると思う。

画面サイズ的には大きいという声も聞かれるが、27型ディスプレイを2台横に並べることに比べれば省スペースだし、視距離50cm前後のデスクトップユースでは、適度な大画面性と一望性が両立できていて絶妙な画面サイズだと個人的には思っている。

湾曲具合について。アスペクト比32:9のディスプレイ製品には、VA型液晶パネルで湾曲率1800Rの仕様が多く、本機よりも曲がり率がキツい。逆に言えば、本機はそうしたVA型液晶モデルよりも平面性が強めだが、ここに優劣はなく、単純に好みで選べば良いだろう。

湾曲率が大きいと、映像を見たときの没入感も高まるが、寸法や直交性に厳格なデザイン業務などを行なう場合には平面画面と見え方が違うため違和感を感じるかも知れない。そうしたユーザー層にも、比較的緩やかな湾曲率の本機はお勧めである。

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。3Dグラフィックスのアーキテクチャや3Dゲームのテクノロジーを常に追い続け、映像機器については技術視点から高画質の秘密を読み解く。3D立体視支持者。ブログはこちら