西川善司の大画面☆マニア
253回
強みは良好な“シネマカラー”。BenQ 約30万円の4K/HDRプロジェクタ「HT5550」
2019年7月30日 08:00
実売30万円のハイクラスモデル「HT5550」の実力を検証する
4Kプロジェクターの製品ヒエラルキーが大体定まってきた。
最も高価なのはリアル4Kパネルを採用し、レーザー光源を採用したモデルだ。こちらが大体140万円前後以上の価格帯になり、いわゆるウルトラハイエンドクラスという位置づけだ。このカテゴリの最安値モデルはソニーの「VPL-VW745」である。
その下に来るのがリアル4Kパネルを採用し、高圧水銀ランプを採用したモデル。大体45万円以上からラインナップされ、ハイエンドクラスという位置づけになる。こちらもこのカテゴリの最安値モデルはソニーの「VPL-VW255」である。
ちなみにリアル4Kモデルは、反射型液晶(LCOS)モデル採用製品が主流で、JVCとソニーが覇権を争っている感じだ。
その下に来るのがいわゆるフルHDパネルを採用しつつも、高速時分割駆動を行なうことで4K解像度を実現する、いわゆる“疑似”4Kモデルになる。このクラスは製品数も多いため、いうなれば4Kプロジェクターのメインストリームといった感じだろうか。
疑似4Kモデルはリアル4Kモデルと比較すれば価格帯はグッと下がり、20万円前後から製品が存在する。この製品ゾーンは群雄割拠といった印象で、各メーカーから意欲的な製品が出ているが、大別すると、TI社のDMDチップを採用したDLP方式の製品と、3枚の液晶パネルを採用した製品とに分かれる。
DLP方式の製品としては本連載ではJVCの「LX-UH1」やBenQの「HT2550」を取り上げている。
液晶パネルを採用した疑似4Kモデルとしてはエプソンが挙げられる。本連載ではEPSONの「EH-TW8300W」を取り上げたが、最新モデルは「EH-TW8400/TW8400W」へと世代交代をしている。
今回取り上げるBenQの「HT5550」は、前出のHT2550の流れを汲む製品なのだが、実勢価格は30万円前後となっており、疑似4Kモデルの中では比較的高価な商品である。
この連載で取り上げたことのあるHT2550は約20万円前後、その直系の後継機「HT3550」も同価格帯だったので、HT5550は“上位”機に位置するようだ。
果たしてその実力はいかようなものなのか。評価することにした。
製品概要チェック~レンズシフト搭載で設置性が大幅に向上
HT3550/2550は、「いかにも入門機」という風情の見た目だったが、HT5550は黒基調で大型化した筐体デザインとなり、上級機に見劣りしない。投写レンズはHT3550/2550は正面向かって右側にオフセットされて実装されていたが、HT5550は中央に位置し、しかも大型化されている。
正面から見たときに左右対称に見え、さらにその投写レンズが大きいので、設置したときの外観は予想以上にりりしかった。同じ4K DLP機でも1ランク上の製品を目指して開発した、という意思を感じる。
今回借りた評価機は海外版のパッケージで、その取扱説明書によれば純正天吊り金具として「CMG3」が記載されていたが、日本市場ではこの型番製品は見つからなかった。ただ、CMG3の製品写真を見る限りは歴代のBenQのプロジェクターが全て取り付けできる「CMP-80」(実売4万円前後)と同一のようである。価格は全然異なるが(笑)。
投写レンズは1.6倍の手動ズーム/フォーカス(F:1.81~2.1、f:14.3~22.9)で、手動式レンズシフト機能に対応する。100インチ(16:9)の最短投写距離は3mとなっている。
レンズシフトは上下±60、左右23%でそれほど範囲は広くないが、あるとないとでは設置性に大きな違いが出るのでありがたいところ。
今回の設置は、筆者宅にて天地逆転させてのオンシェルフ設置(疑似天吊り設置)で行なった。レンズシフト用の調整ツマミは本体上面の中央前付近にあるため、2つの発泡スチロール製の煉瓦ブロックで本体の左右を支える感じで設置しても、このレンズシフト用ツマミへのアクセス性は良好。なかなかよく考えられて設計されている。
吸排気のエアーフローは正面向かって右側から吸気、左側から排気という設計で、投写映像側に熱風や埃が舞うことはない。ただ、オンシェルフ設置などでは左右にモノを置いて吸排気口を塞がないように気を付けたい。取扱説明書によれば吸排気口に対しては50cm以上のクリアランスを確保せよ、という注意書きがあった。
ファンノイズはランプ輝度ノーマルで32dB、エコモード(低輝度モード)で26dBと公称されている。まあ静音性はHT3550/2550からあまり改善されていないが、本体から2mも離れればそれほど気にならない。1m以内に近づくと、「ああファンが回っているな」と気がつくレベルの音はする。
消費電力は最大405W。1,800ルーメンという輝度性能を考えれば標準的な値だと言える。
インターフェイス~18Gbps対応のHDMIは2系統。光デジタル音声出力を搭載
入力端子はHDMI端子が2系統あり、ともにHDCP 2.2対応、HDMI 2.0b対応で4K入力/18Gbpsに対応する。
その他の入力端子としては、3基のUSB端子(TYPE-A)を搭載。それぞれUSB 2.0対応のUSBメモリ接続用、USB 3.0対応のUSBメモリ接続用、5V/2.5A給電用となっていて、ここまでUSB端子が充実したプロジェクター製品も珍しい。
USB mini端子もあるがこちらはファームウェアアップデート専用となっている。
本格的なホームシアター環境を構築することを考慮し、3.5mmミニジャックのトリガー端子も装備。本機稼動中はDC5Vを出力する。
オーディオ出力用として、角形光デジタル音声出力と、3.5mmのステレオミニジャックのアナログ音声出力端子がある。これは本機にHDMI端子経由で伝送されてきた音声をパススルーするためのものだ。
なお、本機はHT3550/2550と違い、本体に内蔵スピーカーはない。BenQとしては、音声出力端子を活用して外部オーディオ機器を活用して欲しい、ということなのだろうが、AVアンプ等を中核にしたシステムを組んでいる場合はこうした端子にお世話になることはあるまい。
LAN端子、RS232Cは共に外部PCからのリモート制御を行なうためのもの。本機はいわゆるインターネット接続機能を持ったスマートプロジェクターではないので、ビデオ配信サービスなどを本機単体で映し出すことには対応していない。
リモコンは、小振りながらもボタンの数は多く、様々な調整機能のメニューを直接呼び出すことに対応していてマニアックである。
4点直交出しや台形歪みの確認などを行なう際に便利なテスト映像パターンを直接呼び出せる[TEST PATTERN]ボタンは、設置と片付けの頻度が高いカジュアル層にはありがたい。
要望としては、入力切換ボタンに相当する[SOURCE」と、自照式に全ボタンをライトアップする[LIGHT]ボタンは蓄光式にして、暗闇でも"あたり"で押せる配慮が欲しかった。[SOURCE]も[LIGHT]もなぜか黒塗りボタンなので、投写映像の照り返し光の中ですらどこにあるのかが分かりにくいのだ。蓄光式が無理であれば白塗りボタンにすべきだったと思う。
不満はそれくらいで、動的絞り機構のオンオフを制御する[DYNAMIC IRIS]ボタン、ランプ輝度モードを変更する[LIGHT MODE]ボタンなど、普段使いでよく使いそうな機能呼び出しボタンが揃っていて使いやすい。
電源ボタンを押してHDMI入力の映像が表示されるまでの所要時間は約38秒。起動時間は水銀系ランプ採用機としては標準的な起動時間だ。
HDMI入力の切り換え所要時間だが、HDCP認証が必要な機器の場合は約14秒も掛かってかなり遅め。HDCP認証がないPCなどの場合は約7秒となり、早くはないがまあまあという感じだ。
今回も公称遅延値約3ms、1080p/60Hz(60fps)時0.2フレーム遅延の東芝REGZA「26ZP2」(「ゲームダイレクト」モード設定)との比較計測を行なった。計測解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。測定はHT5550側の「Motion Enhancer 4K」のオフとオンの双方で実施した。
結果は「Motion Enhancer 4K:オン」で約84msの遅延、60fps換算で約5.0フレームであった。一方で「Motion Enhancer 4K:オフ」では約50ms、60fps換算で約3.0フレームの遅延となった。リアルタイム性の高いゲームを本機でプレイするのは少々厳しい印象だ。
画質チェック~HT2550から大幅に改善された投写品質と色再現性
採用する映像パネルは0.47型のDMDチップだが、このDMDチップを含む映像エンジンコアと光学設計が改良され、下位機と比較して画質改善を達成できていると聞く。
なお、DMDチップ自体はフルHD解像度(1,920×1,080ピクセル)の「DLP470TE」で変化はないとみられ、これに空間的に4回分時分割で画素表示を行なうSpatial Light Modulator(SLM:空間光路変調器)素子を組み合わせることで、擬似的に4K(3,840×2,160ピクセル)表示を実践する仕組みは変わっていない。
DMDチップを一枚しか使わない単板式DLPプロジェクターなので、画素も色も全て時分割表現とする大胆な設計を採用しているわけである。
さて、一番気になる4Kの画質だが、いつも通りテキストと画像でチェックしてみることにしたい。
HT2550では、「白背景に黒い文字」や「黒背景に白い文字」はそれなりにリアル4Kに近い表示となるが、原色で描かれた文字は疑似4Kでありがちな歯抜け表示となってしまっていた。ところが、HT5550では、これが劇的に改善されており、原色文字の表示は「白背景に黒い文字」や「黒背景に白い文字」に見劣りしない。
ただ、疑似4K表示がドットバイドットのリアル表示と完全同等かというとそういうわけでもなく、やはり、1ピクセル単位の表現に関しては潰れてしまっている箇所が散見される。
「動」という漢字の左側の「田」を構成する「4つの黒穴」は完全に白く塗りつぶされてしまっている。これはこの黒穴自体が4K解像度の1ピクセル分の大きさだからだ。フルHD解像度のDMDチップ上の1ピクセルを時分割で4回描画すると言っても、1ピクセルの大きさは4K解像度のDMDチップサイズに小さくなるわけではないので、こういった限界は起こりうるのだ。
とはいえ、輪郭表現などについてはリアル4Kに近い滑らかな表現が実現できており、UHDブルーレイの再生時には、フルHD表現より一段上の解像感はちゃんと得られている。個人的には、特に髪の毛のような「線分」表現についてはリアル4Kに近い解像感を再現できていると実感した。
光学性能~フォーカス性能はいいが収差有り。動的アイリスを搭載した光学性能はどうか。
本機は先代HT2550/3550から投写レンズの刷新を受けているという。
実際に映像を見てみるとフォーカス性能はよい。画面中央で合わせれば、画面の外周もしっかりとフォーカスが合う。もちろん、レンズシフト量にも依存するが、価格帯を考えれば優秀だとは思う。
一方で、色収差は画面中央でもそれなりにあり、画面外周は特に大きい。その色ズレ量はフルHDピクセル1個分には満たないものの、4Kピクセル1個分程度はある感じだ。最近の4Kプロジェクターにはソフトウェア処理によるピクセルシフトを実装する機種も増えてきており、4K DLP機にも欲しいところ。
輝度スペックは公称1,800ルーメン。HT2550/3550よりも低めの値だが、ホームシアター機としては必要十分な輝度と感じる。実際、部屋がそこそこに明るくても映像の概要はちゃんと見られるレベルだ。
ランプ輝度(LIGHT MODE)は「ノーマル」「SmartEco」「省電力」の3モードがあり、「省電力」では照度計の実測で「ノーマル」の3分の2くらいの輝度量になっていることがわかった。ちなみに「SmartEco」は暗いシーンでは自動的にランプ輝度を下げるような動作モードのようである。
別メニューで冷却ファンの騒音レベルを「Silence:オン/オフ」で切り換えられ、「オン」とすれば確かに冷却ファンの騒音は低減するのだが、その分ランプの輝度も下がる。試した感じでは「Silence:オフ」で「ランプ輝度:ノーマル」に相当し、「Silence:オン」で「ランプ輝度:省電力」と結果が合致しているようだ。
本機には、HT2550/3550にはなかった動的絞り機構(Dynamic Iris)が搭載されており、これを併用したときのコントラスト値は10万:1を謳う。
ただ、黒浮きはそこそこにあり、最近のLCOSプロジェクターほどの黒の締まりはない。映画などで黒帯が表示されたときにそこに自分の手をかざせばその手の影がくっきりと見えるくらいの黒浮きは出ている。なので、コントラストは液晶プロジェクターなどと同様に高輝度の伸びで稼ぐ画作りとなっていると思う。
ランプ輝度のSmartEcoモードは暗い映像ではランプが低輝度になるので、これを有効にしておくと、黒浮きが幾分か低減されるので活用するといいかもしれない。
UHD BD/BD視聴~輝度が高く明部の階調表現は立派。色再現に優れ人肌も美しい
HDR映像のチェックにはUHDブルーレイの「マリアンヌ」のチャプター2冒頭の夜の街のシーン、同じくチャプター2の間接照明の暗いアパートの室内での会話シーンから、屋上に出てからの夜景を見ながらのロマンスシーンなどを視聴してみた。
暗い街中で光る街灯などはとても明るくきらびやかで、1,800ルーメンの高輝度性能が活きている。その後のシャンデリアを見上げるシーンでは、自発光するシャンデリアがただ明るく輝くだけでなく、発光体として電球やその光を散乱させるガラス細工などの階調が鮮明に描き出せており、明部の階調力はかなり立派である。
暗いシーンでは、動的絞り機構がとても優秀だ。上で述べたように最暗部の黒浮きは残るものの、迷光は大幅に低減されるため、本機の性能の範囲で最大限に暗部階調が描き出される。
なお、ランプ輝度「SmartEco」では動的絞り機構の制御が強制オフとされるようだ。つまり、暗いシーンは「動的絞り機構で迷光を低減させるか」「ランプ輝度SmartEcoモードで迷光を目立たなくするか」の二択と言うことになるわけだ。
画質的にはどちらも大きくは変わらないため、好みで選べば良いとは思うが、SmartEcoの方がランプ寿命には優しく、冷却ファンの騒音レベルも下がるはずである。
それと、HDR映像では画質モード(Picture Mode)の変更はできず「HDRモード」に固定化される。ここはちょっとユニークな仕様である。
本機は6セグメントのNanometer-Level Precision Pure-Color Coatingを組み合わせたロータリーRGBRGBカラーフィルターを採用しており、これに広色域カラーフィルターを組み合わせることで、DCI-P3色空間を100%カバーしたとしている。
実際発色は良好である。
sRGB相当のBT.709色空間モードにおいても、DCI-P3色空間モードにおいても、カラーボリュームはうまく調整されており、最も色鮮やかな中明部の発色はもちろん、最明部、最暗部付近の色味に破綻が見られない。HT2550/3550よりも輝度スペックが及ばないのは、色再現性に重きを取ったチューニングと言うことに違いない。
「マリアンヌ」のチャプター2の暗闇の屋上でのロマンスシーンでは、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールが務める主役二人の人肌の色味が暗がりの中でも「ちゃんと人肌らしい色」に見えている。総じて、人肌の表現はあらゆる明るさのシーンで堅牢であるという印象を持つ。赤、黄色、オレンジの純色も美しい。
「ラ・ラ・ランド」の夕闇のもとで主役二人が歌い踊るシーン(チャプター5)では、ヒロインの黄色のドレスとカバンの赤が暗がりの中でもリアルな色味を出せていた。赤と緑が絡む色は、暗色領域のカラーボリュームにおいても優秀である。
この傾向は特に画質モード「D.Cinema」やHDR映像視聴時に強制オンとなる広色域カラーフィルター適用時に感じられる。
実際、色度計で計測したカラースペクトラムを見ても、D.Cinema時は赤と緑の間のピークの谷間が深くなっているので、「やはりそうか」といった感じである。
カラースペクトラムでいえば、緑色のピークは鋭く、青と緑の谷間も水銀ランプ光源の割にはそれなりにえぐれている傾向が見て取れ、シアン色近辺の再現性も良さそうだ。
シアンといえばということで、沖縄県の慶良間諸島などを4K/HDR収録したUHD BD「GELATIN SEA」を視聴した。
この映像は、青からシアンまでの色を広く使うのでけっこうディスプレイには厳しい映像だが、シアンの階調もよく出ていた。ただ、海の深い部分の青が再現できていない。実際、カラースペクトラムを見ても青が若干弱いようだ。
映画は人肌を美しく見たいならば「D.Cinema」モードがお勧めだが、一般的なビデオコンテンツであればBT.709モード(「Cinema.Rec709」モード)も悪くない。
Brightは水銀ランプがフルパワーになり、明るくなるが、光源色の緑色が強くなり色が被る。明るい部屋で視聴する際には「Vivid TV」がいいだろう。このモードはゲームなどのCGや図版との相性もいい。
残像低減用の補間フレーム挿入機能「Motion Enhancer 4K」も搭載する。
こちらの機能はBDの「ダークナイト」のチャプター9、冒頭のビル群の空撮シーンでチェックした。予想外に優秀で、補間エラーによる振動は「高」設定でも認められず、常用しても問題はなさそうだ。
「Motion Enhancer 4K」というモード名からも分かるように、4K映像に対してもこの機能は効く。UHD BD「マリアンヌ」で、社交クラブの入口からシャンデリアを見上げるまでのシーン(チャプター2)において、カメラが左右と上にパンするが、その時にもちゃんと補間フレーム挿入が効いて、映像が滑らかに見えた。特に素材が4K映像になったからといって補間品質に変化は見られない。4K映像においてもヌルヌル動く映像が好きであれば、常用して良さそうだ。
本機は3D立体視にも対応している。
3D映像のチェックには、発売されたばかりの「アクアマン」を使用した。
3DメガネはDLP Link方式の市販品が使えるようで、手持ちのノーブランド品(Somnus258製のDLP-Link互換3Dメガネ「GL200」)の3Dメガネを使ってみたところ、3D映像で観ることができた。
ただし、視聴中に数回ほど、左右の目の映像同期が逆転することがあったので(メガネ側の再同期ボタンを押すと解消)、BenQ純正の純正品「DGD5」を使った方が良いかも知れない。
今回のノーブランド3Dメガネを用いた視聴においても、特に目立った二重映り(クロストーク現象)は感じられず、輝度も十分。高品位な3D映像が楽しめた。
気になったのは、HDMI入力切換で3D映像が入力されたHDMI入力に切り換えると、普段以上に入力切換に時間が掛かること。切り換え中は乱れた映像やノイズ模様が表示されたりして、不安になるが、正常表示になるまで30秒ほど待てば正常に落ち着く。
それと、3D映像表示中は4Kモードが強制解除され、画面にはドットバイドットのフルHD映像が表示される点にも留意したい。
下位機の不満が改善されたHT5550。色再現重視なら選ぶ価値あり
コストパフォーマンス重視の4K DLPプロジェククターをリリースし続け、日本市場でも認知度を高めてきたBenQ。
今回評価したHT5550は、HT2550を評価した時に感じた不満点が、ほどよく改善されており、完成度は高まったと感じた。
レンズシフト機能は手動方式ながらとても便利で、設置の際の柔軟性に優れているし、フォーカス性能もよくなった。ただ、光学性能に起因する色収差の量はUH1には及ばず、この点はさらなる改良を望みたい。
一方、発色はかなり良く、カラースペクトラムの形状には筆者も少し驚いたほど。色についてはUH1よりも良いと思う。HDR表示性能も高く、UHDブルーレイの4K/HDR再生はかなり楽しめるはずである。
HT2550/3550が20万円前後で、今回のHT5550が30万円前後。プラス10万円の値上がりとなったのは「レンズシフト対応の新光学系」、「4Kの画質改善」、「発色性能向上」といったところから来ていると思うが、このあたりを「高い」と判断するか、「リーズナブル」と判断するかで評価が分かれるだろう。
スペック的にライバルに挙げられるUH1は、発売当初の価格は30万円前後だったが、発売から1年経ったこともあり、現在は24万円前後と価格が下がっている。
「解像感の良さ」を取って安くなったUH1を選ぶか、または「色再現性の良さ」を取って新モデルのHT5550にするか。ここは悩み所である。