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4K放送が録れるBDレコーダ、どれ選ぶ? 録画・ダビング~スマホ連携までガチ比較・後編

3社の4Kレコーダーを比較した。写真上からパナソニック「DMR-4CW400」、ソニー「BDZ-FBT3000」、シャープ「4B-C40BT3」

シャープ、ソニー、パナソニックの3社4Kレコーダー・ガチ比較。後編では、録画番組の視聴から保存、スマホ連携を取り上げる。前編は下記のリンク先を参照願いたい。

4K放送が録れるBDレコーダ、どれ選ぶ? シャープ×ソニー×パナソニックでガチ比較・前編

3.番組を見る

録画した番組の視聴・再生機能を比べていこう。

録画済み番組は、リモコンにある「録画リスト」(シャープ・ソニー)、もしくは「録画一覧」(パナソニック)ボタンから呼び出せる。

シャープ~サムネイルを活用した再生機能。輝度・色域も拡張する“5upコンバーター”

シャープC40BT3の録画リストは、番組を18画面で一覧表示し、なおかつ同じタイトルの番組は自動でフォルダ化してくれる「18画面録画リスト&まと丸」を採用する。カーソルを合わせた番組は、音声付きの動画サムネイルで再生。テキストだけのリスト表示も行なえる。外付けUSB HDD内の録画番組を表示する場合は、リモコンのメディア切替ボタンで表示の切り替えを行なう。

18画面録画リスト&まと丸。サムネイルは動画

18画面録画リスト&まと丸以外にも、「見どころポップアップ」や「番組内容まるわかり」など、本編再生や早送り操作を行なわなくても、番組内容がシーン単位で確認できるユニークな機能を用意する。ネット連動のシーン検索・再生ほどの正確さはないが、番組内容が分単位のサムネイル表示になっているので目的のシーンは比較的探しやすい。

見どころポップアップ
番組内容まるわかり

録画リストを見て気になるのは、録画予約する際のEPG画面では見えていた「4K」「HDR」「5.1」などの記号が、HDDの録画データには残らないことだ(ソニーとパナソニックは残る)。

同社にこの件を問い合わせたところ「録画した番組を再生中に、リモコン上部にある“番組情報”ボタンを押せば、スペックは確認できる」とのこと。とはいえ、記号は「4Kネイティブの素材か否か、HDRか否か、サラウンドか否か」などの仕様を判別する指標なので、できれば記号は残して欲しかった。

番組情報画面から、2160p(4K)、SDR、サラウンド(5.1ch)などの仕様が確認できるが、やはり記号の方が分かりやすい

再生時の画質機能としては、AQUOSテレビ接続時に発動する「新AQUOS純モード」のほか、解像度・フレームレート・ビット深度・輝度・色域を拡張する「5upコンバート」を備える。輝度や色域の変換機能は、映像を表示するテレビ側に搭載されていることが多く、レコーダー側に搭載する製品は珍しい。もちろん、前述した5つの要素を全て変換して出力できる機能を持つのはシャープだけだ。

解像度やフレームレートなどは、HDMI出力設定から変更可能。輝度と色域は、ツール→視聴設定から「SDR→HDR10変換 入」にすると信号が拡張される。特に後者の画の変化は劇的。暗部を中心に全体の輝度が大きく持ち上がり、2K番組や4K/SDR番組が眩しいと感じるほどの明るさと、ビビッドな色を持った映像へと変貌する。

ビデオ素材では上手くハマったケースもあったが、全体的に誇張気味の画になるので、好みに合わせてON/OFFを切り替えるといいだろう。

SDR/BT709素材を、HDR10/BT.2020化する「SDR→HDR10変換」。明るさ調整用の「輝度調整」を設けるが、変換後の画とバランスさせるのがやや困難
ソニー~豊富なソート機能で番組探しも簡単。操作もスピーディ

ソニーFBT3000の録画リストは、録画番組のサムネイルとタイトルなどを、縦に一列表示するデザイン。1画面内に表示できるタイトル数は7と少なめだが、分類条件(ジャンル/グループ/録画先/予約方法/おまかせ・まる録/未視聴)別に表示できたり、キーワードや条件を組み合わせたタイトルの絞り込みなど、リストのソート機能は随一。分類条件の表示切り替えもスピーディで、カーソルを縦横に動かしても操作にもっさり感はない。

またシャープ・パナソニックと違い、ソニーはメディアの切り替え概念が無いのも特徴。内蔵HDDに録画した番組、外付けUSB HDDに録画した番組を横断してリスト化することができるのはソニーだけだ。

左のソート欄(タイトル分類)から、分類条件が変更可能。タイトル名が同じ場合は、自動でフォルダ化してくれる。長いタイトルはスクロール表示。“視聴数”の確認もできる。

再生時の画質機能として、テレビの4Kブラビア接続時に有効になる「4Kブラビアモード」のほか、ディスプレイ種類と映像のソース/ジャンル/レートに応じて自動で画質調整する「おまかせ画質モード」を搭載。ユーザーは液晶テレビ・有機ELテレビ・プロジェクターのディスプレイ種別を選択するだけでよく、解像感やノイズ処理、明るさや色に関しては微調整できるようになっている。なおソニーの場合、HLG→HDR10変換機能が無いため、HLG非対応テレビと接続した場合は、SDR出力となるので注意。

サウンド面では、放送・録画番組の圧縮音声をハイレゾ(最大96kHz/24bit)相当に復元するDSEE HX機能を備える。

画質設定メニュー。スタンダード、ナチュラル、ダイナミックの3モードが選択可能。くっきりでは精細感/超解像、すっきりではフレームNR/ブロックNR/モスキートNR、明るさ・色ではクリアブラック/色の濃さ/色合いが変更可能
パナソニック~録画番組はラベル別に表示。独自のクロマ処理で高画質化

パナソニック4CW400の録画一覧も、録画番組のサムネイルとタイトルを、縦に一列表示するデザイン。1画面に表示できるタイトル数は9。ラベル(タブ)ごとに番組が自動ソートされる仕組みで、リモコンの左右ボタンで表示ラベルの切り替えができる。

ラベルは変更が可能で、「最新録画番組」「未試聴」「新番組」「カテゴリー」は、「ドラマ」「アニメ」などのジャンルに変更してソートしたり、フリーワードをラベル名に登録して該当番組を手動で紐付ける“マイラベル”にすることもできる。

他社の録画一覧と大きく違うのは、本体で録画した番組だけでなく、DLNA接続された宅内全ての機器の録画番組も表示できること。これはDLNAプレーヤー機能を活かしたものだが、ラベルの切り替えだけでネットワーク内の録画番組が確認、そのまま再生できるのは便利だ。

パナソニックの録画一覧。上部のラベルをリモコンで切り替えることで、番組リストの変更が可能。毎週予約録画しているタイトルのみ、自動フォルダ化。長いタイトルはスクロール表示する

また録画番組などを再生中にリモコンの「再生メニュー」を押すと、画面の上下左右にポップアップが表示され、「録画一覧」や「番組一覧」ほか、早送りなどをすることなく見たいシーンが呼び出せる「シーン一覧」(地デジ・ディモーラプレミアム会員限定)、視聴番組と似たジャンルの番組を呼び出す「似たものおすすめ」が呼び出せるようになっている。

ドラマ再生中に呼び出した「似たものおすすめ」。録画済み番組の中から、ジャンル・ドラマに該当するものがピックアップされた

再生時の画質機能としては、マルチタップ処理を使って高品位な4K映像を生成する独自の「4Kリアルクロマプロセッサ」を搭載。同社UHD BDプレーヤーなどにも採用されている十八番の高画質化機能で、映像のキレや色の純度を高めてくれる。放送だけでなく、BDやネット動画などのコンテンツに対しても働くので、高性能プレーヤーとしても活躍してくれる。

また接続するディスプレイに応じて、HDR素材の明るさが調整できる「ダイナミックレンジ調整」(HDRテレビ用)と「ダイナミックレンジ変換調整」(SDRテレビ用)を用意。扱いの難しいHDRコンテンツに対して、どのようなディスプレイを接続した場合でも違和感なく、自然に表示できるよう配慮されている点も本機の強みだ。

なおサウンド面では、放送や録画番組、BDなどの音声をハイレゾ(最大192kHz/24bit)相当にアップコンバートする「ハイレゾリマスター再生」機能を備える。

画質設定メニュー。設定値は2つまでメモリー可能。素材は標準/シネマ/アニメの3パターンを用意。HDR調整からダイナミックレンジ/ダイナミックレンジ変換調整が行なえる
長時間録画とUHD BD/BD再生の画質~パナソニックが優秀

最新4Kレコーダーの注目機能に、ソニーFBT3000とパナソニック4CW400が搭載する“4K長時間録画”がある。高精細が売りの4K放送を再圧縮して“低画質化”するのは本末転倒では? という考えも一理あるが、4K DRモードの場合、1TBのHDDでもわずか65時間しか録画できないため、容量が逼迫しているときなどはあると便利な機能ではある。

では、4K長時間録画はどこまで使えるのか。ソニーとパナソニックで同じ4K番組を録画し、それぞれの録画モードを比較してみた。

ソニーもパナソニックも、長時間録画の倍率を高めるとDRに比べ精細感が落ち、階調や細部のディテールがつぶれ、圧縮ノイズが増える傾向は変わらないのだが、画の見え方はだいぶ異なる。

ソニーは精細感が残る部分もあるが、LSRモード(4倍相当)から平坦部にブロックノイズが現れ始める。一方のパナソニックは全体がやや甘い画になるものの、5~8倍でもノイズの発生を抑え込み十分使えるレベルになっている。今回使ったテレビは43型と小ぶりだが、大型になればなるほどノイズは目に付きやすいので、ソニーで4K長時間録画を使う場合は、XR(1.5倍)~SRモード(3倍)に止めるのがオススメだ。

ソニーのXRモード(写真左)と、パナソニックの1.5倍録(右)。ビットレートはDR時の33Mbps(HEVC)から、約22Mbps(HEVC)に
ソニーのXSRモード(写真左)と、パナソニックの2倍録(右)。ビットレートは約16Mbps
ソニーのSRモード(写真左)と、パナソニックの3倍録(右)。ビットレートは約11Mbps
ソニーのLSRモード(写真左)と、パナソニックの4倍録(右)。ビットレートは約8Mbps
ソニーのLRモード(写真左)と、パナソニックの5倍録(右)。ビットレートは約6Mbps
ソニーのERモード(写真左)と、パナソニックの8倍録(右)。ビットレートは約4Mbps

Ultra HD Blu-rayとBDの再生画質(購入時のデフォルト設定)に関しても、パナソニックが一歩リードしている印象。独自のクロマ処理が作用し、画の抜けに優れディテールの描写や色の分離も良い。例えば花火のシーンでは、尺玉が炸裂する光の軌跡も“塊”に見えず他機に比べて細くクリアに見える。またBDのアップコン性能も優秀で、精細感を出しながら画に立体感がある。

シャープは、BDの4Kアップコン映像はややノイジーだが、UHD BDの画は味付けも無くとてもナチュラルな仕上がり。一方ソニーは、全体的にエッジ、コントラストの強い画が特徴。ハイライトなどのピークもやや持ち上げた味付けになっている。

4.番組を残す

次に、録画した番組の編集・保存機能を比べてみる。

録画番組の編集~プレイリスト作成ができるのはソニーだけ

「チャプター編集」(分割/結合/消去)と「タイトル編集」(分割/結合/部分消去)が用意されており、基本的な編集機能に関しては各社で大きな差は無い。一部のマニアから絶大な支持を得ていた東芝“RDシリーズ”のようなフレーム単位編集はできないが、番組前後/CMカットのような一般的な編集作業で困ることは無いだろう。

3モデルで唯一、ソニーのみがプレイリスト作成機能を搭載しており、オリジナルに手を加えること無く、複数の番組を好みの順序で再生するようにしたり、番組の部分消去などの編集が行なえる。作成したプレイリストをBDへダビングすることも可能だ。

シャープの編集メニュー。タイトル結合のみ、4K番組には対応しない
パナソニックでチャプター編集を行なうには、録画一覧表示中にリモコンのサブメニューボタンから呼び出す
ソニーは唯一プレイリスト作成機能を備える
4K番組のBDダビング~作業は簡単。問題は互換性

BDドライブを搭載した4Kレコーダーのメリットは、録画した2K番組はもちろん、4K番組もブルーレイディスクにダビングできることだ。“録画して、観たら消す”だけの用途であれば、4Kテレビや4Kチューナーに数千~1万円程度の外付けUSB HDDを接続した方が安価にできるが、この方法では録画番組を“残す”手段が存在しない。

いまやTVer/NHKプラス(3月1日開始予定)を使えば、放送後1週間は主な2K番組がどこでもネットで観ることができるし、放送局が展開する配信サービスに別途契約すれば過去の放送番組だって観られる時代。ダビングの重要性は昔よりも低くはなったが、タレントや所属事務所の都合や方針で再放送・配信されない番組だってあるし、何よりオリンピックのような国際イベントは、放送回数や配信期間などが制限される上にパッケージ化されないため、もう一度観るには放送を録画・ダビングして残す方法に勝るものは無い。

3モデルとも、4K番組のBDダビングには2つの方法が用意されている。

1つはDRモード、もしくは4K長時間モードのまま記録する方法。もう1つは、2K解像度に変換して記録する方法だ。前者は4K解像度は維持できるが、再生環境と互換性が限られる。後者は解像度が2Kに落ちるが、BDAV対応のPS3やPS4、BDレコーダー・プレーヤーなどで幅広い機器で再生できる。4K番組をBDに録画する前に、どちらの方法で残すかを決めておこう。

ダビングの基本的な手順は各社共通だ。空のBD-R/RE(3、4層のBDXLメディアも可能)をセットし、残したい番組を選択したら、あとはダビングを実行するだけ。ダビング出来る回数は、NHKと民放の4K番組の場合は10回(ダビング10)、他の有料チャンネルは1回(コピーワンス)となる。

6倍速のBD-R(25GB)を用意し、NHK BS4Kで放送されていた4K・5.1chサラウンドの映画「波止場」をDRモードのままBDにダビングし、“4K録画BD”を作成してみた。約1時間50分番組のダビングにかかった時間は、シャープが18分20秒、ソニーが16分25秒、パナソニックのダビング方式1が17分1秒、ダビング方式2が35分22秒だった。

シャープのダビング手順。メニューからダビング→ダビング元を選択
ダビング先を選択。BDに焼くため、HDD→BD/DVDを選択
ダビングする番組を選択
ダビング実行。詳細設定から、最高速モードと静音モードが選べる
ソニーの録画リスト(HDD)
BDダビング後の録画リスト。ソニーは録画番組をBDにダビングすると、タイトルから「4K」「HDR」「5.1」などの記号がカットされてしまう。またDRやXRなどのモード情報もディスクには記録されない

次に、各モデルで作成した4K録画BDの再生互換を確かめた。

シャープとパナソニックは、自己はもちろん、他のモデルで作成した4K録画BDを全て再生することができた。タイトル情報やチャプターの情報も問題なく読み込めている。一方ソニーは、基本は自己で作成したディスクをサポートするようになっているようで、今回の取材ではソニーと同じTS記録方式を採用するシャープのディスクも再生できなかった。

メーカーや読者からの情報によれば、シャープでダビングした4K録画BDが、ソニーの4Kレコーダーで再生できる事もあるとのこと。ただし、今回のテストにおいては再生できず、またソニーも「他社で記録した4K録画BDの再生は保証しない」としているため、以下の表では再生できないと記載している。

【追記】再生互換性の情報を追記しました(2020年3月4日21時)

シャープは'19年モデルから、パナソニックが採用する記録方式(MMT TLV)の再生をサポート。パナソニックも'19年モデルから、メニューで2種類の記録方式が選べるようになっており、両社とも4K録画BDの互換性を考慮した仕様になっている。ソニーの4Kレコーダーは今回が初号機ではあるものの、互換性は他に比べ低い。第2世代モデルでの改善に期待したい。(MMT TLVとTSの違いについての記事はコチラ)

シャープで作成した4K録画BDをソニーに挿入。番組情報は表示されている
同じTSで再生できると思ったが、残念ながら再生できず
パナソニックは、初期設定/リモコン設定→HDD/ディスク/USB-HDD設定→記録/ダビング設定→4KDRのダビング方式で、「ダビング方式1」(MMT TLV記録)と「ダビング方式2」(TS記録)が選択できる。デフォルトはダビング方式1
ダビング方式2で作成した4K録画BDをソニーに挿入したところ、再生することができた。ただし、ダビング方式2は方式1よりも5分ほど録画可能時間が減り、作成時間も倍かかる

なお、前述したように互換性の心配をすることなく4K番組をBDに残す手段が、2Kにダウンコンバートする方法だ。ダウンコン時には解像度(4K→2K)ほか、走査方式(プログレッシブ→インターレース)、レンジ(HDR→SDR)、色域(BT.2020→BT.709)、音声情報(2chに統一)なども変わるため、オリジナルとの乖離は大きい。

ソニーの4K DRモード(HEVC 33Mbps)と、2K XRモード(AVC 16Mbps)。

5.レスポンスやマルチタスク、スマートフォン連携

最後に、3モデルの動作レスポンス、マルチタスク性能、スマホ連携の3つを比較した。

動作レスポンス~番組表スクロールの速さはソニー。BDビデオ読込速度はシャープ・パナ

レスポンスのチェックには、クイック起動オン状態、および0Wのクイック起動オフ状態からの起動や録画開始までの所要時間ほか、チャンネルや放送切替え、番組スクロール、BD/UHD BDソフトの読み込み動作の速度を計測した。

下記表は、それらをまとめたもの。レコーダーはバックグラウンドで様々な機能が働いていることが多いため、消費電力計でワット数を確認しながら、3回計測した平均値を記載している。

起動や切り替え動作など、各社で大きな差が出ると踏んでいたが、実際に計測してみるとそれほど大きくは変わらないことが分かった。中でもシャープは、だいぶ動作が機敏になっており、第一世代モデルから大幅にレスポンスが改善された印象だ。またWebサイトやカタログでアピールされているとおり、ソニーの番組表スクロール速度(NHK総合の欄で十字キーの下ボタンを長押し)は他機に比べて圧倒的に速い。項目の切り替え・遷移もスムーズで、画面がブラックアウトすることもなく軽快なメニュー動作と感じる。

UHD BD/BDの読み込みは、シャープとパナソニックが健闘。BD-JAVAが組み込まれたソフト以外は、平均60秒程度でトップメニューが表示できる。ソニーは通常のBDレコーダー機と同様に、ディスク読込みはやや遅い。

マルチタスク性能~3番組同時録画中の制限は“再生”と“ダビング”

マルチタスクとは、複数の操作や機能を同時に使うことを指す。カタログなどには機能の有無は書かれているものの、それらの機能を同時に行なえるか否かは、取扱説明書を確認しないと分からないことも多い。

今回は、3モデル共通の新機能である4K放送W+2K放送1番組の“3番組同時録画中”の動作制限をチェックした。

3社で違いが出たのは、再生とダビングの部分。シャープは、唯一4K番組のゆっくり再生に対応するが、4Kダブ録を含む3番組同時録画中のみUHD BD再生はできない(4Kダブ録、2Kの3番組同時録画であれば再生可能)。ソニーは、動作制限というよりも4K録画BDの再生互換がネック。パナソニックはUSB HDDから本体HDDへのダビング・ムーブに制限はあるものの、3番組同時録画中でも唯一レート変換/2K変換ダビングすることができた。

3番組同時録画中に、録画済みの4K番組をBDに高速ダビングした場合のメニュー
スマホ連携~無料で多機能なパナソニックアプリ「どこでもディーガ」

スマートフォンや専用アプリを使うと、音声でレコーダーが操作できたり、外出先で録画した番組を視聴したり、予約し損ねた番組の録画予約や番組の削除などが行なえる。各社から提供されているスマホアプリを使って、できることを一覧にまとめたのが下図だ。

一覧表の通り、スマホを使って様々な機能を提供しているのがパナソニックだ。宅内・宅外を問わず、録画番組をスマホで視聴する場合はシャープもソニーも有料だが、パナソニックであれば無料で他社以上の機能が楽しめる。

パナソニックの場合、テレビ番組情報ウェブサービス「DIMORA」に別途登録し、プレミアム会員(初回登録月は無料、その後月額300円)になれば、スマホでもシーン一覧や早見再生、ハイレゾリマスター保存ファイルの再生、録画モード変換、番組一括削除、HDD残量通知受取りなども行なえる。

まとめ~見易さのシャープ、撮り逃さないソニー、全方位手堅いパナソニック

以上、4Kレコーダー・3機種の違いを項目別に比較してみた。

それぞれのポイントを短くまとめれば……見易さにこだわった番組表と録画リストを備え、独自の5upコンバートも楽しめるシャープ。先行予約やおまかせ・おすすめの自動録画で、2Kも4Kも逃さない録画に強いソニー。長時間録画の品質や再生画質に優れ、互換性やスマホ連携など全方位で手堅く仕上がったパナソニック……となるだろうか。

シャープとパナソニックは第2世代、ソニーは今回が初号機だ。どれもまだ弱点は残っているし、今後も機能改善・性能向上が行なわれるだろう。とはいえ、成熟しつつある2Kモデルと比べても、現行4Kレコーダーの完成度は十分高いと感じる。

4Kシングルチューナー仕様の第1世代機を購入した筆者からすれば、4K放送の2番組同時録画機能の搭載はやはり大きな魅力だ。NHKだけでなく、民放でもネイティブ4K番組は徐々に増えつつある昨今。オリンピックを考えれば、4Kチューナー1基では絶対に足りない場面がでてくるだろうし、12月にはWOWOWの4Kも始まる。

そもそも4Kチューナー1基では、録画終了時刻と録画開始時刻が重なった場合、前の番組の“お尻”が録画できない(約1分)。それに、新モデルでは外出先からスマホで4K放送の予約録画ができるようになったことも、個人的にはかなり羨ましい…。正直、今回の3モデル発売まで、4Kレコーダーの購入を待てば良かったと思った。

’19年末の商戦時期を過ぎたこともあり、検証に使ったシャープC40BT3とパナソニック4CW400は2月現在、家電量販店などでは11万円台半ばで販売されている。HDD容量が2TBのモデルを選べば、さらに低い8万代前半で購入できる(ソニーはあまり価格が落ちていない)。勿論、2Kモデルに比べれば値は張るが、当分は開催されることはないだろう記念すべき自国開催の東京オリンピック録画・保存を考えれば、'20年が4Kレコーダーを導入する格好のタイミングではないだろうか。

写真上からパナソニック「DMR-4CW400」、ソニー「BDZ-FBT3000」、シャープ「4B-C40BT3」

阿部邦弘