【特別企画】“省エネテレビ”の星の意味は?

-エコポイント対象製品を決めるのは“年間消費電力量”



 7月1日にエコポイントの交換申請がスタートした。エコポイント制度の目的は、「地球温暖化対策、経済の活性化及び地上デジタル対応テレビの普及を図るため」とされており、エネルギー効率の高い家電への買い替えを進めることにある。

省エネ統一ラベル

 対象となる家電製品は、製品の省エネ性能を示す「統一省エネラベル」で星印4つ以上を取得している「地上デジタル放送対応テレビ」と「エアコン」、「冷蔵庫」。また、地デジ促進というもう一つの狙いもあることから、テレビにおけるポイント還元は高くなっており、エコポイント対象となる46型テレビを購入した場合、36,000ポイントの還元が受けられる。

 実質的に、10%超の値引きとなるものもおおく、テレビメーカー各社も販売増への期待は高いようだ。また、調査会社のデータにおいても、5月15日のエコポイント制度スタート後の販売増が認められる。もちろん、消費者にとっても(将来につけを回しているだけという批判はあるにせよ)短期的にはデジタルテレビ購入するための動機づけとして、このエコポイントは見逃せないものだ。

 


■ エコポイントの基準になる“省エネ達成率”とは?

 

多段階評価省エネ基準達成率
☆☆☆☆☆164%以上
☆☆☆☆143%以上~164%未満
☆☆☆121%以上~143%未満
☆☆100%以上~121%未満
100%未満

 このエコポイント還元の算定基準として定められているのが「省エネ基準達成率」と「統一省エネラベル」だ。省エネ達成率は、製品の相対的な省エネ性能を数値化したもので、統一省エネラベルはその省エネ達成率を5段階で分かりやすく表示するものだ。

 エコポイントの対象となるのは、薄型テレビの場合、この省エネ統一ラベルで四ツ星以上を達成している製品となる。達成率でいうと143%以上が四ツ星となる。

 省エネ基準/省エネラベルが表示しているのは、家電製品やガス石油機器などが国の定める年度ごとの省エネ目標値をどの程度達成しているかという達成度。この目標値は、基準年に最高の省エネ効率だった機器の性能を比較対象とし(トップランナー基準)、その製品に対して、当該製品がどの程度の省エネ性能を有しているかを表示する。この基準値は年度ごとに見直されるので、省エネラベル/達成率も年度ごとに更新される。

 この省エネ性能を図る指標として利用されているのが、「年間消費電力量」。過去の優秀な性能製品に対し、どれだけの省エネ化が実現できたかを計算することで、省エネ達成率が導き出されている(トップランナー対象製品の詳細)。

 


■ 実用上の電力消費を示す「年間消費電力量」

 では、年間消費電力量とは何だろうか?

 テレビをはじめ、一般的に電化製品の電力消費を示す基準としては「消費電力」が使われてきた。現在でもカタログなどでの公表は必須だが、日本の平均的家庭の実使用状態に近い電力量として、最近利用されている値が「年間消費電力量」だ。

 年間消費電力量は、実際の利用環境を想定した条件下で、1年間利用した場合に消費される電力量を示すとされており、薄型テレビでは、1日あたり4.5時間の動作時間と19.5時間の待機時間が“平均的な利用ケース”と定義。下記の計算式で算出する。

年間消費電力量={(動作時消費電力-節電機能等による削減電力)×年間基準動作時間+待機時消費電力×年間基準待機時間}÷1,000(kWh/年)

 この値をトップランナー基準を用いて5段階評価したものが「省エネ達成ラベル」だ。なお、ラベルに記載される年間の電気料金目安は、年間消費電力量(kWh/年)に22円をかけたものとなる。例えば40型の液晶テレビ「ソニー BRAVIA KDL-40V5(年間消費電力量138kWh/年)」では3,040円となる。

 なお、「統一省エネラベル」では、「フルHDパネルのプラズマテレビ」や「LEDバックライトを使った液晶テレビ」、「ワイヤレステレビ」の規定が現時点では行なわれていない。しかし、「相当として扱うことが適当と認められる」として、パナソニックのVIERAやWoooなどのフルHDプラズマテレビ、LEDバックライトを搭載したREGZA ZX8000シリーズなどもエコポイント対象製品となっている。

 


■ 省エネ性能を注視したテレビ選び

【地デジTVの付与ポイント数】
テレビサイズエコポイント数(点)
46型以上36,000
40、42型23,000
37型17,000
32、26型12,000
26型未満7,000

 「テレビにおける省エネ化」は数年前から業界のトレンドではあったものの、エコポイント導入により、その流れがさらに加速すると考えられる。

 エコポイントは2010年3月末購入分までの期間限定施策だが、省エネラベルで「3ツ星(エコポイント非対称)」と「4ツ星(エコポイント対象)」ではポイント還元による実質的な価格差が生じるため、エコポイント非対応製品を買いにくい/販売し難い状況がすでに生み出されている、といえる。

 もっとも主要メーカーにおいては、ほとんどの製品が「エコポイント」対応。そういう意味では、エコポイントは“実質値下げ”と考えられる。また、例えば40型と37型では6,000ポイントも点数が異なることから、メーカーや販売店ではポイント還元率の高さに着目し“大画面化”を促すセールスに力を入れている。“大型”を狙う人にとっては、いい機会となるだろう。

 対象製品については、シャープ、ソニー、パナソニック、東芝、日立など、テレビメーカーも各社が対応テレビのリストを公開しているほか、環境省でもリストを公開しているのでそれらを参考にされたい。なお、ポイント申請のために保証書・領収書・家電リサイクル券の控えは必ず保管しておく必要がある。申請方法については家電Watchの特集や、エコポイントのホームページで案内しているのでそちらも参照してほしい。


(2009年 7月 10日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]