AV Watchアワード

パナソニックの最上位有機EL「Z95A」。輝度/色精度の高さは折り紙付き!?【AV Watchアワード参戦製品②】

有機ELテレビ「TV-65Z95A」

その年に登場した製品から、読者に本当にオススメしたい優れた製品を決める「AV Watchアワード」。2023年に引き続いて今年も“No.1テレビ”を決めるべく、テレビメーカー7社から11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、比較テストを行なった。本稿では11月1日のNo.1モデル発表に先立ち、テストを実施した全11モデルを順次掲載していく。

今回取り上げるテレビは、パナソニックが2024年6月に発売した4K有機ELテレビ「TV-65Z95A」(52万円前後)。製品の概要・仕様の紹介と合わせ、昨年好評だったマスターモニターとの比較動画および各種測定データも合わせて掲載する。

パナソニック「TV-65Z95A」製品概要

パナソニック・ビエラ(VIERA)の有機ELテレビは「Z95A」(65/55型)、「Z93A」(77型)、「Z90A」(65/55型)、「Z85A」(48/42型)の全4シリーズ7機種を展開。シリーズで大きく異なるのはパネル・スピーカー・スタンドで、最上位の「Z95A」だけが“マイクロレンズ有機EL”“160Wの360度立体音響システム”“スイーベル転倒防止スタンド”を採用している。なおビエラは2024年モデルから全て、OSがFire TVに変更された。

TV-65Z95A(以下65Z95A)は、4K/3,840×2,160解像度の有機ELパネル(倍速対応)を採用。2023年発売のフラッグシップ「MZ2500」で初採用した“マイクロレンズ有機ELパネル(MLA-OLED)”と、バックカバー一体型放熱プレートおよび放熱シートを組み合わせた放熱構造(デュアルメタルヒートレス構造)の独自パネルとなっている。

MLA-OLEDは、1画素あたり数千個のレンズが並ぶマイクロレンズアレイと発光層を一体成型することで光の取り出し効率を飛躍的に向上させた新パネル。Z95Aでは、2023年パネルよりも効率を高めた最新世代のパネルと、パナソニック独自のコントロール技術「Bright Booster」を組み合わせることで発光性能を一段と高めた。

最上位モデルのみに適用するパネルチューニングも継承。これは、プロの制作に使用する業務用モニターに近い階調を再現することを目的として、製造ラインで行なうパネル測定・調整のこと。パネル1枚1枚を測定し、その結果に応じてホワイトバランス・階調表現調整を施している。

有機ELテレビ「TV-65Z95A」

画像処理は「新世代AI高画質エンジン」が担当。地デジ放送やネット動画などがよりキレイに楽しめるというデュアル超解像処理や、ネット動画で目立ちがちなバンディングノイズの抑制を可能にした。

100万を超える映像のシーンから構成される学習用データベースを基に、ディープラーニングを活用してAIが学習し、生成したシーン認識アルゴリズムからシーンに最適な画質・音質処理を施す「オートAI」機能を搭載。映像制作者の意図した映像を忠実に再現するFILMMAKER MODEも用意する。

対応するHDR規格は、HDR10、HDR10+、HLG、Dobly Vision IQ。

ゲーム機能に関しては、最大4K/144pまでの高リフレッシュレート信号の入力に対応。4K/144Hz対応の最新PCゲーム・グラフィックボードを接続すれば、滑らかでチラつきのない高精細映像が楽しめるようになった。ゲーム画面を表示しながら、画質などの設定を呼び出せる専用メニュー「ゲームコントロールボード」も備える。

サウンドシステムの構成
天面のイネーブルドスピーカー

サウンドシステムは「360立体音響サウンドシステム+」を搭載。独自のラインアレイスピーカーと、高さ方向の音を再現するイネーブルドスピーカー、水平方向の音の広がりを強化するワイドスピーカーで臨場感あるサウンドを再現した。Dolby Atmosもサポートする。

側面
吸盤仕様で倒れにくい転倒防止スタンドを採用。スイーベルにも対応する(左右15度)

前述の通り、2024年モデルからOSが「Fire TV」に変更。これまでは30種類程度だった対応アプリ数を大幅に増加させると共に、ネット動画やサービスを横断して選べるホーム画面と、サクサクと快適に操作できるレスポンス性を実現している。

新OSでも、4K衛星放送録画(USBハードディスク使用時)やお部屋ジャンプリンク(クライアント機能)、過去未来番組表(ディーガ連携)といったビエラの独自機能を継承。お部屋ジャンプリンク(サーバー機能)やPanasonic Media Access、LANダビングは年内アップデートで可能になる予定。

チューナーは、BS4K・110度CS4Kチューナー×2、地上/BS・110度CSチューナー×3を搭載。別売のHDDを接続する事で裏番組録画ができるほか、2K+2K放送や4K+2K放送、4K+4K放送の2番組同時録画も行なえる。

側面
背面

HDMI入力は4系統。ARC/eARC、ALLM機能をサポート。そのほか、光デジタル出力、ヘッドフォン出力、LAN端子を備える。ヘッドフォン出力は非搭載。USBは3系統。Wi-Fi、Bluetoothに対応する。

消費電力は633Wで、年間消費電力は234kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、144.8×34.8×91.6cm(幅×奥行き×高さ)/30.5kg。

マスターモニターとの比較動画、および各種測定データ

【AV Watchアワード】有機ELテレビ①PANASONIC「TV-65Z95A」~マスターモニターとの映像比較
※これはHDRで撮影した映像です。鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
パネル性能
映像メニュー「シネマプロ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
輝度値
映像メニュー
オートAI時
Z95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
1,410 cd/m21,328 cd/m2
全白輝度
(最大)
232 cd/m2233 cd/m2
映像メニュー
シネマプロ時
Z95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
1,589 cd/m21,440 cd/m2
全白輝度
(最大)
211 cd/m2212 cd/m2
カラースペクトラムとBT.2020カバー率
カラースペクトラム
シネマプロZ95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
BT.2020
1931カバー率
73.58%72.70%
BT.2020
1976カバー率
76.33%75.19%
画素構造
入力遅延と仕様
ゲームモード
入力遅延
Z95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
4K60p
等速駆動オフ
8.8ms10.9ms
4K60p
等速駆動オン
1.2ms
2K120p0.5ms2.6ms
HDMI入力信号Z95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision120Hzまで60Hzまで
4K50Hz
1440p〇(最大120Hz)
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他Z95A
(2024年モデル)
MZ2500
(2023年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
阿部邦弘