AV Watchアワード
テレビメーカーの御家芸に下剋上!? ~AV Watchアワード座談会・液晶編
2023年12月1日 08:15
“読者に本当にオススメしたい製品”を決めるべく、11月に発表した「AV Watchアワード」。既報の通り、初代の液晶テレビ大賞としてソニー「XRJ-65X95L」、そして有機ELテレビ大賞としてLGエレクトロニクス「OLED65G3PJA」が選出された。
ここでは、大賞モデル発表後に行なったアワード座談会でのやり取りと合わせ、比較視聴時に測定した各種データを2回に分けて掲載する。初回は、液晶テレビ5モデルを振り返る。
ハイセンス「65UX」:もう“ジェネリックレグザ”なんて言わせない
編集部・阿部:先日は取材お疲れ様でした。今回は座談会というカタチで、結果発表の記事ではお伝えしなかった測定データなどと一緒に、各モデルを振り返ってみたいと思います。
まず最初は「ダークホースでショウ」だった、ハイセンス「65UX」から。本機はミニLED×量子ドットに加えて最新の映像エンジンも搭載した、ハイセンス4K液晶の本格的なフラッグシップでした。発表時点での想定価格は、約39.8万円前後。11月下旬時点では30万円を切る価格で販売されているところもあるようです。
秋山氏(以下敬称略):今回の中では、“敢闘賞”と呼ぶにふさわしいモデル。正直視聴する前は、これほど善戦するとは予想していませんでした。ハイセンスはこれまで、高画質・高機能を売りにするレグザに比べると、どうしても見劣りしていたし“ジェネリックレグザ”なんて言われていたくらいですよね。わたしも「画質の面でレグザを超えることはないだろう」という思いが強かったのですが、いざ視聴すると、レベルの高さに驚いた。
西川:測定データを改めて見ても、国内勢の最上位モデルと比べてパネル性能は大きく変わらないし、どのソースを表示しても非常にまっとうですよ。
秋山:色相は、少し前までのレグザに近くて、やや緑寄り。それはRGBバランスの測定データにも表れていて、緑の成分が高いというよりは赤と青が低い結果、少しグリーニッシュに映る。ハイセンスの製品開発には、元々レグザを担当していたメンバーも合流していたと聞きますから、その名残が残っているのかも知れません。
阿部:緑寄りと言っても、それほど気にならないし、むしろパワフルで非常に明るかったという印象が強いですよね。
秋山:原稿では“押し相撲”という表現を使いました。明る過ぎる故に若干明部が飛んでいる箇所もありますが、決してノイジーにはなっていない。16bit映像エンジンの効用か、しっかりケアされているなと感じました。
西川:放送と配信は、圧縮ノイズのアーティファクトをアグレッシブに消しています。小さなブロックを移動させて局所的に光らせるテスト映像においても、ローカルディミングの光漏れをしっかり抑え込んでいた。ゲーム性能も、1440p信号の非対応以外はレグザと同等ですし、価格に見合った性能がありますよ。
秋山:音も健闘していました。画面左右と上部のイネーブルドを加えた全10スピーカーシステムになっていて、若干ナローだけど厚みと迫力がある。パワフルで明るい画とも相性の良いサウンドになっていたと思います。
映像メニュー | 10%輝度 (最大) | 全白輝度 (最大) |
---|---|---|
AI自動 | 1,314cd/m2 | 556cd/m2 |
映画 | 732cd/m2 | 764cd/m2 |
映像メニュー | BT.2020 1931カバー率 | BT.2020 1976カバー率 |
---|---|---|
映画 | 80.68% | 82.44% |
映像モード | 入力遅延 4K60p | 入力遅延 2K120p |
---|---|---|
ゲームダイレクト | 12.5ms | 3.6ms |
HDMI入力信号 | 対応状況 |
---|---|
4K120fps | 〇 |
ゲーム用HDR10 | 〇 |
ゲーム用Dolby Vision | 60Hzまで |
4K50Hz | 〇 |
1440p | ー |
非圧縮ステレオ | 〇/〇 ※1 |
非圧縮5.1ch | ー/ー ※1 |
非圧縮7.1ch | ー/ー ※1 |
ドルビーデジタル | 〇/ー ※1 |
DTS | ー/ー ※1 |
Dolby Atmos | 〇/ー ※1 |
DTS:X | ー/ー ※1 |
※1:ゲーム音声オフ/オン時
入力信号 | 対応 |
---|---|
リニアPCM 2ch(192kHz/24bit) 入力時のARC伝送 ※2 | ー(48kHz/16bit) |
リニアPCM 5.1ch 入力時のeARC伝送 ※3 | 〇 |
※2:UHD BD「宮古島」→パナソニック「DMR-ZR1」→TV→マランツ「MODEL 40n」
※3:Nintendo Switch→TV→シャープ「AN-SX8」
電源ケーブル | 対応 |
---|---|
着脱 | 〇 |
パナソニック「TH-65MX950」:LEDフルパワーで明るさ重視。超解像も◎
阿部:今年7月に発売したパナソニックの液晶ビエラ「MX950」シリーズは、ビエラ初のミニLED×量子ドット採用モデル。バックライトの駆動電力を明るい部分に集中させてコントラスト感を高める技術のほか、専用メニューも設けるなどゲーム機能にも力を入れてきました。発表時点での想定価格は、約40万円前後。11月下旬時点では30万円を切る価格で販売されています。
阿部:他のミニLED液晶と大きく毛色が違ったのが、このMX950。一般的なミニLED液晶は、明暗をよりハッキリさせるためにバックライトを制御して、明部は光量をより強く、そして暗部はより絞ってなるべく黒く……といった使い方ですけど、このモデルで放送番組を見るとミニLEDをフルパワーで炊いているみたいに明るかった。
映像表示にとって輝度は大切な要素ですし、リビングなどの明るい環境では明るさを重視した画作りも向いていると思います。ただ暗室の環境で映画作品を見ると、このモデルだけ暗部、そして上下の黒帯まで浮いてしまうのが気になりました。YouTubeにアップしたマスモニとの比較映像ではその様子が分かりにくいのですが、実際は暗部の浮きが結構目立ちます。
秋山:RGBバランスを見ると、シネマモードでもブルーが強めで、実際に夜景のシーンを表示すると、暗部が“紺色”になってしまう。最初「設定でも間違えているのでは?」と、リセットしたり、ケーブルや入力端子を変えたり、映像設定を見直したりしたけど、動作は変わりませんでした。
西川:小さなブロックや星空を表示しても画面全体が明るくなってしまったり、確かにローカルディミングの追い込みはもう一歩でしたね。何というかこの機種は、暗室での視聴を全く想定していないのではないでしょうか。照明を点けた状態で見れば、暗部の浮きはそれほど目立たないですしね。地デジも、色温度をD93にしたマスターモニターの色味には一番近かったですよ。
秋山:個人的に感心したのが、超解像の性能ですね。鮮鋭感が抜きんでている。夜間の空撮映像を見ると、遠くにあるビルや窓の形までクッキリ見えるんですよ。
この傾向は有機ELビエラの「MZ2500」にも共通していて、まるでレンズのF値をギリギリまで絞ったかのよう。あのカリカリとした解像っぷりは、ビエラがダントツでしたよ。エンハンスし過ぎなきらいもありますが、エンコードの仕事をしていた時にアップコンバートやダウンコンバートの難しさは経験していますから、あの超解像の処理は凄いなと思いました。
阿部:HDMIの入力設定については気を付けたいですね。HDMI入力を「高フレームレート」対応モードにしてしまうと、バックライトが調整できず、コントラストが浅くなってしまう。画質を重視する場合は、設定を確認した方がよさそうです。
西川:バックライトの制御は映像を先読みする必要があるから、フレームレートを優先させるために動作させていないのかも知れない。ゲームモードを選択したときの動作なら仕方ないけど、拡張モードの選択で切り替わる仕様はちょっと分かり難いかな。
ただ、液晶テレビの中で一番遅延が少なかったことや、Switchのサラウンド音声(リニアPCM 5.1ch)も入力できるなど、ゲーム対応を強く意識してきている点は評価したいですね。
映像メニュー | 10%輝度 (最大) | 全白輝度 (最大) |
---|---|---|
オートAI | 1,622cd/m2 | 731cd/m2 |
シネマプロ | 1,489cd/m2 | 666cd/m2 |
映像メニュー | BT.2020 1931カバー率 | BT.2020 1976カバー率 |
---|---|---|
シネマプロ | 75.10% | 80.29% |
映像モード | 入力遅延 4K60p | 入力遅延 2K120p |
---|---|---|
ゲーム/ゲームプロ | 11.4ms | 3.1ms |
HDMI入力信号 | 対応状況 |
---|---|
4K120fps | 〇 |
ゲーム用HDR10 | 〇 |
ゲーム用Dolby Vision | 60Hzまで |
4K50Hz | 〇 |
1440p | ー |
非圧縮ステレオ | 〇 |
非圧縮5.1ch | 〇 |
非圧縮7.1ch | ー |
ドルビーデジタル | 〇 |
DTS | ー |
Dolby Atmos | 〇 |
DTS:X | ー |
入力信号 | 対応 |
---|---|
リニアPCM 2ch(192kHz/24bit) 入力時のARC伝送 ※1 | ー(48kHz/16bit) |
リニアPCM 5.1ch 入力時のeARC伝送 ※2 | 〇 |
※1:UHD BD「宮古島」→パナソニック「DMR-ZR1」→TV→マランツ「MODEL 40n」
※2:Nintendo Switch→TV→シャープ「AN-SX8」
電源ケーブル | 対応 |
---|---|
着脱 | 〇 |
シャープ「4T-C65EP1」:キモいほどヌルヌル!? 刺激強めな画音は確信犯
阿部:次は“動きが滑らかでショウ”だった、シャープの「4T-C65EP1」ですね。他社に先駆けて、ミニLED×量子ドット採用の液晶をラインナップしたAQUOS XLEDシリーズの第2世代モデル。今回は赤色の再現領域の拡張やAI自動調整、スピーカーユニットの刷新などが行なわれています。発表時点での想定価格は、約49.5万円前後。2022年冬発売ということもあって、11月下旬時点では30万円を切る価格で販売されています。
秋山:アクオスの画って、“原画忠実”とは対極の方向性だと思うんです。指の皮1枚の調整でBDやDVDを作っていた身からすると、そうした細かいニュアンスの違いが分かり難い。ですから自分は、この画をどう受け止めれば良いのか分からなかったのですが、西川さんと一緒に評価していく中で、「ヌルヌルの補完精度は凄い」という着眼点もあるんだな、と勉強になりました。
西川:YouTubeの「ポケットモンスター」を見た時、アクオスだけ、キャラクターも背景も全てヌルヌルと動いてた。横に高速移動するテロップ(ベンチマーク映像)を表示させても、他社に比べてエラーが少なくて、明らかに補間精度が高かった。ちょっとキモいくらいのヌルヌル加減だけれど、すごく力を入れてるんだよね。
阿部:1週間のテスト期間中、オーディオビジュアルに詳しくない方が数名、部屋をのぞきにいらして。「どれがいい?」と尋ねたら、アクオスが人気を集めていました。
秋山:作っているメンバーもそれを承知で、あえて派手で鮮やかな、大衆向けの画作りをしているのだと思う。高速のサービスエリアや、病院の待合室で“映える”画質。だからデフォルトの画は、明らかに我々のような変態をターゲットにしていない(笑)。
西川:ヌルヌルで派手な画も、シニア層を強く意識しているのかもしれないね。うちの母親もそうだけど、齢を重ねた方が持つアクオスのイメージって、未だに亀山モデルだったり、吉永小百合だったりするから。
日本の平均年齢が50歳になって、テレビの音がよく聞こえるスピーカーが売れる時代なのだし、その世代をターゲットにしたモデルがあってもおかしくない。むかし三菱のテレビにシニアモードっていうのがあったくらいだし。
秋山:採点表を見返したら、音質は液晶の中でアクオスに一番いい点を付けてました。映画のようなエンタメとの組み合わせを想定した、迫力重視のチューニングになっていて、視聴に使った「トップガン マーヴェリック」とは特に相性が良かったですよ。派手な画、派手な音がアクオスの狙いなのでしょうね。
映像メニュー | 10%輝度 (最大) | 全白輝度 (最大) |
---|---|---|
AIオート | 1,623cd/m2 | 592cd/m2 |
シネマ | 908cd/m2 | 445cd/m2 |
映像メニュー | BT.2020 1931カバー率 | BT.2020 1976カバー率 |
---|---|---|
シネマ | 82.27% | 87.23% |
映像モード | 入力遅延 4K60p | 入力遅延 2K120p |
---|---|---|
ゲーム | 11.8ms | 3.1ms |
HDMI入力信号 | 対応状況 |
---|---|
4K120fps | 〇 ※1 |
ゲーム用HDR10 | 〇 |
ゲーム用Dolby Vision | 60Hzまで |
4K50Hz | ー |
1440p | 60Hz/120Hz SDR/HDR VRR 48-120Hz SDR/HDR |
非圧縮ステレオ | 〇 |
非圧縮5.1ch | ー |
非圧縮7.1ch | ー |
ドルビーデジタル | 〇 |
DTS | ー |
Dolby Atmos | 〇 |
DTS:X | ー |
※1:120Hzモード1の場合は「HDR+縦解像度半分」、120Hzモード2の場合は「SDR+フル解像度表示」となる
入力信号 | 対応 |
---|---|
リニアPCM 2ch(192kHz/24bit) 入力時のARC伝送 ※2 | ー(48kHz/16bit) |
リニアPCM 5.1ch 入力時のeARC伝送 ※3 | ー |
※2:UHD BD「宮古島」→パナソニック「DMR-ZR1」→TV→マランツ「MODEL 40n」
※3:Nintendo Switch→TV→シャープ「AN-SX8」
電源ケーブル | 対応 |
---|---|
着脱 | ー |
TVS REGZA「65Z970M」:画作りが濃いめに。「ゲームはレグザ」奪還へ気合を入れて!
阿部:TVS REGZAの4K液晶「65Z970M」に移りましょう。ミニLEDと量子ドットに加えて、他社のハイエンド機でも採用例が限られる低反射ARコートや広視野角シートを使うなど“コストマシマシ”で投入された液晶レグザの最上位機ですね。発表時点での想定価格は、約52.8万円前後。11月下旬時点では30万円台半ばで販売されています。
秋山:今回視聴して、ちょっと予想外だったのがレグザの画ですね。全体的に濃いと言うか、重いと言うか。赤味もかなり強く、それだけでも驚いたのですが、一方で、青味を強く感じるシーンもあったりして、今までのレグザの画作りからはガラリと変わった気がしました。
西川:シャープのような彩度が高い色ではなくて、灰色が黒っぽくなるような濃厚さでしたよね。測定データのRGBバランスや、EOTFのS字カーブからも、その味付けが見て取れるかな。
秋山:今回、おまかせAIで視聴した事も関係しているかもしれません。地デジの映像は、ディテールが潰れてしまうくらい、ノイズリダクションを強めにかけたチューニングになっていました。店頭モードのような派手さに近いので、落ち着いた画が好きなユーザーは、標準や放送プロに切り替えた方が良いでしょうね。対照的に、サウンドに関してはスッキリとクリア。液晶の中では2番目に良かったですよ。
阿部:広視野角性能が向上したのもポイントでしょうか。同じパネルを使っているハイセンスの65UXにも言える事ですが、斜めから見ても白っちゃけずに色やコントラストがキープできている。これは高級ブラビアの独壇場でしたが、他社にも広視野角シートが拡大するのは歓迎したいです。
西川:65型くらいのサイズになってくると、例え真正面に座っても、画面の周辺は斜めに見ることになる。広視野角シートがあれば、外周の隅々まで色の変調を来たさずに綺麗に楽しめますから。
西川:それより、入力遅延でパナソニック(MX950)とシャープ(EP1)に抜かされた事は個人的にショックだったかな。だって僕、これまでゲーム実況で「ゲームするならレグザ」って、最近までずっと話していたから(笑)。ゲーミング対応は他社も猛追してきているから、レグザにはもう一度気合いを入れてもらわないと。
映像メニュー | 10%輝度 (最大) | 全白輝度 (最大) |
---|---|---|
おまかせAI | 1,468cd/m2 | 597cd/m2 |
映画プロ | 705cd/m2 | 719cd/m2 |
映像メニュー | BT.2020 1931カバー率 | BT.2020 1976カバー率 |
---|---|---|
映画プロ | 80.62% | 82.46% |
映像モード | 入力遅延 4K60p | 入力遅延 2K120p |
---|---|---|
スタンダード RGB | 12.6ms | 3.7ms |
シューティング | 12.3ms | 3.7ms |
HDMI入力信号 | 対応状況 |
---|---|
4K120fps | 〇 |
ゲーム用HDR10 | 〇 |
ゲーム用Dolby Vision | 60Hzまで |
4K50Hz | ー |
1440p | 60Hz SDR/HDR VRR 48-60Hz SDR/HDR |
非圧縮ステレオ | 〇/〇 ※1 |
非圧縮5.1ch | ー/ー ※1 |
非圧縮7.1ch | ー/ー ※1 |
ドルビーデジタル | 〇/ー ※1 |
DTS | ー/ー ※1 |
Dolby Atmos | 〇/ー ※1 |
DTS:X | ー/ー ※1 |
※1:ゲーム音声オフ/オン時
入力信号 | 対応 |
---|---|
リニアPCM 2ch(192kHz/24bit) 入力時のARC伝送 ※2 | ー(48kHz/16bit) |
リニアPCM 5.1ch 入力時のeARC伝送 ※3 | 〇 |
※2:UHD BD「宮古島」→パナソニック「DMR-ZR1」→TV→マランツ「MODEL 40n」
※3:Nintendo Switch→TV→シャープ「AN-SX8」
電源ケーブル | 対応 |
---|---|
着脱 | 〇 |
ソニー「XRJ-65X95L」:初代液晶テレビ大賞。すべてが好バランスの模範的モデル
阿部:液晶編の最後は、大賞に選出されたソニー「XRJ-65X95L」です。最新世代のXRプロセッサ、ピーク輝度最大30%アップの高コントラスト化、そして国内モデル初導入となる新しいツイーターシステムを搭載した液晶ブラビアのフラッグシップでした。発表時点での想定価格は、約47.3万円前後。11月下旬時点では30万円台前半で販売されています。
西川:測定データのRGBバランスを見ると、グレースケールの30~40%付近でブルーが強くなっていますが、50%以降は安定してます。デルタEの値も低いし、EOTFのカーブもほぼ基準通りになっていて合格点だと思います。
秋山:一昔前のブラビアって“真っ赤”でしたよね。でも今回、開梱し終わって初めて電源を入れた時に「あれ、そこまで赤くないなぁ」と。開梱を手伝ってくれた編集部の方も「マスモニに結構雰囲気が近い」という印象でしたし、実際の測定結果も赤味が抑えられていて、真っ当なチューニングになっていました。赤味も若干残ってはいますが、このくらいの肌色の方が一般的に好まれるのも事実です。マスモニに寄せつつも、家庭用テレビとして巧くバランスを取っているのが好印象でした。
西川:入力遅延が一番大きいこと以外は、僕も模範生という認識かな。良くも悪くも攻めてないというか、量子ドットを使っている割には発色を追い求めず、現実的な範囲に抑え込んでいる印象です。
秋山:放送の画質もノイズが程よく抑えられていて上品に仕上がっているし、ネット動画もバンディングの処理とかが滑らかで、他社のモデルよりもナチュラルに見える。隙がないというか、製品の仕上がりに円熟味を感じました。
阿部:明室はもちろん、暗室で映画を観てもコントラストが良いですよね。バックライトの制御も安定していたし、メリハリを付けるさじ加減が一枚上手。8Kモデル「Z9H」にバックライトマスタードライブ(BMD)が搭載されていますが、光源がミニLEDに変わっても、バックライト制御のノウハウが継承されているのでしょうね。
秋山:ソニーへ一言伝えたいのは「8Kはこれからどうするの?」ってことでしょうか。海外では、毎年コンスタントに8Kを出しているのに、国内ではZ9Hを最後にパッタリ……。AV Watchを読んでいるような読者層であれば、液晶を選択する理由に8Kというのもあると思うんです。8K含めて、攻めたモデルをソニーには是非期待したいです。
<有機EL編へ続く>
映像メニュー | 10%輝度 (最大) | 全白輝度 (最大) |
---|---|---|
スタンダード | 809cd/m2 | 799cd/m2 |
シネマ | 660cd/m2 | 709cd/m2 |
映像メニュー | BT.2020 1931カバー率 | BT.2020 1976カバー率 |
---|---|---|
シネマ | 72.76% | 78.99% |
映像モード | 入力遅延 4K60p | 入力遅延 2K120p |
---|---|---|
ゲーム 拡張フォーマット | 13.5ms | 5.2ms |
ゲーム 拡張フォーマット (VRR) | 17.5ms | 12.3ms |
HDMI入力信号 | 対応状況 |
---|---|
4K120fps | 2Kのみ/〇 ※1 |
ゲーム用HDR10 | 〇/〇 ※1 |
ゲーム用Dolby Vision | 60Hzまで/ー ※1 |
4K50Hz | 〇/〇 ※1 |
1440p | ー/ー ※1 |
非圧縮ステレオ | 〇 |
非圧縮5.1ch | 〇 |
非圧縮7.1ch | ー |
ドルビーデジタル | 〇 |
DTS | 〇 |
Dolby Atmos | 〇 |
DTS:X | ー |
※1:拡張フォーマット ドルビービジョン優先/VRR
入力信号 | 対応 |
---|---|
リニアPCM 2ch(192kHz/24bit) 入力時のARC伝送 ※2 | ー(48kHz/16bit) |
リニアPCM 5.1ch 入力時のeARC伝送 ※3 | 〇 |
※2:UHD BD「宮古島」→パナソニック「DMR-ZR1」→TV→マランツ「MODEL 40n」
※3:Nintendo Switch→TV→シャープ「AN-SX8」
電源ケーブル | 対応 |
---|---|
着脱 | ー |