AV Watchアワード

有機EL“先駆者”LGの最上位「G4」。進化したAIエンジンと超薄ボディ【AV Watchアワード参戦製品(10)】

有機ELテレビ「OLED65G4PJB」

その年に登場した製品から、読者に本当にオススメしたい優れた製品を決める「AV Watchアワード」。2023年に引き続いて今年も“No.1テレビ”を決めるべく、テレビメーカー7社から11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、比較テストを行なった。本稿では11月1日のNo.1モデル発表に先立ち、テストを実施した全11モデルを順次掲載していく。

今回取り上げるテレビは、LGエレクトロニクスが2024年6月から発売している有機ELテレビ「OLED65G4PJB」(61.6万円前後)。製品の概要・仕様の紹介と合わせ、昨年好評だったマスターモニターとの比較動画および各種測定データも合わせて掲載する。

LGエレクトロニクス「OLED65G4PJB」製品概要

世界初の55型曲面有機ELテレビを2013年に発表して以降、テレビ向け大型有機ELパネルの量産や、その映像技術の進化を牽引してきたLG。2024年の4K有機ELテレビは、フラッグシップ「G4シリーズ」(97/83/77/65/55型)、スタンダード「C4シリーズ」(83/77/65/55/48/42型)、エントリー「B4シリーズ」(77/65/55/48型)に加え、4K144Hz伝送を可能にしたワイヤレスモデル「M4シリーズ」(77/65型)を新発売。上は97型から下は42型まで、全7サイズ17機種という豊富なラインナップを揃えている。

最上位の「G4」は、2023年のAV Watchアワードで大賞を獲得した「G3」シリーズの後継機。

微細なレンズを多数埋め込むことで輝度・視野角を稼ぐ“マイクロレンズアレイパネル(MLA-OLED)”を使用しているのが特徴(97型のみMLA非搭載)で、独自のAIプロセッサーとの合わせ技により、LG史上最高輝度を実現した。

また画質面だけでなく、インテリア性を考慮した「One Wall Design」を採用しているのもポイント。壁にぴったり密着させた設置が行なえるようになっている。

ベゼル部分
設置イメージ

処理性能を大幅に高めたプロセッサ「α11 AI Processor 4K」を搭載。プロセッサによる輝度向上テクノロジーによって、2024年モデルの「B4シリーズ」比で最大150%の輝度アップ(APL3%時)を実現。更なる明るさを実現しつつ、斜めからの見た時の視野角特性も改善させている。

AI映像技術もアップデート。低解像度の映像を高精細な8K/4K画質に変換する2024年版の「AIスーパーアップスケーリング」では、ピクセル単位で映像を計測して、被写体の表情を自然に仕上げるチューニングになり、より自然で繊細な高精細映像を目指している。

映像の感情までも再現するという「AIディレクター処理」も新搭載。映像の色の分布をAIがリアルタイムで解析し、フレーム単位で映像制作者が意図した“感性”を特定。映像に込められた感情を、配色理論に基づいて、より感動的な画質で表現するようになった。

対応するHDR規格は、HDR10、HLG、Dolby Vision。フレーム補完機能をオフにして、製作者の意図通りの画質を再現する「FILMMAKER MODE」も搭載。NetflixやPrime VideoなどのDolby Visionコンテンツに対しても、FILMMAKER MODEの適用が可能。この仕様は現在LGテレビだけが行なえる。

4K/144Hz表示も初めてサポート。VRRを適用させることで、PCなどからの高リフレッシュレートゲームをなめらかに表示できる。従来通り、HDMI 2.1で規定されているeARCやVRR、 ALLM、QMSのほか、0.1msという高速応答性も備えている。

サウンド処理も進化。バーチャルサウンドが従来の9.1.2chから11.1.2chになったことに加え、「AIボイスリマスタリング」を初搭載。BGMや環境音と音声をAIが分離させてリマスタリングを行ない、音声をクリアで歯切れよくすることで、さらに聞きとりやすくした。

LG独自のwebOS(バージョンは24)を搭載しており、NetflixやYouTubeなどでの動画視聴や、スマホ/タブレットとの画面共有、Bluetoothを使った音楽鑑賞、Webブラウジングなどが行なえる。

搭載チューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。別売のUSB HDDを用意すれば、地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画が可能。

側面

HDMI入力は4系統で、すべての端子がHDMI 2.1をサポート(48Gbps)。光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は3系統。

消費電力は516Wで、年間消費電力は242kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、144.1×26.3×86.5/91cm(幅×奥行き×高さ)/29.1kg。

マスターモニターとの比較動画、および各種測定データ

【AV Watchアワード】有機ELテレビ⑤LG Electronics「OLED65G4PJB」~マスターモニターとの映像比較
※これはHDRで撮影した映像です。鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
パネル性能
映像メニュー「シネマ」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
輝度値 ※測定モデルは65型、各モードデフォルトの数値
映像メニュー
「標準」
G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
1,285 cd/m21,228 cd/m2
全白輝度
(最大)
237 cd/m2216 cd/m2
映像メニュー
「シネマ」
※G3は「シネマダーク」
G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
10%輝度
(最大)
1,410 cd/m21,331 cd/m2
全白輝度
(最大)
218 cd/m2197 cd/m2
カラースペクトラムとBT.2020カバー率 ※測定モデルは65型、各モードデフォルトの数値
カラースペクトラム
映像メニュー
「シネマ」
※G3は「シネマダーク」
G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
BT.2020
1931カバー率
73.19%72.92%
BT.2020
1976カバー率
76.11%75.02%
画素構造
入力遅延と仕様 ※測定モデルは65型、各モードデフォルトの数値
映像メニュー
「ゲームオプティマイザ」
G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
入力遅延の防止
標準
4K60p:9.0ms
2K120p:0.8ms
4K60p:9.1ms
2K120p:0.9ms
入力遅延の防止
ブースト
4K60p:1.4ms
2K120p:0.8ms
4K60p:1.5ms
2K120p:0.9ms
HDMI入力信号G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision120Hzまで120Hzまで
4K50Hz
1440p120Hzまで120Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他G4
(2024年モデル)
G3
(2023年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
阿部邦弘