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LG、マイクロレンズで2000nit超の高輝度4K有機ELテレビ「G3」。唯一の77型も

65型「OLED65G3PJA」

LGエレクトロニクス・ジャパンは、一般的な有機ELテレビよりも明るさが最大70%向上した“高輝度”4K有機ELテレビ「G3」シリーズを7月上旬より順次発売する。55型、65型、77型の3サイズを用意。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は43万円前後から(55型)。

4K有機ELテレビ「G3」シリーズ
・77型「OLED77G3PJA」 約88万円 7月上旬発売
・65型「OLED65G3PJA」 約61万円 同上
・55型「OLED55G3PJA」 約43万円 同上

LGディスプレイがCES2023で発表した、第3世代有機ELパネル「マイクロレンズアレイOLED」(MLA-OLED)を採用した、4K有機ELテレビのフラッグシップ。

パネル内部の反射によって失われていた光を、微細なレンズで効率的に取り出すことにより、大幅な高輝度化を実現。消費電力を維持したまま、ピーク輝度2,000nits超を達成した。さらに、視野角も向上。斜めから観た時の明るさや色再現も改善した。

独自のAIプロセッサーは第6世代へ進化。より精緻なトーンマッピングでHDR画質の向上を図ったほか、2ch音源の9.1.2chアップミックス化、好みの画を選択するだけでユーザー好みの画質に調整してくれる新機能「パーソナルピクチャーウィザード」、HDMI2入力の2画面表示など、他社のテレビにはない独自機能も盛り込まれた。

MLA-OLEDパネルの搭載は、パナソニックの4K有機ELビエラ「MZ2500」に次いで2モデル目となるが、77型MLA-OLED機は、LGの「OLED77G3PJA」が唯一。

77型「OLED77G3PJA」

マイクロレンズで“とにかく明るい”4K有機ELテレビ

G3シリーズ最大のトピックが、前述したMLA-OLEDパネル(4K/3,840×2,160ドット)の採用。

MLA-OLEDは、有機EL層と表面ガラスの間にアレイ状のレンズが埋め込まれているのが特徴で、65型の場合、1ピクセル当たり3,600個以上、合計約300億個にもなる約5.9ミクロンの微細なレンズが敷設されている(77型の場合は約424億個、55型の場合は約215億個)。

従来の有機ELパネルは、発光した光の一部がパネル内で反射するなどして十分に出力されない弱点があった。MLA-OLEDはこれを改善するために開発された技術で、内部で反射した光をマイクロレンズによって画面側に“屈折”させることで、光の効率的な取り出しに成功。前モデルG2で採用したOLED evo技術、そして独自のブライトネスブースターマックス制御を組み合わせることで出力効率を最大化。

結果、2022年発売のスタンダードモデル(B2シリーズ)と比較して、消費電力を上げることなく、輝度の70%アップ(最大)を実現。正面から観た時のコントラスト感はもちろん、斜めから観た時の明るさやカラーボリューム低減を大幅に改善させた。

2022年モデル(OLED65G2PJA・写真左)と、最新モデル(OLED65G3PJA・右)の映像比較。2022年のフラッグシップ機と比べても、あらゆるシーンで輝度の大幅な向上が見て取れる

写真を選ぶだけで、テレビが好みの画に調整してくれる「パーソナルピクチャーウィザード」

人工知能統合映像エンジン「α9 AI Processor Gen6」を採用。第6世代エンジンでは、ジャンルやシーンをリアルタイムに検出して、よりリアルな映像を描写する「AI映像プロ」の調整プロセスをリビルド。

第一段階では、AIが映像を分析し、各種ノイズを除去したのち、映像を4Kにアップスケーリング。視聴者がもっとも注目する顔や体、文字をAIが認識して強化するようにした。

第二段階では、1フレームを5,000以上のゾーンに分割し、それぞれのゾーンごとに最も明るい部分と暗い部分を検出。エリアごとにトーンマッピングを適用することで、画質を調整してコントラストを高める。さらに今年は、20,000以上に分割の上、グレースケール分析を実施。エリアごとの明るさを向上させる工程を追加した。

そして最終段階では、映像の中で、視聴者がもっとも注目するであろう人物やオブジェクトを検出し最適化。加えて、前景と背景を判別し、シャープネス、コントラストを調整する事でより立体的でリアルな映像に仕上げるように。地上波でも、ネット動画でもあらゆるコンテンツに合わせて、最高レベルの映像を映し出すことを目指した。

面白い機能が、新たに追加された「パーソナルピクチャーウィザード」。

これは「テレビの画質に詳しくない人でも、より簡単に、自身にあった画質で楽しめるように」という想いから開発されたというもの。

テレビを購入したユーザーは、画面の案内に従って、表示された6枚の画像の中から、自身が好ましいと感じる画像を1~2枚選択。この作業を6回繰り返すことで、AIがユーザーの好みの画の傾向を判別。8,500万通りの中から、AIがユーザー好みの画と判断したチューニングにして映像を楽しむことができる。

表示された6枚の画像の中から、自身が好ましいと感じる画像を1~2枚選択
この作業を6回繰り返す
「シャープで涼しげな映像」が好み、と判定された
テレビがチューニングした映像は、映像モードに格納される

HDRは、HDR10、HLG、Dolby Visionをサポート。周囲の明るさに合わせてDolby Visionコンテンツの映像を自動最適化し、明るい部屋でも暗い部屋でも、美しい映像が楽しめるDolby Vision IQにも対応する。

2chの音源ソースもバーチャル9.1.2chの立体音響で楽しめる

AIが今見ている映像のジャンルを分析して、ジャンルに合わせたサウンド調整と、バーチャルサウンドへの変換を行なう「AIサウンドプロ」は第6世代へ進化。

従来のアダプティブサウンドコントロール(ジャンルに応じてチューニング)、オートボリュームレベリング(音量レベルの一定化)に加えて、「AIクリアサウンド」「オートバランスコントロール」を追加。

AIクリアサウンドでは、音色と音の輪郭を補正し、音をクリアにすることで、画面から音が聞こえるように調整。オートバランスコントロールでは、音量によって、高音や低音の聞こえ方の違いを均一に自動調整する仕組みを導入。バランスを調整することで、音全体を聞き取りやすくなるようにした。

さらに、新モデルでは、従来の7.1.2chから9.1.2chへとバーチャルサラウンド機能が大幅進化。2chの音源ソースもバーチャル9.1.2chの立体音響で、包み込まれるような臨場感あふれる視聴体験を可能にした。

HDMI入力の4系統で、HDMI2.1をサポート。XboxやPlayStation、PCなどのゲームを大画面で楽しめるほか、8K60p、4K120p、VRR、ALLM、eARC/ARCなどの信号にも対応。応答速度1msで、レースゲームなど画面の切り替えが速いシーンでも残像感が少なくクッキリ表示。スピード感あふれるゲーム映像が楽しめる。

ビデオカードとテレビのリフレッシュレートを同期させることで、ゲームの映像で発生するズレやカクつきを抑制するNVIDIA GーSYNC Compatible、AMD FreeSync Premiumテクノロジーに対応。4K120pのDolby VisionとDolby Atmosでのゲームプレイも楽しめる。

自身のプレイ環境やゲームジャンルに合わせて、画質モードを選択できる「ゲームオプティマイザ」や、ゲームプレイ中も現在の設定が一目でわかる「ゲームダッシュボード」機能も引き続き搭載する。

クラウドゲームサービス「GeForce NOW」にも対応。ゲーム機器を接続しなくても、90以上の無料ゲームタイトルを含む1,000以上のゲームが楽しめる。

初「TVer」対応。リモコンに「NHKプラス」も

独自プラットフォームの「webOS」は、バージョン2023へ進化。

画面右上のマイプロフィールから、アカウントの切り替えが可能。プロフィールに基づいておすすめのコンテンツ表示やホーム画面のアプリをカスタムできるようにした。

クイックカード機能では、ホーム画面に「ホームオフィス」「ゲーム」「音楽」など、アプリをジャンルごとにまとめたカードを新設。カードの順番は自由に編集でき、頻繁に使用するアプリをすぐに起動できるようになった。

最新のwebOSインターフェース
2022年モデルとのGUI比較。2022年のGUI「トレンド」の部分が、頻繁に使用するアプリを格納できるクイックカードに切り替わった。なお、2022年モデルをアップデートしてwebOS 23にすることはできない

対応するネット動画は、Netflix、Hulu、Amazon Prime Video、DAZN、UーNEXT、YouTube、JOYSOUND.TV、Disney+、Apple TV、Paravi、Weverse、twitchに加えて、2023年モデルからは「TVer」と「WOWOWオンデマンド」をサポート。様々な動画配信サービスがテレビで楽しめるようになった。

さらにテレビリモコンには「NHKプラス」「hulu」「TVer」が追加。従来の「Netflix」「Disney+」「Prime Video」「U-NEXT」と合わせて、全7サービスのダイレクトボタンを用意した。

リモコン
テレビリモコンには「NHKプラス」「hulu」「TVer」が追加
2022年リモコン(写真右)との比較

ハンズフリー音声認識に対応し、テレビに話しかけるだけで基本操作が可能。リモコンに話しかければ、GoogleアシスタントとAmazon Alexaも利用可能。Apple AirPlay2にも対応しており、iPhoneやiPadなどで再生中の音楽や動画などをテレビでストリーミング再生できる。

テレビの上部に取り付け可能な専用カメラ「LG WebCam」(1.6万円前後)をアクセサリーとして新たに販売。これにより、テレビでビデオ通話を楽しんだり、オンライントレーニングで自身の動きを撮影して確認できるようになる。カメラにはプライバシー保護用のシャッターも搭載する。

専用カメラ「LG WebCam」
背面部分

2つ映像デバイスやコンテンツを同時に表示させる、マルチビュー機能も引き続き搭載。 「YouTubeでトレーニング動画を見る×Webカメラで自分を映す」、「地上波放送×Miracastでスポーツ中継を同時に見る」、「ゲームをしながら×YouTubeで攻略動画を見る」といった組み合わせに加えて、'23年モデルではHDMI2系統のマルチビューにも対応。異なる2つのPC画面を左右に表示できるようにした。

23年モデルではHDMI2系統のマルチビューにも対応した

G3シリーズは「One Wall Design」を採用。専用の壁掛け金具「壁密着型スリムマウント」を使用すれば、壁にぴったり密着させて設置可能。圧迫感のないスッキリした佇まいでリビング設置できる。

チューナー数はBS 4K/110度CS 4K×2、地上/BS/110度CSデジタル×3。