プレイバック2017
4Kアクションカムと360度カメラは、音もきれいに録るべし by 日沼諭史
2017年12月21日 07:45
GoProをはじめとするアクション系カメラでは、とにかく「映像がどうだ」という部分に目が行きがちなのだけれども、筆者はできれば「音もきれいに撮りたい」派。2017年は、そういう意味で音にこだわったカメラ環境を少しは整えることができた1年だったように思う。
ソニー「FDR-X3000R」+TASCAM「TM-2X」
例えば、ソニーのアクションカム「FDR-X3000R」(購入価格約6万円)。発売以来ずっと気になっていた4K/30p対応で光学ブレ補正機能を備えるFDR-X3000と、小型リモコンがセットになったモデルだが、これを2017年の半ばになってようやく購入することができた。ブレの少ない4K映像を撮影できる点はもちろんだけれど、外部マイク入力端子が使いやすいのが決め手になった。GoProのように、世代が変わるたびにどんどん端子が変わっていくのにはちょっとうんざり気味なのである。
このFDR-X3000に、外部マイクとしてTASCAMの「TM-2X」(購入価格約1万円)というステレオマイクを組み合わせた。もちろんそのまま装着できないので、フォステクスの外部マイク「AR101L」用のホルダーと、アクションカム用アクセサリー「ヘルメットサイドマウント VCT-HSM1」、それに両側オスネジの三脚ネジアダプター「ETSUMI 止めネジ E-6603」を使う。
これらを組み立てると、なんとFDR-X3000のリモコンも装着した状態で、全体を片手で保持しながら、外部マイクで録音しつつ撮影できるのだ。まあ、見てくれはスタイリッシュではないし、実はFDR-X3000が取り付けられている右側にやや重心が偏っていて長時間持っているのは少々疲れる。が、そのままウエストバッグに入るサイズなのと、ヘルメットサイドマウントのおかげでカメラの上下向きを変えやすいので、リモコンのモニターが見やすい位置で保持できるのがなにげに素敵ポイントだったりする。
アクションカメラ系の内蔵マイクはどうしても“おまけ”感があり、実際の音もだいたいチープなのだが、外部マイクにすると本当に音質が激変する。そして、ただ音質が変わっただけで、後で再生して振り返るときの“映像体験”は段違いなものになる。取材で海外へ行ったときに撮影した街の様子を、土産話として家族に披露するとき、音の良し悪しでその街の雰囲気の伝わり方は2倍にも3倍にもなると感じる。マジで音、重要。
ただし、筆者が試してみたなかでは、弦楽器の生演奏でその場で聞こえていた極低音は「TM-2X」を通すとすっかり抜け落ちていたので、どんなシーンでも万能、というわけではない点に注意しておきたい。
リコー「THETA V」+「3Dマイクロフォン TA-1」
でもって次が、2017年9月に発売されたリコーの「THETA V」(購入価格約5万円)。360度カメラの本命であることは間違いないので発売日にさっそく手に入れた。FDR-X3000で音の重要性を改めて実感していた筆者にとって、同時に純正アクセサリーの「3Dマイクロフォン TA-1」(購入価格31,590円)を購入することに迷いはなし。マイク単体の値段が3万円超えなのは見ないフリをすることにした。
THETA Vの場合も、この3Dマイクロフォンによる360度の空間音声のおかげで、やはり内蔵マイクとは段違いの音質で収録できる。比較的低音から高音まで、まんべんなく繊細に捉え、360度映像とともに視聴したときの臨場感は内蔵マイクのものとは格が違う。
MotoGPのバイクの排気音は、現場で聞いたそれにかなり近い音を再現してくれた。以下にそのサンプルサウンドを掲載したので聴いてみてほしい。残念ながら、事情により映像が使えず、サウンドのみにしたところ、変換の都合でモノラル出力になってしまった。実際には360度映像の視点変更に合わせて迫力のサウンドが奏でられるのだが、それを体験できない点についてはご容赦いただきたい。
アクションカメラや360度カメラの用途から考えると、とりあえず映像が撮れていればオッケー、みたいな雰囲気がまだまだ強いと思うのだが、実際のところ撮影時の体験は周囲の音を含めてのもの。それをできる限り正確に再現したいと思ったら、外部マイクを使う選択肢しかもはやないな、と思う次第である。
FDR-X3000R ライブビューリモコンキット | TM-2X |
---|---|
RICOH THETA V | RICOH TA-13Dマイクロフォン | RICOH THETA パーフェクトガイド II |
---|---|---|