プレイバック2018
モバイルバッテリー革命で屋外4K編集も! 断捨離とモバイル強化の1年 by 小寺信良
2018年12月20日 07:45
MacBook Proを使い倒す
今年はあまり大きな買い物はしなかったのだが、その代わり家庭内では10年間固定していた1階の仕事部屋を2階に移し、その機会に色々古い機材やケーブルを断捨離した。捨てたモノのの方が多く、身の回りはずいぶんすっきりした1年であった。
筆者はパソコン用のキーボードマニアで、古いものから珍品まで20数台がゴロゴロしていたが、特殊用途のもの以外は全部売り払った。勢いでマウスやDVIケーブル類まで全部捨ててしまい、たまにデスクトップ機のレビューが来ると繋ぐものがなくて右往左往する始末である。
オモチャクラスのドローンも趣味でずいぶん買ったが、これも全部捨てた。そのうちDJI Mavicシリーズなど、ちゃんとした機体を1台買って、気持ち的にシメたいと思っている。
仕事環境の変化としては、原稿書きマシンを2016年に購入したMacBook Proに一本化したことは大きかった。これまで自宅では、Mac Miniの2014年モデルを使ってきたが、日本語変換が重くなってしまい、実用に耐えなくなった。そこでMac Miniはサーバ機として引退させ、自宅でもモバイルでも、MacBook Pro 1台で原稿を書いている。
自宅では4Kテレビをディスプレイとして使っているのは相変わらずだが、「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」に電源とキーボード、4Kテレビが全部繋がるので、出かける時はアダプタを根元からスポッと抜くだけ、帰ってきたらプスッと挿すだけだ。トラックパッドはBluetoothで勝手に繋がるので、思ったより楽ちんである。
革命期を迎えたモバイルバッテリー
筆者は仕事柄、映像コンテンツを作ることが多いが、モバイルではやれる状況が限られてきた。MacBook Proぐらいのパワーがあれば4K編集も可能だが、バッテリーが持たない。Appleの公称値は10時間程度で、テキスト仕事ならそれぐらいだが、4K編集ともなるとGPUまでフル稼働するので、1時間半程度でカラになる。したがって、コンセントが確保できる場所でしか、モバイルで編集できなかった。
この問題を、モバイルバッテリーが解決した。cheeroから5月末に発売された「Power Deluxe 20100mAh」はUSB PD 45Wに対応する。MacBook Proの純正ACアダプタはPD 60Wだが、45Wでも使用しながら継ぎ足し充電が可能だ。容量は72.96Whとあるので、MacBook Pro内蔵バッテリ(49.2Wh)を約1.5回分充電できる。MacBook Proがフル充電であれば、トータル2.5倍使えるわけだ。
だいたい3時間あれば1本のニュースコンテンツは十分編集できるので、初めてACアダプタなしで、外出先から映像作品の編集を完了できた。
もう一つ、方法論を変えたモバイルバッテリーが、Omnichargeの「Omni20」だ。USB×2の出力があるのは普通だが、ACコンセント出力があるのがポイントだ。
筆者はリビングでテスト撮影する機会が多いが、LEDのビデオライトを使いたい場合、コンセントが空いていない、あるいはコンセントまで届かないというケースが多い。そこでOmnichargeのACコンセントにLEDライトを繋ぎ、好きな場所にセッティングしている。本来ならばビデオライト用のバッテリーを購入すべきだろうが、それほどの頻度で必要なわけではないので、割高になってしまうのである。
またメーカーからお借りしたカメラの場合、予備バッテリーが付属していない事がある。1個のバッテリーで撮影が完了できればいいが、事前に十分充電ができなかった場合、途中でバッテリー切れになる可能性もある。このようなときに、バッテリー充電器とOmnichargeがあれば、1箇所で撮影したのち、移動中に継ぎ足し充電することもできる。
加えてOmnichargeは、DC出力も可能だ。ノートPCを充電する場合、直流であるバッテリー出力からACアダプタを経由してまたDCに戻し、PCに入力するのは電力効率が悪い。Omnichargeは充電用のDCコネクタから出力することもでき、付属の各種変換ケーブルを使ってパソコンへ直接入力できる。現在長期レビューとしてレノボから「Thinkpad X1 Extreme」をお借りしているが、Thinkpad用コネクタへの変換ケーブルもある。
面白いのは、「逆変換コネクタ」も付いているところだ。つまり、メス側である。これで何をするかというと、ThinkpadのACアダプタでOmnichargeが充電できるのだ。つまり、ACアダプタはどれか1個持っていけば、組み合わせでどうにかなるのである。来年早々CES取材で長期出張するが、電源周りはかなりシンプルにできそうだ。
モバイルバッテリーはすでに多くの人にとって当たり前の道具になってきたが、ほとんどはスマートフォンの充電用途だ。だが大出力が可能になったおかげで、モバイルコンピューティングもかなり様相が変わった。
来年にはスマホアーキテクチャのコンピュータも登場が期待されており、コンピューティングとバッテリーの関係は、もう一歩前進できるだろう。