プレイバック2022

原付二種で、生活が彩り豊かに! by 橋爪 徹

今年一年、筆者の毎日を彩り豊かに変えてくれたのは125ccのスクーター、いわゆる原付二種だ。原付二種といえば、国内では50cc以下の原付と並ぶほどの販売台数を誇る小型バイク(2021年は12万5,674台:日本自動車工業会調べ)。コロナ渦の影響もあって、電車からバイクに通勤手段を変える人が増えたのか、ここ10年ほぼ横ばいだったおよそ10万台から大きく販売台数を伸ばしている。

時速30km制限がなく、二段階右折も必要ない、軽自動車税は年間2,400円(91~125cc)、さらには車検要らずとメリットばかり。実用度抜群の原付二種は、今は日本のみならず、世界でも小型バイクのスタンダードといえるだろう。唯一の不満点は、高速道路や自動車専用道路が走れないことくらいか。

ヤマハのアクシスZ

筆者が7月から乗り始めたモデルは、ヤマハのアクシスZ。2022年3月にマイナーチェンジを果たした、ヤマハのスクーターでもトップレベルの人気を誇る車種らしい(二輪車新聞の推定によると、2021年は8,800台販売)。

筆者の趣味は、軽登山や自然公園巡りなのだが、前々から移動手段に難儀していた。公共交通機関に頼ると、時間やお金が物理的にも精神的にも大きな負担となっていたのだ。特にバス代が高く、田舎になるほど本数が少なく待つのが辛い。かといって、車を買うお金はないし、維持費なんてとんでもない。となると、バイクか? でも、MT車は興味が無いし……と悩んでいたら125ccという原付二種があることを知った。

齢40にして、自動車学校に通い必死の思いで免許を取得。初めてガソリンで動く乗り物をゲットするに至った。お恥ずかしい話だが、高校三年のとき普通自動車免許を取得したものの、一度も乗らずにゴールド免許である。

車も乗ってない、原付すら乗ってない筆者がいきなり原付二種に乗ったものだからさあ大変! 公道デビュー早々に、家の前の生活道路で単身転倒、ピカピカの本体に傷を付けるセルフ事故(怪我なし)から始まり、ガソリンスタンドで初めての給油にあたふた。最近では、冬の寒さを甘く見て帰り道でガクブルになるなど、日々新しい教訓や学びの機会が尽きないのである。無知や油断は、そのまま事故に直結するので、常に自分の認識をアップデートしていこうと肝に銘じる次第だ。

これまで、近場の大型商業施設や公園はもちろん、いろんな場所へ出掛けた。富士スバルライン、相模湖、御岳山、奥多摩湖、昭和記念公園、八王子城跡、小峰公園などなど。筆者は東京西部に在住しているので、山梨方面や横浜方面はこれから積極的にチャレンジしていきたい。来年の目標は、東伊豆辺りで一泊旅行だ。

富士スバルラインにも行った!
奥多摩湖にも挑んだ

旅行と言えば、アクシスZは125ccスクーター最大級のシート下収納スペースを誇る。なんと37.5リットルの超大容量。ジェットタイプのヘルメットでも形状によっては2個入ってしまう。筆者が富士スバルラインに行ったとき、体力面を考えて泊まりにしたのだが、荷物はしまむらで買ったボストンバックに突っ込んで収納スペースに入れた。背中のリュックと合わせて一泊旅行には十分であることが分かり、今後のワクワクが止まらない。リアキャリアを外付けしなくてもいいから、ルックス的にもかなりポイントが高い。

スクーターに乗って分かったこと。まず、公道の運転は怖い。バイクは自分の肉体が剥き出しなので、事故に遭ったときに身体へのダメージが非常に大きいことが想定される。法規走行を守るだけでなく、いかに自分が事故に遭わないか、かつ他人を事故に巻き込まないかを考えて走行しなければならない。筆者も慣れてくると、つい油断をしてしまうので、たまにあるヒヤッとする瞬間は原因を精査し、気を付けるようにしている。

次に言いたいのは、バイクでの走行は本当に楽しい。AT車=スクーターであっても、景色や空気を楽しみながら、風を切って走り抜けていく感覚は、言葉に表せないほどの感動と快感をもたらしてくれる。MT車と違って、スクーターは乗ること自体を楽しむ乗り物ではないと思われている方も多いと思うが、乗り物自体が初めての筆者にとって、それは杞憂だった。十分に楽しい。移動手段のために購入したバイクが、乗ること自体も楽しくなるとは、二重の意味でお得な気分だ。ついでに言うと、自分の運転でたどり着いた先で楽しむ絶景は、格別の達成感と満足感があってやみつきになる。

しかし、乗り始めて5カ月経った今も、公道を走る怖さとバイクで走る楽しさは同居している。すっかり運転にも慣れたとき、楽しさだけで怖さがなくなってしまうのは、目指すべき理想だろうか。いや、案外そうでもないかもしれない。怖さというのは、意識的にも無意識的にも気を付ける動機付けになる。もちろん、怖くなくたって気を付けて運転しなければいけないのだが、人間だし油断はしてしまうものだ。怖いのは当然。無理な運転をしなければ無駄な恐怖は生まれないし、逆に油断して楽しさだけで運転したら事故を起こすかも知れない。今後も怖さと楽しさとはうまく付き合っていく術を探し続けたいと思う。

125cc原付二種は、筆者の生活を大きく変えてくれた。今では、週に1度のジム通いもアクシスZと一緒だ。身につけるバイク用ウェアは、ラフアンドロードとMOTORHEAD RIDERSで着々と揃えている。通勤に使わなくとも、原付二種はアリだ。40歳を過ぎて、こんな新しいトキメキが見つかるなんて思ってもみなかった。来年もアクシスZとともに、新たな景色を探しに行きたい。そして、求むバイク仲間(笑)!

橋爪 徹

オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。Webラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。Beagle Kick公式サイト