プレイバック2022

13年ぶりに「アバター」ブームがやってきた(私だけ)by 編集部 阿部

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』スポット「これぞ最高の映画体験」編 大ヒット上映中!

みなさん、元気に“アバ活”してますか? 私は先日も、2度目のドルシネ鑑賞……からのアバオールナイトしてきました(ドルシネでゆっくりしてたら終電逃した)。25時上映開始ということもあって、パンドラの海ではなく、ドリームの海にダイビングされている方も数多く見受けられましたが、上映後「映像、めちゃくちゃ凄かったね!」とコーフン気味に語っている若い子に遭遇すると、「だろう? この後よければ、おじさんと一緒に喫茶でアバトークするかい?」と声をかけたくなっちゃいました。

すでにご承知とは思いますが、12月16日よりシリーズ最新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(通称「アバター2」)の公開が始まっています。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」。今回のテーマは「家族」「海」
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

AV Watchも積極的に(というか私がかなり強引に)、関連ニュースをしつこく発信しまして、一時はトップページがナヴィ顔でブルーに染まる「AVatar Watch」と化しましたが、結果としてはたくさんの方に読んでいただけたようで感謝感謝でございます。

が、しかし。

気のせいでしょうか? 記事の反響、そして私のアバターブームとは対照的に、公開から2週間経過しても、家族や友人、知人から「アバター見てきた」感じが伝わってきません(もちろんSNSなどでは、映画好きの方々を中心に多くの方が鑑賞されている模様)。

それとなく話を振っても、「予想以上に、スラムダンク(『THE FIRST SLAM DUNK』)が面白かった!!」とか、「『すずめの戸締まり』傑作だね! もう一度見たい!!」とか、「『かがみの孤城』が気になる」とかばかり。「アバター」も、「アイシーユー」のアの字も聞こえてきません。

ホワイ、ジャパニーズピーポー。

4K×3D×HFR×HDR×立体音響の映像・音響を体験しなくていいの?

思えば、9月から数週間限定で公開された「アバター ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター」の時も冷めた空気でしたよ。

「アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター」
(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「13年前に映画館で観たであろうアバターの品質とも、3Dテレビで観たアバターとも違う! 今回のリマスターは、映像・音声の品質が大幅に強化されているし、進化した劇場設備も手伝って3D体験は全くの別モノ!! 先入観なしに映画館でまずは観てみて! あと、本編終了後に流れるアバター2特報(全3種)もヤバいから! あれを見なければ、キャメロンがなぜ3D/HFRにこだわっているのかが理解できないよ!!」と周囲に伝えても、まったくの無風。

3Dリマスターの絶賛公開中に、とあるプロジェクターメーカーの開発陣と話ができたので、ここぞとばかりに「観ました? 本当にヤバいです。これで3D再燃するかもですよ!!」と鼻息荒く話題を振っても、鑑賞者ゼロ。ほかの映像メーカーも同様で、共感の輪どころか、むしろ「なるほどですね」「そうですか」とドーナツ化現象を引き起こす始末だったのです。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」での撮影風景。こうゆう写真を見ると興奮しませんか?
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

たしかに、3Dリマスター×5回、アバター2×4回鑑賞している私の方が、傍から見たらイッちゃってるのでしょう。そんな奴に誰も近寄りたくないし、関わりたくない気持ちもよく分かります。

だけれども。先日のレビューでも記した通り、アバター2は、4K×3D×HFR×HDR×立体音響を盛り込んだ、世界最高品質の映像と音響に仕上がっているのです。これを映画館ならではの大画面と音響で体験しないなんて、これほどモッタイナイことはありません。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」より。とにかく、水中の描写がすさまじい。さながら、美ら海水族館の大水槽を覗いている感覚です
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

何度でも言いますが、「ドルビーシネマ」の映像と音による没入感は別格。「IMAXレーザー」の映画館もいいのですが、可能であれば、遠出してでも、最寄りのドルビーシネマに足を運んで、極上のアクアリウム体験を味わってほしいのが本音。だって現状、4K×3D×HFR×HDR×立体音響を家庭で楽しむための規格もシステムも存在しないのだから。

鑑賞すればきっと、AVファンは映画館で体験した画音を自宅でも味わいたいと願うはずだし、開発者であれば、この画音のクオリティをどこまで再現できるか、またどうすればより良く描写できるかと、闘争心がムクムクと湧いてくるはず。

前作「アバター」のブルーレイ3Dがレファレンスとなって、3Dテレビ各社の品質を押し上げていったのと同様、将来「アバター2」がパッケージになった暁には、テレビやプロジェクター、AVアンプ、サウンドバーなどなど、様々な製品レビューで指標として使われることになるでしょう。それを考えれば、「映画館では観ていません」と話す開発者の製品よりも、「トップガンやアバターの劇場体験を再現すべく、●●に注力しました!」と語る開発者の製品が断然魅力的に感じませんかね?

すずめもいいけど、アバターもよろしくね
3D鑑賞時のみ使うコンタクトレンズ。アバターに備え、度数を微調整しました。これで、ガンギマリです

まだまだいくよ、アバ体験。待っててね、ネイティリ、キリちゃん♪

そんなわけで、私は年末年始も国の需要喚起施策「イベント割」をフル活用して、アバ活に勤しむ予定。まだ鑑賞できていない、お気に入り映画館の横浜ドルシネのほかにも、3D吹替版やハイフレームレート2D版も気になっています。

同じ作品で鑑賞を繰り返すのは、クレイジーというシンプルな理由以外に、各スクリーンの特徴を把握するためです。

例えば、丸の内ドルシネはスクリーン位置が高く音場も持ち上がり気味。また字幕がアイラインに来るため(字幕の)眩しさを感じやすい。新しくできた新宿ドルシネはスクリーン位置が低く、長時間の視聴でも目・首の負担が少なく、画音の一体感や音場空間の再現力も好印象。ただ、字幕の直ぐ下で映像が切れるスコープ(シネスコ)上映(丸の内はフラット)なのです、悩ましい。

あと、視聴するメリットは少ないかなと思っていた2D/24fps版では、画に細かい粒状のノイズ(フィルムグレイン)が加えられていて、3D版のようなツルピカ&生々しさが抑えられていました。一番CGっぽくないというか、映画らしくて落ち着いて見ることができるようになってるなと気づかされました。24fpsのBD映像もこれに似た感じになるのでしょうか?

73歳のシガーニー・ウィーバー演じる14歳の不思議少女・キリちゃん
優しい心の持ち主・スパイダー
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

そうそう。映像以外のストーリーについてあまり触れてきませんでしたけど、こちらも結構楽しめます。

例えば、娘に治療を施そうとしている科学者に対し「出てけ、役立たず!」とか、ちょっと遠出して夜遅くに帰って来た息子に対して「お前の目玉をくり抜いてやりたいよ!」などのドS発言を連発するハート不安定なクレイジーワイフ・ネイティリ様や、73歳のシガーニー・ウィーバーが演じる14歳の不思議少女・キリちゃん(クライマックスでの覚醒シーン映像がめちゃくちゃキレイ)。そして、全編通して皆からの扱いが酷すぎる戦争孤児の好青年スパイダーなど、視点を変えれば見どころ満載であります。

皆さんも是非アバ活で楽しい年末年始をお過ごしいただけたらと思います。

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』<full ver.>テーマソング NOTHING IS LOST (YOU GIVE ME STRENGTH) By The Weeknd
阿部邦弘