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アバター新作は「絶対に劇場で観るべき」。ゾーイ・サルダナ インタビュー

ゾーイ・サルダナさん

12月16日より全世界同時公開となるシリーズ最新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(アバターWOW)」。前作「アバター」(2009)に続き、物語のヒロインでもあるネイティリ役を務めているのが、ハリウッドを中心に活躍する女優ゾーイ・サルダナさんだ。都内ホテルにてゾーイさんの合同インタビューが開かれ、「アバターWOW」での役作りや本作の魅力を聞くことができた。

先住民ナヴィのオマティカヤ族 族長の娘・ネイティリ(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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――弓矢を使って相手を射止めるネイティリのアクションが、前作よりも更にパワーアップしていましたね。撮影に当たり、どのようなトレーニングを積んだのでしょうか?

ゾーイ:まずは前作で学んだテクニックを全てアップデートする必要がありました。具体的には、アーチェーリーであったり、中国武術です。わたしはナヴィのアクションであったり、優雅でナヴィ的な動きのためには、中国武術が適しているのではないかと思っていて、続編を撮影するにあたりそれをもう一度学び直しました。あとはナヴィの言葉も改めて勉強しましたね。

それから、今作で新たに挑戦したのが、水中での動作や素潜りです。正直最初は、水中で演技する事はキャスト皆、非常に怖かったのです。ですが、回数を重ねていくうちに水中に慣れ、これほど楽しいことはない、とワクワクするようになりました。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――非常に長い時間、撮影が行なわれたと聞いていますが、その撮影で最も進化したと感じたのはどこでしょうか。

ゾーイ:それはひとえに、パフォーマンスキャプチャだと思います。パフォーマンスキャプチャの進化によって、私たち俳優は“何でも”演じることが可能になりました。

ベネディクト・カンバーバッチがドラゴンになったり、アンディ・サーキスが何百歳も年を重ねた小人を演じたり、そして今作ではシガーニー・ウィーバーが14歳の少女を演じました。そしてわたしは、素晴らしく美しい世界に住む青くて大きな巨人を演じました。

パフォーマンスキャプチャだからといって、演技の幅が制限されるという事は決してありません。むしろ私たちの演技、そして演技の質が、より強調されるものだとわたしは思っています。

――『スター・トレック』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』など、多くの大作に出演し、様々な監督と一緒に仕事をされたと思います。『アバター』シリーズの撮影を通じて、ジェームズ・キャメロン監督の尊敬する部分や、ちょっと変わってるなと感じるところがあれば聞かせてください。

ゾーイ:すべてよ(笑)。彼はとても協力的で、知的で、優れた才能を持つ人物なんです。例えるなら、上質なワインのように、時間をかけて、時と共に深みを増す方、とでも表現できるでしょうか。俳優のいろいろな過程に付き添ってくれ、心を寄せてくれる素敵な方です。

そしてその一方で、科学者のような探求心・好奇心と驚くような知識も持っている。彼は自分自身に求める欲求が、ハードルが非常に高いので、それが皆に感染するんです。「もっとできる」「もっとよりよいもの、もっといいものにしよう」という意識ですね。そしてその意識は私のキャリア、どの監督と仕事をする時にも、大きな影響を与えてくれました。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手掛けたジェームズ・ガン監督は、弱者に心を寄せることができる広い心と優れた才能を持つ監督です。そして、J・J・エイブラムスは伝統を重んじる方ですよね。両親の世代に親しまれた、歴史ある作品『スター・トレック』をリブートという形で映画化したわけですが、私はキャメロン監督と仕事をしたことで幸運にも、どの監督、そしてどの作品でどのような仕事をすべきかということを学べたのだと思います。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――前作は、全世界興行収入ナンバーワンという輝かしい記録を樹立しました。今作の仕上がりをどのように感じていますか?

ゾーイ:記録云々というのは撮影中考えてはいませんでした。お金が理由ではなくて、何よりも物語に対して心から気に惹かれるものがあって、この映画に取り組みました。

監督は作品を通して、海や熱帯雨林における環境であったり、戦争の結果、人々が離れ離れになるなど、私たちが今抱えている様々な問題を、訴えかけているのだと思います。作品をご覧になった方々の心にどのように響くか、どのような作用をもたらすか、という事だと思いますが、もしそれが共有して心に響いたならば、結果が伴って来るのではないかなと思っています。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――『アバター』や『アベンジャーズ』など、最新技術・モーションキャプチャーを多用したCGメインの役から、先日公開された『アムステルダム』のような実写メインの役まで、幅広く演じてらっしゃいますが、俳優として、映画や映画製作の未来をどのように感じていますか?

ゾーイ:映画という事に関して言えば、スタジオと配信つまりストリーミングサービスで、ある種の争いのような環境が生まれていると思います。それはテクノロジーの進化の結果と思いますが、私はそれぞれに適した場所があって、決して合い入れないもの、ではなく共存できるものだと考えています。

“映画を観る”という行為を促すという意味においては、どちらも大切で存在しうるものです。誰だって、家でパジャマで見てアイスを食べながらくつろいで楽しみたいし、寒い日は外に出るよりも家で楽しみたいですよね。

でも、本作のような映画はマスト、絶対に映画館で観るべきものです。

その理由は、スタッフ・キャストたちの時間、労力、愛情がタップリ注ぎ込まれて出来たものであると同時に、技術や科学的な面としても「映画はここまで進化したんだ」「映画はここまでできるんだ」ということを、映画館の大きなスクリーンで観て感じて欲しいのです。

パンデミックによって、コミュニティがバラバラになってしまった今だからこそ、他人同士がもう一度集まって、映画館で映画作品を通じてつながる・共有するという行為はとても意味のある、価値のあるものではないでしょうか。

パンデミックの最中、イタリアではパンを投げて分け合ったり、ベランダに出てヴァイオリンで音楽を奏でたりということがあったと思います。もちろん、風習的に日本がそうした事はしないと思いますが、日本には日本なりの人とのつながりというものがありますよね。

ですから、わたしは人とのつながりであったり、映画館で映画を楽しむという文化を死なせたくないと思っています。配信という、便利で新しい楽しみ方はありますが、映画館で映画を観るのは次世代のために守るべき行為だと思っています。

ゾーイ・サルダナ

前作『アバター』で来日。近作では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』以来5年8か月ぶりの来日。10歳からバレエを習い、『アバター』では乗馬、アーチェリー、アクロバット、『スター・トレック』では武術太極拳、そして『コロンビアーナ』ではクラヴ・マガ(イスラエル式の戦闘術)を学んだ。SFオタクであることを自認している。ネイティリ同様に家族が増えて、演技の幅が拡がったとのこと。

Proflie: 1978年、米ニュージャージー生まれ。幼い頃からバレエなどを学び、名門バレエ団の練習生を描いた青春映画『センターステージ』(00)で映画デビュー。『アバター』(09)以降、大作・良作への出演が相次ぐ。マーベル・スタジオ作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(14・17)でヒロインのガモーラを演じ、同キャラクターで『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)に出演。同作と『アバター』で世界興行収入歴代1位2位作品に出演する女優となる。ほか主な出演作は『スター・トレック』シリーズ(09・13・16)、『コロンビアーナ』(12)、近作に10月公開した『アムステルダム』がある。

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』特別映像:キャストが紹介!「自分のキャラクターを一言で言うと?」12月16日(金)劇場公開