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「アバター3」は砂漠か山か極地? ジェームズ・キャメロン監督来日レポート

約10年ぶりに来日した、ジェームズ・キャメロン監督

シリーズ最新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の12月16日公開に先立ち、ジェームズ・キャメロン監督と主要キャストらが来日し、都内水族館にて記者会見を行なった。会見でキャメロン監督は「アバターは5作目まで構想があり、世界観やキャラクター、クリーチャー、海や砂漠、山、北極のような極地まで準備して取り組んでいて、今後の準備は特に必要がない。2年ずつくらいかけて新作を出していく」と今後のシリーズ展開を語った。

左からジョン・ランドー(製作)、サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ジェームズ・キャメロン(監督・脚本・編集・製作)、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(アバターWOW)は、2009年に公開され、全世界歴代興行収入1位の記録を持つ映画「アバター」の続編。アバターWOWでは、前作の10年後を舞台に、神秘の星パンドラの侵略を目論む人類と、先住民ナヴィとの戦いとドラマが描かれる。

2012年以来、10年8カ月ぶりの来日となったキャメロン監督は、「日本とは長い恋愛関係のようなもの。80年代半ばからずっと日本に来ていて、日本の文化が大好きです。10年ぶりの来日というのは本当に長すぎましたが、今回また来日できてとても嬉しい。これまでの私の映画を、日本のファンは受け入れてくれていますので、この映画も好きになってれると嬉しいですね」と挨拶。

オープニングで行なわれたドルフィンショーについては、「素晴らしかった。私はイルカが大好きなんです。とても知性的で社会性があって、人と繋がり、彼らは学ぶことができる。私の映画に出演する許可を差し上げたいです。僕もこのあと(イルカに)乗りたいですね」と喜びを話した。

記者会見の冒頭、ドルフィンショーが行なわれた

記者会見では、マスコミや映画ファンから事前に寄せられた質問に対し、監督・キャストらが答えた。主な質問と回答は以下の通り。

――先日のワールドプレミア以降、メディアの間で絶賛の声が拡がっている。いまの気持ちを聞かせて欲しい。

ジェームズ・キャメロン:ロンドンでのプレミアを始めて以降、非常に良い反響を皆さんからいただき大変うれしく思っています。私たちは製作に5年間ほど携わってきました。作っている中で、どういう形でこれが人々に影響を与えるか、インパクトを与えるか分からない状態でした。ただ、希望としては、皆さんに何か感情的に訴えるようなもの、感動的な作品になるように、そしてまた美しい世界を楽しんでもらいたいと思っています。1作目のファンの皆さんはもちろん、前作以上の感動的な旅路に出ていけると思っています。

「やはりキャメロンは間違いない」。アバター新作ワールドプレミア

――映画の可能性をさらに進化させる作品の構想はあるか。またそうした作品を作るために必要な革新的な技術の開発など、今後の映画界のために、財産のようなものを残したいと考えているか。

キャメロン:新しいアバターを作るにあたっては、数本作ることを踏まえ、新しいツール、ソフト、技術を作る準備をしてきました。「アバター」は5作目までの構想があり、とても大きなプロジェクトとして、事前に色々なところとデザイン、設計をしています。世界感にしても、出てくるクリーチャーやキャラクターたち、また紹介する文化や設定など、パンドラという世界がどのようなものか、そして海から砂漠、山、北極のような極地の4つの景色など、すべてを準備して取り組んでいます。ですから、もうそれ以外に何かを作る準備をする必要がない状態にしました。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

キャメロン:これから皆さんが見て頂く「アバターWOW」では、最高の設計、設定、デザインを行なっています。キャラクターやクリーチャーを含め、優れたアーティスト、CGアーティストと共に、ワクワクする仕事ができました。そしてこれはあくまで第1章であって、より大きな物語へと繋がっていくものです。私の横にいる素晴らしいキャストは、続編にもずっと出演してくれます。そしてそれぞれが非常に複雑な道を辿っていくことになると思いますが、それをお届けするには時間が必要であり、もう少し皆さんには忍耐が必要になります。13年はかかりませんが、2年ずつくらいかけてお届けできればと思っています。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――サム・ワーシントンさんとゾーイ・サルダナさんに伺いたい。新作では“家族”という要素が加わった。アバターの世界や物語にどのような深みが加わったのか。また前作から13年を経て、二人自身にも家族ができた。今回の撮影に影響を与えたことはあるか。

サム:もちろん答えはイエスです。今作は2人のラブストーリーのさらにその先で、子供たちが加わります。そして子供たちが加わることで様々なチャレンジが出てくる。ただ、何よりも素晴らしいのは、子供たちの目を通していろいろなストーリーを皆さんに体験してもらうことができることだと思います。

サム・ワーシントン
ジェイク・サリー
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ゾーイ:今作では、ジェイクとネイティリが家族を持つことで、さらに危険が増してしまう。いろいろな状況が混沌とし、パンドラもますます危険な状況になってしまうのです。“スカイピープル”(人類)は、そう簡単には去らない、彼らは自分たちが欲しいものは諦めません。サリー家では様々な対峙、葛藤が生まれます。それは個人であっても、お互いであっても、チームであっても、そういった苦境になるわけです。サリー家はこうした中、何をすべきなのか、どこへ行くべきなのか、という状況に追い込まれるのです。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ゾーイ:私自身、そしてネイティリもなのですが、母親になる前は、恐れを知らないところがありました。ところが、母親になって恐怖というものが出来ました。自分自身よりもさらに深く愛する人ができたことで、彼らを失ってしまったらどうしよう、何かあったらどうしようという心配を常に考えるようになったのです。そういう意味でも本作はより感情的な作品になっていると思います。サリー家の子供たちはとてもかわいいですが、わたしの頭痛の原因、困らせる子供たちではあるのですが(笑)。

ゾーイ・サルダナ
ネイティリ
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――シガーニー・ウィーバーさんとスティーヴン・ラングさんに尋ねたい。今作では“ナヴィ”の姿での登場がメインで、撮影方法も前作とは変わったと思う。演技やキャリアの上で、変化や可能性が拡がったことはあったか。

シガーニー:私だけでなくすべての俳優がパフォーマンスキャプチャーという素晴らしい技術によって、どんな役でも演じられるようになりました。前作ではグレース博士を、そして今作では14歳のキリという少女を演じていて、先ほどゾーイが話した“頭痛の種”の1人でもあります(笑)。

監督は俳優にとって素晴らしいことをしてくれました。私たちは黒い衣裳を来てマーカーを付けて演技をするわけですが、ストーリー自体は俳優中心のものなのです。ですから私たちは、キャラクターとしてのエッセンスを演じることに集中できました。非常にチャレンジングな役だったと思いますが、私は14歳のころを思い出して演じましたし、いろいろと考えされられました。最後に、もしこの場にキリがいたら、先ほどのドルフィンショーはとても喜んだと思います。

シガーニー・ウィーバー
キリ
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

スティーヴン:キリは素晴らしい、柔らかい光を放つ役です。そしてもっとすごく強烈な光を放っているのがネイティリであり、ジェイクからも光があふれ出ています。で、そうした光を目立たせるためには暗闇というか、非常にダークなものが必要であり、その象徴が私が演じるクオリッチなのだと思います。ですから、彼を今作で戻すのは、必要なことだったと思います。

私が登場することで、皆さんが影を持ってしまう事もあるのですが、やはり暗闇があるからこそ光が輝き、また光によって暗闇もいろいろな情報を得るわけです。ですから、今作の続き、3、4、5とありますが、光と暗闇がどのように作用していくか、というのをサーガというか、冒険を皆さんに楽しんでいただきたいと思います。

スティーヴン・ラング
クオリッチ
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――アバターの映像体験はどこまで進化するのか。CG分野でも難しいと言われる水の表現に挑んだが、今回の制作で最もチャレンジングだったことは何か。

ジョン・ランドー:それは“フェイシャルパフォーマンス”、つまり顔の表情です。アバター1が終わってから、私たちがずっと調査して、スタッフと共に挑んできたものです。動作、非常に微妙な顔のニュアンスがいかに表現できるかが重要でした。素晴らしいキャストの皆さん、そして技術によってそれが実現できました。

スティーヴン・ラング

――実際の水中の撮影では、長さ36.5m・幅18.3m・深さ9mの巨大なタンクで撮影が行なわれたと聞いている。撮影中、内心実はもう役を降りたいと思わなかったか。

シガーニー:監督に誘われ14歳の頃を思い出しながら演じたわけですが、撮影まで3~4年の準備期間がありました。ですから、14歳の子をたくさん観察して、学校の授業にも参加して彼女たちの声の幅を研究しました。低い声から高い声まで、いろいろな幅があるなと気が付きましたし、わたしは現場に行くのが楽しくて仕方がなかったのです。ですから、撮影が大変だとは感じませんでした。

“わたし”を家において、現場ではキリになる。キリは優しくて情熱的で、そして自然とのつながりを持っている少女です。ものすごく開放感を感じましたし、チャレンジングではありましたが、監督をはじめキャストの皆さんのサポートをはじめ、そして子供たちのキャストも私を受け入れてくれて、本当に家族というものを感じた現場でした。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――キャメロン監督はこれまでも海にまつわる作品を多く手掛けていますが、海の魅力とは。

キャメロン:子供のころから水、海が大好きでした。わたしはカナダで育ちまして、海から遠く離れた環境だったため、実際に海を見たのは時間が経ってからでした。ただ、実際に海に入る前から(気持ちは)スキューバダイバーだったくらい海が大好きで、17歳にダイビングを始めて以降、何千時間も海の中で過ごしました。

最初はわずか5mくらいの美しい海に入り、水の中に挿し込む光であったり、その中に住む生物だったり、美しい色彩や水面を見て、海の美しさを体験しました。そしてそのあとは深海に潜り、海底火山だったり、7マイル下の地球で最も深い場所にまで訪れるようになりました。ただ、私の好奇心の探求、冒険はまだ始まったばかりです。

キャメロン:ただ、実際の海の美しさや素晴らしさというのは、時として一度離れてありがたさを知ることは大事で大切なことです。ファンタジーやSF作品を通して、自分たちの持つ本当の海の美しさを考えてもらいたいですし、少し思いとどまっていただければと思います。今作ではそれが伝わるのではないかと思っています。

作品では、私たちの地球の大切さについて語っています。どこにあるかないかわからない惑星の話、ということではないのです。私たちがここにいる世界、この地球というところを、もっともっと気にかけていかなくてはならないのです。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――「I See You」という台詞にはどのような意味が込められているのか。

キャメロン:「I See You」という言葉は、私たちの“つながり”を表している言葉です。お互いに共感できる存在であることや、今作の中では、ナヴィとトゥルクンとのつながりも表しています。またシンプルな使い方では、あなたが目の前に見える・いるということで、おはよう的な意味合いもありますし、深い意味で使うと理解をするという意味もあります。

前作「アバター」ではトルークマクトに乗って現れたジェイクに対し、ネイティリが「I See You」と言ったときには、“今まで理解できていなかったが、貴方を理解した”という意味になります。

さらに深く掘り下げると“あなたを愛しています”、アイラブユーという意味にもなります。愛、尊敬、認識するという意味も持っています。人間は人生を通じて、コミュニティの中で見られたい、認識してほしい、理解してほしい、そして何かをしたい、何かになりたいという気持ちがあります。このコンセプトを今作以降でも、どんどん発展させていきたいと思っていますので、「I See You」という言葉が異なる場所、異なる状況で出てくると思います。

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』【人類史上最高の映像体験】スペシャル映像 12月16日(金)劇場公開