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「迷ったらコレ」MEMS+優秀ノイキャン、SOUNDPEATS「Air5 Pro+」に同社史上“最強”の称号を贈りたい

SOUNDPEATS「Air5 Pro+」

SOUNDPEATSが、「イヤフォン選びで迷ったらコレ」を更新してきた――。というのも、ブランドの技術を惜しみなく“全部載せ“する中核シリーズ「Air」に、高音質仕様の新モデル「Air5 Pro+」が登場したのだ。

価格は15,380円。実際に体験して感じたのは、まさに“トップ・プレミアムモデル”にふさわしい実力だったということ。その理由をお伝えしていきたい。

MEMS+ダイナミックのハイブリッドドライバー構成で音質追求

Air5 Pro+最大のトピックは、xMEMS Labs製MEMSドライバー「Cowell」の搭載だ。

xMEMS Labs製MEMSドライバー「Cowell」

MEMSドライバーは、非常に小さく、薄いドライバーだ。ダイナミックドライバーのように、振動板や磁気回路などのパーツを組み合わせて作るのではなく、パソコンのCPUなどのように、大きなシリコンウェハーから切り出される、半導体のシリコンチップとして作られる。

そのシリコンチップの一部に、高い電圧をかけることで、飛行機のフラップのように可動し、音を出している。パーツを組み上げる手間やスキルが不要で、大量生産しやすく、高精度なものが一度に沢山作れる。

超高速な動作を正確に再現できるというメリットがあるほか、シンプルな構造で製造誤差を最小に抑えられるため、左右ユニットの特性も揃えられるのだ。このことから、極めてレスポンスが良く、低歪で、緻密な空間描写が可能という特徴を備えている。

このMEMSドライバーを高域用に採用し、専用パワーアンプIC「XAA-2000 Aptos Class-H」で駆動する。

専用パワーアンプIC「XAA-2000 Aptos Class-H」

低音域には10mm径のダイナミックドライバーを用いたハイブリッド構成で、これは音質に特化した「Capsule3 Pro+」でのノウハウを引き継いだものといえる。ただし、Capsule3 Pro+は12mm径のセルロース製ドライバーだったのに対して、本機では低域のダイナミクスを強化するためにデュアル銅線複合振動板を採用し、素材にはPU+PEEKの軽量ハイブリッド素材を用いるといったアップデートが施された。

内部の構成

ハードだけでなく、ソフト面の仕様にも抜かりはない。

Bluetooth SoCはQualcomm「QCC3091」を搭載し、Bluetooth 5.4をサポート。コーデックは最大96kHz/24bit対応のLDAC、およびaptX Lossless/Adaptive、 LE Audio/LC3に対応する。現代のワイヤレス再生環境において、このスペックに不満を覚えることはないだろう。

ブランド最大レベルの強力ノイズキャンセリング

音楽に集中するための、機能周りも充実している。なかでも注目は、強力なノイズキャンセリングだ。

現在のSOUNDPEATSで最大のノイズ低減性能である-55dBを達成しており、オンにした瞬間に「スッ……」と周囲の雑音が消え去る。特に低域が抑制される印象で、室内では空調のノイズ、屋外で使うと街の雑踏がほとんど気にならなくなった。

ノイズ低減性能はかなり優秀。シーンを問わず音楽に集中することができる

買い物中につけてみたところ、店内ではしゃぐ子どもの大声が半減。カフェの近くの席で打ち込まれるキーボードのタイピング音も、完全ではないが大幅カットしてくれた。ロードノイズや電車の走行音といった低音や、風切り音はガッツリ削られる。それでも残ったノイズは、ちょっと賑やかな音楽を流せば掻き消えるレベルなので、よほど騒がしい環境でもない限りは自分の世界にどっぷり浸ることができるはずだ。

ノイズキャンセリングモードは「適応型」「室内」「屋内」「屋外交通」の4つが用意されているが、基本的に「適応型」にしておけば問題ない。周囲の状況をAIが認識して、ノイズ低減レベルを自動調整してくれるため、都度の切り替えを考えることなく適切な効果を享受できる。

ノイズキャンセリングのモード切り替えなどの設定には、「PeatsAudio」アプリを利用する

ノイズキャンセルのサウンドへの影響としては、ONにすると、低音域がそれなりに持ち上がって感じられる。音が悪くなっているというわけではなくバランスの話なので、これはこれでアリなのだが、気になるようならイコライザーで調整しても良いかもしれない。プリセットから「低音を弱く」を選ぶか、カスタムEQで好みのバランスを設定してみてほしい。

イコライザーは、筆者がSOUNDPEATSで気に入っている機能の1つだ。先程の「低音を弱く」もそうだが、変化の幅が自然で、誇張感がないため使いやすい。この調整が上手くいっておらずオススメしにくいモデルもあるなかで、SOUNDPEATSのイコライザーは遠慮なく推奨できる。

イコライザーを使い慣れていないなら、簡単な聴力テストの結果をもとに、ユーザーにあった調整が自動設定される「適応型EQ」を利用すればいいだろう。細かな設定は「PeatsAudio」アプリから行なえる。

「PeatsAudio」アプリの画面イメージ。イコライザー機能はプリセットが豊富で、ユーザーの聴覚にあわせた適応型EQやカスタム機能も揃える

このほか、人の声を強調するモードを備えた外音取り込み機能や、60msの低遅延接続が可能なゲームモード、マルチポイント接続など、ワイヤレスイヤフォンとして実用的な機能も揃っている。

むやみやたらと最先端機能を搭載してコストアップするのではなく、必要な分を揃えたらあとは音質に注力しました、という設計思想が窺える仕様には好感が持てる。

付属品として、イヤーチップ(S/M/L)、充電用USBケーブル、オリジナルキャラクター「ピーツくん」のステッカーが同梱される
楕円状のノズル形状は「Air5 Pro」から引き継ぐ

連続再生時間はイヤフォン単体で約6時間、ケース併用で最大30時間(ともにAAC 60%音量 通常モード)と、ノイズキャンセルを使うと少し短め。「15,380円でこれだけのスペックを実現したイヤフォンにどこまで求めるんだ」と言われたらその通りだが、SOUNDPEATSならできる、という期待の表れと捉えてほしい。

丁寧で上質な表現力、ボーカルの再現性も魅力

それでは、Air5 Pro+のサウンドを確認していこう。なお、試聴は主に、ノイズキャンセリングをオフにした状態で行っている。

Air5 Pro+を試聴

パワーで誤魔化すようなことはせず、一音一音を丁寧に描写しているような印象だ。高解像度でクリアなサウンドには癖がなく、バランスもフラット。しかし、うっすらと湿度が感じられる質感で、モニターライクにはなっていない。分析的に聴くこともできるが、それよりも、落ち着いてずっと聴いていたくなるような上質なサウンドと言える。

米津玄師「IRIS OUT」では、オープニングで音が奥底から浮かび上がってくるようなダイナミックレンジに、いきなり本機の実力に驚かされる。エッジの効いたボーカルのがなりや電子音のザラつき、曲中で入る「ボン」「バン」の声に含まれる吐息感もしっかり再現。それぞれの音を分離させながら、グルーブは失わせない絶妙な描写力も見事。S/Nも良く、緩急の効いた楽曲の魅力を存分に堪能できる。

tuki.「最低界隈 - Saitei Kaiwai」の低音は深く沈み、刻まれるリズムもタイト。一方で、中高域がマスクされることなく明瞭で、囁くようでありながら芯のある歌声がストレートに耳に届く。オアシス「Don’t Look Back in Anger」でも、Aメロの歌い出しからハッとさせられるなど、ボーカルの再現性の高さが魅力の一つと言えそうだ。

また、ダイナミックドライバーに施されたアップデートの成否は、量感のある低音を聴けばよくわかる。10mmというやや大きい程度のサイズだが、むしろ現在の仕様が最適解なのだと実感できた。

そして、カナル型ということもあって音場は広大とはいかないが、音像の輪郭がはっきりしておりステージの見通しが良い。ボーカルもののポップスのほか、小編成のインストゥルメンタル、ライブ音源も気持ちよく聴かせてくれる。

この性能は、動画鑑賞においても活かされる。セリフが聞き取りやすく、またディテールまで伝わってくるため、そこに込められた感情も受け取りやすい。環境音にもリアリティがあり、没入感を高めてくれる。NetflixやAmazon Prime Videoなどで視聴したが遅延も気にならず、快適に楽しむことができた。

ちなみに、ノイズキャンセリングをオンにした状態では同じ楽曲を聴いても印象が異なってくる。先述したように低音が持ち上がるため、エレクトロニクスな重低音が使用された現代的なポップスなどがノリよく聴けそうだ。特に、小ボリュームで聴くには、このバランスがちょうど良いかもしれない。MEMSドライバーによる高解像度だが柔らかさの感じられる高域と相まって、長時間のリスニングも快適に過ごせるだろう。

なお、ノイズキャンセリングオンでボリュームを上げると、没頭感は高まる代わりに、周囲への注意がおろそかになってしまうものだ。外で使うなら、いつもよりボリュームを抑えたほうが安心だが、Air5 Pro+であれば、その状態でも音楽を楽しく聴くことができる。意図してのものかは不明だが、ユーザーの実用環境に沿っていると感じる。

これは間違いなく“良いイヤフォン”

改めて「Air5 Pro+」についてまとめてみると、「高音質」+「強力ANC」+「実用的機能」が揃った“SOUNDPEATSで最強モデル”と言えそうだ。もちろんコストパフォーマンスも高いが、あえて価格に触れなくてもいいくらい、普通にハイクオリティなイヤフォンとしてプッシュできる。

冒頭に「イヤフォン選びで迷ったらコレ」を更新してきたと書いたが、それはSOUNDPEATSブランドのなかでも、という意味も含んでいる。粒ぞろいのSOUNDPEATSイヤフォンだが、そこからあえて1つを選ぶなら、“SOUNDPEATS最強モデル”Air5 Pro+で間違いない。

Air5 Pro+は、音質も機能も揃った“SOUNDPEATS最強モデル”
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  • Air5 Pro+
    通常価格:15,380円
※セール開催・内容・価格等は、予告なく変更となる場合があります。正確な情報は、販売ページでご確認ください
小岩井 博

カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。