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兄をも脅かす驚異の“傑作AVプリ”。マランツ「AV 30」を、AV 10と聴き比べる
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- マランツ
2026年3月26日 08:00
過去のAVアンプユーザー、AVセパレートユーザー、要注目のプリアンプ登場
セパレートAVアンプである。今や国内でAVプリアンプを発売しているのはマランツだけだが、最上位の「AV 10」に続いて、11.4chの「AV 30」が発売された。価格は59万4,000円。高価であることに間違いはないが、110万円のAV 10の約半額となると、かなり安価になった印象もある。過去のモデルで言えば、2018年の「AV8805」が発売当時55万円だったので、AV 10は高いがAV 30なら手が届くという人は少なくないだろう。また、他社のAVセパレートアンプからの買い換えを考えている人もいるはずだ。
振り返れば、現在主流のDolby Atmosに対応したAVアンプの発売が2014年からで、12年も経った。新しいサラウンドフォーマットの登場はAVアンプの買い換えを促すものでもあったが、それがしばらくなかったので、「とりあえずDolby Atmos対応だから現役で使える」と買い換えせずに現在に至っている人も多いはず。
だが、当時のAVアンプは、ネットワーク音楽配信への対応も十分ではなく、映像信号では4Kには対応していても、HDR信号の送受信などはできないものが多い。薄型テレビと連携しやすいeARC対応など、機能的にはかなり足りない部分もある。
AV 30のような最新AVプリアンプを買えば、そうした進化を堪能できる。今使っているAVアンプのパワーアンプ部分だけを使い、AV 30と組み合わせて、AVセパレートアンプにアップグレードするという使い方も可能だ。
そこで、現在自宅で「AV 10」と「AMP 10」のセパレートを使っている筆者が、AV 30を試してみた。最初に結論を言ってしまうと、これは“傑作”と言っていいモデルだ。音質については後で詳しく紹介するが、AV 10の良さをしっかりと受け継いでいる。それでいて、筆者自身も手を焼いた、AV 10のあまりにもストイックな音が、AV 30ではかなり親しみやすさを増している。映画の迫力やスケールを存分に味わえて、音楽を聴いてもボディ感のある重厚な音を楽しめるサウンドだ。ぜひ期待して記事を読んでみてほしい。
約半額でAV 10に迫る、AV 30の内部
まずはAV 30について詳しく紹介していこう。
チャンネル数は11.4ch。7.4.4chや5.4.6chまでのスピーカー構成に対応する。一般的なホームシアターとしては十分だろう。
AV 10は最大で9.4.6chまで対応し、チャンネルごとに独立した基板でプリアンプ部を構成していたが、AV 30ではチャンネル数を減らし、基板は左右で独立した2枚構成としている。複数のチャンネルを一枚にまとめてはいるが、左右は分離してチャンネルセパレーションを確保しているというわけだ。
もちろんこのプリアンプ部はAMP 10で使用しているHDAM-SA2を採用。ディスクリート設計として純度の高いアナログ信号処理を実現している。ここが音質的にも重要なポイントになるだろう。
アナログオーディオ回路用には専用の電源トランスとディスクリート設計の整流回路/平滑回路を搭載。デジタル回路との干渉を排除している。DAC回路やプリアンプ回路、HDAMなど、回路ごとにトランスの巻き線を分けて、回路間の干渉も排除しているという。ブロックコンデンサーはAV 30専用に開発されたカスタム品で、6,800μF×2を搭載している。
11.4chのデジタル信号処理や音場補正、最大4基のサブウーファーのバスマネージメントなどは、AV 10と同じ最新のデュアルコアDSPを使用。すべてのチャンネルのD/A変換回路は独立した基板とし、外部からの影響を最小としている。パーツの配置や信号経路も最適化している。もちろん、DACチップはAV 10と同じ電流出力型として、8chDACを2個搭載。
筐体は、フロントパネルはAV 10と同一構造。シャーシの剛性強化に貢献している。メインシャーシにはトランスと電源基板を支えるベースプレートを追加した構造になっている。なお、AV 10は側板をアルミとしているが、AV 30では側板と天板が一体化したスチール製としている。また、奥行きはAV 10の503mmからAV 30では414mmとなり、設置スペースも多少小さくなっている。重量は16.8kgから11.1kgとなりかなり軽くなった。音の点では特にアンプは重くてナンボという意見もあるが、年をとった筆者にしてみれば軽くて運びやすいのはありがたい。
機能としては、Dolby Atmos、DTS:X、IMAX Enhanced、Auro-3D、MPEG-H 3D Audio(360 Reality Audio)に対応する。
ネットワークオーディオは「HEOS」搭載で、機能的にはAV 10とまったく同じ。だが、AV8805や他社のセパレートAVアンプからの買い換えではこの機能の有無が大きいだろう。Spotify、Amazon Music HDやQobuz、Deezerといった主要なサービスに対応。このほか、AirPlay、Roon Readyなどのネットワークサービスにも対応する。今や主流と言っていい、ストリーミング音楽配信サービスに幅広く楽しめる。
入出力端子では、11.4chのプリアウト端子は、すべてRCA/XLR出力を装備。このあたりの機能の維持は欠かせない。そのぶん、ステレオ音声入力のXLR入力は省略された。これがAV 10との大きな違いだ。HDMI端子は入力7系統、出力2系統で、8K/60Hz、4K/120Hz信号のパススルーに対応。HDCP2.3対応で、HDR信号もドルビービジョン/HDR10/HDR10+/HLGに対応する。このあたりも動画配信サービスを楽しむうえでは欠かせないポイントになるだろう。
入出力端子の数は少し減ったが、肝心なものはきちんとキープしている。という印象になるが、実はアナログ映像入力のコンポジット入力×2、色差信号入力×1が新設されている。古い機種からの買い換えでこうした古い映像規格の接続ができなくなってしまうこともあるが、ここは昔からの機器との接続もきちんと配慮している。ユーザーからの要望があったものと思われる。
自宅のAMP 10と組み合わせて、AV 30の音を聴いた
自宅に届いたAV 30を開梱し、AMP10と接続した。フロントワイドスピーカーを外した7.4.4chぶんの接続を済ませた。自動音場補正などを含めると1日がかりになってはしまったが、想像したよりは楽だった。本機はDIRAC LIVEにも対応しているが、DIRAC LIVEのライセンスは機種ごとに登録する必要があるので、筆者がAV 10用に購入したライセンスは使用できない。再度ライセンスの購入が必要になるので今回は省略している。
まずはHEOSを使ったステレオ音楽再生から聴いた。サラウンドのためのAVアンプとはいえ、60万円近い製品である。ステレオ再生の実力も重要なポイントになるだろう。マランツはAVアンプであってもステレオ再生重視(サラウンド再生よりも優先度が高いとされるほど)のメーカーである。HDMI(ARC)で薄型テレビとも接続できる高性能アンプを求める人にもふさわしいと言える(ちょっと大げさかもしれない)。
コストの関係上仕方のない部分でもあるが、音声入力はすべてアンバランス(RCA)で、XLR入力はない。このためもあって、LINN「MAJIK DS」の同軸デジタル出力をFiiO「K9 AKM」に接続し、RCA出力をAV 30に接続して聴いている。スピーカーはようやく届いたBWV「H-2」をフロントに加えた7.4.4chシステムだ。H-2も連日鳴らし込みを行い、ようやくいい感じで鳴るようになってきている。サブウーファーはおなじみのイクリプス「TD725SWMK2」×4台。
宅内のサーバーに保存した音源として、ウラジーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送による「チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」の第3楽章を聴いた。ステレオ再生モードに切り替えているので、フロントの2本とサブウーファー4本のみが鳴っている状態だ。
音場の広がりは良好。過大に広がりすぎずホール感を豊かに感じる空間感だ。音場の広がりや大編成のオーケストラの演奏が粒立ちよく再現される様子など、AV 10で聴くステレオ再生と大きな差は感じない。むしろ、聴きやすくなったとさえ感じる。オーケストラの雄大さ、フォルティッシモの高揚感などがダイレクトに伝わり、聴いていて気持ちがいい。聴きどころである大太鼓が力強く鳴るときの迫力と力強さに満ちた打音、ティンパニの連打の小気味よさなど、中低域に厚みが出てスケール感もよく伝わる。
うまいまとめ方だと思った。AV 10はさらに明晰で質感なども優れるのは確かだ。しかし、AV 30はそこをうまくコントロールして解像感や音場の見通しをキープしながら、あまり根掘り葉掘りして粗探しをせずにある程度大らかに音楽の旨みを聴かせてくれる上手さがある。絶対的な性能差を感じさせずに、音楽として楽しめるようにした音だ。
たとえば、力強い大太鼓の打音は、AV 10ならばもっとバチッとしたアタックの厳しさがある。膜面が震える感じや太鼓のボディ自体の振動もかなり生々しい。しかし、AV 30はアタックを少し和らげ、打音の力強さと雄大な響きがしっかりと伝わるような鳴り方をする。AV 10の音をモニター調の厳しい表現とするならば、もう少し和らげて音楽寄りにしたバランスだと感じた。AV 10と比較すると落差のある言い方になってしまうが、AV 30単体で聴いたなら、マランツらしい正確さとストレートさを備えた表現で、しかも大らかに音楽を響かせる魅力的な音という評価になるはずだ。
グスターボ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルによる「ムソルグスキー/組曲 展覧会の絵」から「鶏の足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋」を聴くと、キレ味豊かな音を見事に再現する反応の良さがあり、子供たちを脅かす悪鬼であるバーバ・ヤーガ(ロシア民話のそれを知らない人は、ジョン・ウィックの情け容赦のない仕事を思い浮かべてほしい)の恐ろしさと迫力をストレートに伝えてくる。打楽器と弦楽器が一斉に鳴らす迫力のある旋律は低音の力感や厚みが増していて、さらに怖さという表情が豊かになっている。
今度は、ネットワーク機能「HEOS」を使って、音楽サービスのQobuzから米津玄師の「JANE DOE」を聴いた。いわゆるストリーミング音楽サービスでの実力も問題なし。子細に比べれば、インターネット経由で配信される音源と宅内のサーバーにある音源とでは多少の差は生じるが、はっきりとした落差のない再生が楽しめた。なお、インターネットへの接続は有線LAN接続。WiFiやBluetoothは設定で無効にするといったAV 10での設定も同様にしている。
ボーカルの音像はよりくっきりと浮かび、声の厚みも増して聴き応えのある音だ。宇多田ヒカルの女性らしい高域の伸びとそれでいてボディ感のある声の色っぽさ。ハスキーな男性らしい声の伸びで実体感豊かに歌う声で本音を吐露する男の心情が伝わる。こういう情感の豊かさは、どちらかというと正確さやありのままといった鳴らし方をするAV 10とは大きく異なる。つまり、表情豊かで生き生きと鳴るのだ。
ああもう、こういう音作りができるならばAV 10でもやってくれれば良かったのに!
いろいろな曲を聴くほどに、こういう思いがつのる。AV 10購入当初、その実力を引き出すために苦闘した日々が思い出される。なかなか心を開いてくれないAV 10だったが、かれこれ3年も付き合い、アクセサリー類への投資、セッティング等を突き詰め、心を開いてもらうためにトップカバーまで開けてしまった。そのおかげで、ディテールやSN比へのこだわり、無色透明の音を極めた先にある映画や音楽の制作者が作品に込めた真の情感が見えてきて、今ではAV 10の音にも愛着が沸き、AV 10ならではの良さは確かにあると感じる。
一方で、AV 30はこのようなコストや苦労をかけなくても、間口が広く、多くの人が楽しめる音になっている。
もし、AV 10と同じ音の方向性で、コストダウンだけしたAV 30を作っていたら、AV 10との落差ばかりが目立つ、悪く言えば「出涸らし」ような音になっていただろう。このあたりはAV 10との価格差や、AV 30の想定ユーザー像などを分析したメーカーの商品企画と、その音を実現したチューニングが見事だ。
いわば、AV 10のストイックで厳しい一面を和らげ、音楽や映画を楽しめる音に仕上げたのがAV 30だと言える。マランツ自らチューンしたカスタムメイドだ。AV 10の資産を豊富に受け継いでいることもあり、AV 10ユーザーが悔しくなるほどの音に仕上げてきた。明らかに優れた資質を備える兄をも脅かす驚異的に優秀な弟だ。
AV 30の真価。映画のサラウンド再生を試す
いよいよ映画の試聴だ。作品は「ガールズ&パンツァー劇場版 10th Anniversary 4K ULTRA HD Blu-ray」。我が家のシアターシステムは、現在スピーカーの更新という大きな変革期にあるのだが、そのタイミングでかつて、自宅のシステムの実力を測る重要なソフトの1つとしていた作品が、装いも新たに4K & Dolby Atmos化を果たして帰ってきた。これはもう、誰かが筆者に「本作で、現在のお前の実力を試せ」と言っているようなものだ。それに巻き込まれたAV 30はいい迷惑かもしれないが、飽きるほどに再生した本作でAV 30の実力も試してみよう。
当然ではあるが、本作はAV 10でのシステムですでに視聴をしており、Dolby Atmos化でどう変わったかについては確認済み。そこでの印象がAV 30ではどのように変わるかを記す。
すべてのシーンが見どころであり、詳しく書くと2万字を超える予感がするので、要点を絞る。まずは冒頭の練習試合でのKV-2の砲撃。海岸沿いに出現しホテルと思われる建物を豪快に破壊するシーンだ。Dolby Atmos化で筆者が感心したのは戦車内での暗騒音。車内で響くエンジン音やさまざまな音が溢れた車内の感じがよく出ている。もちろん、決して大音量のシーンではないが、その細かな音が明瞭に再現されることで臨場感がわく。戦車という普通の人は乗ったこともない車両のリアリティーはこういう音が重要だ。
この点、AV 30はまったく不満がない。微少音がしっかりと出て、その上でキャラクターがしゃべる声もはっきりと再現される。狭い車内の空間感や音がたくさん重なっても混濁しない良さもしっかり味わえる。その上で、KV-2の豪快な砲撃だ。砲撃が着弾し、たくさんの部屋がある建物内の壁を次々に破壊していく様子がよくわかる。音圧的にもかなりのものになるが、分解能が高く、エネルギー感も満点。むしろ低音の迫力やその轟音が響く様子などはより豪快に再現される。
話は一気に飛んで、大学選抜チームとの対戦での観覧車の大活躍。とんでもない轟音ではあるが、たくさんの音が重ねられているのがよくわかるのがDolby Atmos化の大きな聴きどころ。轟音の中で細かな音を粒立ちよく再現するのはAV 10譲りの解像感の高さ。巨大な建造物が動くときの空間の響きも豊かだし、砲撃などで方向を変えるときの空気が動くような感じも見事に再現されている。こうした情報量の豊かさや移動感や方向感の再現も巧みだ。感心したのは、中低域の音の厚みが出ていて、こうした爆音の迫力やスケール感が出ていること。この点はAV 10よりも優れる。映画的な満足度を高めた鳴り方をしているのがよくわかる。
最終版の敵フラッグ車であるA41センチュリオンとIV号戦車、ティーガーIとの対決では、さまざまな遊戯施設が破壊されるが、それらが破壊されるときの細々な音も方向感も豊かに再現されれるし、衝撃のせいで自走をはじめる熊の乗り物の小さな音も埋もれない。作品の巧みな音響設計がよくわかる再現で、しかも厚みのある映画サウンドとなっていて、聴き応えも十分だ。音の質感はやや不足すると感じるところもあるが、音数が減ったとは感じない。全体的にも言っても、AV 10との落差をほとんど感じさせず、むしろ映画的なスケールや迫力をより高めた音になっている。
今度はゲームの「バイオハザード:レクイエム」。シリーズ最新作で、グラフィックの強化もあってより恐怖度を高めている。HDRの明暗表現も積極的で暗闇の中での探索や強敵から暗闇で身を隠すといった、ディスプレイの暗部再現能力まで試される怖ろしい作品だ。
音声としては我が家の設定ではDolby Atmosで伝送されており、視界外でうごめくゾンビの存在をリアルに再現。これまでは演出的にゾンビの声が方向感は無視して出てくる印象もあったが、本作はゾンビがいるべき方向から音が聞こえている感じが増し、敵からどう逃げるかを音で判断できる。このあたりの方向感はかなり正確だし、ゾンビが移動すると声や足音も移動するが、その移動感もスムーズだ。最近のゲームでは3Dオーディオに対応したヘッドホンなどでプレイする人が多いようだが、音がここまでリアルになると、本格的なサラウンドシステムの有無がプレイしやすさ、そして楽しさが大きく影響すると思う。
操作するキャラクターの声は明瞭なのは当然、使用する武器の音もそれぞれに異なり、大火力を誇るリバルバーの12.7×55mm弾を撃った時の音はかなり豪快なのだが、そうした音も力強く鳴る。登場する銃器はすべて架空のものだが、それぞれの音はモデルとなる実銃の音を収録していると思われるリアルな音だ。このほか、ゾンビを倒したときの血しぶきや頭部が破裂するような描写も多いが、音もちゃんと周囲に飛び散っていたり、自分がかぶったりする様子までリアル。こうした再現力もなかなかのもの。単にリアルな音ではなく、AV 30ならではの迫力のある音が響くのも雰囲気満点だ。
これは余談だが、ゲームではPS5の「グランツーリスモ7」で8K出力が可能だが、AV 30は当然8K伝送に対応している。ALLMやVRRといった機能に対応。こういった新機能への対応も万全だ。
AVアンプの威力や本格的なサラウンドの音の魅力を満喫できる傑作機
AVアンプによる本格的なサラウンドとはいうが、サウンドバーも上級機になるとかなり本格的な音が楽しめるし、機能的にもAVアンプの独壇場というわけではない。特にAVプリアンプとなると、4Kや8Kといった映像面での新機能が注目されがちだが、音の点も影響力は大きい。
DACチップなどの性能向上だけでも大きなアドバンテージになると思うが、古いAVアンプに機能強化としてAV 30を組み合わせるような使い方(現有のAVアンプをパワーアンプとして使う手法)をすると、サラウンド信号処理の高精度化だけでなく、基本的な音質としてもSN比の向上や情報量の増加などの大きな変化を得られるに違いない。
同じマランツのAV8805との買い換えならば正統なグレードアップだし、組み合わせる対象がデノンやヤマハといった音の傾向の異なる機種であったとしても、豊かな情報量があり、しかも映画らしい迫力ある音に寄せたAV 30の音に、物足りなさを感じることも少ないはず。
新しい音声フォーマットもしばらく登場しておらず、現在は、AVアンプにとって新鮮味を出しにくい時期なのは確かだ。これまでも、そういう時期はあったのだが、実はそういう時期ほど“出来の良い製品が多い”。
これは考えてみれば簡単な理屈で、とにかく作れば売れる時期は、新機能を網羅すれば良い。しかし、そうでない時期は、単に良いアンプを作るだけでは売れず、買い替えてもらえるくらい“凄く良いアンプ”でなければならないからだ。
AV 30は、重大な使命を背負った製品であり、そのために商品企画や設計、音決めのすべての段階で気合が入って作られたのだろう。最初に“AV 30が傑作”と言ったが、大げさではないし、偶然でもない。こういう製品はなかなか貴重だ。なお、海外では6chパワーアンプ「AMP 30」というモデルもあるそうで、気になるモデルなのだが、国内で発売されないことが残念だ。
「今使っているAVアンプも古くなってきたけれど、買い換えるほどでは……」と思っている人は、AV 30の追加、買い替えを検討してみてはいかがだろう。イベントや試聴会などに足を運ぶのもいい。きっと同じDolby Atmosとは思えない、最先端のイマーシブ・サウンドを体験できるはずだ。




















