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ペア約9万円から、DALIの個性も光る「SONIK」を聴く。初めてのオーディオスピーカーとして十分過ぎる実力
- 提供:
- ディーアンドエムホールディングス
2026年3月27日 08:00
「アコースティック楽器の演奏がとても映える、現代的な音を奏でるスピーカー」。それが「SONIK」(ソニック)を聴いてみての私の感触だった。DALIらしい個性を備えながらも、ペアで10万円を切るモデルもある、音楽から映画までまんべんなく楽しめるハイコスパの入門機が登場した。
今月3日から発売されたSONIKシリーズは、DALIのエントリースピーカー「OBERON」シリーズのDNAを受け継ぐモデルだ。
DALIは、デンマークに本社を構えるスピーカー専業メーカーである。その独特な“美音”は、長年多くのファンに親しまれてきた。もう20年以上も前になるか、中音域に宿る独特の質感でアコースティック楽器や女性ボーカルとの相性の良さが印象的だった。
現在では、音楽ジャンルを選ばない、モダンな”美音”を奏でるスピーカーとして、安定したラインナップを作り続けている。インテリア工芸の国としても有名なデンマーク生まれのスピーカーは、高級機はもちろん、入門機でも生活空間に溶け込むオシャレさを備えているのが特徴だ。
独自のSMC磁気回路を初めてエントリークラスに採用したOBERONシリーズが人気だったが、その後継として、約8年ぶりにリニューアルしたのがSONIK。新顔はいかなるモデルなのか。現役DALIユーザーの筆者がじっくり検証していきたい。
シアター構成も可能なSONIKシリーズのラインナップ
日本国内で展開されるSONIKのラインナップは以下の通り。ステレオの音楽鑑賞からホームシアター用途までカバーする構成はOBERONシリーズと同一である。
- ブックシェルフ「SONIK 1」 ペア90,200円
- ブックシェルフ 「SONIK 3」 ペア129,800円
- フロア型「SONIK 5」 ペア181,500円
- フロア型「SONIK 7」 1台136,400円 ※ペア販売品
- フロア型「SONIK 9」 1台215,600円 ※ペア販売品
- 壁掛け型「SONIK ON-WALL」 ペア132,000円
- センター「SONIK CINEMA」 1台93,500円
すべてのモデルで29mmソフトドームツイーターは共通。SONIK 7/9のみ、17×45mm プレーナー型(リボン型)も備えたハイブリッドツイーターとなる
バス/ミッドレンジウーファーは、SONIK 9が強力なダブルマグネットを採用した18cmウーファーを3つ、SONIK 7は通常の18cmウーファーを2つ、SONIK 5は13cmウーファーを2つ搭載する。ブックシェルフでは、SONIK 3が18cmウーファー、SONIK 1が13cmウーファーとなる。
SONIK ON-WALLは、SONIK 1と同じユニット構成。SONIK CINEMAは、SONIK 1と同じ組み合わせだが、ウーファーが2つとなっている。
ON-WALLとCINEMAは、ともにL/C/R chそれぞれに使える設計。SONIK CINEMAは、垂直置き・水平置きともにバスレフポートの位置が左右どちらかに偏らない配置だ。これはOBERON VOKALからの改善点である。
OBERONとSONIKはどこが違う?
ロングセラーとなったZENSORから、SMC磁気回路を採用し大きな進化を遂げたOBERONシリーズ。筆者も当時レビューを担当し、その優れた音質とコストパフォーマンスに感動したことを覚えている。
OBERONシリーズをご存じの方は、SONIKとの違いは何なのか、気になることだろう。超弩級スピーカー「KORE」の誕生前後で、DALIのスピーカー技術は大きく変わった。
RUBIKOREやEPIKOREといった高級機はもちろん、小型ブックシェルフのKUPIDでもKOREテクノロジーは採用された。SONIKは、OBERONのDNAを受け継ぎつつ、KOREテクノロジーを取り入れて開発されたモデルだ。
各部の進化点を説明しよう。まず、ソフトドームツイーターは、粘度の低い磁性流体を採用した。冷却のために磁気回路に使用される磁性流体は、ダンピングによって機械的ロスを発生させ、ツイーターの動きを鈍らせる。
RUBIKOREなどの上位機種では磁性流体を不使用とし、代わりの冷却機構にフィンを備えたチャンバーを使用するなど贅沢な構造を採っていた。
SONIKでは、ダンピングの要因である磁性流体の粘度を大幅に下げることで、損失を抑え高いトランジェントを実現したという。KUPIDにも採用されたこの特別な磁性流体は、生産管理に配慮が要る繊細な素材だそうだ。
低域特性を最適化することで中域から高域へのシームレスなつながりを確保。市場の大半のソフトドームツイーターと比較し、DALIのドーム素材は重量が半分以下(0.060 g/mm2)であるため、小さな音量レベルでも駆動が容易だという。結果、低音量時の細部表現と大音量時の正確性に繋がった。
また、ツイーターをマウントするアルミフェイスプレートは、拡散性の高いプレートに進化した。
OBERONでは見ることのできなかった「ハイブリッドツイーター」を大型フロアスタンディングモデル(SONIK7 & 9)に採用したことも注目すべき変化だ。
ドーム型に加え、プレーナー型(リボン型)ツイーターを搭載し、広指向性・低損失・高域の精細な表現を実現した。中級機以上ではすっかりお馴染みの“DALIの顔”がSONIKクラスの製品でも搭載されたのは驚きだ。
前述のドームツイーターと17×45mmプレーナー型(リボン型)ツイーターの組み合わせでは、プレーナー型は10kHz以上を担当。周波数特性を30kHzまで拡張している(ドーム型のみのモデルは26kHzまで)。10kHz以上をプレーナー型で鳴らすことで、高周波域における水平分散角度の拡大に寄与した。
ウーファーは、「クラリティコーンテクノロジー」を新たに採用した点が見た目でも分かりやすい。コーンユニットは、高速振動によって変形するのだが、それが不要なピークを作ってしまい、結果としてより上の周波数帯までマスキングを起こす。
クラリティコーンは、表面の凹凸形状によって、振動板の不要共振を抑え、ツイーターへの音の繋がりを自然で色付けのないものに改善したという。顕著に効果が現れるのが人間の耳にとって感度が高い3kHz以上の高域とあっては、たかが凹凸と侮れない。
モデルごとに13cm/18cm バス・ミッドレンジ・ドライバーを使い分けている。磁気回路は、DALI独自技術のSMCをポールピース上部に使用。具体的には、ポールピースの基部のみに鉄を使用し、10mmのSMCディスクを組み合わせている。
SMCはSoft Magnetic Compositeの略。砂鉄の一粒一粒に化学的なコーティングを施し、絶縁性を持たせてから磁気回路を作成するというDALIの特許であり、基幹技術の一つだ。
純鉄ポールピースのみの同等ウーファーに比べ、第3次高調波歪みを大幅に低減。グラフでは、特に1~3kHz辺りで顕著な歪みの改善が見られる。ウーファーといえば、低域というイメージが沸くかもしれないが、SMCが効いているのは、中域から高域まで広い帯域に及ぶ。
ちなみに、上位機種ではSMCが第2世代に変わっているが、本機は従来のSMCと同一となる。
ネットワーク回路は、ラミネートコアコイルと電解コンデンサーで構成される点はOBERONと共通。SONIK7と9にはフィルムコンデンサーも採用したという。
キャビネットは、低共振設計MDFを引き続き採用しつつ、デザインはリファイン。CNC加工による高精度MDFパネルを採用し、表面は厳選された高級ビニールで仕上げ。カラーバリエーションは4色で、北欧家具のトレンドを注視しながら選定された。
剛性と低共振を実現する内部補強を施し、SONIK 9ではバスドライバー専用チャンバー構造となっている。
吸音材は、内部側面と底面、上面に配置。フロントバッフルの対面には使用しないことで、より正確な低音と中音域のアタック感を向上させた。バスレフポートは、両端を朝顔型に開口させるデュアルフレア構造を採用し、低歪みでクリアな深みのある低域が実現したという。
新設計されたフロア型の脚部は、アルミ製アウトリガーの形状が一新。EPIKOREからインスピレーションを受けて開発されたこの脚部は、堅牢性と安定性が向上している。
床との設置面には、スパイクまたは半球型ラバーフットを選ぶことができる。スパイク受けを持っていない方も、床面の痛みを気にせず手軽にポン置きが可能だ。
スピーカーターミナルは、プラスチック製ノブと真鍮ターミナルを組み合わせた構造から、真鍮削り出しノブと真鍮ターミナルにグレードアップ。強度と接続安定性を向上させた。
これだけのグレードアップを成し遂げた海外ブランド製品。「さぞ、お高いんでしょう?」と尋ねたくなるが、そこは日本のオーディオファンを大事にしてくれるDALI。約8年前に発売されたOBERONと比べ、SONIK 3/5/ON-WALLはなんと据置き。
SONIK 1/7/9/CINEMAは値上げとなるが、値上げ幅は1~2万円程度と昨今の物価高と円安を考えると、驚異的な価格設定だと思う。
この価格を実現できるのは、生産量が他のシリーズと比べて圧倒的に多いため。さらに、ユニットやキャビネットといったパーツをなるべく共通化することで、手に取りやすい価格を維持したという。
また、DALI本国の日本市場へのリスペクトが高いことも影響しているそうだ。OBERONのヒットがSONIKの低価格にも繋がっていると思うと、なんだか嬉しくなってくる。
最も低価格な「OBERON 1」VS「SONIK 1」を聴き比べる
発表会で現物を試聴することになった筆者は、期待に胸を膨らませた。というのも以前聴いたOBERONが素晴らしく、「DALI至上一のコスパ王」と思ってきただけに、「SONIKでさらに進化したらどうなっちゃうの!?」というテンションである。
会場で最初に試聴したのは、OBERON 1 VS SONIK 1。
OBERON 1が鳴ると、思わずニンマリしてしまう。サイズと価格からすると、文句の付けようがないしっかりした出音だ。中低域が非常にクリアで音像の濁りも少ない。定位もシャープで、見通しがよい。鳴らしているアンプがハイエンドというのもあるだろうが、低域は見た目の以上の量感と説得力を放っている。
SONIK 1に取り替えると、まずハイの伸びが改善。トランジェントがさらに向上して、ボーカルの録音から伝わる空気感が大幅にアップ。生楽器のディテールも豊かに変わり、音像の周りにあったモヤも解消された。ホールトーンは、余韻のリアリティがワンランク上の領域に達している。
あらゆる点でOBERONを凌いだSONIKだが、一点だけ気になったのは高域が少々耳にキツいこと。これは比べれば気になるという話で、“刺激成分が不快”とかそういう類いのウィークポイントではない。低域の量感はOBERON相当で、無駄に張り切っていないところがDALIらしい気品を感じた。
続いて、プレーナー型ツイーターを搭載しないスリムなフロア型「SONIK 5」。まず、ブックシェルフ型の1に比べて、ローエンドがより下まで拡張し、量感は大きくアップ。ミッド~ローが密度とエネルギーを持って鳴ることで、アコースティックギター等の再現度も高まっている。
ホール録音の音源では、奥行き感が向上し、重低音の反響による”ホールらしい響き”が感じられた。ユニット配置が縦方向に広がるフロア型は、音のまとまり感が散漫になりがち。本機では、そこはまずまずの仕上がりだった。OBERON 5と比較は行なっていないものの、記憶の限りでは大きな変化はなさそう。
最後にプレーナー型ツイーターを搭載したSONIK 7を試聴。ハイブリッドツイーターは、高域に確実に効いているようだ。
まず、SONIK 1や5で感じていた若干のキツさが解消された。また、ハイが自然に広範囲に拡散していることは、ホールトーンの包まれ感の向上にも現れている。もちろん、スケールの大きさは断然7の勝利だ。音のまとまりも5より優れていると感じた。
OBERONでは非搭載だったプレーナー型ツイーターは、多方面に良い効果を生み出しているのかもしれない。
自宅でSONIK 3をじっくりチェック
発表会から数日、我が家にSONIKがやってきた。試用したのは、ブックシェルフの「SONIK 3」。29mmソフトドームツイーターと18cm バス・ミッドレンジ・ドライバーを搭載する質量6.5kgの中型ブックシェルフだ。カラーはウォルナットを選んだ。
箱から取り出すと、実売10万円のプライスを超えるスラッとした流麗なデザインに惚れ惚れする。背面こそ木組みの様子が見て取れるが、底面も含め、ネジや繋ぎ目は一切ない。
早速、自宅の防音室へ設置。映像ソースから視聴した。本機は、シングル接続のターミナルとなる。既存のRUBIKORE 2を撤去して、アンプ側はシングル駆動に切替え。バナナプラグをSONIK 3に結線した。
視聴機器は、UHD-Blu-rayプレーヤーに「UBP-X800M2」、AVアンプに「RX-A6A」、フロントch駆動用のアンプに「L-505uXII」。サラウンドバックとサラウンドスピーカーは、「FF125WK」。トップミドルは「FF105WK」。
ライブBlu-ray「CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019」より、OPから「時のみる夢」あたりまでをチェック。音声はリニアPCM 96kHz/24bitのステレオ。AVアンプは処理を行なわないピュアダイレクトで視聴した。
試聴室で感じた数kHz付近にあるピークは同様に聴き取れた。アコースティックギターやタンバリンなどの金属的な音がやや耳にくる。ただ、後述するがすぐに慣れた。
大所帯のライブ演奏だが、分離に優れ、ミックスの良さを再現してくれている。音像の輪廓もシャープで生々しい。拍手や喧噪など、ライブの空気感が緻密に伝わってきて、解像感の高さは中級クラスのスピーカーにも迫る満足感を味わえた。
ただ、低域の量感は、やや物足りない。低音が欲しいと思って音量を上げると、先にうるさく感じてしまう。キャビネットのサイズは大きいし、ウーファーの口径も18cmと大きめなので、磁気回路の物量の影響かもしれない。
続いてTVアニメーション作品。青春部活ものと思いきや、戦国時代にタイムスリップするという奇抜な展開で話題をさらった「Turkey!」から最終話を視聴。こちらも音声はリニアPCMの48kHz/24bitステレオ。
台詞、SE、BGM、それぞれが明瞭に鳴っていて、お互いがケンカせず共存している様はノーストレスだ。元々のソースの音作りがそうなっているのはもちろんだが、分離感や空間表現力がイマイチなスピーカーでは、個々の音が頭で捉えにくくなってしまう。
戦国時代の姫達を救う命を賭けたボウリングデスゲーム。雨音の細やかな臨場感と、利奈と麻衣たちの切迫感のこもった台詞は、トランジェント良く説得力をもって迫ってくる。
台詞は中域がしっかり再生されていて、低域は誇張なくナチュラル。中域の滑らかさや、暖かみのある質感は、OBERONよりは色濃く現れているようだった。
続いて、サラウンドもチェックしてみる。「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」。AVアンプ側ではDTS:Xをデコードせず、あえてピュアダイレクトのまま再生した。
オーウェンたちがマルタ島でアトロキラプトルに追われるシーン。バイクやトラックを使った街中のチェイスはギミックも多く迫力満点だ。SEの立ち上がりは素早く、収束も早い。音が遅いとアクションはリアリティが削がれてしまうが、SONIKなら必要なクオリティは確保している。
台詞のディテールがシャープで、センタースピーカーがない我が家のシアターでも文句は浮かばない。
狭い街中をチェイスするシーンは、物を壊したり、恐竜が攻撃してきたり、もちろん走行音などもひっきりなしだ。
しかし、騒がしいシーンでも聴いていて疲れる感覚は皆無。DALIならではのオーガニックな質感と、歪みの少ないサウンドが効いているのだろう。だから、長時間聴き続ける映画鑑賞との相性も良い。ひたすら正確な音も個人的には好みだが、聴き疲れてしまったら考えものだ。
映像鑑賞を堪能した後は、音楽ソースをチェックしていく。映像が無い分、音の変化には敏感になるため、筆者は音楽の方を厳しく評価しがちである。映像から先に確認したのは、まっさらな感覚のままインプレッションを残したかったからだ。
まずは、Qobuzのお気に入りライブラリからハイレゾを何曲か聴いてみた。ヨルシカの「茜」。音数の少ないポップスは、ピュアオーデイオのスピーカーでぜひとも聴いてもらいたいジャンルのひとつだ。
SONIK 3は、そんな音の隙間を楽しめるクオリティを備えている。2番冒頭の短いブレイクが繰り返されるシーンでは、静寂と演奏の境目に息を呑む。安価なスピーカーでも同じ音楽は楽しめるのだが、スッと音が無くなり、また瞬時に鳴らされる、その刹那の空気感や緩急がよりドラマチックなのだ。
本楽曲はアタックも残っていて楽器の音像も立体的、ミックスの仕上がりが良質な作品だと思っていて、だからこそ厳しく聴いてしまう自分もいる。
サウンドステージの透明感や音像のディテールの精細さはさらに上を求めたくなるが、初めてのオーディオグレードのスピーカーとして考えれば十分過ぎるほど。目の前で歌ってくれているような96kHzならではのリアル感は楽しめる。後半にかけて印象的に使われている二胡の音色も、「生楽器」ってこんなに繊細なのだと感動してもらえると思う。
サックス奏者ユッコ・ミラーの最新アルバムBloomin'より「AKUJYO」。SONIKはジャズに合う。これは間違いない。サックスの中音域は豊潤で、適度に備わった甘い質感は、懐かしい中毒性のあるサウンドを思い出させてくれた。
筆者が初めて使ったDALIは「Royal Tower」であり、あのとろけるような中音域は一度ハマったら虜になってしまう。当時ほど癖は強くないが、思い出したのはあの音色だった。
AKUJYOは日本楽器とのコラボということで、太鼓が奏者に加わっている。バチや胴まで見えてきそうな立体的な音像に心が躍る。響きも美しい。サックスを中心としたバンドと和楽器のコラボは、描き分けを正確に行なっており、個々の楽器に聴き入るのが容易だ。
音量を試しに絞ってみても、太鼓が引っ込んだり、極端に痩せたりしない。鳴らすアンプにも依るだろうが、小音量でも音がへこたれない良いスピーカーだ。
アイルランドのケルティック・コーラス・グループAnúnaのOtherworldより「Our Eternal Land」。伴奏無し、合唱のみの楽曲だ。コーラスも非常に気持ちよく浸れるジャンル。オーガニックな質感や中音域の豊かさだけでなく、トランジェントの良さも兼ね備えたSONIKは、コーラス隊の口元が見えそうな程にリアルだ。
前列後列と並ぶコーラス隊の配置やスタジオの天井の高さを想像させるほどの空間表現力。エントリークラスとしてはなかなかのレベルである。ソプラノパートの透明感も素晴らしいが、テナーの中低音の響きも含めて、パフォーマンスへの没入感を駆り立てた。
最後にNAS(Soundgenic)の音源を聴いていく。
筆者が総合プロデュースを務める音楽ユニットBeagle Kickの「Anyway」。スタジオの大きめのモニタースピーカーでも聴いてきた本楽曲は、バランスを正確に表現しているかのチェックによく使う。
中域が充実しているのは前述のとおりで、コーラスやキーボードは密度感があり、肉付きがよい。高域の伸びは力みがなく自然で、ドラムの金物系もかすかな優しさを備える。ミドルテンポの軽快なノリは遜色なく再現。バスドラやベースの量感はもう少し欲しいところだ。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』オリジナルサウンドトラックより「水槽の街から(I_006_lyric)」。ボーカルはみきまりあ。アコースティック系ばかりではなく、打ち込み系音楽も試してみる。
ピコピコと鳴るシンセトラックの音像がクッキリと見えて気持ちいい。リズムトラックの刻みも適度に早く、アコースティック系が得意なスピーカーにたまに見られる"音が遅い”と感じることはなかった。生演奏主体の音楽が似合うのは間違いないのだが、それ以外は苦手とは思わない。ただ、優しい質感が乗っているため、ソリッドでクールなサウンドが欲しいという人には手触りがウォーム寄りかもしれない。
改めてジャズに戻る。女性3人組のインストジャズバンド・Fabrhymeの最新アルバムEssenceより「Wishlist」。サック、ベース、ピアノにサポートドラマーを加えた完全アコースティックな編成だ。
サックスの音色は、聴いているととろけそうになる。それでいて、輪廓はボヤけずに、ベースなどは特にクッキリと描いている。映像から音楽と視聴を続ける中で、いつの間にか高域のピークは気にならなくなっていた。慣れるのが早いということは、雑味ではないと筆者は解釈した。害のある付帯音であれば、いつまで聴いてもそれは雑味であり、慣れることはないからだ。
ホール録音のオーケストラは、FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestra World Tour LIVE 2024.09.08から「Concert: FFVIIメインテーマ Battle Edit」を聴く。重低音の質量は、オーケストラ音源でチェックすると、やや厳しさがないわけではない。
コンサート会場で聴く、あの迫力を求めるなら、フロア型のSONIK 7以上をオススメしたいところだ。しかし、住環境的にそこまで低音は出せない方もいるだろう。SONIK 3でも、弦楽器の温かみのある質感はDALIらしい特別なものであり、リスニングを一層気持ちよくしてくれる。
現代的なサウンドながら、DALIらしい個性も光るSONIK
ここ数年のDALI、特にSMCが導入されて以降は、往年の中域重視の“美音”をDNAとして残しつつも、割とナチュラルなバランスでまとめてきたように思う。解像度やスピード感、空間表現力を高めたモデルをメインとして、個性的なモデルは一部に留まっていた。それは音楽ジャンルを選ばないことと同義でもあり、オールマイティなスピーカーとして新たな魅力となっていた。
SONIKは、現代的な楽曲も鳴らせる度量を備えつつ、懐かしのDALIらしい個性を備えたモデルだと筆者は受けとめた。“最近のスピーカー、みんな優等生で面白くない”と感じていたら、きっとSONIKは候補の1つになるだろう。
モニターじゃない、リスニングを楽しむためのスピーカー。エントリーながら、あえてキャラクターを明確にしたSONIKは、音楽を楽しんで聴く、生活に寄り添う1台として新たな歴史を刻んでいくのだろう。





































