パナソニック、フルHD・3D対応50型PDPと新メガネ開発

-CEATEC展示。二重像軽減。2010年市場投入へ加速


9月28日発表

 

 パナソニック株式会社は28日、3D表示に対応したフルHD解像度の50型プラズマディスプレイと、開閉タイミングをより高精度に制御できるアクティブシャッター・メガネを開発。さらにクリアな3D表示を可能にするシステムとして、10月6日から幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2009に参考出展すると発表した。

 ホームシアターのボリュームゾーンである50型PDPで3D対応することで、同社では「フルHD・3D対応テレビの関連技術を確立し、2010年の商品化を加速していく」としている。

 パナソニックでは、2008年9月に、103型プラズマと改造版BDプレーヤーを用いた「家庭用 フルHD・3Dプラズマ・シアターシステム」を開発し、CEATEC JAPAN 2008に展示した。3Dシステムは「フルHD×2フレームシーケンシャル方式」を採用。左右それぞれの眼に対して、2系統のフルHD/1,920×1,080ドットの映像を1つのプラズマテレビに表示し、視聴者は、プラズマの表示と同期して動作するアクティブシャッターメガネをかけることで、フルHDの3D映像を楽しむことができるというもの。

 走査線ごとに左眼用、右眼用に振り分けて表示する「ライン・バイ・ライン」方式や、左右2画面分のフルHD映像を一画面分のデータ領域で蓄積/伝送する「チェッカーサンプリング」方式などと比べ解像度が低下しない、高品位な3D表示が行なえるのを特徴としている。

映像製作から表示まで、左眼用と右眼用でそれぞれフルHD解像度を維持しているため、高精細な3D表示が可能になる

 今回開発された50型PDPには、新たに「3D高速駆動技術」と「二重像低減技術」を投入。PDPは動画応答速度が速く、高速表示が可能なため、「フルHD×2フレームシーケンシャル方式」に適した技術だが、パネル新素材や新LSIを開発することで、明るさを維持しながら更なる高速発光を実現する「3D高速駆動技術」を開発した。

 「二重像低減技術」は、新短残光蛍光体と新発光制御技術を組み合わせたもので、左右の画像間に生じる二重像を低減する効果がある。これにより、動画再現性が向上し、高コントラストで色再現性の高い3D表示が可能になったという。また、これらの新技術は従来の2D表示でも高画質化に寄与するとしている。

 アクティブシャッターメガネも改良。右眼・左眼の映像と、メガネのアクティブシャッターの開閉タイミングを高精度に制御する技術を開発することで、二重像の発生を大幅に軽減したという。さらに、メガネのデザインは、子供から高齢者までの使用を想定したユニバーサル対応となっている。

 現在Blu-ray Disc Association(BDA)では3Dコンテンツを収録するための、BDビデオフォーマットの「3D拡張規格」の規格化が進められている。パナソニックでは「BDA加盟民生機器メーカーなどと協力し、今後も一層の3Dシステムの普及に努める。臨場感溢れる3Dワールドご家庭のリビングルームでお手軽にお楽しみいただけるように、2010年には日米欧の市場に向けてラインナップ展開を図るべく、商品開発に取り組む」としている。

 パナソニックは2月にハリウッドの3D映画をBDにオーサリング収録するオーサリングセンターを設立。4月には2眼式P2カメラレコーダーと3D映像記録器などを使ったフルHD・3D映像製作システムの開発を開始。8月には3D映画「アバター」のプロモーションを20世紀フォックス、ライトストームエンターテインメントと共同で実施すると発表するなど、3Dの普及に向けた取り組みも進めている。


(2009年 9月 28日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]