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ディズニー、BD/DVD購入者向けクラウド配信「MovieNEX」

本編/特典を配信。第1弾「モンスターズ・ユニバーシティ」

「MovieNEX」のロゴマーク

 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは25日、同社のBlu-ray/DVDビデオの購入者に対し、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末で映画やアニメの本編映像を再生できる、クラウドベースの映像配信サービスと、追加コンテンツの配信を行なう「ディズニーMovieNEX」(ムービーネックス)を発表した。11月20日発売の「モンスターズ・ユニバーシティMovieNEX」(BD/DVDも内包/4,200円)が対応の第1弾タイトルとなる。サービスをサポートする企業はGoogleとドワンゴ。

 ディズニーではこれまでも、BD/DVDの特典としてスマートフォン/タブレット向けに本編映像などを提供するデジタルコピーを実施してきたが、「ディズニーMovieNEX」はそのデジタルコピーをクラウド対応に進化させると共に、本編だけでなく、特典映像や映画に関する様々な情報提供などを行なうサービスを組み合わせたもの。

モンスターズ・ユニバーシティMovieNEX

 第1弾タイトルの「モンスターズ・ユニバーシティMovieNEX」には、BDとDVDの本編ディスクを収録。このディスクに特典映像も収録している。ここまでは通常のBD/DVDと同じだが、パッケージには「MovieNEX」を利用するためのコードが入っている。

 MovieNEXはWebベースでサービスで、配信コンテンツを視聴できる端末はPC、iOS/Android端末など。これらの機器のブラウザを使い、「MovieNEXワールド」というスペシャルサイトにアクセス。そこでユーザー登録を行ない、パッケージに封入されているコードを入力すると、BD/DVDを購入した作品の本編を配信しているページにアクセスできるようになる。視聴はブラウザで行なう。配信解像度などは未定だが、HDクオリティを予定。ストリーミング再生だけでなく、Android端末ではダウンロード再生にも対応予定。

「MovieNEX」の構成要素

 この「MovieNEXワールド」では本編だけでなく、スタッフインタビューやメイキングなどの特典、映画にまつわるゲームの配信など、様々な関連コンテンツも提供。BD/DVDの特典を、オンラインで楽しむような感覚となる。映像コンテンツだけでなく、設定資料やゲームなども提供予定。プレゼント企画、コーポンの配布、イベントの案内なども予定。また、スタッフが来日した際の映像など、作品に関する新しい特典コンテンツが、BD/DVD発売後にも随時追加されるという。

タブレットで「MovieNEX」にアクセスしたところ
文字や写真のコンテンツ、スタッフ来日時のインタビューなどの配信も想定されている
ドワンゴの夏野氏からビデオレターが上映された

 なお、ドワンゴがサービスのサポートを表明しており、MovieNEXの発表会ではドワンゴの夏野剛取締役からのビデオレターも上映。夏野氏は特典コンテンツの一例として、視聴している他ユーザー達が投稿したコメントが楽しめるサービスを、今後のアイデアの1つとして提案した。

 これとは別に、特典として3D映像の配信も検討されているという。

MovieNEXは1作品に1つの商品

 この「MovieNEX」は、基本的に1つの作品に対して、1つの商品しか発売しない。例えば「モンスターズ・ユニバーシティ」の場合、BD版、DVD版などの各単品版は無く、BD+DVDにMovieNEXのコードを内包した「モンスターズ・ユニバーシティMovieNEX」という1つの商品のみとなる。例えば「MovieNEX」対応で、DVDのみ低価格バージョンなども想定されていない。

 ただし、「モンスターズ・ユニバーシティ」には「コンプリート・ボックス」(VWBS-1498/15,750円)も用意される。1,000セットのオンライン限定商品となっており、「モンスターズ・ユニバーシティMovieNEX」に、Blu-ray 3Dも追加。さらに封入特典として、「ジ・アート・オブ『モンスターズ・ユニバーシティ』」と、オリジナル・ビーンプラッシュ:キッズマイク&ラッキー・コイン、オリジナル『モンスターズ・インク』スケアラーズ・カード(33枚)も付属する。

 11月20日に発売する第1弾は、この「モンスターズ・ユニバーシティ」に加え、トイ・ストーリーシリーズなども含んでいる。詳細は以下のとおり。価格は各4,200円。ディズニーではこれ以降も、劇場公開の新作を中心にMovieNEXを拡充していくという。

 【11月20日発売の第1弾作品(各4,200円)】

  • ミッキーのクリスマス・キャロル 30th Anniversary Edition MovieNEX
  • トイ・ストーリー MovieNEX
  • トイ・ストーリー2 MovieNEX
  • トイ・ストーリー3 MovieNEX
  • モンスターズ・インク MovieNEX
  • モンスターズ・ユニバーシティ コンプリート・ボックス
    (※このBOXのみ15,750円)

 【12月18日発売の第2弾作品(各4,200円)】

  • パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち MovieNEX
  • パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト MovieNEX
  • パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド MovieNEX
  • パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 MovieNEX

「ソフト発売後もフレキシブルにコンテンツを更新できる」

ウォルト・ディズニー・ジャパンの塚越隆行ゼネラルマネージャー

 ウォルト・ディズニー・ジャパンの塚越隆行ゼネラルマネージャーは、「新しい技術で映画をもっと楽しめるようになる。いつでも何処でも、もっと作品を楽しみたいという欲求を、インターネットが現実にしてくれる。本編だけでなく、キャラクターの追加情報など、映画の世界をもっと楽しめるコンテンツも随時提供する。これまではメディアに固定されたコンテンツだったが、今後は発売以降もフレキシブルな形でコンテンツを更新できる」と、クラウドベースであるMovieNEXの利点を説明。

スタジオ・グループ/インホーム セールス&マーケティングの田中久也バイスプレジデント

 また、その魅力を消費者に積極的に訴求していくIn-Home部門を社内に設立した事も発表。スタジオ・グループ/インホーム セールス&マーケティングの田中久也バイスプレジデントが挨拶した。

 さらに、販売戦略についてセールス エグゼクティブ ディレクターの山内康祐氏が説明。発表会場に集まった販売店関係者に向けてのメリットとして、BD版、DVD版など、複数の商品バリエーションが存在しないため、それぞれの売れ行きを予想してメーカーに注文するなどの手間や、在庫管理も楽になるというポイントを訴求。廉価版を予定しておらず、“待っていても安くならない”ため、「このことが消費者に浸透すれば、買い控えも防げる」とした。

 また、消費者に向けてのメリットとしては、MovieNEXで豊富なコンテンツが楽しめる事に加え、1つの商品のみになるため、購入時に迷わなくて済む点もアピールした。

塚越氏と糸井重里氏によるトークショーも開催された

 発表会の最後には、塚越氏と、これまでディズニーのパッケージソフト販売において、アイデアの提供などで協力し、塚越氏と“食事友達”でもあるという糸井重里氏が登壇。塚越氏とのトークショーも開催された。

 トークショーの中では、糸井氏の発案で開発された、ディズニーDVDプレーヤー(白雪姫DVDとのセット)など、これまでの取り組みについて思い出話が展開。さらに、糸井氏は、現在取り組んでいる、東北に沢山のツリーハウスを作るという取り組みについても説明。人々が集まり、出会う場を提供したいという想いが根底にあるという。作品や、そこに登場するキャラクターと場所や時間を問わずに出会えるMovieNEXにも通じるものがあるため、ツリーハウスの状況や進捗をコンテンツとしてMovieNEXに提供するなど、MovieNEXの今後の展開に、糸井氏も協力する事となった。

(山崎健太郎)