ニュース

ソニー、フルサイズで可変ローパス。AFも高速化した43万円のコンパクトカメラ「RX1R II」

 ソニーは、コンパクトデジタルカメラながらフルサイズのCMOSセンサーを搭載、世界で初めてローパスフィルタのON/OFFも可能なハイエンドモデル「RX1R II」(DSC-RX1RM2)を12月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は43万円前後。

フルサイズのCMOSセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ「RX1R II」

 ミラーレスのハイエンド機「α7R II」(ILCE-7RM2)に搭載している、35mmフルサイズ、有効4,240万画素の裏面照射型CMOSセンサーと同じものを採用したコンパクトカメラ。「手のひらサイズはそのままに究極の解像度で瞬間を切り取る」という。レンズ交換はできない。

「RX1R II」

 高感度は最高ISO 102400での撮影が可能。光を取り込みやすくするため、フォトダイオードの下に配線層を配置しているのが裏面照射型の特徴だが、RX1R IIのセンサーでは、従来の裏面照射型が配線層にアルミニウムを使っているのに対し、銅を採用。データの読出速度をより高め、従来比3.5倍を実現したという。

 さらに、世界初の光学式可変ローパスフィルタを搭載。クリスタルで作られているローパスフィルタの中間に、特殊な液晶を挿入。液晶層に電圧をかけてコントロールする事で、ローパスフィルタ効果を可変的に切り替えられる。

 例えば、ローパスフィルタをOFF設定にすると、入射光がそのまま直進する光と、内部で屈折する光が出口で1つに戻るような効果にコントロール。ローパスフィルタが無い状態と同等の効果が得られ、解像感を重視した撮影が可能。ただし、縞模様などを撮影するとモアレや偽色が出やすくなる。

左がローパスフィルタOFF時、右がON時
ローパスフィルタ効果は3段階から選択できる

 ローパスフィルタをON設定にすると、液晶にかかる電圧が変化し、入射光を適度に分散させるように動作。モアレや偽色を抑えた撮影ができる。ON/OFFの効果は、「OFF」、「解像感とモアレ・偽色のバランスを重視した標準設定」、「モアレ・偽色の低減を重視した強め設定」の3段階から選択できる。

作例

 さらに、RXシリーズとしては初めて、像面位相差検出方式と、コントラスト検出方式を併用した「ファストハイブリッドAF」を搭載。従来モデルのRX1Rと比べ、約30%の高速化を実現したという。像面位相差AFセンサーは399点で、フルサイズセンサー搭載デジタルカメラとしては世界最大の45%をカバーする。

 高速AF、広いAFカバー範囲、高い追従性を活かすために、被写体を追従し続けるAF-Cモードも新たに搭載。AF追従した状態で、5コマ/秒の連写も可能。

被写体を追従し続けるAF-Cモードも新たに搭載した

 AFエリア設定に「ワイド」、「センター」に加え、3段階から枠サイズが選択できる「フレキシブルスポット」、選択したフレキシブルスポットエリアとその周囲のAFセンサーで捉える「拡張フレキシブルスポット」を搭載。ポートレート撮影向けの「瞳AF」なども新搭載している。

 レンズは35mm F2の単焦点で、ツァイスのゾナーT*レンズを採用。レンズの仕様は従来モデルのRX1Rから変更は無く、有効約4,240万画素のフルサイズセンサーの高解像度を活かすために、レンズと撮像面の位置調整をミクロン単位で行なっている。絞り羽根は9枚。

 映像処理エンジンは「BIONZ X」。ディテールリプロダクション技術や、回析低減処理、エリアにわけて適当的にノイズを低減する「エリア分割ノイズリダクション」などが利用できる。

レンズはRX1Rと同じ
映像処理エンジンは「BIONZ X」
内部構造

 さらに記録モードに、従来の圧縮RAWに加え、14bitの非圧縮RAWを新たに追加。イメージセンサーの持つ広いダイナミックレンジを活かした撮影ができるという。

 動画撮影は4Kには非対応で、XAVC Sで最高1080/60p/50Mbpsの撮影が可能。AVCHDで最高1080/60p/28Mbps/、MP4で1080/60p/28Mbpsなどの撮影も可能。720/120pの撮影にも対応する。なお、4Kに対応しない理由についてソニーでは、「製品のサイズやバッテリなどを考慮した結果」と説明している。

側面にHDMI端子などを装備
背後に録画ボタン
軍艦部

 モニタは3型、122.9万画素でチルト対応。フラッシュは搭載しておらず、代わりにRX100M3/M4のようなポップアップ式のビューファインダーを搭載。0.39型、有機ELのファイダーで、倍率は0.74倍、ツァイスT*コートも施している。なお、RXシリーズではポップアップしたファインダーから接眼レンズ部をユーザーが指で引き伸ばして利用するが、RX1R IIのファインダーは自動的に接眼レンズ部が展開、収納時も上からファインダーを押すと接眼レンズも含めて収納されるようになっている。アイピースカップも付属する。

モニタはチルト対応
ポップアップ式のビューファインダーを装備
ビューファインダーをポップアップした状態

 無線LAN機能やNFCにも対応し、アプリ形式で機能を追加できる「PlayMemories Camera Apps」にも対応。

 外形寸法は113.3×72×65.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は本体のみで約480g。

左から「α7R II」、「RX1RII」、「RX1R」

アクセサリも

 本革を使った速写ケース「LCJ-RXH」も12月中旬に発売予定。価格は26,000円。ケースに収納した状態でUSB端子やバッテリ、フォーカスつまみなどにアクセス可能。

 さらに、レンズフードの「LHP-1」や、サムグリップ「TGA-1」なども用意する。

本革を使った速写ケース「LCJ-RXH」
レンズフードの「LHP-1」や、サムグリップ「TGA-1」を装着したところ

(山崎健太郎)