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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第544回:【CES】ソニー、新カムコーダと進化を続けるBloggie

〜空間光学手ぶれ補正。カンファレンスは大盛況〜


■プレスカンファレンスのトリを務めるソニー

ソニーブースの様子

 いよいよInternational CES 2012のプレスデイがスタートした。多くの企業はメインストリートに近いVenetianホテル内のカンファレンスセンターで開催しているが、例年ソニーは展示ホールそのものを使ってプレスカンファレンスを行なっている。

 一昨年は3Dカメラとライブパフォーマンスを組み合わせたショー、昨年は巨大3Dディスプレイに映画「グリーンホーネット」をフィーチャーしたショーと、エンタテイメント企業としての実績を演出として表現してきた。


濛々たる白煙の中からウィル・スミス登場

 今年も去年に引き続いて巨大3Dディスプレイを使った演出だが、映画「Men In Black 3」の公開を控えて主演のウィル・スミスと監督のバリー・ソネンフェルドが大量のスモークにむせながらコミカルに登場。カンファレンスそのものがエンタテイメントになっていた。こういうことをやる企業はCESではソニーくらいだろう。

 プレゼンテーションでも今年の見どころが発表されたが、本日は会期前に実機が触れるチャンスである。本日発表された映像撮影機材を中心に、一日早くご紹介していこう。




■プロジェクタ機能有り/無しが選べるハンディカム

この春の最上位モデル、HDR-PJ760V

 ソニーのハンディカムは昨年秋の新製品投入が見送られたため、およそ1年越しの新製品となる。今年の強化ポイントは、撮影した映像を投影できるプロジェクタ搭載モデルを大幅に拡充し、同性能モデルでプロジェクタ機能の有り/無しが選べるようになったところだ。

 液晶モニタの背面にプロジェクタを搭載するモデルは、近々では「HDR-PJ40V」が一番新しいモデルだが、今回は投写映像の明るさを約2倍に強化し、最大100インチサイズの投影が可能になった(HDR-PJ40Vは60インチ)。

 この春の最上位モデルとなる「HDR-PJ760V」にもプロジェクタを装備。26mmの広角レンズ搭載で光学10倍ズーム、17倍のエクステンデッドズーム搭載モデル。撮像素子は1/2.88型の665万画素「Exmor R CMOS」。本体内蔵メモリは96GB。

 また、従来から定評のある手ぶれ補正は、今回から大胆に方式を変更した。これまでの光学手ぶれ補正は、レンズユニットの一部のレンズをシフトさせて補正を行なうのみだったが、今回の方式ではセンサー部分までを含めたレンズユニット全体を動かして補正を行なう「空間光学手ぶれ補正」となった。これまでは「10倍ブレない」がウリだったが、今回は「13倍ブレない」のだそうである。

 駆動部分の重量は大きくなるが、バッテリへの負担はほとんど現状モデルから差はないという。またユニットごと動かす事で、シフト時にも光軸が曲がらないため、大きく補正した時でも、周辺部の解像度やゲイン落ちが無いというメリットがある。実際にカメラを動かしてみると、前玉ごとぐりぐりと目玉のように動いて手ぶれ補正する様子が見て取れる。

【空間光学手ぶれ補正】

 新機構のため、フィルター径が従来の37mmから52mmに変更されたが、従来のワイド・テレコンバージョンレンズに対応するため、ステップダウンリングが標準付属する。ただワイコンだけは空間光学手ぶれ補正を使うとケラレが発生するため、ワイコンを付けると自動的に空間光学手ぶれ補正がOFFになる。


プロジェクタ搭載ハイエンドお買い得モデルHDR-PJ710V

 「HDR-CX720V」は、プロジェクタ機能を省いただけで、光学スペックはHDR-PJ760Vと同じ。内蔵メモリが64GBとやや少なく、ビューファインダもないモデル。

 もう一つ下の「HDR-PJ710V」は、プロジェクタは付いているが内蔵メモリが32GBで、ビューファインダなしのお買い得モデルだ。

 価格は「HDR-PJ760V」が1,600ドル、「HDR-CX720V」が1,500ドル、「HDR-PJ710V」が1,300ドルで、今年3月発売となっている。



 

 ミドルレンジのラインナップは、高機能ながらもコンパクトさを追求した「HDR-PJ580V」である。プロジェクタを搭載しながらも、以前の人気モデル「CX560V」よりも小型化されている。

 レンズは26.8mmスタートの光学12倍で、エクステンデッドズームで20倍を実現。こちらは空間光学手ぶれ補正ではなく、従来型のシフトレンズ方式であるが、補正はテレ端側で従来の2倍から3倍へと強化されている。撮像素子は543万画素の「Exmor R」で、内蔵メモリは32GB。

 同スペックでプロジェクタなしモデルが「HDR-CX580V」。価格は「HDR-PJ580V」が900ドル、「HDR-CX580V」が800ドルで、1月発売となっている。

プロジェクタ搭載小型モデル、HDR-PJ580V 同スペックのプロジェクタなしモデル、HDR-CX580V

 エントリーモデルより一つ上、ステップアップモデルと題されたシリーズのプロジェクター付きモデルが「HDR-PJ260V」だ。29.8mmスタートの光学30倍ズームレンズを搭載し、エクステンデッドズームは55倍。撮像素子は543万画素の「Exmor R」で、内蔵メモリーは16GB。

 同スペックのプロジェクタなしモデルが「HDR-CX260V」で、こちらのみホワイト、ブラック、ブラウンの3色展開。一方、メモリではなく160GBのHDDを搭載したモデルが「HDR-XR260V」。価格は「HDR-PJ260V」が650ドル、「HDR-CX260V」が550ドル、「HDR-XR260V」が700ドルで、こちらも1月発売となっている。なおHDDモデルは米国でもこの1台のみで、おそらく最後のHDDモデルではないかと思われる。

ズーム倍率を強化した廉価モデル、HDR-PJ260V おそらく最後のHDDモデル、HDR-XR260V プロジェクタなしモデルは3色展開

 エントリーモデルとしては、プロジェクタ付きだが内蔵メモリなしの「HDR-PJ200」が440ドル、同スペックでプロジェクタなし、内蔵メモリ8GBの「HDR-CX210」が370ドル、さらにプロジェクタなし、内蔵メモリなしの「HDR-CX190」が300ドルとなっている。

内蔵メモリなしのHDR-PJ200 内蔵メモリ8GBのHDR-CX210 最も低価格モデル、HDR-CX190


■大幅に小型化された3Dハンディカム

 ダブルレンズ、ダブルセンサー、ダブルプロセッサ搭載の3Dハンディカムは、昨年「HDR-TD10」でデビューした。ただ市場の反応としては、やっぱりカメラ2台分ということでちょっとデカい、重いというところが引っかかったようだ。

 今年はこの部分を大幅に改良したコンパクトモデル、「HDR-TD20V」が発表された。サイズ、重量ともにおよそ2/3となり、普通のカムコーダとほぼ同じサイズ感となった。ボディは小さくなったが、裸眼立体視可能な液晶モニターは3.5インチで、前モデルと同じだ。

3DのコンパクトモデルHDR-TD20Vが登場 小型化しても液晶モニタのサイズは変わらず

 ボディが小さくなったぶん、左右のレンズ間は狭くなっているが、その代わり近接撮影が従来の約80cmから30cmと、大幅に寄れるようになった。それでも破綻せずに3Dで撮影できるのがメリットだ。

 レンズの焦点距離は2Dで29.8mm、3Dで33.4mmスタートの光学10倍、エクステンデッドズーム12倍となり、ワイド端、テレ端ともに前モデルより拡がっている。また今回はシネマトーンで撮影できる機能も搭載した。

 撮像素子は1/3.91型、543万画素の「Exmor R」を2個搭載。なお、3D撮影時は視差を自動調整する関係で有効画素数が398万画素になる。内蔵メモリは64GB。さらに他のハンディカム同様、USB経由での充電にも対応する。またGPSも搭載している。

 発売は3月の予定で、価格は1,500ドルとなっている。



■着々と進化するBloggie

 日本では今ひとつブレイクの兆しが見えなかった廉価なMP4カメラ。米国ではFlip Videoがかなり人気を博したが、'09年にCiscoに買収されて以降新しいソリューションが提供できず、結果的に市場から姿を消すことになった。

 一方ソニーならではの機能を入れ込んだ「Bloggie」は着々と進化を続けており、今回のCESでは新しく2モデルが登場した。

 Bloggie Liveこと「MHS-TS55」は、無線LANを搭載して動画のライブ配信にも対応した高機能モデル。撮影機能としては1080/30pの動画、12.8Mピクセルの静止画が撮影可能で、動画撮影中の静止画撮影にも対応する。ステレオマイクを装備するほか、LEDライトも使用可能。

ライブストリーミング対応のBloggie Live 底部に直刺し用USBコネクタが

 液晶画面がタッチスクリーンになっており、メニュー操作などは画面上で行なうため、ボディ表面には動画のRECボタンと静止画のシャッターボタン、電源ボタンぐらいしかない。

 本体内部に無線LAN機能を実装し、アクセスポイントの設定を行なっておくと、様々なWEBサービスに対して映像がアップロードできる。ライブ配信機能としては、現在Skypeの傘下となっているQikに対応。録画しながらのライブ配信も可能だ。

複数の動画共有サービスに対応 ライブ配信中の画面。視聴者からの書き込みが本体画面に表示される

 Qik自体はFacebookやTwitterと連動させることができるため、配信を始めるとそのURLが自動的に投稿される。Qik自体にチャット機能が付いており、視聴者が自由にコメントを書けるほか、書かれたコメントは撮影しているBloggie Liveの画面上にも表示される。できること自体はiPhoneのツイキャスに似ているが、単体のカメラでこれができるのはすごい。

 面白いのは、ライブ配信が終わると、Bloggie側に録画されたMP4ファイルを自動的にアーカイブにアップロードすることだ。従来のライブ配信は、配信中にサーバ側が記録するものだが、あとで記録したものを上げ直すことで、ライブ配信では通信環境の問題で途切れてしまった配信も、アーカイブにはちゃんと綺麗に残すことができる。

配信視聴中のPC画面 配信終了後はアーカイブ用として動画を自動アップロード ファイル名なども本体だけで入力可能

 内蔵メモリは8GBで、価格は250ドル。発売は現地時間の1月10日より、米国のソニースタイルストアで開始される、量販店には今週末には並ぶようだ。ただ今回発売のBloggieは、残念ながら日本での発売予定はないという。

 もう一つのモデルは、「Bloggie Sport」こと「MHS-TS22」で、約5mの防水機能を備えたモデル。他社のMP4カメラではスポーツモデルが人気で、それに習った格好だ。

 撮影機能は1080/30pの動画と、5Mピクセルの静止画撮影が可能。こちらは無線LANは搭載していない。カラーは黒、赤、青の3色で、内蔵メモリは4GB。発売は1月10日で、価格は180ドルだ。

防水機能付きのBloggie Sport こちらもタッチスクリーンで操作 3色を水槽に沈めて展示

 このほか撮影関連のサービスとして、新しく、ソニー独自のクラウドサービス「PlayMemories Online」がスタートする。概要はこちらの記事を参照して欲しい。これに合わせて従来デジカメやハンディカムに付属していたPMB(ピクチャモーションブラウザ)も順次PlayMemories対応アプリ「PlayMemories HOME」に変わっていくという。またPlayStation 3で動作する動画・静止画編集アプリも「PlayMemories Studio」などもリリースされる。このあたりも今後詳しくご紹介したい。

(2012年 1月 10日)

= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチボックス」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。

[Reported by 小寺信良]