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ソニー、第1四半期は営業利益562億円。ゲーム堅調、HE&S営業利益は上方修正

 ソニーは29日、2016年度第1四半期(2016年4月1日~6月30日)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比10.8%減の1兆6,132億円。営業利益は同42%減の562億円。税引前利益は同58.9%減の570億円。純損益は同74.3%減の212億円(前年は824億円)で減収減益ながら黒字を維持した。

第1四半期連結業績
登壇した代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏

 PlayStation 4ソフトウェア好調によるゲーム分野での増収があったが、為替の影響や、スマートフォンの販売台数の大幅な減少などを、減収の主な要因としている。大幅な減益の理由としては、ゲームやモバイル分野など改善があったものの、主に半導体分野の損益悪化を挙げている。

テレビ好調などでHE&S営業利益見通しを上方修正。PS4ソフト好調

 テレビを含むホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野の売上高は、前年同期比6.8%減の2,359億円となった。液晶テレビの販売台数の増加があったものの、主に為替の影響によるものとしている。営業利益は同85.3%増の202億円。研究開発費の増加や為替の悪影響などがあった一方で、コスト削減や高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などで、分野全体で増益となった。為替の悪影響は26億円。

 液晶テレビの販売台数は270万台で、昨年の260万台から増加した。

 HE&Sの通期見通しでは、特にテレビが好調に推移していることなどから、営業利益を5月時点の予測から50億円上方修正し、410億円とした。売上高の見通しは、為替の影響で3.8%下方修正となる1兆円。

ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野

 ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野は、売上高が前年同期比14.5%増の3,304億円。営業利益は前年同期比126.3%増の440億円。ネットワークを通じた販売を含むPS4ソフトウェアの大幅な増収が売上/収益に寄与。好調なソフトの一つとして、5月に発売した「アンチャーテッド4」を挙げている。PS4の販売台数は350万台で、年間販売予測は2,000万台。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野

 デジタルカメラなどイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野は、売上高が前年同期比25.8%減少の1,222億円。営業利益は前年同期比57.7%減の75億円。カメラの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったが、熊本地震の影響で部品の調達が困難になったことや、市場縮小の影響などを、減収の要因として挙げている。

イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野

 スマートフォンなどのモバイル・コミュニケーション(MC)分野は、売上高が前年同期比33.7%減の1,859億円。普及価格帯のスマートフォンの販売台数の減少などが影響したという。営業損益は4億円に黒字転換。製品ミックスの改善や、構造改革の効果などによる費用削減などが寄与した。

モバイル・コミュニケーション(MC)分野

事業売却の電池事業悪化にはスマホ採用減などが影響

 前年度までの「デバイス」分野は、セグメント変更により「半導体」と「コンポーネント」の2つに分割。また、従来はIP&S分野に含まれていた車載用カメラ事業と、全社(共通)に含まれていたイメージングデバイス開発部門を半導体分野に移管している。

 イメージセンサーやカメラモジュールなどを中心とした半導体分野の売上は、前年同期比22.9%減の1,444億円。営業損益は435億円の赤字で、前年同期の327億円の黒字から大きく落ち込んだ。減益の要因は、カメラモジュールに関する長期性資産の減損203億円や、熊本地震に関連する費用(純額)136億円、為替の悪影響としている。

半導体分野

 熊本地震の営業利益への悪影響は、連結で342億円と試算。イメージセンサーの生産キャパシティは、一部を熊本テックで生産していた生産を山形テックに変更したことで減少したが、「(6月の経営方針説明会で平井氏が説明した)イメージセンサーは中長期で成長が期待できるとの認識は変えていない。来年度に向けて複眼用を含む付加価値の高いカスタム品の比率を上昇させるとともに、コスト構造を改善することで収益性の回復を図る」(吉田氏)としている。

 電池や記録メディアを中心とするコンポーネント分野は、売上が前年同期比22.7%減の441億円、営業損失は、前年同期から24億円悪化し、47億円となった。

 なお、28日付で発表した電池事業の村田製作所への売却については、譲渡に関連して損失を計上する可能性があるものの、現時点では通期見通しには織り込んでいないという。電池事業について「直近の大きな赤字は、最も構成比の高いスマートフォン向けバッテリの有力顧客に採用されなかったことが大きな背景。技術や人材活かす意味で、電子部品産業で日本有数の村田製作所の技術や販路を活かすことで、世の中に価値が提供される」とした。

コンポーネント分野

 上記のエレクトロニクス6分野(HE&S、G&NS、IP&S、MC、半導体、コンポーネント)の2016年6月末の棚卸資産合計は、前年同期末比416億円(6.1%)減少の6,362億円で、3月末比では361億円(6%)の増加となった。

セグメント別業績

「アングリーバード」好調などで映画は増収。音楽はモバイルアプリ好調

 映画分野の売上高は前年同期比6.9%増の1,833億円。映画製作は、劇場興行収入やテレビ局向けライセンス収入の増加などで大幅に増収。劇場興行収入の増加は、「アングリーバード」が全世界で好調だったことを要因としている。

 営業損失は、米ドルに対する円高などで、前年同期に比べ10億円縮小の106億円。映画作品の広告宣伝費が増加したことなどが影響した。

映画分野

 音楽分野の売上高は、前年同期比8.7%増加の1,415億円。円高の悪影響があった一方で、音楽制作やモバイル機器向けゲームアプリが好調だったという。

 音楽制作は、主にストリーミング配信売上の増加により増収。第1四半期のヒット作品には、ビヨンセの「レモネード」、小田和正の「あの日 あの時」、乃木坂46の「それぞれの椅子」などが含まれる。営業利益は、前年同期比158億円減の159億円。

音楽分野

通期見通しは売上高を4,000億円下方修正

 '16年度の通期連結業績は、売上高7兆4,000億円で、5月時点から4,000億円下方修正。営業利益は3,000億円、純利益は800億円で変更はない。

 連結売上高の下方修正については、IP&S分野で増収を見込む一方で、為替の影響や、MC分野、映画分野、G&NS分野での減収などを要因としている。

 営業利益は、半導体/コンポーネント/映画分野で悪化を見込むが、IP&S分野、HE&S分野での増益などから変更はない。

セグメント別の業績見通し