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ULTRASONEから約7万円のモニターヘッドフォン。AKGのハイブリッド「N30」にも注目
2017年2月18日 18:17
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2017冬」が、2月18日の土曜日に中野サンプラザの15階/6階で開催。入場は無料。ポータブルアンプや、ヘッドフォン/イヤフォンの国内外メーカーが、初披露モデルを含めた新製品を多数出展した。ここではULTRASONEやAKGのブースなどをレポートする。
ULTRASONE
タイムロードのブースでは、ULTRASONEのSignatureシリーズに新たに加わるモニターヘッドフォン「Signature Studio」のプロトタイプを展示している。
同シリーズには、既に「Signature PRO」(148,000円)というモニターヘッドフォンがあるが、そのユニットや技術、構造などを活かしながら、各部のパーツをコストダウン。より購入しやすくするというモデルで、価格は未定だが「7万円程度になるイメージ」だという。4月中旬、下旬頃の発売を予定している。
「Signature PRO」と「Signature Studio」の具体的な違いは、ヘッドバンド部の本革が、「Signature Studio」では合皮に。ハウジングは樹脂+ラバーコーティングから樹脂のみに、ハウジングのプレートがガラスでなくなるといった違い。搭載している40mmチタンプレイテッド・マイラードライバや、S-Logic Plusテクノロジなどは同じ。
「音は完全に同じではないが、近い傾向がある。長時間快適に使いたい場合はSignature PROという位置づけになる」という。
AKG
ハーマンインターナショナルのブースでは、AKGブランドの新イヤフォン、ハイブリッドの「N30」と、ダイナミック型のデュアルドライバを搭載した「N25」を展示している。どちらも2月24日発売で、価格はN30が29,880円、N25が19,880円。
N30はN40の弟分にあたり、B40と同じBAユニットを中高域用に、低域用に独自チューニングのダイナミック型ユニットを採用。ノズルの先に搭載したフィルタは交換でき、透過性が異なる交換用フィルタとして「BASS BOOST」が付属。出荷時に取り付けられているのは「REFERENCE」で、2種類の音を楽しむ事ができる。MMCXでケーブル着脱も可能。
「N25」は、中高域用に5.8mm径、低域用に9.2mm径のダイナミック型ユニットを搭載した、デュアルダイナミックドライバ仕様。改良を加えたアングルドイヤーチップ構造を採用しており、フィット感を高めている。
iFi Audio
iFi Audioの新製品を展示しているトップウイングブース。注目は、USB 3.0対応のガルバニック・アイソレータ「iGalvanic 3.0」。PCとUSB DACなどを接続する際に、間に挟む製品で、PCからの信号や電源供給を内部で再構成し、ノイズなどを抑えて高音質再生できるようにするというもの。発売日や価格は未定。
「nano iDSD LE」は、「nano iDSD」(27,000円)のライトバージョンで、光デジタル入力を省き、USB入力のみに限定。DSDの再生上限をnano iDSDの11.2MHzから、5.6MHzに下げて16,000円に低価格化した。PCMは384kHz/32bitに対応。DACはバーブラウン製。PCとのUSB接続でUSB DACとして動作するほか、OTGのUSBケーブル、もしくはAppleのカメラコネクションキットを使い、Android/iOS端末からのデジタル再生もできる。
「micro iTube2」は、真空管の「GE5670」を採用した据置機で、真空管を出力ステージ、プリアンプ、バッファで活用。RCAの入出力を各1系統装備し、前面にボリュームノブを搭載。プリアンプとして使えるほか、micro iTube2を2台用意し、プレーヤーと半導体プリアンプの前に噛ませるように接続、プリアンプの後ろにも接続する事で、オーディオシステムのサウンドに、真空管の味わいをプラスできる。価格は54,000円。
さらに、AROMAのイヤフォンWitch Girl 12専用のバランスケーブル「Thunderer Wand “Shanti”」も展示。入力に2.5mmの4極端子を採用、WAGNUSが製作、監修は野村ケンジ氏。価格は12万円。Witch Girl 12とのセット価格は349,000円で、すでにWitch Girl 12を所有している人には、82,500円の優待価格で販売する。
音茶楽
音茶楽ブースでは、欅(けやき)の芯材を採用したイヤフォンの新製品として、独自の「トルネード・イコライザー」を2基搭載した「Donguri-欅Ti Plus Dual(KEYAKI Ti Plus Dual)」を展示すると共に、試験販売も実施している。価格はオープンプライスで、音茶楽Sound Customizeでの価格は52,500円。イベント以降は音茶楽の店舗で試験販売を継続するという。
カナル型(耳栓型)イヤフォンが外耳道を塞ぐことによって生じる6kHz付近の共振を抑えるという独自のトルネード・イコライザーを初めて2基搭載。3kHz~12kHzの帯域の音圧を抑え、より聞きやすい中音域を実現したという。ドライバユニットは、010e005型エレメントを採用した10mmのダイナミック型。筐体のフロント部分に純チタンを、リアには木材の中でも音の伝わる速度が最も早く響きが美しいという欅の芯材を採用している。
さらに、音茶楽 Sound Customizeブランドの新製品として、既発売の「Flat4-欅Plus」、「Flat4-緋欅Plus」を4.4mm 5極バランス接続仕様にした「Flat4-欅Balance(KEYAKI Balance)」、「Flat4-緋欅Balance(AKAKEYAKI Balance)」も展示。3月以降の発売で、価格はオープン。直販価格は95,000円を予定。
4.4mm 5極のバランス入力端子は、日本ディックス製のPentaconnを採用。「究極の接続性能」を持つとしており、金属部の部品に無酸素銅を使用したプレミアムタイプを採用。「欅特有の美しい響きがより一層際立つ」という。ケーブルは1.2mでY型。
n+um
ネディアが立ち上げた、イヤフォンの新ブランド「n+um(エニューム)」が出展。積層型セラミックをツイータに採用したハイレゾ対応イヤフォン「NUM-E1000」を1月20日より直販サイトで発売しており、直販価格は48,000円。
圧電デバイスの研究開発を行なうオーツェイドの特許技術「VST(Vertical Support Tweeter)」を採用したVSTユニット(ツイータ)と、10mm径のダイナミック型ウーファによるハイブリッドドライバを備えたカナル型(耳栓型)イヤフォン。ネディアはデータセンター運営やWeb開発を手がける企業だが、同社の社長とオーツェイドの社長は兄弟であり、二人のアイデアを融合させて開発したものだという。
VSTユニットは積層型セラミックの振動板と、外周部に垂直方向に支持する高剛性ニッケル合金振動板を組み合わせ、「従来の磁力を使ったバランスドアーマチュア型では実現し得ない、高解像度の高域出力が可能」とする。VSTユニットとダイナミック型ウーファは同軸上に配置して搭載している。
筐体には高剛性ステンレスを採用し、不要振動を抑制。さらに外装にはローレット加工も施し、高級感を演出している。再生周波数特性は10Hz~50kHzでハイレゾ再生にも対応。感度は100dB以上。インピーダンスは17Ω。
OPPO Digital Japan
ESS Technologyの新フラグシップDAC「ES9038PRO」を搭載しながら、実売10万円を切る価格を実現して話題を集める、ネットワークオーディオプレーヤー機能付きのUSB DAC「Sonica DAC」を展示。そのサウンドをヘッドフォンで確認する事もできる。
既発売のUSB DAC搭載ヘッドフォンアンプ「HA-1」や、ユニバーサルBlu-rayプレーヤー「BDP-105」の設計で培った高音質化技術と、ESSの新DACチップ「ES9038PRO」を組み合わせ、「先進的で使いやすいネットワーク・ストリーミング機能と究極のサウンド・クオリティを両立させた」という。「ES9038PRO」は、32bit HyperStream2テクノロジーを採用した、ESSの最高級DAC。140dB以上のダイナミックレンジを誇っている。
サトレックス
ハイレゾ対応のカナル型イヤフォン「Tubomi」シリーズを展開しているサトレックスブースでは、今後発売を予定している「Tubomi Silver」を参考展示。
ダイナミック型のホシデン製9mm径ドライバを採用しているのは既発売のモデルと同じ。筐体の素材が異なり、従来は樹脂、アルミ削り出し、真鍮のモデルを用意していたが、「Tubomi Silver」は純度92.5%の銀を採用。しかし、価格は2万円程度に抑える予定だという。4月頃の発売を予定。
「DH303-Shell」は、Tubomiシリーズとはハウジングの形状が異なり、耳掛け装着しやすくなったタイプ。MMCX端子の採用で、リケーブルにも対応できるのが特徴。ネオジウムマグネット採用のダイナミック型ユニットを搭載する。6月頃のイメージで、価格は1万円前後の予定。
エム・ティ・アイ
オーディオブランド「NUARL(ヌアール)」のイヤフォンを紹介しているエム・ティ・アイブース。今後発売を予定しているという、よりオーディオファン向けのイヤフォンの試作機を展示。
同社のイヤフォンは、米TBI Audio Systemsを中心に提唱されている音響技術「HDSS」(High Definition Sound Standard)を採用しているのが特徴。ハウジングの音響室内にETL(EMBEDDED TRANSMISSION LINE)と呼ばれるモジュールを内蔵。ドライバの背面で発生する音の流れを、ETLが吸収かつ整流させ、音の乱れやノイズを抑え、原音を忠実かつ、臨場感溢れたサウンドを再生する。
試作機では、このHDSS技術を投入したものと、入れていないものを用意。試作イヤフォンのサウンド確認に加え、HDSSの効果も体験できる展示になっている。
また、イベントなどで販売しているポータブルアンプも紹介。アンプの今後の開発の参考として、音の傾向が異なる3つの試作機を用意。来場者の意見を聞いている。製品化の際は小型で使いやすいアンプにする計画で、Bluetooth受信機能を盛り込むかどうかも検討しているとのこと。
WAGNUS.
WAGNUS.のブースでは、「Sieve Sheep」、「Frosty Sheep」に次ぐ、3番目のフラッグシップイヤフォンケーブル「Silence Sheep」を展示している。
40芯構造で、1芯あたり0.08mm。銅線にはFrosty Sheepと同様にOFC(無酸素銅)の中でも最高純度を誇るというclass 1 OFCを採用。40芯に非メッキで、全てに二重シルク巻きを施している。Frosty Sheepの60芯構造から敢えて20芯減らす事で、線経をシェイプ。「落ち着き・ナチュラル感に重点を置きつつワイド感のあるキレの良さと、エレガントさがある」という。
昨年に発表された、Noble Audioのフラッグシップ「Katana」向けに、専用オプションケーブルとして作られた「Development Flagship Cable, Code#3」(仮称)が、「Silence Sheep」にあたる。「Katanaだけでなく、あらゆるIEMとの相性を選ぶことのないサウンド設計になっている」という。
この「Silence Sheep」には、「Mastering edition」と「Emotional edition」の2種類があり、Mastering editionは「マスタリングスタジオでも使えるレベルの圧倒的にニュートラルバランスで驚愕なまでに極めたナチュラルな音像」が楽しめるというもの。「Emotional edition」は、「特殊技術により、ケーブルのもつ周波数帯域に音楽性を出すことで、そのサウンドの中に聴くもののハートを揺さぶるようなサウンドに仕上げた」というもの。
長さは約120cm。イヤフォン側の端子は2ピン、MMCX、UEのカスタム向け、FitEar向け、ゼンハイザーのHD800向けなどに対応可能。入力端子はステレオミニ、4.4mm 5極バランス、2.5mm 4極バランス、HiFi-Manの3.5mm 4極バランス、RSA 4ピンバランスなど、様々な端子が選べる。価格は、Mastering/Emotional editionどちらも各110,000円。