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民生初4K/HDR撮影対応、αの高速AFも搭載した最上ハンディカム「FDR-AX700」

 ソニーは、民生用カムコーダーとして初めて4K/HDRに対応、ハンディカムとして初のファストハイブリッドAFシステムも搭載した最上位モデル「FDR-AX700」を10月13日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は20万円前後。

民生用カムコーダー最上位モデル「FDR-AX700」

 民生用カメラだが、業務用カムコーダの開発部隊とコラボレーションして開発されたモデルであり、コア部分は同じ業務用モデルも2機種が同時発表されている。XLR BOXとハンドルを備えたNXCAM「HXR-NX80」と、さらにSDI端子を備え、記録フォーマットがXAVCとなるXDCAM「PXW-Z90」で、これらは12月に発売予定。想定売価は「HXR-NX80」が24万円前後、「PXW-Z90」が29万円前後。

手前からNXCAM「HXR-NX80」、XDCAM「PXW-Z90」

民生用のFDR-AX700

 AX100の後継モデル。1型の積層型Exmor RS CMOSを搭載。静止画カメラのαシリーズなどで採用している、像面位相差AFセンサーとコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を、ハンディカムとして初めて搭載した。

FDR-AX700

 これにより、コントラストAFのみのAX100と比べて高速なAF、高い被写体追従性、多様なAF表現が可能になった。AFのスピードは、コントラストAFのみの場合と比べ、約3倍高速になったという。像面位相差AFセンサーは273点で、高密度に配置。最大84%のAFカバー範囲を実現している。

 なお、静止画のAFとビデオカメラのAFは動作が異なるため、αのAFシステムをそのまま使っているのではなく、アルゴリズムは変更。さらに細かなAFの動きをユーザーが設定できるようになっている。具体的にはAF追従範囲(奥行き)を「狭い1」から「広い5」まで5段階、AF乗り移り感度は「粘る1」~「敏感5」まで設定でき、これらを組み合わせられる。

 例えば、自転車レースの選手がカメラマンに向かって、奥から手間へと次々と走ってくるようなシーンでは、AF追従範囲を「広く」、乗り移り感度を「敏感」にしておくと、通り過ぎていく選手の顔に次々とAFを合わせられる。逆に、移動距離が短い、例えば花の近くを飛ぶ蝶などは「狭く」「粘る」に設定するといった使い分けができる。

 4K動画は3,840×2,160/30pまでの撮影が可能で、60p撮影には非対応。XAVC S 4K(100Mbps)や、AVCHDでの記録も可能。静止画記録にも対応する。スーパースローモーション、スロー&クイックモーション撮影も可能。

FDR-AX700

 民生用カムコーダーとして初めて4K/HDR撮影ができるのも特徴。HDRはハイブリッドログガンマ(HLG)をサポート。白トビや黒つぶれを防ぎ、肉眼に近いリアリティの映像が撮影できるという。

 HLGを採用した理由は、HDR非対応のテレビなどに、SDR映像として表示してもやや暗く表示されるだけで破綻が少なく、他の方式と比べてカラーグレーディングが不要なためだという。

 なお、ソニーの薄型テレビBRAVIAで表示する際、カメラとテレビをUSBケーブルで接続すると、カメラをUSBストレージデバイスとしてテレビが認識、中のHDR動画を、HDRとして認識して自動的にHDRモードで表示する。HDMI出力でもHDR表示が可能だが、カメラのHDMI出力ではHLGのメタデータ出力に対応していないため、テレビ側がHDR映像だと判断できないため、ユーザーがテレビのメニューからHDR(HLG)モードを選んで表示させる必要がある。

 なお、カメラのビューファインダーやモニタはHDR対応ではないが、「ガンマアシスト」機能で撮影中にBT.709に変換し、近い色で確認しながら撮影する事は可能。

 他にも、S-Log撮影をサポートしており、ポスト編集でカラーグレーディングが可能。10種類のピクチャープロファイルもプリセットしている。

 SD/SDHC/SDXCメモリーカード対応のスロットを2基備え、1基はメモリースティックPROデュオ/PRO-HGデュオにも対応。リレー記録や同時記録が可能。4K映像と低解像度のプロキシ映像を同時記録することもできる。

デュアルスロット仕様

 レンズはZEISS バリオ・ゾナーT*F2.8-4.5で、焦点距離は動画撮影時の16:9で29~348mmで光学12倍ズーム。明るさはF2.8-4.5。最大1/64のNDフィルタも内蔵する。

 操作性や視認性にもこだわっており、ビューファインダーの有機ELはAX100の約144万画素から、236万画素へと高画素化。サイズは0.39型。3.5型の液晶モニタも約92万画素から156万画素に進化した。

 レンズにはフォーカス・ズーム調整用のレンズリングを装備。アイリス・ISO/ゲイン・シャッタースピードを調整するためのマニュアルダイヤルも装備。6個のボタンに好みの機能を登録できるアサイン&ダイレクトメニューも装備。形状はホールド性を追求したもので、大型ベルトも装備。業務機と同じ大型シーソーズームキーも備えている。

 UIはAX100が採用していた民生用のものとは異なり、業務用機のUIを採用。メニューが映像にオーバーレイ表示され、階層も深くならない仕様で、映像に注意を払いながら、素早く設定変更ができるという。

業務用のUIを採用

 外形寸法は、バッテリ、レンズフード、大型アイカップを含めた状態で121×274.5×104mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約935g。

業務用機の特徴

 放送業務向けに、コンパクトな筐体を活かしたモデルとして、「HXR-NX80」と「PXW-Z90」も展開。ベースはAX700と同じだが、どちらもハンドルグリップを上部に備えている。

奥がAX700、手前がNXCAM「HXR-NX80」

 さらに「HXR-NX80」はXLR BOXを装備しており、本格的なマイクなどを接続可能。「PXW-Z90」はXLR BOXに加え、SDI端子も後部に備えている。また、Z90は民生機器向けのXAVC Sではなく、XAVCでの記録に対応する。

業務用機はXLR BOXも装備
「PXW-Z90」はSDI端子も後部に備えている