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ソニー、4K実用放送に向け4K 80入力/40出力のスイッチャー最上位など開発

 ソニーは、11月15日~17日まで、幕張メッセで開催される国際放送機器展「Inter BEE 2017」に合わせ、2018年開始予定のBS 4K実用放送など、4Kライブ映像制作の需要の広がりに対応するスイッチャープロセッサ「XVS-9000」を発表。Inter BEEのブースではさらに、8K 3板式カメラシステム、国内展示会としては最大サイズという6.8×2.7mのCrystal LEDディスプレイシステム(5K×2K)も出展する。

左からマルチフォーマットスイッチャープロセッサの「XVS-9000」、コントロールパネル「ICP-X7000」

マルチフォーマットスイッチャープロセッサ「XVS-9000」

 大規模なスポーツイベントや番組向けの4Kライブ映像制作に対応した、マルチフォーマットスイッチャープロセッサの最上位機種が「XVS-9000」。2018年秋の発売予定で、参考予定システム価格は6,500万円。

 4K映像を1本の同軸ケーブルで伝送できるインターフェースの12G-SDIに対応。4K信号で最大80入力、および40出力に対応。「従来のHD運用の最大規模に匹敵する大規模なスポーツイベントや番組の4Kライブ制作への活用が可能」という。

 さらに、入出力ボードを組み合わせた運用で、IPと12G-SDIを混在したシステム構築も可能。

 この機種以外にも、IPと12G-SDI双方のインターフェースに対応予定の機種は「XVS-8000」を始めとしたXVSスイッチャーシリーズや、4K/HD対応システムカメラ「HDC-4300」用のベースバンドプロセッサユニット「BPU-4500」、マルチフォーマットAVサーバー「PWS-4500」などがあり、2018年春以降、順次対応予定。

 「XVS-9000」は、既発売のマルチフォーマットスイッチャープロセッサ「XVS-80000」、「XVS-7000」、「XVS-6000」と同様にコントロールパネル「ICP-X7000」が使用でき、操作性を踏襲しながら、大規模4K番組制作に対応できるのも特徴。

 また、1台のプロセッサで2つの番組を同時制作する「リソースシェア」にも対応。「XVS-9000」を使用し、他の映像制作機器への入出力を均等に分けた場合、仮想的に40入力・16出力の論理スイッチャーが2つある状態で使用でき、様々な運用形態の変化に対応できる。

XVS-9000による「リソースシェア」のイメージ図

Inter BEEでは4KやHDRの制作システムを紹介

 9月にオランダで開催された「IBC 2017」にて発表された、新開発1.25型8Kイメージセンサーを搭載した8K 3板式カメラシステム「UHC-8300」や、新開発36×24mmフルフレームセンサーを搭載した映画制作用CineAlta最上位機種「VENICE」、高い動画AF性能を備え、4K HDR記録に対応したカムコーダー3機種などを一堂に展示する。

8K 3板式カメラシステム「UHC-8300」
左からXDCAM「PXW-Z90」、NXCAM「HXR-NX80」、民生向けハンディカム「FDR-AX700」

 また、新製品として2/3型、3CMOSセンサーを搭載し、3G伝送に対応したHDポータブルカメラ「HXC-FB80」も発売。3G対応により1080/59.94p信号が伝送できるほか、カメラコントロールユニットでアップコンバートし、4K映像の出力も可能。高画質・高機能かつコストパフォーマンスに優れ、「スタジオ、スポーツ、音楽ライブなど、さまざまなライブ制作用途に適している」という。

 制作ソリューションとしては「SR Live for HDR」を推進。制作用フォーマットに、4K HDR S-Log3/BT.2020を採用する事で、シンプルなシステム構成で4K HDR/HD HDR/HD SDR映像の同時制作が可能。また、HLG(ハイブリッドログガンマ)やPQ(Perceptual Quantization)など、複数の配信フォーマットに対応したライブ制作に対応する。

 また、HLGフォーマットでの制作・送出を検討しているユーザー向けに、撮影段階からHLGでの制作を可能とする「HLG_Liveモード」も紹介。SR Live for HDRのメリットを踏襲しながら、S-Log3制作と同等レベルの画質、フォーマット変換プロセスの最小化など効率的なワークフローが実現できるという。HDR/SDR同時ライブ制作や、使い慣れたHD SDR環境でのアイリス調整・色調整も可能とする。

 「Media Backbone報道ソリューション」は、収録から、編集、送出、アーカイブまで、報道ワークフローの一元管理ができるもので、キー局クラスの大規模システムから地方局などの小規模なシステムまで対応するというもの。

 報道支援から、ワイヤレス取材、収録、編集、送出、アーカイブまで、報道ワークフローを構築する全てのソリューションがブロック構成になっており、ユーザーの要望に合わせたカスタマイズ導入が可能。既に日本各地で採用が広がっているという。

 Inter BEEではこのソリューションと共に、有線給電式ドローンシステム、テレビ局の報道フロアにて制作フローの進捗状況を表示できるサイネージも紹介。原稿作成の支援、報道スタジオ送出の簡易オペレーションを実現する「オートメーションサブシステム」、バーチャルアナウンサー「沢村 碧」を活用した情報番組制作支援ツールなど、次世代ワークフローの技術展示を実施する。

バーチャルアナウンサー「沢村 碧」