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こんなにあった世界のスマートスピーカー。今後登場の新機種をIFA会場でチェックした
2017年9月22日 07:45
日本ではまだ製品が少ないものの、海外では既に多くの製品が発売され、盛り上がりを見せ始めているスマートスピーカー。ドイツ・ベルリンで9月1日~9月6日(現地時間)に開催された家電の国際展示会「IFA 2017」の会場でも多くのモデルが登場し、存在感を示していた。
スマートスピーカーは、音声認識に対応し、様々なネットワークサービスやアプリなどと連携するのが特徴。最新ニュースのチェックや、SNS/スケジュール確認といった情報取得のほか、他の家電やIoT機器と連携して声で操作するなど、音楽を聴くだけではない様々な活用が見込まれている。
米国などを中心に、Amazonの音声アシスタント「Alexa」対応の家電製品が増えるとともに、大手メーカーがGoogleの「Googleアシスタント」対応スピーカーを投入し始めており、今後の拡大を予感させる。
AlexaはAmazonが力を入れている音声アシスタントであり、Amazon Echoなどのスマートスピーカーと接続して照明や家電をコントロールする製品は多く登場している。IFA 2017の会場でもそれは同様だったが、そうした中で、独自ブランドでスマートスピーカーを投入するメーカーが増えていたのも新たな傾向。本稿では、IFA 2017会場で見つけた様々なスマートスピーカーを紹介したい。
ソニーがGoogleアシスタント対応モデルを披露
ソニーが発表したのは「LF-S50G」。Googleアシスタントに対応した全高162mmの円筒形のスピーカーで、360度全方位を向いたスピーカーとマイクを備える。ジェスチャーコントロール機能と防滴性能を備え、家庭内のキッチンで水仕事をしながら使うことなどを想定している。
ソニーらしいNFCのタッチペアリング機能、オートボリュームコントロール、時計表示機能を備えている。発売は欧州では11月、価格は230ユーロ。
Googleアシスタントを利用し、音声によるGoogle検索に加え、ペアリングしたスマートフォンの楽曲再生、接続したTVや家庭内のIoT機器を操作するといったこともできる。
IFAのソニーブースではリビングとキッチンを再現。防滴やタッチジェスチャー、声による操作、Android TV搭載BRAVIAの操作といったデモを実施していた。
“高音質”を訴求するパナソニック
IFA開幕前にいち早く会見を行なったパナソニックは、「SC-GA10」を発表。これはGoogleアシスタント対応スマートスピーカーで世界初というHi-Fiサウンド対応という高音質をアピールしている。発売は2018年。
Googleアシスタント対応ということで、音声を使った基本的な操作はすべて搭載。Google Playミュージックなどの音楽配信対応のほか、NAS、スマートフォンからの音楽再生もサポートしている。
IoT機器やテレビなどの対応デバイスの音声操作にも対応する。GA10を複数台設置し、家庭内で再生する音楽を同期できるマルチルームオーディオ機能も搭載している。
スマートスピーカーの機能面だけでなく、スピーカーとしての音質にこだわりたい人に適した製品を目指している。2台のSC-GA10を組み合わせて、ステレオ再生に利用できるのも特徴だ。
レノボはタブレットとの組み合わせを提案
タブレットと直結して利用するスマートスピーカー「Home Assistant Pack」を発表。Android搭載タブレット「Tab 4」とセットで利用するドック兼スマートスピーカーという位置づけで、スピーカー側にUSB端子を搭載し、そこにタブレットを接続すれば、スピーカーと画面が一体化したようなデザインで利用できるようになる。
音声アシスタントはAmazon Alexaに対応。スピーカーにAlexaと呼びかけると音声操作が可能になるが、その結果がタブレット側に表示されるので、単なるスマートスピーカーに比べて分かりやすいのが利点。
コネクタ位置を変更できるギミックも用意され、タブレットサイズや端子位置が異なっていても利用できる点もよく考えられている。Alexaが対応するIoT機器などの音声コントロールも可能だ。発売は10月からで、価格は79.99ドルと比較的安価なことも特徴。
オンキヨーはAlexa/Google アシスタント対応モデル
オンキヨーグループは、AlexaとGoogleアシスタントに対応するスマートスピーカーをそれぞれ発表。Alexa対応は「P3」、Googleアシスタント対応は「G3」で、発売は10月から。なお、時期は明らかにしていないが日本での発売も予定しているという。
Alexa、Googleアシスタントの各モデルでできることは、大きくは変わらないが、オンキヨーブランドとして高音質にも配慮している点が特徴だ。P3は2.5インチフルレンジウーファ、デュアルパッシブラジエータを搭載し、対応機器同士で連携できるDTS Play-Fiもサポート。G3は新開発の高音質技術を導入するなどして音質を高めた。
JBLがGoogleアシスタント対応機。Harman/kardonはAlexaとCortana
ハーマンインターナショナルは、Googleアシスタント、Alexa、Cortanaの3種類の音声エージェントに対応したスピーカーをそれぞれ発表。JBLブランドとharman/kardonブランドの製品として登場予定。
Googleアシスタント対応モデルは、JBLの3製品。音声検索、音楽操作、接続する家庭のIoT機器操作といった基本的な機能は同等で、スピーカーの組み合わせによる複数部屋での音楽の同期といった機能も搭載する。
3モデル用意され、「LINK 20」と「LINK 30」はバッテリー内蔵で防水性能も備える。「LINK 300」は伝統的なフルレンジのJBLサウンドを実現するという。
Alexa対応スピーカーでは「Allure」。harman/kardonらしいデザインで、再生時などに上部の透明部が淡く光る設計になっている。Alexaの音声操作などの機能はすべて利用可能で、4つのマイクで全方位からの安定した聞き取りが可能だという。無線LAN接続だけでなく、スマートフォンの音楽をBluetooth経由で再生することも可能。
Microsoftの音声エージェントCortanaに対応したスピーカー「Invoke」も展示。Invoke自体はすでに発表されており、発売は今秋になるようだ。Cortana対応ということで、Skypeと連携するといった独特の機能も備えている。
AnkerはAlexa対応モデル多数
モバイルバッテリなどの周辺機器で知られるAnkerが、新しく立ち上げたオーディオブランド「Zolo」で出展していたのは、Alexa対応の「Halo」「Halo+」、Googleアシスタント対応の「Mojo」の3製品。いずれも円筒形のデザインで、Halo+のみロングサイズのスピーカーとなっている。
Halo、Halo+はIPX5相当の防水性能を備え、Alexaの音声操作、接続する家庭内のIoT機器の操作、複数スピーカーを連携させるマルチルーム機能などを搭載する。Haloの発売は今年中だが、価格については未定だという。
Mojoは、Googleアシスタント対応ということで、基本的な音声操作はすべてサポート。歪みの少ない1.7インチのフルレンジドライバーを搭載し、接続した家庭内のIoT機器のコントロールなどにも対応する。70ドル以下の価格での発売を想定しているという。
国内でのサービス開始に期待。今後は差別化も進む?
スマートスピーカーでは、会場内にAlexaブースが設けられ、対応製品が並べられていて力が入っていた。会場を回った限りは、Alexa対応製品の方は比較的多く、Googleアシスタント対応製品はまだ多くはないが、パナソニックやソニーが続けて発表し、国内での正式サービス開始も期待できるところではある。
欧州家電メーカーでも一部Alexa対応スピーカーを展示しているほか、Alexaからのコントロールに対応する家電製品の展示も増えている。音響メーカー以外があえてスマートスピーカーを投入しても、基本的には似通ったデザインと機能で、差別化が難しい印象だった。今後、差別化を図るために、どういった機能、デザインが必要なのか、模索が続きそうだ。