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Ayon Audio、自社製の真空管を使ったパワーなど、管球アンプ2機種

 アクシスは、オーストリアAyon Audioの真空管プリアンプ「AURIS」と、真空管パワーアンプ「Crossfire PA」の取り扱いを開始。発売日は10月で、価格はAURISが82万円、Crossfire PAが148万円。

Ayon Audioの真空管プリアンプ「AURIS」

 また、トランスペアレントのパワーアイソレーター「Reference PowerIsolator」も10月に発売する。価格は74万円。

AURIS

 本体と電源部の2筐体構成を採用した、2005年登場の超弩級モデル「Spheris」や、その姉妹機「Polaris」シリーズのクオリティを受け継ぎながら、1シャーシ構成でシンプルにしたというプリアンプがAURIS。

 基本増幅回路は一連の機種と同様の、三極管によるシングルゲイン・ステージ構成。出力段にのみカッブリング・キャパシターを使う、純度の高い方式を採用。入力から出力までの物理的なシグナルパス経路は超最短距離になっている。

 入出力の形式はアンバランスとバランスモードの2種類を用意、いずれもRCA入力の1つは、ライン入力からMM/MC両対応のRIAAフォノ入力に変更できるモジュラー方式を採用。

Ayon Audioの真空管プリアンプ「AURIS」

 R2Rラダー型抵抗によるパッシブ方式のボリューム回路を、フロントエンド直下、ゲインステージの手前に配置。ゲインステージと出力段との間にボリューム回路を位置させている一般的なプリアンプのように、ボリュームを上げるに従って残留ノイズが増えることがなく、ボリューム位置に関わらず一定の低残留ノイズレベルを保っている。

 回路構成は負帰還を0dBとし、極めて高い位相特性を実現。ゲインステージの真空管には極めて低いインピーダンスで低ノイズ、動特性の直線性が優秀な双三極管「6H30」を使っている。

 信号増幅回路とパワーステージに使っている真空管は、各モデルの特質を最大限引き出すよう組み合わせを慎重に考慮し選定。特別にカスタムメイドされたAmplitrex AT1000チューブテスターを使い、事前にバーンインと特性テストも行なわれている。

 SN比は98dB以上。入力端子はアナログRCAアンバランス×4、XLRバランス×2。出力はアナログRCAアンバランス×2、XLRバランス×1。消費電力は60W。外形寸法は50×45×12cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は19kg。

Crossfire PA

 2009年に登場し、アップグレードを重ねてバージョンIIIまで進化している真空管プリメインアンプ「Crossfire」から、パワーアンプ部分を独立させた製品。

Ayon Audioの真空管パワーアンプ「Crossfire PA」

 出力管には、「ハート・オブ・アイオン」と自負するという自社製の高品位直熱三極真空管「AA62B」を搭載。300Bをベースに、改良を施したというもので、シングルユースで30W×2ch出力を実現する。出力インピーダンスは8Ω、4Ω。

 究極的な位相純度をもたらすという、0dBフィードバック構成と、純A級動作を採用。制御回路には理想的なバイアス設定の自動化と同時に、デリケートな真空管へのプロテクション機能とセルフテストプログラムを⾏なう、独自のAFB(インテリジェント・オートフィックス・バイアス)システムを搭載している。

 電源を立ち上げてから15分~20分経ち、安定温度に達してから無信号状態でリアパネルの「Bias-setup」ボタンを押すとこの回路が起動。数分かけて全出力管のバイアスを最適に自動調整する。

 AURISと同様に、Amplitrex AT1000チューブテスターで事前にバーンインと特性テストも実施している。

 電源部のACラインには、リファインされた新コンポーネントとエンハンスACラインノイズフィルターを搭載。電源トランス、チョークコイルやフィルター群の相互作用により、入力段と出力段とのアイソレーション特性を高めている。

「Crossfire PA」

 インダクターの代わりに抵抗を使用するステージには、フィルターリングの損失を補うために、大きなストレージ容量をもつ電解コンデンサを併用している。

 超広帯域出力トランスも搭載。パーツにもこだわり、ベリリウム銅のスプリングピンを組み込んだ特製のチューブソケットなどを採用。

 入力端子はXLRとRCAを用意。同時使用は不可。WBT製のバインディングポスト、XLR端子はNeutrik製、RCAはWBT製品。消費電力は240W。外形寸法は52×42×25cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は45kg。

トランスペアレント「Reference PowerIsolator」

 トップモデル「OPUS PowerIsolator(OPI)」の設計・製造コンセプトを取り込みながら、フィルターデザインとその構成コンポーネント、ターミネーション技法、エンクロージャーの素材と形状など、すべてのファクターのブラッシュアップしたというモデル。

トランスペアレント「Reference PowerIsolator」

 電流制限を一切課さず、電圧/電流の位相の乱れを引き起こさず、100%の電源効率を実現しながらブロードバンドで電源ノイズを除去するという、独自の高性能ノイズフィルターと、音質/画質など機器の性能に影響を及ぼさないという、ハイスピード・サージプロテクターを搭載している。

 Reference PowerIsolatorのエンクロージャーには、ハイブリッドアルミニウムと熱成形ポリマーを採用。フィルター回路など内部の要所には、空隙を埋めるエポキシ系制振材を充填。内部フィルター回路への機械的振動、電磁的振動など一切のメカニカル・レゾナンスを極限にまで抑え込んだという。内部のすべての電気的接点には、超低接触抵抗の特殊なターミネーション技法を投入した。

 電源のアウトレットは全8口を装備。8口に対して、独立した4系統のノイズフィルターを搭載。回路には、一連のトランスペアレント・パワーアイソレーターと同様に、トランスやチョークコイル、直列フィルターなど、電流制限や歪の原因となるデバイスは一切使わない独自の並列方式を採用。フィルターデバイスによる電流ロスを無くしている。

電源のアウトレットは全8口を装備

 一般的な電源フィルターでは、回路のインダクティブ/キャパシティブ成分が電圧と電流の位相差を発生させ、エネルギー効率が悪化するが、電源周波数に正確に対応する厳格な定数設計と選別された高品位パーツを使うことで、「電圧/電流の位相ズレを根絶」したとする。

 高性能なサージプロテクターや、油圧磁気ブレーカースイッチ、動作状態表示LEDなどを備えている。付属の電源ケーブルは「REFERENCE PowerCord(RPC)」。

付属の電源ケーブルは「REFERENCE PowerCord(RPC)」