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B&W新スピーカー「700 S2」に注目集まる。アキュフェーズのプリメイン最高峰も

 国内外のオーディオブランドが一堂に会する展示会「2017東京インターナショナルオーディオショウ」が、東京・有楽町の東京国際フォーラムで9月29日に開幕。会期は10月1日までの3日間。入場無料だが、当日またはWebでの事前登録が必要。ここではエソテリックやマランツなどのブースから、新製品を中心にレポートする。

ハイエンドモデルのサウンドをゆっくりと楽しめる

Bowers & Wilkins

 多くの来場者が集まっているのが、英Bowers & Wilkins(B&W)のスピーカー「700 S2」シリーズを揃えたマランツブースだ。

「700 S2」シリーズ

 人気の「CMシリーズ」後継機種で、ローズナットとピアノ・ブラックの2色を用意。ローズナットの価格は、ブックシェルフの「707 S2」がペア15万円、「706 S2」がペア23万3,000円、「705 S2」がペア32万円、フロア型「704 S2」が1台17万円、「703 S2」が1台22万8,000円、「702 S2」が1台30万円。

 キャビネットデザインはCM S2シリーズを踏襲しているが、中身は上位「800 D3」シリーズの技術を多く取り入れて、別物に進化しているのが特徴。

 ミッドレンジユニットには、800 D3で開発された「コンティニュアムコーン」を採用した。ケブラーと同じ織物だが、ガーゼのような柔らかい素材で、形状を維持しつつ、繊維の動きを妨げないように作られている。これにより、ケブラーと比べると音の立ち上がりはほぼ同じだが、立ち下がりがよりハイスピードになり、信号が無くなった後、音が残らず、ケブラー特有のキャラクターがコンティニュアムコーンには無い。

 ウーファにも、800 D3で採用された「エアロフォイル(翼型)コーン」の技術を投入。断面形状を変化させる技術で、潜水艦の内壁などにも使われている。

 ツイータには、800 D3のダイヤモンドドームはコストの面で使えないため、新たに開発されたカーボン・ドームを採用。ベースはアルミニウム製のドームだが、表面にカーボンを物理蒸着させる事で、30μmの薄さながら剛性を高めた。

800 D3シリーズのサウンドも楽しめる

アッカ

 YG Acousticsの新スピーカー「Sonja XV JR.」が注目を集めているのが、アッカブース。同ブランドの創立15周年を記念したフラッグシップモデルであり、4ウェイ10ドライバ4タワー構成の「Sonja XV」と、4ウェイ8ドライバ4タワーの「Sonja XV Jr.」をラインナップする。「Sonja XV Jr.」でも2,000万円を超える、超ハイエンドスピーカーだ。

Sonja XV Jr.。左後ろにあるのがウーファ・タワー

 分割共振の発生しないソフト・ドームを、重量わずか30㎎というアルミ削り出しのエアフレームで固定。ソフト・ドーム振動板の持つ、ピーク特性を持たない自然かつハイ・トランジェント特性を維持しながら、ハード・ドームの減衰特性を併せ持つというハイブリッドツイーター「Billet Dome」を採用している。

 エンクロージャにはアルミを使い、共振を抑える設計と、高精度な切削加工などを施している。密閉型で、リブや緩衝材を必要としない設計技術「Focused Elimination」が使われている。

 ツイータやミッドレンジのBillet Coreユニットを搭載したメイン・タワーとは別筐体で、26cm径のBillet Coreウーファを搭載したウーファ・タワーを用意。メインとウーファのタワーを組み合わせた構成になっている。Jr.バージョンは、一部のウーファユニットが省かれ、サイズ少し小さく、軽くなっている。

 ウーファタワーとの組み合わせで展開する雄大な音場と、精密な定位や細かい音まで聴き取れる高分解能な描写の両立が聴きどころだ。

アキュフェーズ

 アキュフェーズブースでは、純A級プリメインアンプの新モデル「E-650」を発表。11月中旬発売で、価格は73万円。E-600に、最上位プリアンプ「C-3850」のエッセンスを投入し、プリメインの最高峰として開発したという。

 具体的には、C-3850のBalanced AAVA方式のボリューム回路を、プリメインでは初めて搭載。外来ノイズの影響を受けにくく、電気的特性を大幅に向上させた。パワー部には、インスツルメンテーション・アンプを採用し、バランス伝送を実現。プリ部、パワー部、どちらもバランス構成となっている。出力素子はパワーMOSFETの3パラレル・プッシュプル純A級動作となる。

純A級プリメインアンプの新モデル「E-650」

 さらに、ムービング・コイル型フォノカートリッジの新モデル「AC-6」も発表。12月発売予定で、価格は37万円。同社のフォノイコライザアンプ「C-37」との組み合わせに最適というMCカートリッジで、1979年に発売されたAC-1に連なる、第5世代モデルとなる。筐体はイオンプレーティングの表面処理を施したチタン削り出しベースと、アルミ削り出しボディで構成。針先にはセミ・ラインコンタクトを使っている。

MCフォノカートリッジの新モデル「AC-6」

 上位機種の技術を惜しみなく投入した次世代のプリアンプと位置付けられているのが「C-2450」。全回路の完成度を高めてフルモデル・チェンジしており、進化したAAVA方式ボリューム・コントロールを搭載した。

次世代プリアンプ「C-2450」

 AAVA方式は重み付けされた16種類のV-I変換アンプを電流スイッチで切り替えて音量を調整するもので、C-2450のV-I変換アンプは上位2種類を2パラ構成とし、片チャンネル18個で構成。さらに、インピーダンスの低減によって熱雑音が低下し、SN比が1dB改善した。

 オプションのフォノイコライザー・ユニットによりアナログディスクの高音質再生が可能。自然木本木目仕上げのサイドパネルや、ヘアライン加工のトッププレートを採用している。

デジタル・チャンネル・デバイダー「DF-65」

 デジタル・チャンネル・デバイダー「DF-65」は、高速40bit浮動小数点演算タイプDSPを搭載し、4ウェイまで可能なユニットを標準装備。自由に設定できる59ポイントのカットオフ周波数と、最大96dB/octaveの高精度デジタル・フィルタを備えている。

 0.5cm単位で調整可能なタイム・アライメント、フィルタ回路通過時の遅延時間を自動補正するディレイ・コンペンセーターも装備する。

パワーアンプ「A-250」

 パワーアンプ「A-250」は、低雑音化を徹底する事で、歴代最高というSN比127dBを実現。半導体(MOSFET)スイッチを搭載し、無接点化による出力回路や左右に配置した純A級動作のパワーユニットを並列動作させる構成により、純A級で100W/8Ωの出力を実現。ダンピングファクター1,000を超える強力な駆動力を持っている。

エソテリック

 エソテリックブースでは、TANNOYブランドのスピーカー新製品であり、「1976年の美しいデザインはそのままに、最新の音響テクノロジーを注いだ」というLEGACYシリーズを披露。9月15日から発売されており、1台の価格は、フロア型の「ARDEN」(アーデン)が60万円、「CHEVIOT」(チェビオット)が50万円、ブックシェルフの「EATON」(イートン)が40万円。

TANNOY CHEVIOT
TANNOY EATON

 1970年代に、TANNOYが画期的なモニターシリーズとして発売した「HPD」シリーズ。ナチュラルな性能を誇った同シリーズにオマージュを捧げつつ、「当時には無かった技術、性能が向上したドライバー・ユニットとパーツ類を新たに導入することによって、更にレベルアップさせた」という。

 さらに、独Avantgardeの新XDシリーズ「TRIO XD+2BASS」も紹介。Avantgardeから、Jérôme Andre氏も来日している。

独Avantgardeの新XDシリーズ「TRIO XD+2BASS」
Avantgardeから、Jérôme Andre氏も来日

ナスペック

 英Monitor Audioのスピーカー「SILVER」シリーズの第6世代を紹介しているのはナスペックブース。ペアでの価格は、ブックシェルフ「50」が13万円、「100」が16万5,000円、フロア型「200」が26万円、「300」が33万5,000円、「500」が40万円など。いずれのモデルも、フラッグシップ「Platinum II」で培われた技術を投入。

Monitor Audioのスピーカー「SILVER」シリーズの第6世代

 ツイータは25mm径の「Gold C-CAM Tweeter」を採用。従来はフェライトだったマグネットを、ネオジウム・ディスク・マグネットに変更。強力なパワーを維持できるようになったほか、ユニットの小型化にも貢献。キャビネット内部へ与える影響を最小限にすることで、ウーファやミッドレンジと、より近接して配置できるようになった。

 ウーファには、「PlatinumII」で開発された新技術DCF(ダイナミック・カップリング・フィルター)を量産ラインとして初採用している。

 さらに、2018年1月頃から取り扱う予定の、フランスのブランドSTORM AUDIOの製品も紹介。このメーカーは、Auro3Dを生み出したAuro TechnologyのAV機器部門であり、Auro-3DやDolby AtmosやDTS:Xに対応した16チャンネル出力対応のAVプロセッサ「ISP 3D.16 ELITE」や、200W×16chのクラスDアンプ「PA 16 ELITE」などを扱う。

STORM AUDIOの製品。AVプロセッサ「ISP 3D.16 ELITE」
下段が200W×16chのクラスDアンプ「PA 16 ELITE」

 Auro-3Dは、Dolby AtmosやDTS:Xなどのオブジェクトベースオーディオとは異なり、従来のチャンネルベースのサラウンドフォーマットでありながら、高さ方向の情報にも対応し、包み込まれるようなサラウンド再生ができるというもの。Auro Technologyが開発し、音楽や映画の対応Blu-rayが登場している。

 イギリスのオーディオブランドROKSAN(ロクサン)の取り扱いも、2017年12月頃から開始予定。しばらく日本での輸入が途絶えていたが、復活する形となり、人気のレコードプレーヤー「Xerxes20Plus」や「Radius7」、サウンドとデザインの良さで評価される「K3シリーズ」、「Caspianシリーズ」のCD、アンプ群、さらにハイクオリティな「BLACK」シリーズもラインナップ。

 価格のイメージは、「Xerxes20 Plus」が本体のみで58万円前後(+ノーマル電源10万前後/+アーム25万前後)、「Radius7」が36万前後(本体+アーム付き)。K3シリーズが25万円前後、Caspian M2が36万円前後、Blackシリーズが55万円前後。

Caspian M2
K3シリーズ

ノア

 Sonus faberの新スピーカーとして、4月から発売している「オマージュ・トラディション」3機種に注目。ペアの価格は「Amati Tradition」(アマティ・トラディション)が360万円、「Serafino Tradition」(セラフィーノ・トラディション)が260万円、「Guarneri Tradition」(ガルネリ・トラディション)が200万円。

一番手前が「Guarneri Tradition」、その奥が「Serafino Tradition」

 楽器の名工達へのオマージュ(讃辞)として、イタリアで弦楽器の名工一族として名高いアマティ、ガルネリの名前をつけた製品に加え、ニコロ・アマティに師事したサント・セラフィーノから名前をとったセラフィーノ・トラディションが追加された形となる。

 3機種に共通するのは、リュート型のキャビネットデザイン。両サイドがなめらかな曲面になっており、兄弟機「Lilium」のデザインを踏襲・融合。内部共振を制御し、不要な振動を排除する。天板には、側板と同じ木材を採用。SFロゴをプリントした、トップガラスを配したモダンなデザインになっている。

オールインワンオーディオシステム「SF16」

 オールインワンオーディオシステム「SF16」は、Sonus faber創業者である故フランコ・セルブリン氏が、Sonus faberを立ち上げる前に、最初に手掛けた1980年の作品「Snail(スネイル)」を、「現代的なアプローチとフィーチャーでよみがえらせた」という製品。価格は140万円。

 一体型のシステムで、左右に飛び出た耳のような部分にシルクドームの超小型ツイータとミッドレンジを搭載。筐体の本体にはウーファを搭載している。耳のような部分は本体に格納でき、再生時にはブラシレスモータによって、ゆっくりとアームが伸びていく。

小型ブックシェルフ「CHAMELEON」のサイドパネルとして、漆塗とのコラボモデルが計画中

ロッキーインターナショナル

 8月から取扱を開始した、イギリスのスピーカーブランド・CASTLE(キャッスル)の製品を紹介。2ウェイのモニタースピーカー「Richmond Anniversary(リッチモンドアニバーサリー)」と、「Knight(ナイト)」シリーズの計5製品を展開。Richmond Anniversaryの価格は158,000円(ペア)。

「Knight」シリーズ

 CASTLEを手がける英Castle Acousticはヨークシャーで1970年代初頭に設立。ドライバユニットや電子部品、リアルウッド素材のエンクロージャを手作業で製造している。

 Knightシリーズは、ステレオ再生に特化したエントリーラインのスピーカーで、ブックシェルフ型の「Knight 1」と「Knight 2」、フロア型の「Knight 4」と「Knight 5」をラインナップ。価格(ペア)は、ブックシェルフ「Knight 1」が52,000円、「Knight 2」70,000円フロア型の「Knight 4」が148,000円、「Knight 5」が178,000円。

ユキム

 ユキムの目玉は、9月から発売しているELAC製スピーカー「ADANTE(アダンテ)」シリーズ。価格は、フロア型「AF-61」が96万円(ペア)、ブックシェルフ型「AS-61」が48万円(同)、(センターの「AC-61」が31万5,000円(1台)、サブウーファ「ASW-121」が45万円(1台)。

ELAC製スピーカー「ADANTE」シリーズ

 エンジニアのアンドリュー・ジョーンズ氏が手掛けた「エンジニアリングの集大成」というシリーズで、新設計の「アクティブ・パッシヴ・ドライバー」と、その能力を引き出すためにデザインしたという精密/高剛性キャビネット、完全新設計の同軸ミッドレンジ/ツイータ「アダンテ・コアキシャル・ドライバー」などを採用する。

アブサートロン

 革新的スピーカーユニット「MangerSound Transducer」を開発した独MANGER AUDIOと国内総販売代理店契約を締結。その第一弾製品の中から、MANGER「p1」を紹介している。サテンフィニッシュの価格は、ペアでp1が146万円。

MANGER「p1」

 「p1」は2ウェイのフロア型で、ツイータには「Manger Sound Transducer」、ウーファにはカスタムメイドの20cmカーボンファイバーコーンを使っている。インピーダンスは4Ωで、再生周波数特性は40Hz~40kHz。クロスオーバー周波数は360Hz。外形寸法は270×214×1,139mm(幅×奥行き×高さ)。重量は28kg。ブックシェルフの「z1」もラインナップする。

リンジャパン

 スピーカーの「EXACT AKUBARIK」、「EXACT AKUDORIK」が、最新のDACアーキテクチャー「KATALYST」に対応した「EXACT AKUBARIK/1」と「EXACT AKUDORIK/1」に進化。10月から発売される。価格はEXACT AKUBRAIK/1が410万円(ペア)、EXACT AKUDORIK/1が275万円(ペア)。既存ユーザー向けには、アップグレードも実施する。

 この、新しいEXAKT AKUBARIKとEXAKT AKUDORIKを、個別の部屋に展開。KLIMAX EXAKT DSM、KLIMAX LP12や、AKURATE EXAKT DSM、AKURATE LP12SEなどと組み合わせている。

New EXAKT AKUBARIK
上からAKURATE LP12SE、AKURATE EXAKT DSM