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ソニー最高峰8Kライブカメラと6Kフルサイズシネマカメラ。有機ELモニター高輝度化も

 幕張メッセで11月15日~17日まで開催されている国際放送機器展「Inter BEE 2017」において、ソニーはテレビ放送などのライブ用8Kカメラシステム「UHC-8300」や、シネマ用の「VENICE」を展示。また、有機ELモニターのバージョンアップや、4Kライブ制作に向けた機器の強化なども紹介している。

ソニーブースの撮影コーナー
ソニーブースのイベントステージには「Crystal LED」ディスプレイシステムを使用

最高峰の8Kライブカメラや6Kシネマカメラなど

 “ソニーの最高峰カメラ”として、1.25型8Kイメージセンサーを搭載した8K 3板式カメラシステム「UHC-8300」(参考予定システム価格4,800万円)と、新開発36×24mmフルフレームセンサーを搭載した映画制作用CineAlta「VENICE」(オープンプライス/想定価格400万円前後)を披露。

UHC-8300(カメラヘッド部)

 8Kカメラシステム「UHC-8300」は、カメラヘッドと、カメラコントロールユニット(CCU)の「UHCU-8300」で構成。HDR/BT.2020対応。8Kで最大120p撮影にも対応する。8K/4K/HD信号の同時出力に対応するほか、8Kから4K映像を切り出して運用することも可能。本体は4K/HDカメラHDC-4300と同等のサイズを維持し、重量は7kg(HDC-4300は5kg)。カメラヘッドとCCUの間は100Gbpsファイバー伝送技術を採用している。

UHC-8300の特徴

 36×24mmの“フルサイズ6Kセンサー”を搭載するCineAlta最上位「VENICE」は、新開発センサーとレンズの組み合わせにより、浅い被写界深度によるボケ味を活かした映像表現が可能。映画製作現場の声を反映し、レンズ運用の自由度を向上。PLレンズマウントを採用し、Super35mm用PLレンズやアナモフィックレンズ、フルフレーム対応PLレンズなどにも対応。レンズマウント部を取り外すとEマウントカメラとして使える。XAVCのほか、16bit RAWデータの階調を活かしたまま容量を抑えて記録できる、16bitシーンリニアデータ撮影の「X-OCN」フォーマットに対応しているのも特徴。

VENICE
主な特徴

 コンパクトカムコーダーは、12月に発売するXDCAM「PXW-Z90」(想定価格29万円前後)などを展示。Z90はファストハイブリッドAFを搭載するほか、3G-SDIを搭載。XAVC Long GOP収録にも対応する。5GHzにも対応したWi-Fi接続機能も備える。

XDCAM「PXW-Z90」

 ミュージカルやドラマ撮影などの音声伝送に利用するデジタルワイヤレストランスミッタ「DWT-B03R」を'18年春に発売する。従来より小型化したのが特徴で、丸みのある筐体デザインを採用。汗や雨などを想定した防滴仕様で、電源を単3電池からリチウムイオン電池に変更し、連続使用時間を従来の5時間から7時間に強化した。価格は60万円。

 また、デジタルワイヤレスレシーバの新モデルとして、IP伝送のDanteにも新たに対応した「DWR-R03D」(60万円)も同時期に発売予定。

デジタルワイヤレストランスミッタ「DWT-B03R」
デジタルワイヤレスレシーバ「DWR-R03D」(上)。下は従来モデル

有機ELモニターに従来比180%の「高輝度モード」追加

 有機ELモニターは、55型のPVM-X550において、本体ソフトウェアアップデートにより従来比180%に高輝度化するモードを'18年3月に追加予定。従来の400cd/m2からピーク輝度を大きく拡張することで、より広いダイナミックレンジを再現可能とする。ソフトウェアアップデートは無料だが、適用するためには同社による作業が必要となり、この作業は有料。

55型有機ELモニター「PVM-X550」

 そのほか、30型マスターモニターBVM-X300の表現に近づける「Roll-off LUT」も同時期に提供予定としている。これを適用することで、高輝度部分なども白飛びさせずに表示することなどが可能。「マスモニから現場で使えるモニターまで、統一した色再現で制作をサポートする」としている。

左がBVM-X300、右がPVM-X550
X550のアップデート内容

映像配信ソリューションや、バーチャルアナウンサー「沢村 碧」など

 放送局などでIPライブ制作システムの導入が増加する一方で、従来のワークフローを望む声にも応えるため、4K映像を同軸ケーブル1本で伝送できる12G-SDIへの対応を発表。'18年春以降に順次対応予定としている。12G-SDIによりシンプルなシステム構成を可能とする。このほか、大規模4Kライブ制作に対応するスイッチャープロセッサーの「XVS-9000」を'18年秋に発売予定。12G-SDIとネットワークメディアインターフェイスの両方に対応する。

12G-SDIへの対応を'18年春以降に順次予定
IP Liveプロダクションシステムのデモ

 このほか、参考展示としてクラウドベースのコンテンツ管理/配信についても紹介。視聴者同行分析の技術を持つ米OOYALA(ウーヤラ)のプラットフォームを使って、放送局やその他の企業が動画配信を効率的に運用できるという。ライブ配信後に、見逃した人向けのVOD配信もすぐ開始可能。ユーザーインターフェイス部分をソニーがカスタマイズして提供することを想定したデモを行なっている。

クラウドベースのコンテンツ管理/配信のデモ
OOYALAのプラットフォームを活用

 バーチャルアナウンサー「沢村 碧」を活用した情報番組制作支援ツールも紹介。番組作成での活用だけでなく、スタジオなどを持たない企業や学校なども、原稿を用意することで映像を業務や教育などに活用できるなど、幅広い用途を想定している。

「沢村 碧」を活用した情報番組制作支援ツール
バーチャルアナウンサー「沢村 碧」がInter BEEソニーブースを紹介